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≫ロックマン4 新たなる野望!!


■発売元:カプコン / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象) /
■定価:円(税別:ファミコン版) / 円(税別:バーチャルコンソール版)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫ロックマン4 新たなる野望!! | ニンテンドー3DS ≫ロックマン4 新たなる野望!! | WiiU ≫ロックマン クラシックスコレクション(カプコン公式サイト)

©CAPCOM CO., LTD. 1991 ALL RIGHTS RESERVED.
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:無し(※パスワードコンティニュー形式) / ■推定クリア時間:3~5時間
巨大ロボット「γ(ガンマ)」との戦いをロックマンが終えてから1年後。
ライト博士の研究所のモニターが自動的に作動し、今までに見たことのない人物が映し出された。
彼の名はドクター・コサック。ドクター・ワイリーと同じ、世界征服を目論む野望多き科学者である。彼はロックマンとライト博士に向かい、自らが征服した八つの都市をモニターに映し出し、その強大な力を見せつける。
この緊急事態にライト博士は密かに開発していた「ニューロックバスター」をロックマンに装着。都市の平和を取り戻す為、再び戦場へと向かわせた。かくして、ロックマンの新たな戦いが始まったのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ初期よりそのまま継承された、プレイヤー好み攻略ルート構築を可能とする自由度の高い本編構成
◆新攻撃アクション「ニューロックバスター」ことチャージ攻撃の導入で、過去作にも増して性能面の強化が図られたロックマン(特殊武器無しでボスに挑み易くなった)
◆一画面に収める作りに一新されてより選び易く、判別も付き易くなった特殊武器選択メニュー
◆シリーズ伝統とも言える機敏な動きと個性的な攻撃パターンで攻め込んでくる全八体のボス達
◆ファミコンの限界を突き詰めるかのように大量投入された大型ボス達(攻撃パターンも必見)
◆同じくシリーズ伝統の弱点相関を突くことによる難易度上下を演出した独特な戦闘バランス
◆何処となく『ロックマン2』のオマージュが込められたラインナップが揃った特殊武器
◆ステージ攻略のお助けキャラクターにして、くじ引き的な面白さを秘めた「エディ」
◆チャージ攻撃を始めとするアクション拡張で、より動かす楽しさが向上した操作性
◆一色の赤チップだけを使う単純な作りへの回帰を果たしたパスワードコンティニューシステム
◆前作よりも数は減ったが、最終ステージに捻りを加えるなど、やり応えと密度の強化が図られた本編のボリューム
◆今回の敵「コサック」が北部方面の科学者という設定を反映させた、「冬」の季節性を描いたステージギミックの数々(更に強制スクロール、暗転エリア、流砂と言った新規のギミックも多数登場)
◆砂漠(ピラミッド)、発電所、ゴミ収集施設と言った明暗を付けるコンセプトが強調されたステージロケーション(ストーリーにちなんで「冬」が描かれているところも必見)
◆ステージにおける陰湿な仕掛けや敵の不意打ちなどが控え目になり、ボスの強さも行き過ぎない強さに抑え込まれるなど、シリーズ初心者にも遊び易いバランスへと刷新された難易度設定
◆少ない色数を活かした精微なドット絵と描き込まれた背景が異彩を放つグラフィック
◆二作目に勝るとも劣らぬ臨場感と疾走感に秀でた音楽(特に最終ステージの曲の出来が素晴らしい)
◆詳細なオープニングデモとストーリーイベントの実装など、更なる進化と強化が図られた演出周り

--- Bad Point ---
◆一度、ロックバスターを発射しないとチャージに移行できない「ニューロックバスター」
◆何故か遅く設定されたボス戦開始前のエネルギー表示演出(テンポが悪い)
◆悪く言えば、ネタ切れ感が滲み出た特殊武器(「フラッシュストッパー」において顕著)
◆冬を意識したなりのジャンプアクションのシビアさ(スリップに悩まされることが多い)
◆少し盛り過ぎの感が否めない最終ステージ(しかも、パスワードによる再開もできない)
◆弱点の特殊武器以外で戦う選択肢が用意されていない最終ボス(戦術面の自由度が低い)
◆幾ら何でも弱すぎるボスのトードマン(初心者ですらノーダメージクリア余裕なぐらいにパターン化し易い。その所為で最初に倒すボスとしては最有力候補という、可哀そうな扱いになっている…)
▼Review ≪Last Update : 12/17/2017≫
最初に倒すなら、お薦めはセレクト画面左下の彼。

