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≫閃乱カグラ -少女達の真影-
■発売元 マーベラスエンターテインメント(現:マーベラス)
■開発元 タムソフト
■ジャンル 爆乳ハイパーバトル(アクション)
■CERO D(17歳以上対象) ※過度の性的描写あり
■定価 5695円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ
■3D表示 あり
■総説明書ページ数 43ページ
■推定クリア時間 7〜8時間(エンディング目的)、20〜30時間(完全攻略目的)
強大な権力を持った者に雇われ、己の欲を満たす為の道具として活動する『悪忍(あくにん)』。
悪忍に対抗する為、政府が設立した『善忍(ぜんにん)』育成機関『国立半蔵学院』。
この物語は、奇しくもその学院で青春を捧げる事になった、少女達の戦いの軌跡である。

彼女達が戦いの先に何を見るのか。
何を得て何を失うのか。
それはまだ、誰にも分からない。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆目前の敵を華麗な技で翻弄する、単純明快で爽快感抜群の取っ付き易いゲーム性
◆裸眼立体視だからこその強みと本気が炸裂した飛び出すアレ
◆どんな場面にも対応できるオールラウンダー、打撃専門、コンボ稼ぎに便利など、差別化が上手く成された全5人ものプレイヤーキャラクター達
◆多彩で見た目も派手なものが盛り沢山のプレイヤーごとの攻撃アクション
◆レベルを上げてゴリ押すのも、シビアに攻めるのもOKな懐の広さが秀逸なゲームバランス
◆イベントと演出に限定して徹底的に際立たせるという潔い割り切り方が見事な立体視の設定
◆まさに暴走の産物とも言えるお遊び要素が盛り沢山の着せ替えモードこと『更衣室』
◆豪快に攻め込める反面、押し込まれると大変という極端な難易度設定が面白い『命駆』
◆単純にボタンを押しまくるだけでも気持ちいい、レスポンスの良さが光る操作性
◆アニメ風味のモデリングと鮮やかな色使い、生き生きとしたキャラクターの動きが素晴らしいグラフィック
◆スピーディなゲーム展開とストーリーにマッチした、緩急の激しい熱過ぎる音楽
◆センセーショナルな見た目と売りに反した、シリアスで奥深い内容のストーリー
◆操作の気持ちよさと爽快感を際立たせる、質感抜群の効果音
◆盛り上げるシーンでは限界まで盛り上げるなど、メリハリの付け方が非常に上手い演出
◆エンディングまでは比較的短めながら、やり込み要素も適度に取り揃った充実のボリューム

--- Bad Point ---
◆多少長めな任務開始前のロード時間
◆地形の作りや内容が平坦で、単調さも否めない各任務の構成(レベルデザインがイマイチ)
◆単調な構成も相まって、作業感が強いやり込み要素(特に自由選択任務の攻略)
◆棒立ちが多く、攻撃しようとしてくる積極性が足りない雑魚敵達(ボスは例外)
◆お遊び盛り沢山なのに何故か立体視非対応の『更衣室』
◆育成状況によって詰みも生じる後半の難易度設定(満遍なく5人を育成しないと大変な事に)
◆演出的に蛇足感が否めない最終ボス戦(その前の盛り上がりが凄過ぎるのもある)
◆外出プレイに不向き(公共の場などでプレイすると社会的に死にます
▼Review ≪Last Update : 8/5/2012≫
貴方にとって、立体視で一番見たいものは何ですか?

それはモチロン…(以下自粛)


ニンテンドー3DSの立体視機能を男性が最も望む方向へ活かした、露骨過ぎるコンセプトが光る完全新作のアクションゲーム。マーベラスエンターテインメント名義で最後に発売されたゲームで、開発はゲーム版『一騎当千』シリーズで知られるタムソフト。シナリオは『428 〜封鎖された渋谷〜』で等で知られる北島行徳氏率いるジンテーゼが手掛けた。

