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≫ザ・ローリング・ウエスタン
■発売元 任天堂
■開発元 バンプール
■ジャンル アクションタワーディフェンス
■CERO A(全年齢対象)
■定価 952円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■消費ブロック数 383ブロック
■セーブデータ数 2つ
■推定クリア時間 30〜35時間(全ステージクリア目的)、90〜110時間(完全攻略目的)
血と汗で綴られた西部開拓時代。
突如現れた岩の怪物達が村へやってきては、次々と家畜を襲い始めた。

そこに現れる、自称・用心棒の青年。
彼にはある過去と、限られた者だけが知る通り名があった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆3Dアクションとタワーディフェンスの戦略的なゲーム性を融合した、独特過ぎるゲームデザイン
◆スピード感とタッチペン一本だけで繰り出せる手軽さが光る、主人公ジローの多彩なアクション
◆常に戦況に応じた判断と行動、アクションセンスが求められてくる、緊張感抜群で歯応え申し分無しの難易度設定(力押しも一切効かないので、安易な気持ちで挑むと大火傷必至)
◆気の抜けない難易度設定が醸し出す、圧倒的な中毒性と熱中度の高さ
◆ダウンロード配信専用タイトルとしては規格外なボリューム
◆儲け話(サブミッション)にタイムアタックなど、盛り沢山で遊び応え十分のやり込み要素の数々
◆敵の進軍ルート、タワーの設置個所など、細部に至るまで戦略上の盲点を生み出さない徹底した作り込みとこだわりの数々が光る、珠玉のマップデザイン
◆各ステージでの防衛戦を盛り上げる、バリエーション豊かな敵キャラクターこと岩石生命体(一般的なものから、ショートカットしてくるものまで、実に多種多様)
◆隠された財宝探しなど、最小限ながらも確かな面白さに満ちたマップ探索要素
◆スライドパッドとタッチペン、一部のボタンしか使用しないシンプル且つ、思い切った操作スタイル
◆カートゥーンチックながら、何処か殺伐とした雰囲気作りが成された独特なグラフィック
◆曲数こそ少なめながら、世界観にマッチした作風と印象深い旋律が光る、秀逸な音楽
◆王道ながらも、個性豊かな動物キャラクター達の掛け合いと熱い展開の数々が光るストーリー

--- Bad Point ---
◆アクションのみならず、メニューでもタッチペンの使用を強要する癖の強過ぎる操作性(メニューぐらい、ボタンに対応させても良かったのでは…)
◆最低極まりない、左利きプレイヤーへの配慮不足(右利き操作を強要される)
◆理不尽な所は無いものの、ゲームに不慣れな方なら即座に心を圧し折られる難易度設定
◆襲撃にて何処から敵が現れるか確認する術がない為、どうしても手探りプレイになってしまう準備パート(その為、バランス的に初見殺しの要素が強くなってしまっている)
◆操作こそ簡単だが、挙動周りに癖があるジローのアクション(特に方向転換時)
◆戦闘終了後等で頻発する地味なロード時間(このせいでテンポが悪い)
◆ボリュームの水増しに繋がっている、『スター』の称号によるステージ解禁要素
◆中断セーブ非搭載(システム的に難しいのかもしれないが、可能なら入れて頂きたかった)
◆極端過ぎるほどに攻撃チャンスが限られた最終決戦
▼Review ≪Last Update : 4/27/2014≫
これは、無口なアルマジロと陽気なネズミの戦いの軌跡である。

「だから、ネズミじゃねえってば!」


2011年にアメリカで開催された『E3』にて、数々の話題作の陰に隠れる形で発表された完全新作タイトル。開発は『エンドネシア』、『もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド』等を手掛けたことで知られるバンプールが担当。