右下も意外と倒し易い。(筆者談)


三作立て続けのヒットによって、名実共にカプコンを代表するアクションゲームとして定着したロックマンシリーズの四作目。前作は2年近いブランクを経ての発売となったが、今回は1年おきの1991年12月に発売された。

過去三作と異なる戦術性を表現し、新しいロックマンを実現させた意欲作にして傑作だ。

内容は過去三作と変わらない。横スクロールで展開するステージクリア型アクションゲームで、ロックマンを操作し、ドクター・コサックの造り出した八体のロボットとの戦闘を潜り抜け、彼の世界征服の野望阻止を目指すというものだ。
システム周りも過去のシリーズと共通。前作で初登場した新アクション「スライディング」、サポートアイテム改めサポートキャラクターとして改められた「ラッシュ」も引き続き採用されており、それに新規の要素と既存要素の改良を施した、これまでのスタイルを踏襲した続編に仕上げられている。
ただ、今回の新要素はシリーズのゲーム性に大きな変革をもたらすものになっている。その新要素とは「ニューロックバスター」なる新たな攻撃手段の追加。今作より、基本装備の「ロックバスター」にチャージ方式の強力なショットが新規に実装され、敵に対して三倍のダメージを与える威力の高いロックバスターを撃ち込めるようになったのだ。これにより、装甲の固い雑魚敵を手早く倒せるようになったほか、ボスに対しても、弱点の特殊武器で攻撃した時とほぼ変わらぬダメージを与えられるように。但し、チャージ方式という事で、連射は不可能。また、チャージはロックバスター同様にBボタンを押しっぱなしにして行う操作上、こちらから一切の攻撃ができなくなるので、敵の攻撃を回避する事を心掛けねば、逆に追い詰められてやられかねない。更に三倍のダメージを与える攻撃はフルチャージ時、ロックマンが黄緑色に点滅している時に放つショットのみ。それ以下のチャージショットは通常のロックバスターと変わらぬ威力で、雀の涙も同然となっている。なので、この攻撃を活かすに当たっては敵の動きをしっかり読み取って回避し、フルチャージまで溜めてから放つという行動を心掛けなければならない。敵に三倍ものダメージを与える威力こそ絶大だが、使いこなすにはコツが必要となる仕様。まさにある程度の代償を伴う攻撃手段となっている。
だが、この攻撃手段の導入で、ステージ攻略の戦術性は大きく進歩。特に中ボス戦、ボス戦においてその恩恵が顕著に現れており、一発ずつ撃ち込みながらダメージを与えていく必要のあった前作までのシリーズ以上にパワフル且つ、テンポの良い展開が繰り広げられるようになっている。「避けて撃つ」というシリーズの原点とも言えるゲーム性にも変化をもたらしており、バスターをひたすら撃ち込んでいくのではなく、ここぞという時に強力な一撃を放っていく、「一騎打ち」としてのイメージがより強いものになったのも特筆すべきところだ。更にチャージ主体で戦うか、従来通りの一発ずつ撃ち込むスタイルで戦うかと言った具合に、基本装備において選択の余地が設けられたのも大きな特色。これによって特殊武器で攻めるのも含め、全三通りの戦い方が可能となり、ボス戦が一層深く、やり込み甲斐のあるものへ進歩を遂げている。基本、基本装備と特殊武器のどちらかで戦うかの二択だったこれまでのシリーズを考えれば、今回のチャージショットの導入がどれほど革新をもたらすものであるのか、容易に想像できるだろう。そんな具合にアクションゲームとしての印象どころか、ロックマンとしての特色までも一変させるほどに存在感抜群。まさに変革をもたらす要素と言っても過言では無いアクションに仕上げられている。故に、今回はゲーム開始の時点からして、前三作とはまるで手応えが別物。主にボス戦ではその違いが顕著に表れており、これまでのシリーズ経験者ほど、その別物っぷりに驚かされるはずだ。
また、雑魚敵に対しても装甲の脆い者であれば貫通効果が発生し、後方にいる敵にもダメージを与えるなど、その威力の高さを大いに発揮。状況によっては、まとめて数体を仕留める一撃を決める事もできる。そんなアクションゲームとしての爽快感を向上させる要素として機能しているのも見所の一つ。加えて今回はステージの構成においても、チャージショットの活用を促す敵配置を実施しているほか、仕掛けに関してもチャージショットを活用するかしないかで難易度に違いが出てくるものを設けるなど、レベルデザイン周りでも新しいアクションを導入したなりの違いを表現している。敵の中にも、このアクションを新規に実装したからこその面子も居たりと、とにかく工夫の凝らし方が緻密。そう言ったシチュエーションと構成周りの違いにおいても、シリーズ経験者ならこれまでとの決定的な違いを痛感させられるだろう。
そして、更なる新要素として「ラッシュ」に続く新たなサポートキャラクター「エディ」が追加。ステージ上の特定ポイントにおいて登場し、自身が運搬してきたアイテムをロックマンに提供してくれる。但し、運搬してくるアイテムが何であるかはランダム。更にアイテムの幅も広く、基本は回復アイテム類だが、運が良ければ残機アップ、エネルギー缶を貰える事もある。おまけに運搬してきたアイテムを取得してしまうと、エディはステージから離脱。以降、登場するポイントに再来訪しても登場しなくなるという制約も課せられている。そんな特徴もあってか、運試しの要素が強め。基本的にはプレイヤー自身のステージ攻略を手助けするキャラクターだが、その持ってくるアイテム如何で救いになるか、ならないかが左右される変わったキャラクターに仕立て上げられている。
この他、サポート関連では「ラッシュ」とは別途用意されたアイテムとして、二作目の「アイテム1号」を髣髴とさせる「バルーン」、天井に引っ付いて普段のジャンプでは届かない所へと移動する「ワイヤー」の二種類が追加。より難所突破の選択肢が増えた事で、プレイヤーの思うがままにステージ攻略を楽しめるようになっている。細かい所でも、特殊武器やエネルギー缶などの選択を行うメニュー画面のデザインを一新。全画面表示方式になって、より見た目の変化を感じられるものへと改められている。更にステージセレクト画面も仕組みこそ二作目ベースだが、デザイン全般が一新されているほか、初代以来とも言えるクリア済みステージの再プレイも可能になると言った原点回帰も図られている。
全体的には二作目、三作目のスタイルを踏襲した続編になっているだが、「ニューロックバスター」なるチャージ攻撃の追加でゲーム性周りは大きく一新。レベルデザインからゲームバランスにおいても、そのアクションを追加したなりの意義を追求した作り込みが成されており、同じようで全く違う遊び心地を持ったロックマンに仕上げられている。これまでの三作が初代をベースにした正統進化系であったのであれば、今回はフルモデルチェンジに等しい進化系と言ったところか。シリーズの新たな方向性を打ち出した、変化が際立つ続編になっているのだ。