センセーショナルな見た目と売りに反し、作りは大変真面目な良作だ。

爆乳ハイパーバトルという、あまりにも異様なジャンル名を呼称しているが、実際のところは横スクロールのベルトスクロール型アクションゲーム。『善忍』育成機関の『国立半蔵学院』に通う、5人の忍候補生の少女達を操作し、任務遂行を目指すという内容のゲームである。
本編は章ごとに用意された『任務』という名のクエストを攻略していく形で展開。『任務』には『主要』、『自由選択』の二種類があり、前者はメインストーリーに沿った任務、後者はストーリーとは直接関係のないフリー任務という具合に区別されている。メインは文字通り『主要』の方で、基本的にはこれを攻略しながら本編を進めていく。
『主要』、『自由選択』共にクリア条件は課せられた『目標』を達成する事。目標は敵の全滅やアイテムの回収、強敵(ボス)の撃破と言ったオーソドックスなものが中心となっている。また、任務によっては、冒頭に『ノベルパート』なるサウンドノベル風のパートが挟まれる特殊タイプも存在する。そのようなパートが存在する故、ストーリー性は強め。だが、このパートを一気に飛ばすスキップ機能は完備されており、アクションだけを楽しみたいというプレイヤーに対する配慮も万全に敷かれている。そんなアクションゲームとしてのテンポもしっかりと尊重。ストーリー重視のコンセプトが現れてはいるが、全体的には双方の魅力を程好い塩梅でまとめた構成にまとめられている。
それでいて、システム周りも意外と本格的。基本は横スクロールのベルトスクロール型アクション、カプコンの『ファイナルファイト』シリーズなどに近い作りで、画面内に居る敵を全滅する事で次の場所への移動が解禁されるシステム、手前・奥に移動可能なフィールド構成など、ほとんどそれを踏襲したものになっている。但し、複雑なコマンド入力は無く、攻撃はほとんどワンボタンで繰り出せる単純設計。更に経験値とレベルアップというRPG要素もあり、自由選択の任務でこれを稼いで成長させれば打たれ強くなるなどの救済処置も実装。この手のゲームを全く経験した事がないプレイヤーにも取っ付き易い要素と工夫が多彩で、敷居の低さを前面に推し出したゲームデザインが図られている。
無論、ただ敷居が低いだけではなく。主に育成周りに関しては、プレイスタイルに応じて属性が『陽』と『陰』の二種類に変化し、それぞれを極めると最強の『閃乱』属性に覚醒するという、極め甲斐のあるシステムに仕上げられている。更に本編で使う事になる5人のキャラクター達も個性豊か。主人公格の飛鳥はオールラウンド型でどんな場面にも対応可能、姉御肌の葛城は肉弾攻撃主体の重い攻撃が特徴、三度傘を持った柳生は一同に大勢の敵を巻き込む攻撃を得意とするなど、それぞれ違った操作感とアクションが楽しめるキャラクターに完成されている。また、彼女達は『忍法ゲージ』が溜まる事で『忍転身』が可能となり、攻撃力と防御力が急激に上昇した状態へと変身。通常時以上に強力な攻撃が可能になるほか、『秘伝忍法』なる大技も繰り出せるようになり、もう何が何だか分からないド派手な光景が画面いっぱいに繰り広げられるようになる。基本的に本編では敵が大挙して現れる為、連続攻撃を叩き込むのは手軽ではあるが、コンボを繋げていくには的確な操作が求められるなど、初心者には手軽に大量の敵を倒す快感を、上級者には繋げていく楽しさをという具合に棲み分けたバランス調整を施しているのも侮れない特徴。『命駆(いのちがけ)』なる、攻撃力を上げて防御力を急激に下げたハードモードも用意するなど、よりシビアにプレイしたい方への配慮を忘れない姿勢も見逃せない。
そして、これらに更なる魅力を与える要素として、コスチューム破壊による防御力低下という”紳士的要素”も盛り込まれている。無論、破壊時には「ビリッ」とそのコスチュームが破れ、一部が剥き出しになる。そして、完全に破壊されてしまった暁にはお察しの通り。また、今作ではアクション部分は立体視に対応してなく、基本的にイベントとカットシーン限定の起用となっている。先の『忍転身』も対応箇所なのだが、そこでは無駄に”アレ”が強調され、豪快に飛び出す。何の事かはお察しの通り。基本、演出に過ぎないが、そう言ったインパクトを強調した部分の出来もなかなか。ゲーム部分との関連も含め、侮れないものに完成されている。
総じて手軽さ最優先の作りだが、浅いとは言い難い要素が充実。大勢の敵に連続攻撃を叩き込む事に特化したゲーム性も爽快の一言で、手軽な操作の魅力を推し出した作りになっている。シンプルではあるが、その完成度はなかなか。飛び出す”アレ”、ボロボロになるコスチュームと、センセーショナルな部分もあるが、作りはとても真面目で、お手軽ベルトスクロール型アクションというには申し分のない内容に仕上げられている。