驚異的な歯応えとボリュームを兼ね備えた、鬼気迫る力作だ。

ゲーム内容は3D視点で展開するアクションゲームに拠点防衛の要素を加えた、その名もアクションタワーディフェンス。主人公のアルマジロ『ジロー』を操作し、『タワー』と言った防衛設備を活用したり、自ら戦闘を仕掛けたりしながら岩の形をした魔物『岩石生命体』の軍団を迎撃し、拠点への侵攻を食い止め、家畜『マンジュー』達を守り切るというゲームだ。
より具体的な内容、システム周りについて解説していくと、本編はステージクリア方式で展開。各ステージのクリア条件は三日間、岩石生命体達の襲撃から拠点こと『村』を守り切ること。ただ一回の襲撃から村を守り切れば良いのではなく、三回の襲撃から村を守り切らなければならないという、結構ハードで密度の濃い条件になっている。
更に一日ごとの流れも非常に濃い。基本的に一日間は『準備』、『襲撃』の二つのパートで構成されている。『準備』は文字通り、舞台となるフィールドを駆け回りながら家畜『マンジュー』を繁殖させる不思議な草『マンジュー草』を集め、その数を増やしたり、フィールド各所にある『採掘抗』から鉱石を集め、拠点で売り捌いて資金を調達したり、その得られた資金でタワーの建造をしたりなど、岩石生命体の襲撃に備える為の準備を行っていくパートだ。ここで次なる岩石生命体の襲撃による被害を可能な限り抑える為、様々な対策を組んでいく。但し、例によってこの準備には制限時間が設けられており、一定の時間が過ぎるとフィールド上の空が赤く変化。その後、更に空が赤くなると次なる襲撃のパートが始まる仕組みとなっている。その『襲撃』もまた文字通り、岩石生命体達の迎撃から村を守るパートである。最終的な目的は襲撃してくる岩石生命体達の全滅。逆に岩石生命体達が村に侵攻し、『マンジュー』が全滅してしまうとゲームオーバーになり、その日の『準備』のパートから、或いは一日の最初からやり直すことになってしまう。全ての岩石生命体を倒しきると、一日の工程は全て終了。次なる二日目へと進み、再び『準備』と『襲撃』の二つをこなしていく。そして最終三日目の『襲撃』を乗り越えれば、ようやくそのステージがクリアとなる感じだ。これほどやる事が盛り沢山。単純に一つのステージをクリアするだけでも最低で1時間、長い時では2時間は費やさなければならないほど、濃過ぎる構成になっている。しかも、各ステージのフィールドは3Dの箱庭空間で構築されているのだが、これもまた非常に広い。単純に他のゲームの例で例えるなら、『スーパーマリオ64』の1マップと同等か、その半分ぐらいはある。そんな広いフィールドを駆け巡りながら戦闘等を繰り広げていくのだから、如何に一日の流れが濃いのかがイメージできるかと思う。
更にこれに呼応するかの如く、システム周りも入り組んでいる。そもそも3Dアクションをやりながら、タワーディフェンスをするという時点でもかなり独特だが、細かい部分でも様々な要素が取り入れられている。特に象徴的なのが戦闘だが、今作ではタワーで攻撃を仕掛ける以外にプレイヤー自ら、岩石生命体に攻撃を仕掛ける事ができる。知る人ぞ知るニンテンドーDSの隠れた意欲作、『ロックス・クエスト〜新米アーキニアの百日戦争』と同様の仕組みだ。というか、今作の内容自体がロックス・クエストの3D版と言った感じになっている。ただ、ロックス・クエストより、こちらの方がアクション要素が濃い目。また、戦闘も大分違う。今作では、シンボルエンカウント方式が採用されており、襲撃中の岩石生命体に接触すると専用の戦闘フィールドへと移行。そこで様々なアクションを駆使し、岩石生命体を攻撃する戦闘がスタートする仕組みになっている。ロールプレイングゲームチックな作りになっているのだ。但し、戦闘そのものはアクション、加えてその最中でも敵の侵攻はリアルタイムで進むというのがミソ。戦闘が長引けば長引くほど他の敵が進んでしまい、ようやく戦闘が終わってフィールドに戻ってきた頃には、村のゲート前まで別の岩石生命体が進んでた…なんて事が起こり得る。結構、仕掛けるに当たってのリスクが大きめに設定されているのだ。しかし、タワーだけで敵を捌ききるのも限度があるので、適時、自分で捌かなければらない。そんな具合にタワーと自らの攻撃を活用し、且つ自ら戦闘を仕掛けた際は手早く倒すようにしていかねばならないなど、アクションのテクニックが強く戦況に現れる。まさにアクションタワーディフェンスというジャンル名に倣ったシステム、バランス設定が成されているのである。ロックス・クエストもそんな感じの作りだったが、アクションの腕前がよりダイレクトに響いてくる点は今作ならでは。また、アクション周りもアルマジロが主人公という事で、移動にせよ攻撃にせよ、体を丸めたローリング式になっているのが大きな特色。操作も非常に独特で、今作はスライドパッドとタッチペンしか使用せず。さながら、トラックボールを回すかの如く、ペンをスライドしたり、画面をタッチするだけで豊富なアクションを手軽に繰り出せたりと、DSのゲームならではの味付けが成されているのも特筆すべき部分だ。
他にも岩石生命体を迎撃する『タワー』は特定の箇所にしか設置できず、一般的なタワーディフェンスみたいに好きな所に配置する事は不可能、更に下画面には全体マップが表示されるのだが、『ウォッチタワー』と呼ばれる監視用のタワーが破壊されるとその範囲内だけ戦況が見えなくなってしまうなど、特徴的なシステムが多数実装されている。
一言で内容を言えば、ロックス・クエストの3D版である。ただ、アクションの腕前がダイレクトに響いてくるゲームバランスと戦闘システムなど、詳細な中身は別物。まさにアクションタワーディフェンスのジャンル名に相応しい作りで、特徴的なシステムもさることながら、驚異的な密度、ボリューム感が異彩を放つゲームとして完成されたものになっている。

