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≫ルイージマンション2
■発売元 任天堂
■開発元 Next Level Games
■ジャンル アクションアドベンチャー
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4571円(税抜)、2700円(税込)<※ハッピープライスセレクション>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(通信プレイ時:2〜4人)
■セーブデータ数 3つ
■3D表示 あり
■消費ブロック数 8192ブロック以上(※ダウンロード版)
■その他 ローカルプレイ対応、ダウンロードプレイ対応、インターネット対応
■総説明書ページ数 33ページ(※電子説明書)≫Web版はこちら(※PDF注意)
■推定クリア時間 15〜40時間(エンディング目的)、35〜75時間以上(完全攻略目的)
不思議な力を持つ「ダークムーン」が夜空に輝く「オバ渓谷」。
オバケ学の権威である科学者「オヤ・マー博士」は、この渓谷で陽気で明るいオバケ達と共に生活していた。

だが、そんな「ダークムーン」に以前、ルイージとオヤ・マー博士の活躍によって絵画にされたはずのテレサの王「キングテレサ」が接近。邪悪な力を用いて「ダークムーン」を散り散りに破壊してしまう。
「ダークムーン」の破壊によって渓谷には怪しげな霧が立ち込め、それに飲まれたオバケ達は正気を失って暴れ始める。暴走したオバケ達に襲撃されながらも、寸での所で「ベースラボ」へと逃げ出したオヤ・マー博士。事件の謎を探るべく、かつてタッグを組んだルイージをラボ内の装置を使って半ば強引に呼び寄せ、渓谷の調査を依頼するのだった。

かくして、再び特殊な掃除機「オバキューム」を背負ってオバケ達が暴れるマンションに足を踏み入れるルイージ。壊された「ダークムーン」を修復し、事件の黒幕であるキングテレサの尻尾を掴む為の新たな冒険が始まった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆複数のマンションを舞台に「ミッション」を攻略していく、ステージクリア色の強い作りに刷新された本編構成
◆舞台となるマンション増強によるロケーションの強化(工場、研究所、坑道と言った屋敷以外の地形も探索の舞台として登場するようになり、華やかさが大幅に向上している)
◆本編ボリュームの大幅な増量(クリアするだけでも15時間以上はかかる内容に)
◆より多彩になったマンション内部のギミック(アトラクション的な色彩が強くなっている)
◆前作にも増して入り組んだ作りになり、やり応えが増した謎解き(しかし…?)
◆前作譲りの「魚釣り」に近い緊迫感に満ちた特殊掃除機「オバキューム」を用いた戦闘
◆直感的且つ、広範囲にオバケを怯ませられる作りが見事な懐中電灯に次ぐ追加武器「ストロボ」
◆隠された道を具現化させるなど、荒唐無稽な展開が楽しめる新アイテム「ダークライト」
◆怯ませる難易度が下がったなりにバリエーションの強化が図られた敵のオバケ達(サングラスでストロボを防いだりなど、より狡猾さが増して倒し甲斐のある存在にグレードアップしている)
◆容姿から戦闘内容も含め、奇想天外なアイディアが豊富に詰め込まれたボス
◆探索時に手に入る「コイン」を用いて威力強化を図れるようになった「オバキューム」
◆マリオシリーズとしても史上初のオンライン協力マルチプレイモード「テラータワー」
◆探索密度、敵バリエーション強化によって前作以上にやり応えの増した難易度
◆前作にも増して明暗の表現が派手になったグラフィック(モデリングの質も高い)
◆ムービーデモ増量、ルイージのリアクション強化などもあって更に派手になった演出