例によって、今作の魅力は飛び出す”アレ”。公式サイト、パッケージなどを見れば一目瞭然だが、さすがその部分を強調したデザインが成されているだけに、気合いの入れ具合は相当なもの。男性紳士の方々が3DSで一番見たいと思っていたかもしれない”アレ”が、それはもう「ズドン」と飛び出る、飛び出る。しかも先の通り、立体視に対応しているのはその演出部分とイベントパート(会話シーン)だけ。今作が何に力を入れたのかが容易に分かる。そこまで潔く分けたのだから、そりゃ飛び出し具合が頭一つ抜けているのも当然の話。本当、変態…もとい、紳士のこだわりに満ち溢れた出来となっている。その出来栄えには、男性紳士の方々も思わずヘヴン状態になること、間違いなしだ。
しかし、今の真の魅力はそこではなかったりする。確かにそこの出来具合は凄いが、実はゲーム部分もなかなか。アクションゲームの最も面白い肝の部分が凄くしっかりとした作りになっているのだ。そんな真面目な作りこそが今作最大の見所にして真の魅力である。
特に素晴らしいのは沢山の敵を一気に仕留めるずば抜けた爽快感。先も述べたが、今作はいわゆる、無双タイプのベルトスクロール型アクションというゲームデザインとなっており、大量の敵を一気に斬り刻んで倒す事を最大の特色としている。この敵をまとめて倒す快感が凄い。素晴らしく質感のある効果音とド派手なエフェクト、スピード感抜群のキャラクターモーションの恩恵もあって、思わず中毒になってしまうほど爽快なものに仕上がっているのだ。
更にその爽快感をより高める、レスポンス抜群の操作性も見事。ボタンを押すだけで即座に「サッ!」と動いてくれるので、ビックリするほど綺麗に攻撃が決まる。また、これも先ほど述べたが、攻撃するに当たって複雑なコマンド入力は一切求められない。基本、ワンボタンで苛烈な連続技を敵に叩きこめるお手軽設計なので、アクションゲームが苦手な方でも気軽にその醍醐味を堪能できるのだ。それでいて、上級者にはコンボを可能な限り持続させるやり込みを設け、よりシビアにプレイしたい場合の『命駆』なるモードを用意。敵を倒す爽快感に浸るもよし、緊張感のあるプレイに浸るもよしと、プレイヤーの好みに応じたやり方で本編をじっくり味わえる環境を構築しているのである。
正直な所、”アレ”を強調しているキャラクターデザイン、公式サイトを始めとするプロモーションなどで、主にゲームに詳しい方ほど今作に対してはゲーム部分が真面目に作られてない作品だと思ってしまうだろう。そういう所は、実を言うと微かにある。具体的には『任務』なのだが、目標のバリエーションに乏しく、似通ったものが多かったり、舞台となるステージのロケーションも少なめでやや華に欠ける。また、そう言った敵をまとめて倒していく事がほとんどな為、少し単調さを感じ易いのも否定できない。 しかし、それでもゲームデザイン上の特色、爽快感に対するこだわりと調整は大変しっかりしており、欠点がありながらもつい、やり込んでしまう面白さと中毒性に秀でている。何よりも、アクションゲーム基本中の基本を大事にしている姿勢が素晴らしい。操作性、レスポンス、キャラクターモーション、エフェクト、効果音、それら「動かす楽しさ」の根幹を担う部分における作り込みは特筆すべきものがあり、如何に今作がその部分にこだわって作られたのかを実感させられる。ある意味、この手のゲームでは当たり前とも言える事だが、そこをしっかり且つ、真面目に作られている辺りには、今作が”アレ”のネタだけで終わらないゲームにしようとする作り手の意地がこれでもかと言わんばかりに込められている。成長要素にしても、そう言ったとにかくキャラクターを動かす面白さと嬉しさを味わって欲しいという姿勢が現れており、誰もが気軽に楽しめるベルトスクロール型アクションゲームとしての形を確立しているのも素晴らしい。ベルトスクロール型アクションの入門編としても、その完成度は申し分ない。
一歩間違えればネタゲーとなり得る題材を扱いながら、ゲームとしての作りも妥協しないその姿勢には本当、驚かされるものがある。また、その圧倒的な爽快感は紛れもなく、数あるベルトスクロール型アクションの中でも屈指のものと言っても過言ではないだろう。それほどまでに今作はアクションゲームとしての出来がしっかりしている。ネタゲーだと思って挑むと、圧倒させられるほどの魅力を兼ね備えた作品に仕上げられているのだ。
”アレ”絡みの演出も相当な出来だが、実はゲームとしての出来も気合いが入りまくっている。少し至らない所もあるが、素晴らしい爽快感と細かいこだわりの数々には、アクションゲームが好きな方ほどその凄さを実感させられるだろう。