そして、今作最大の売りにして魅力は、その驚異的な密度とボリューム感だ。そもそも、1つのステージに短くて1時間近く、長くで2時間以上はかかるという時点で、今作のボリュームが如何に驚異的なものになっているかを察する事ができるだろう。とは言え、今作は低価格のダウンロード配信専用タイトル。別にステージ総数はそんなに沢山用意されている訳じゃない、片手で数えられる程度なのだろうと、先入観からイメージしてしまうかもしれない。単刀直入に言おう。片手で数えるのは不可能な量が収録されている。ダウンロード配信専用タイトルとしては、まさに規格外のレベル。エンディングを目指すだけでも30時間は余裕で超過するのに加え、メインの防衛以外にも村の住人からの『依頼』、サブミッションと言った寄り道要素や最速タイムを目指すやり込み要素までもが用意されており、全てをやり尽すとなれば、その4倍は必要とされるほど、盛り沢山な内容になっているのだ。
加えて、今作に「任天堂のゲーム=万人向け」という先入観を持って挑むと、大火傷を負う事になる。それこそが今作における第二の魅力、難易度バランスだ。今作の発売元、任天堂のゲームと言えば、多くの人が「万人向け」、「優し過ぎず難し過ぎずの絶妙なバランス」というイメージを抱くだろう。基本的にはプレイヤーを選ばない難易度が定番。特に2004年にニンテンドーDSが発売されて以降は特にその傾向が強くなり、コアなユーザーをターゲットとしていたファイアーエムブレムシリーズ、メトロイドシリーズでも万人受けを狙った救済処置を盛り込むなど、あらゆる作品においてそのイメージを受け付けさせようとする執念深さを見せている。そんなスタイルが当たり前となった中、今作に対しても数々の任天堂のゲームをプレイしてきた方ならばそのイメージを抱くかもしれない。だが、断言しよう。今作は万人向けでは無い。それどころか、生半可な気持ちで挑めば数分で心が「ブッシャリ」と圧し折られ、再起不能に陥ってしまうほど苛烈なバランスに設定されている。さながら、NINTENDO64時代にリリースされていた『ブラストドーザー』、『ゴールデンアイ007』、『ディディーコングレーシング』と言ったレア社のゲームに近い感じのバランスになっているのだ。
特に序盤の終わり以降が苛烈。マップが広大になるのに加え、凄まじい速さで迫ってくるタイプ、ショートカットしてくるタイプと言った新種の岩石生命体が続々と登場し、対処しようにも決まってギリギリな状況に追い込まれる、非常に厳しい展開がこれでもかと言わんばかりに繰り広げられるのだ。更に戦闘を手早くこなす事も求められ、少しでも倒すのが遅いと対処不能な状況になる場面も連発。その末にマンジューの悲痛な叫び声が響く惨劇が繰り広げられるという、まさに血も涙も無い悲劇でプレイヤーを徹底的に追い込んでいくのである。おまけに今作、資金面で金欠になり易い。その為、設置できるタワーに限りが出て来るので、迂闊に建造する事もできない。終盤になるとその辺はますますエスカレート。タワー建造は準備段階では無く、襲撃時に行わないと的確な場所に配置できない厳し過ぎる立ち回りが求められるなど、あらゆる面でプレイヤーを追い込んでくるのだ。その苛烈過ぎる難易度設定には誰もが「これ、任天堂のゲームなの?」と動揺すること必至。逆に先に挙げた3つのゲームを知る人ならば、久しぶりに容赦の無い一面を見せてきた!…と逆に感動するかもしれない。それほどまでに隅から隅に至るまで、今作は万人向けでは無いバランスを徹底している。
とは言え、一度ゲームオーバーになると開始時の資金上限を引き上げられるようになるなど、ある程度の救済処置は盛り込まれているので、何もかもが非情という訳では無い。しかし、ゴリ押し上等な展開には持ち込めず、戦況に応じた立ち回りとアクションの腕前が求められるなど、厳しい展開が繰り広げられる。そのようなバランスにしたのも、今作がタワーディフェンスという戦略性、戦術性の高いゲームであるが故のこだわりと言ったところなのかもしれない。タワーディフェンスに限らず、リアルタイムストラテジーにシミュレーションRPG、戦略シミュレーションなどのジャンルに言える事だが、この手のジャンルは難易度を下手に低く設定してしまうと、画面上に居る敵を捌ききるだけの退屈な作業ゲームと化してしまう。そうなるともう、戦略性も何もかもが空気。ゲームとしても遊び応えが無くなり、そもそもそれはゲームなのかとすら怪しいものになる。逆に高く設定すれば、自らの判断力と状況分析力をフル活用して戦う戦略、戦術性の高いゲームとなり、時間を忘れて熱中してしまう内容へと化ける。今作があえてその方向のバランスにしたのは、戦略性を売りとするゲームの醍醐味を大切にしたい思いからなのだろう。実際、今作の熱中度は極めて高い上、どのステージもやる事は岩石生命体の全滅ながら、次々と危機的状況が訪れるレベルデザインが徹底されているのもあり、全くダレることがない。おまけに常にギリギリの戦いが求められるが故、画面内で繰り広げられる状況から一瞬たりとも目が離せない。その為、全てを捌ききってようやく一息…と思って時計を見たら、既に1時間半を超えていたなんて事も頻繁に起きる。そして、そんな厳しい状況が続くが故に全てをやり遂げた際の達成感も素晴らしく、ゲームをしっかりと遊び切ったという確かな手応えをも感じ取れる。常にこの状況から目を離さないでもらいたい、ゲームを存分に味わってもらいたい。そんな狙いを込めたのであれば、今作のバランスは極めて適切。そして、戦略的な要素を兼ね備えたゲーム特有の醍醐味を何よりも大事にしたのは、いい加減な気持ちで作っていない事の表れ。そのこだわりと思いの強さだけでも、このバランス設定は高い評価に値すると言っても良いだろう。
高めとは言え、理不尽さが皆無なのも秀逸。先の厳しい局面にせよ、タワーの配置と適切な攻撃を心掛ければ、基本的に何処の村も完全に防衛可能な調整が成されているのはさすがの一言だ。また、アクションゲーム特有のプレイヤー自身の上達がゲームにダイレクトに現れてくる部分にしても万全。腕前が上がれば上がるほど戦況が安定したり、また資金面で余裕が出るようになるのも、やり込み甲斐を大いに刺激する。マップデザインもタワーの配置、敵の進撃ルートなど、非常に練り込まれており、この手のゲームで最も大事にしなければならない所を厳守している点も好感が持てる。
とは言え、さすがに厳し過ぎるきらいもあり、最終決戦でターゲットとなる敵(ラスボス)への攻撃のチャンスが極端に限られているなど、もう少し緩くすべきだったのではと突っ込みたくなる箇所も多々ある。アクションにしてもタッチペン操作故に癖の強さは半端無く、極度に人を選んでしまう所があるのももどかしい限りだ。
しかし、戦略性の高いゲームだからこその醍醐味を重視し、その面白さと難しさを余す事無く表現する方向にあえて進んだその潔さは純粋に気持ちいい。何より、任天堂のゲームながら、久しぶりに万人向けでは無い路線を突き詰めた作品としてでも、今作の価値は極めて高い。たまには誰もが楽しめない、選ばれた人向けのゲームがあっても良いでしょうよ。その自由奔放っぷりは、人によっては懐かしくも嬉しい気分に浸れるかもしれない。