--- Bad Point ---
◆一つクリアするだけでも20〜30分、酷ければ2時間以上も費やす事になるなど、冗長極まりない構成でまとめられたミッション(特に中盤以降のミッションにその傾向が目立つ。これの何処が「手軽」なのか?)
◆ミッションの冗長さの拍車をかけ、プレイヤーに甚大なストレスを与える中間ポイント、中断セーブ機能の未実装(ゲームオーバーになれば問答無用で最初からやり直しになり、数時間分の苦労が水の泡になる酷い仕様)
◆ミッション周りの無神経過ぎる作りをより際立たせる救済アイテム「黄金の骨」の入手し難さと所持制限
◆ミッションの冗長さとテンポ悪化の要因として機能したオヤ・マー博士との通信イベント(地味に長い上、受信時にタッチ操作を強要されるのが煩わしい。ただし、一度クリアしたミッションに関してはスキップが解禁される)
◆戦闘内容、アイディアは面白いが展開が冗長且つ、作業的な展開になりがちのボス戦(どのボスも攻撃ターンが無駄に長く、ダメージを与えるまで時間がかかる)
◆ランダムで道筋が決められる長い階段を登ることを強要される、苦痛極まりないマンション2「ノロワ〜レ大樹」のボス(しかも、固定パターン式ではないので毎回道筋が変化。ウザいことこの上ない)
◆全く面白くなく、ストレス要因でしかないジャイロセンサー操作強制ポイント
◆ハードの仕様上、方向の微調整ができなくなったのが煩わしい操作性(特に懐中電灯、吸い込み実施時において顕著。拡張スライドパッドに対応していれば…)
◆判定基準が滅茶苦茶で、やり込む魅力が皆無なミッションごとのプレイヤーランク(何故かノーダメージ&スピードクリアを達成しても最高評価を獲得できないなど、理に適っていない)
◆デバッグ漏れ多数のオンライン協力マルチプレイモード(オブジェクトの間に挟まって動けなくなってしまうなど、あり得ないレベルのミスとバグが多数あり、快適に遊べない)
◆オンライン協力マルチプレイモードにおけるマナー違反プレイヤーへの対策不備
◆説明不足、説得力不足の目立つストーリー(特に中盤から姿を現すキャラクター周り)
▼Review ≪Last Update : 2/18/2018≫
蘇った王(キング)に再び掃除機の洗礼を!

そもそも、どうして蘇ったの…?


マリオの弟「ルイージ」の初主演作にして、ニンテンドーゲームキューブ本体と同時発売されたアクションアドベンチャー『ルイージマンション』12年ぶりの続編。開発は『スーパーマリオストライカーズ』、『Punch-Out!!(パンチアウト!!)』などで任天堂と数度タッグを組んでいるカナダのゲーム開発会社「Next Level Games(ネクストレベルゲームズ)」が担当。