そんな今作の売りは、新アクション「ニューロックバスター」ことチャージショットによって拡張したステージ攻略の幅、従来と異なる手応えを演出しつつ、更なる磨き込みが図られたゲームバランスの二つだ。
特に後者は、変革と進化のコンセプトが綺麗に描かれた仕上がりになっているのが見事。変革に関しては、チャージショットの導入でシリーズ伝統の「避けて撃つ」ゲーム性をよりスリリング且つ、爽快感あるものへと改めることに。進化に関しては、前作で評価された安定感のあるバランスを下地に、更なる遊び易さと手応えを両立することに…と言った具合に、新しさと続編として譲れない事の二つをバランス良く実施した、職人芸の調整が光るものに完成されている。
「避けて撃つ」はある意味、先鋭化したとも言えるのだが、三倍のダメージを与える手段が設けられた事で、敵との戦闘における駆け引きの緊迫感、打倒した時の爽快感と達成感は格段に向上。併せてロックバスター自体の活躍の場も増え、特殊武器に存在を喰われない程度の立ち位置に収まったのは特筆すべき変革と言えるだろう。この選択肢が設けられた事で、ロックバスターだけで全ステージをクリアするやり込みも気楽に挑戦できるようになったほか、チャージを封じる事で前三作に近いスタイルと難易度で本編が楽しめるようになるなど、アクションゲームとしてもより奥深いものへと進歩を遂げている。特殊武器で戦う時以上に難易度が高くなるのはこれまで通りだが、趣の異なる二つの遊びで、異なる手応えを特色とするアクションゲームが楽しめるというのは前三作には無かった魅力。これまでとは異なる「避けて撃つ」のゲーム性を描き、深みのあるアクションゲームへと変貌を遂げさせたそのバランス感覚の上手さは感服の一言に尽きるところだ。基本的にやっている事は一つの攻撃手段を加えただけながら、ゲーム自体の手応えはそれまでの作品とは別物。だけども、続編としての進化も感じられ、基本を崩していない。その見事な仕上がりには制作スタッフの思い切りの良さ、ゲームとしての新しさと変わらなさを厳守する事への徹底したこだわりを痛感させられる次第である。
更にステージ構成もシリーズで最高クラスの洗練された仕上がりになっているのも、ゲームバランス周りにおける大きな見所。とにかく、敵や仕掛けの配置の嫌らしさが前作以上に緩和されており、理不尽さをほとんど感じさせない絶妙な仕上がりになっている。一応、カプコン製アクションゲームとしての御約束なのか、初見殺しなシチュエーションもあるにはあるのだが、基本的には「ラッシュ」や新たに追加されたサポートアイテムを駆使すれば、それほど苦労する事無く突破できるという設計。必要以上にプレイヤーに不快感を与え過ぎない事をコンセプトとしたのような仕上がりには、アクションゲームとしての成熟化と前作の経験を活かした制作スタッフの努力を実感させられるだろう。
また、ステージ構成絡みではもう一つ、今回はストーリー上で設定された季節を反映した作り込みが成されているのも面白いところ。今作の敵であるコサックはその名前から明らかなように、北部方面の科学者。それにちなんで今回は、冬をテーマとしたステージが多く登場するようになっているのである。特に八体のボスを倒した後に解禁される最終ステージではそれが顕著となり、地面に大量の雪が積もっていたり、凍った足場が沢山登場したりと言った、如何にも冬、北の国を強く意識させるシチュエーションが登場する。季節を冬に設定したゲームというと、スキーを始めとするウィンタースポーツを題材にしたスポーツゲームがありがちなだけに、今作のようにアクションゲームにおいて季節を明確に設定し、ステージ構成にもその設定を反映させているのはちょっと珍しい。それもあって、今作の最終ステージは難易度のみならず、ビジュアル面でも強く印象に残るものになっている。元々、ストーリー性を色濃く出した試みは前作でもブルースとドクロボットで実施していたが、今作は更にそれを大胆な所に絡めてきたような格好だ。こんなにも舞台となる場所と季節の存在感が炸裂した内容のアクションゲームというのも珍しいものがある。こう言った所もまた、制作スタッフの前作及び、アクションゲームとしての違いを出すこだわりの一つなのかどうかは分からないが、絵的にもバランス的にも光るものを持った仕上がり。ロックマンという以上にアクションゲームとしての異質さが現れたものになっている。なので、是非とも今作を遊んだ暁には最終ステージまで頑張って辿り着いてみて欲しい。なかなかお目にかかれない光景を見る事になるはずだ。
季節が設定されている以外にもステージには見所が満載。特にギミック周りが前作以上に派手になっており、ジャンプ力を低下させる滝、上昇と下降を繰り返す海、周囲一帯の停電、そして巨大なゴミプレス機と言った仰々しいものが沢山登場する。ロケーション周りも前三作には無かった所が多く、中でもユニークな敵キャラクターが多数登場するピラミッド(砂漠)、足場の大半が骨で覆われた大地はインパクト抜群。中でも前者は先の最終ステージに並んで今作の季節が冬である事を強く意識させるビジュアルにもなっているので、その辺も必見だ。更にボスもこれまで以上にユニークな面子が揃っている。中には二作目に登場したボスを髣髴とさせる技を放ってくる者もいたりなど、シリーズ経験者をニヤリとさせるネタも幾つか。そんなファンサービス的な要素が凝らされているのも、今作のちょっとした見所である。
悪く言うならば、そう言った過去の作品を髣髴とさせるネタが登場するなど、特殊武器周りに若干の使い回し感があるのが気になるところ。また、チャージショットにしても新たなゲーム性を演出しているとは言え、フルチャージまでかかる時間が長めだったり、チャージを行うに当たってロックバスターを一発、発射しなければならないなど、操作面でままならない所がある。特にチャージするのにバスターを一発撃たなければならない仕様は非常に面倒。恐らくは同様の仕様だった二作目の特殊武器「アトミックファイヤー」にちなんでこうしたのかもしれないが、直感的にチャージに移れないのは煩わしい。ここはバスターを撃つ必要もなくチャージできるようにして欲しかった。折角、新たな魅力を描いているというのに、快適性の面で落としてしまっているのがちょっと勿体ない。
そんな難点もあるが、正統進化に徹せず新たな方向性を打ち出してきた事は大きな評価に値する。四作目まで来た故の限界も特殊武器に現れてはいるが、より洗練されたゲーム性と手応えの変化は新鮮味たっぷり。新しさといつも通りの面白さを兼ね備えたバランスの取れた作りには、制作スタッフのセンスを感じること請け合い。そういう意味でも、前作経験者にこそ遊んでみて頂きたい内容。見た目とは裏腹の驚きが詰まった続編になっているのだ。