また、細かい部分だが、敵である岩石生命体達の種類の多彩さも地味ながら大きな見所。その名前のイメージからは想像できないほど、今作では多種多様な岩石生命体達が登場し、各ステージでの戦闘を緊迫感溢れるものへと引き立てている。特に先に少し触れた、凄まじい速さで迫ってくる岩石生命体こと『ゾクボー』はその見た目、破壊力共にインパクト抜群。岩なのにそんなデザインはアリなのかと、その見た目には誰もが突っ込みを入れたくなってしまうだろう。
更にプレイヤーことジローのアクションも多種多用且つ、その操作のほとんどがタッチペン一本で出来てしまう手軽さも秀逸。アクションの手応えも方向転換時の妙な感性が気になるものの、手触り感は良好。単純にフィールドをローリングで駆け抜けるだけでも気持ち良さを感じ取れるものに仕上げられている。
ただ、操作周りの話になってしまうが、左利きプレイヤーへの配慮が皆無で、右利きのプレイヤーにしかフォローしていない点はさすがに看過できない欠点だ。それほどタッチペン側で細かな操作を求められないとは言うものの、せめてABXYボタンを対応させるなり、最低限の配慮を取って頂きたかったところである。
関連してメニューインターフェースも癖が強く、決定にせよ、キャンセルにせよ、全てタッチペンで行うのは煩わしい。慣れれば気にならなくなるが、その辺はボタンに対応させても良かったのでは。さすがにこの辺はこだわりが悪い方向に作用しているとしか言い様がない。また、本編を進めていくに当たり、『スター』というステージクリアの際に貰える称号が足りなければ、次のステージが解禁されないという仕組みも悪いこだわりが作用している点と言える。このせいで全体的なボリュームが水増しされているかのような所があるのも残念だ。これは必要なかったのではないだろうか。その他、一日終了の度にセーブができるとは言え、一回のプレイが長いのもあり、気楽に遊べない所があるのももどかしさを感じる所だ。とは言え、今作のシステムで中断セーブを盛り込むのはなかなかに難しいものがあったのかもしれないが。