前作の欠点を完全に潰しながらも、非常にストレスフルな作りへと改悪してしまった残念過ぎる続編だ。

基本的な内容は前作とほぼ共通で、3Dの固定カメラ視点で展開するアクションアドベンチャーゲーム。主人公のルイージを操作し、狂暴化したオバケ達の捕獲とその要因となった「ダークムーン」を破壊したキングテレサの目的を突き止めるべく、オヤ・マー博士の指示を受けながら「オバ渓谷」に点在するマンションを探索していくというものだ。
システム周りもオバケを吸い込む掃除機「オバキューム」を用いての戦闘など、前作を踏襲。しかし、本編の流れは大きく刷新。前作はマンション内部を歩き回り、部屋ごとに潜むオバケ達を捕獲しながらストーリーを進めていく構成だったが、今回は舞台となるマンションが複数になり、探索範囲が拡大。更にマンションごとに複数のお題こと「ミッション」が用意され、それを一つずつ攻略していくステージクリア色の強い構成になった。それにより、アクションゲームの色彩が強まった作りへと一新されている。ただ、マンションの内部を探索したり、謎を解いたりと言った要素はそのまま。前作の要素も残しつつ、マリオシリーズの成分を濃い目にしたとも言える、独自の内容にまとめられている。
また、マンションの数が増えた事に伴い、全体的なボリュームも増強。ミッションを順に攻略していく構成ゆえ、マンション一つの規模は前作よりも小さくなっているが、それを埋め合わせるかのように工場、研究所、坑道と言った屋敷以外の地形が追加され、多彩なロケーションを舞台にした探索が楽しめるようになった。
更に「オバキューム」を使ったオバケとの戦闘も仕組みは前作と一緒ながら、細かい部分が変更。基本戦術は前作同様、背後などから迫り寄ってくるオバケに懐中電灯を当てて怯ませ、その隙にオバキュームで吸い込むというものだが、今作ではこのオバケを怯ませる新たな武器として「ストロボ」を追加。いわゆるチャージ攻撃で、Bボタンを押し続けた後に放すと同時に強力なフラッシュを放てるようになった。前作の懐中電灯を当てる操作は緻密な調整が要求されたが、今作はこの手段の導入で、より直感的にオバケを怯ませられるように改良。スムーズ且つ、テンポ良く吸い込み攻撃へと移行できるように改良されている。ある意味、(ノーマル)3DSにCスティックが無い事を配慮した結果とも言えるが、前作の緻密な操作に苦手意識のあったプレイヤーには嬉しい改善点。ストレスフリーな仕様へと進化を果たしている。
かと言って、オバケを楽々吸い込められるようになった訳ではあらず。オバケ達も懐中電灯及び、ストロボのフラッシュを防ぐサングラスを装着した新種が登場するようになるなど、より狡猾で手強い存在へと進化を遂げている。また、懐中電灯の光では怯まない(ストロボしか効かない)者、衝撃波を放つ者、物に隠れて遠距離攻撃を仕掛けてくる者、吸い込み攻撃時でも平然と攻撃を仕掛けてくる巨漢タイプと言った新種も登場。中には同じ敵でも武器と盾を装備し、近接攻撃で攻め込んでくる別種も居たりと、バリエーションも多彩になり、よりやり応えのある戦闘が繰り広げられるようになっている。そのパワーアップぶりにもまた、前作経験者ならばニヤリとすること請け合い。文字通りに化けた作りになっている。
また、ゲームが進むと更なる新武器、というよりは装備として「ダークライト」なるものも登場。「のろい玉」なるものよって消されてしまった足場や建造物と言ったものを復元するという、ぶっ飛んだ技(?)を繰り出せるようになる。この装備の登場に併せてマンション内の謎解きも巧妙なものへと進歩しており、プレイヤーを大いに悩ましてくる。
加えて、今作には本編とは別にマルチプレイ対応の「テラータワー」なるタワー型マンションまで用意。最大四人での協力プレイが楽しめるようにもなっている。しかも、このマルチプレイはローカルのみならず、オンラインにも対応。世界中の見慣れぬプレイヤー同士とも遊べてしまうのである。更に「テラータワー」はフロアごとに潜むオバケを見つけ出す「ハンタータワー」、制限時間内に出口を探し出す「クライマータワー」、「オバ犬」なるキャラクターを探して捕まえる「チェイサータワー」の三種類が用意されており、それぞれ異なるルールでマルチプレイを楽しむ事ができる。また、難易度や階層数もプレイヤー好みに設定できるほか、このモードでしか会えないオバケも登場するなど、ボリュームとやり応えも十分。シングルプレイのパワーアップが全体的に大掛かりなので、そちらの方に目が行きがちだが、接待ゲームとしても今作は持ち合わせており、多種多様な遊びが楽しめるようになっている。マリオ系作品としても、オンラインの協力プレイ実装は革新的な試み。実質、本編から切り離されたモードだが、侮り難い魅力と新しさに満ちた内容に仕上げられている。
この他にも前作ではエンディングの要素だったプレイヤーランクがミッションごとに出る仕組みへと一新されたほか、体力がゼロになってもその場限りで復活できる「黄金の骨」なるアイテムが追加されるなど、刷新された箇所は幾つか。
本体同時発売を意識したなりの突貫工事的な所も見受けられた前作だったが、今回はそういうのとは無縁の作品という事で、あらゆる部分がパワーアップ。前作の欠点も目に見える形で修正され、おまけにオンラインに対応したマルチプレイまで実装されたりと、まさにフルスロットル。正統進化系という以上に究極進化系という表現の方が似合う、急激なパワーアップを遂げた続編になっている。ある意味、ルイージマンションという作品の本領が発揮されたかのような作り。兄の影に隠れていた弟がその秘められた実力を遂に発揮した内容なのである。なのである……が、しかし。