操作性も基本は前作で完成されたものを踏襲しているだけあって、手応えは良好。前作で新規に追加された「スライディング」も健在でスピード感を感じる事もでき、新しいサポートアイテムである「ワイヤー」を始めとする奇抜なアクションも楽しめたりと、今回も動かす楽しさを徹底的に追求した仕上がりになっている。
ボリュームもステージ総数15強と充実。さすがに前作よりかは減ったが、その分、最終ステージがサプライズに満ちたものになっている。何よりも、前作はやや盛り過ぎなところがあったので、妥当な量に落ち着かせたのは評価できる。だが、一方でパスワードコンティニューの範囲が狭まってしまっているのが難点。詳細はネタバレになるので伏せるが、一区切り後からも始められるようにしても良かったのではないだろうか。結果的に最初からやり直しになる辺り、ちょっと配慮が甘いと言わざるを得ない。ここに関しては正直、前作の方がよく出来ていただけに残念な所である。
また、今回は演出周りでテンポが悪くなっている。具体的にはボス戦開始時のライフゲージ表示演出なのだが、これがやたらと遅い。前作のようにスパッと行かず、ノロノロとゲージが上がっていく演出になってしまっているのだ。正直、何故このような方式にしたのか、正直、理解に苦しむとしか言い様がない。普通にボスの部屋に入ったら、すぐに戦闘が始まるようにした方がテンポも殺がれなくて良いだろうにどうしてこのようにしてしまったのか。ここにしても前作の方がよく出来ていただけに、できれば普通に継承して欲しかったところだ。どうにも変なこだわりが炸裂してしまった感が否めない。
しかし、爆発系の演出がより派手になる進化も。更に二作目以来となるオープニングデモも復活したほか、前作の会話シーンも増えてストーリー性が強くなっている。特にストーリーは色んな意味で御約束を踏まえた展開が面白い。そもそも、なんでコサックなる人物が台頭してきたのか。その理由が明かされた時、シリーズ経験者はきっとこんな風に心の中で思ってしまうだろう。「やっぱり、か」と。もうそれで何のことを言っているのかバレバレだが、今までとは全く異なる形で登場する展開になっているので、一連の流れはシリーズを遊んできたプレイヤーほど必見だ。