また、今作はストーリーも素晴らしい。見た目から、お色気主体のギャグストーリーを連想するかもしれないが、これが何とビックリするほど真面目でシリアス。『善と悪』をテーマにした、非常に奥深い展開が描かれるのである。設定面でも暗いものが結構あり、特に敵として立ちはばかる『蛇女子学院』の面々は主人公の5人を喰うほどの存在感を見せる。そんな彼女達と主人公である半蔵学院達の忍候補生の少女達はどんな戦いを演じるのか?その真相は是非、本編でとくとご覧頂きたい。きっと予想以上の感動と切なさを思い知る事になるだろう。
その他、全体のボリュームもエンディングまでは大体7〜8時間ぐらいと短過ぎず、長過ぎずの丁度いい量となっており、遊び易さもなかなか。無論、やり込みも豊富に設けられており、中でもエンディングを迎えた後に登場するとある強敵との戦いは必見。それまでの流れから、楽勝でクリアできると思って挑むと、間違いなく痛い目を見るだろう。
グラフィックの出来もなかなかレベルが高い。例の飛び出す”アレ”の迫力もさることながら、キャラクターのモデリング、背景描写も非常に綺麗で、3DSの性能を余す事無く使い切っている。更に音楽も大変素晴らしい出来だ。スピーディなゲーム展開を大いに盛り上げる、熱過ぎる曲が豊富に収録されている。特にボス戦周りの曲はいずれも必聴の価値あり。ストーリーと同様、見た目からは想像もつかないシリアスで熱い作風には度肝を抜かれるだろう。

おまけ要素も充実。先の熱い楽曲の数々をじっくり堪能できるサウンドテスト、キャラクターの衣装を切り替えてネタプレイなどが楽しめる『更衣室』など、如何にもこの世界観ならではの要素が実装されている。特に『更衣室』は男性紳士ならチェック必至。3DSのジャイロセンサーなどを変な形で使いこなした馬鹿馬鹿しい機能の数々も必見だ。
他に演出周りも飛び出す”アレ”にクローズアップされがちだが、イベントシーンのカット割りやボイス、場面に応じた音楽の切り替えなどもセンスが良く、非常に完成度が高い。
任務の構成、バリエーションなどのレベルデザイン周りに至らない所が散見されはするが、アクションゲームとしての基本的な部分の完成度は申し分無し。動かす楽しさがしっかりしたその触り心地の良さには癖になるものがある。最大の売りである、飛び出す”アレ”の出来も言うまでもないほか、ストーリーも見応え抜群。見た目からして普通にネタゲーと思いきや、実はもの凄く真面目に作られているこの『閃乱カグラ 少女達の真影』。
演出的に17歳以下にはお薦めできないが、それ以上の年齢の方、特にアクションゲームが好きな方は是非、プレイしてみて頂きたい意外な良作だ。勿論、例の演出目的でもお薦め。心行くまで、その凄味を堪能あれ。結構お薦めです!
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