どこぞの拳法の伝承者はこう語った。
「兄より優れた弟は存在しない」…と。
悲しいかな、これだけのパワーアップを遂げたというのに今作、実は全く持って正統進化とも究極進化とも言えず、魅力よりも欠点が上回る悲惨な出来になってしまっている。前作の欠点を完全に潰しているのに、である。とにかく、ビックリするほどストレスフル。プレイヤーを苛立たせる要素と配慮の無さが突き抜けてしまっている。
特に酷いのがミッションクリア方式へと刷新された本編。前作の探索タイプから一転、マンションごとに用意されたミッションを順に攻略していくスタイルとなり、よりマリオチックになったのだが、これが全く持って逆効果。ミッションに細分化された事によって探索範囲が限られると同時に、別のミッションで既に通過済みの部屋を再度、通らなければならなかったりと言った二度手間を強いられるようになり、面倒臭さが高まってしまっている。まだ序盤のマンションこそ規模が大きくないのに加え、謎解きも簡単なので、そこまでストレスを感じる事は無いのだが、中盤以降になると規模と難易度の上昇に併せて面倒臭さが一層アップ。一つのミッションをクリアするだけでいっぱいいっぱいになってしまうのである。おまけに、このミッションが非常に長い。一つクリアするのに10〜15分以下になる事はまず無い。大体、何処も20〜30分ほどの時間を要する。そして、中盤以降になると難易度の上昇と併せて1時間以上、酷いと2時間以上かかるミッションが当たり前に。まさにいっぱいいっぱいになってしまうほどに肥大化するのだ。
しかも、ここに追い打ちをかけるかの如き致命的な難点がある。何とこのミッション、途中でルイージがやられたら問答無用で最初からやり直しとなる。中間ポイントからの再開もできず、再び一からやり直しになってしまうのだ。一応、各ミッションには途中リトライを可能にする「黄金の骨」が隠されているので、これさえ持っていれば事故は防げる。しかしこのアイテム、初見ではまず分からない(気付けない)所に隠されているのがほとんどで、そう簡単に手に入らない。おまけに所持できるのはたったの一個。例え手に入れても、一時の保険でしかないのだ。なので、どのミッションもゲームオーバーにならない為の立ち回りが重要になってくるのだが、後半に行けば行くほど、難易度が上がるので、ミスせず行く事自体が完全な無茶振り。まさに冷酷非情としか言い様の無い作りになってしまっている。
オブラートに包まず言わせて頂くが、馬鹿の極みだ。この仕様で問題ないと決定付けたスタッフはどんな神経をしているのか?只でさえ時間がかかる構成なのに中間ポイントを設けず、ゲームオーバーを防ぐアイテムを希少品として隠すとか、自分達がノーミスでクリアできたから、他のプレイヤーもミス無く行けると考えたとしか思えない下劣さだ。更に言うなら、携帯機のゲームでこんな仕様にするとかお門違いにも程がある。せめて中断セーブぐらい設けても良いだろうに何故、入れなかったのか?3DS本体内蔵のスリープモードがあるからそれで充分、とでも考えたのか?他の3DSのゲームで気分転換したいプレイヤーを縛り込もうとでもしたのか。実際にどんな意図でこうしたのかは分からないが、幾ら真っ当な理由があったとしてもこのやり口は最低だ。同じ任天堂のゲームでアクションアドベンチャーのゼルダにしたって途中セーブが可能な上、本作の二年前に発売された『スカイウォードソード』に至っては中間ポイント的な役割を与えた新しいセーブシステムを採用するなど、プレイスタイルを考慮した配慮を施していたというのに何故、今作ではそう言った事もせずに時代へ逆行するような真似をしたのか。制作スタッフは『忍者龍剣伝』の最終ステージが大好きで仕方がないとでもいうのか。本当、プレイヤー視点に欠けた作りで憤りを覚える。この所為で、折角のボリュームアップした本編とオバケのバリエーション増強で進化した戦闘、やり応え十分の謎解きと言った要素全てが欠点を際立たせる要素として機能してしまっているのも惨い。たった一つの配慮不足で他の要素が要らぬ犠牲となる事を体現するかの如き有様だ。
おまけにレベルデザイン周りには無駄も目立つ。3DS本体のジャイロセンサーだけで操作する綱渡りエリアはその筆頭で、判定の曖昧さと別ルートを設けずに絶対に通過しなければならない制約を課している為、徹底的にプレイヤーを苛立たせてくる。アイディア的にも全く面白くなく、無理矢理機能を使ったに等しい有様だ。こういう操作が苦手なプレイヤーも居る上、携帯機のゲームという特徴も踏まえてスライドパッドの操作も用意した方が良いだろうにそんな配慮もせず、無駄にこだわり通しているのは純粋に格好悪いの一言。制作スタッフのセンスの無さを実感させられるばかりである。
ボス戦も無駄が際立っており、一回のダメージを与えるのに沢山の手数を踏まなければならず、非常に面倒臭くて面白くない。酷いものでは戦闘に入る前にランダムで落下ポイントの変わる長い階段を昇っていくという、理不尽の極みとしか言い様の無い苦行を強いられたりも。一応、中には真っ当な一騎打ちもあるほか、ボスのモチーフが奇抜という面白さがあるのだが、全体的な完成度は前作に軍配が上がってしまう。手数を増やす事がボス戦の歯応えを引き立てるとも言うべき、素っ頓狂な考えが滲み出た作りになってしまっている。当然ながら、そんな戦闘で伝わってくるのは面白さ以上にストレス。本当、何処までプレイヤーに苦痛を与えたら気が済むのかと、憤りが増すばかりだ。
この他にも、ミッションでは毎回、オヤ・マー博士からの通信が入るイベントが発生するのだが、この受信を行うに当たってボタン操作ができず、タッチ操作を強要されるようになっていたり、そのイベント自体もやや長めで、ミッションの冗長化に貢献してしまっている(再プレイ時にスキップが解禁されるのがせめてもの救い)。プレイヤーランクのやり込みもミッションが冗長ゆえに相当なパワーが要されるのに加え、ノーダメージ&最速でクリアしても最高記録が取れなかったり、逆にダラダラとクリアしたら取れたりなどと、判定基準が非常に曖昧なのもやる気を殺ぐ。
前作最大の欠点、ボリューム不足は確かに補強された。ロケーションも多彩になったし、オバケのバリエーション増強も戦闘の奥深さを際立たせている。そんな分かり易い改良を施しながら、実態は前作以上にストレスフルな作りという本末転倒甚だしい有様。一体、どうしたらこうも悪化できるのか。そんな具合に前作からの改良が全く持っていい方向に働いていない作り、信じられないほどの悪化を遂げた内容になってしまっているのだ。