また、演出面強化に併せてグラフィックもパワーアップ。基本はこれまでの使い回しだが、背景からキャラクターのドット絵全般の質が大幅に向上し、ファミコンの限界に挑戦したかのような仕上がりになっている。特に最終ステージ以降から登場する大型ボスは動き、ビジュアル共に圧巻の仕上がり。実質、二作目からの更なる進化を図った仕上がりになっているので、シリーズ経験者はちょっとした感動を覚えるかもしれない。
音楽も相変わらずの完成度。これまでのシリーズに無いテイストの楽曲も収録されるなど、更なるパワーアップを遂げている。特に今回はブライトマン、スカルマン、ダストマンの三ステージと最終ステージ全般が秀逸。最終ステージは楽曲数も増えるなど、担当スタッフのこだわりに満ちた仕上がりになっているので、その点でも要チェックだ。
総じて前三作とは異なる方向性を目指した作り。チャージショットの操作周りに特殊武器における若干のネタ切れ感、冬を意識したが故のスリップシーンの多さなど、至らない所も散見されるが、完成度は前三作に引けを取らないどころか、シリーズ作品としては大きな変革をもたらした作り込みが光る作品になっている。アクションゲーム単品としての完成度の高さも相変わらずで、シリーズ経験者は勿論のこと、アクションゲーム好きも唸らす出来になっている今作。
『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』とは別ベクトルの面白さと魅力を兼ね備えたシリーズ屈指の傑作にして、ファミコン屈指のアクションゲームである。後の『ロックマンX』、『ロックマンエグゼ』と言った作品の礎となったゲームシステムと素晴らしいゲームバランスは一度でも堪能しておく価値あり。WiiやWiiU、3DSのバーチャルコンソール、PSハードのゲームアーカイブズで配信されているので、未プレイの方は是非、遊んでみて頂きたい。お薦めの一本だ。
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