少し、欠点ばかりを言ってしまったが、それを踏まえても今作の完成度、密度はダウンロード配信専用タイトルとしては規格外のクオリティではある。また、グラフィックや音楽の出来も総じて素晴らしく、特に音楽は数こそ少なめながら、世界観にマッチした印象深い楽曲が揃っている。更に演出、ストーリー周りもなかなかの出来。登場キャラクターも個性的な面子が多く、中でもジローの相棒であるリッスの可愛らしさ、くどい顔、どう見てもネズミな容姿は必見だ。
難易度が高いのに加え、システム面でも癖の強い部分が多々ある為、人を選ぶゲームなのは間違いない。任天堂のゲームにしては、かなりご無沙汰な非万人向けの作品であるのは、繰り返しになるが強めに言っておきたい。しかし、それ故に遊んだ後には強烈過ぎる思い出がしっかりと刻み込まれる。そんな懐かしい香りと鬼気に満ち溢れた今作。
タッチペン主体の操作に抵抗を覚えない方であれば、迷わず試してみて頂きたい力作だ。非常に癖の強い内容だが、合えばズルズルと引き込まれて行ってしまう恐ろしさがある。この手強さ、是非ともお試しあれ。遊び応えのあるゲームを求めている方もレッツ・チャレンジだ。
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