劣化を遂げたのは本編だけに留まらず。操作性もジャイロセンサーの操作を強要する場面の導入とその調整の甘さにより、非常にストレスフルなものへと退化。おまけに前作で可能だったCスティックによる吸い込み方向の調整もハードの仕様上、上下方向に動かせなくなって使い勝手が悪化している。効果音の良さもあって手触り感は上々だが、ボタン数的に限界のある3DSを選んだのが思いっきり悪い方向に作用した格好だ。
難易度も先の欠点の数々もあって、絶妙と評するに値しない有様。しかし、理不尽に難しい致命的な欠陥が無いのはせめてもの救い。謎解きも複雑と言えば複雑だが、過程はイメージし易い作りになっているほか、ゼルダシリーズ的な捻られた発想が炸裂していたりと、面白いものに仕上げられている。その辺のバランスの良さは、この手のゲーム制作に手慣れた任天堂の手腕が発揮された感じだ。問題だらけの部分における、一服の清涼剤として存在感を保っている。
グラフィックも質は極めて高い。特に明暗のコントラストの付け方は前作を上回っており、お化け屋敷特有のおどろおどろしさとホラー作品ならではのドッキリ感を際立たせている。モデリングの質も高く、オバケ達のデザインもオリジナリティ満点。特に先も触れたが、ボスキャラクター達はどれもモチーフが奇抜なものになっているので必見だ。
音楽に関しても、オバケだらけの土地が舞台ならではのおどろおどろしい曲調とマリオシリーズ特有のコミカルなノリが炸裂した仕上がり。ただ、雰囲気重視な作風になってしまった為、印象に残る曲は前作よりも減ってしまっている。特にボス戦において顕著。前作の少しサイケデリックなノリが好きだったプレイヤーには正直、劣化と感じてしまうかもしれない。

ストーリーも全体的に無理矢理な展開が際立つ。特に中盤にて、あるキャラクターが物語に登場するようになるのだが、この動機付けが非常に弱く、何の為に出したのか分からない立ち位置に収まってしまっている。また、そのキャラクターが見舞われた事態にしても腑に落ちない点が多く、設定周りの杜撰さが目立つ。こう言うとネタバレになってしまうが、前作は非常に腑に落ちる説明が本編にて行われていたのに、何故にここまで劣化してしまったのか。実質、おまけに等しい部分ではあるが、目に付くように弱くなってしまっているのにはちょっと寂しさを覚える所である。
演出もより仰々しく、エフェクトも派手になってパワーアップしているのだが、テンポを悪くする要素として働いている所もあって一長一短。マリオ系作品としては初の試みであるオンラインマルチプレイもオブジェクトに挟まって身動きが取れなくなると言った軽微なバグがあったりと、作り込みの甘さが際立ってしまっている。
続編としてパワーアップを遂げた箇所もあるにはある。だが、それ以上に悪化した部分の方が目立ってしまっているのが実情で、口が裂けても正統進化とも究極進化とも言えない出来にまとまってしまっている。せめて中間ポイントさえあればここまで酷いものにはならなかっただろうに、入れなかった事で傷を一層深いものにしてしまった。そして、そこに群がる塩の役割を果たす要素の数々と、プレイヤーと携帯機のゲームとしての配慮が落第点に達してしまっている今作。
あまりお薦めできない、携帯機らしさ皆無の劣化続編である。駄作では無く、ギミック満載のお化け屋敷に手に汗握るオバケとの戦闘、パワーアップしたグラフィックなど光る所もある。だが、遊び心地は前作が圧倒的に上。それでも挑むのなら、心に余裕を持って挑もう。そして、このゲームは携帯機のゲームでは無いという事を心に秘めた上で取りかかろう。公式サイトに書かれた短時間でも遊び易くなっています」の文言を信じてはならない。信じるものは地獄を見る。
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