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≫ゲームボーイギャラリー2
■発売元 任天堂
■開発元 トーセ
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3150円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ+中断1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイ専用通信ケーブル対応、スーパーゲームボーイ対応
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 5〜8時間(エンディング目的)、20〜27時間(完全攻略目的)
『ゲームボーイギャラリー』に早くも続編が登場。前作同様、ゲーム&ウォッチの名作が『むかし』モードと『いま』モードで復活。今回は懐かしの5作、『パラシュート』、『ヘルメット』、『シェフ』、『バーミン』、『ドンキーコング』が入り、『いま』モードを入れて10種類+おまけのゲームが楽しめる。
やればやるほどのめり込む快感は本作も健在。
ハイスコアを追求するのか、ギャラリーモードを全て開く事を目的でプレイするのかはプレイヤー次第。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの一つの事に集中するだけで遊べ、熱中してしまう単純明快で非常に奥が深い各ゲームの基本ルール
◆十字キーのみ、またはABボタンだけで遊べるシンプル且つ快適な操作性(※ゲームによっては十字キーとABボタン両方を使うものもあり)
◆新たに隠しゲームが追加され、僅かながらボリューム感も強化された収録ゲーム群
◆前作に変わらず、絶妙なアレンジ具合が光る『いまモード』
◆より豪華な特典が楽しめるモードとして爆発的な進化を遂げた『ギャラリーモード』
◆新たにヒントメッセージの保管機能が追加され、更に洗練されたサポート機能全般
◆スター集め、ギャラリーモードの項目開放、そして隠しゲームの機能開放など、より遊び応えの増したやり込み要素
◆極めるとなると一筋縄では行かぬ手応えを露呈させる、絶妙で奥深いゲームバランス
◆よく動くドット絵とデジタル感の高い再現度で魅了させる、印象深いグラフィック
◆各種ゲームの楽しげな雰囲気を引き立てる、軽快で良質な音楽
◆前作譲りの失敗する事の愚かさをまざまざと見せ付ける、仰々しいミス演出
◆緩和されたエンディング条件(スターを一定数集めれば確実に見れるようになった)

--- Bad Point ---
◆どちらがメインキャラクターなのか、初見では混乱する画面構成が嫌らしい『シェフ(いまモード)』(ピーチでなく、ヨッシーがメインと錯覚し易い)
◆見栄えの悪い作りがタマにキズなゲーム&ウオッチのゲーム紹介コーナー『ミュージアム』(何故かスクロール方式)
◆前作とのリンク機能における、厳し過ぎる通信解除条件(前作の全てのゲームで1000点獲得ってのは酷としか)
◆少し見栄えが悪くなったゲームセレクト画面(タイトル名が全て英語表記に。)
◆矛盾し過ぎな『バーミン(むかしモード)』の難易度『むずかしい』(『やさしい』よりも簡単に1000点が取れてしまう)
▼Review ≪Last Update : 8/28/2011≫
偉大なる先輩、僅か7ヶ月足らずで再降臨。

あまりの速さに後輩もビックリ。


伝説的な携帯ゲーム機『ゲーム&ウオッチ』のゲーム数本をゲームボーイ向けにリメイクした『ゲームボーイギャラリー』の続編。開発は前作に引き続き、任天堂開発一部とトーセが担当。

システムからおまけまで、大幅なパワーアップを遂げた続編だ。

ゲーム内容は前作『ゲームボーイギャラリー』と同じ、オムニバス形式のアクションゲーム。『ゲーム&ウォッチ』のゲームに挑戦し、ハイスコアを目指すというものだ。プレイヤーがゲームオーバーになるまで延々と続く、各種ゲームのエンドレス仕様、スター集めを主な目的としたやり込み重視の本編(ゲームデザイン)など、システム全般から基本的な作りも前作を踏襲。そして続編という事で、幾つかの要素に改善及び強化が図られている。
特にその中でも目立つのが『ギャラリーモード』。前作の『ギャラリーモード』はゲーム&ウォッチのゲームを紹介する、資料特典を推したモードだったが、今作ではこれをより複雑且つ豪華なものに変更。『伝言板』、『音楽室』、『ミュージアム』、『プレゼント』の4つの項目から成り立つモードへと様変わりした。簡単に言えば、資料特典が見れるだけのモードではなくなった。スターを沢山集める事で様々な特典が楽しめるモードとして、その姿を大きく変えたのである。
更にその肝心の特典も魅力満点。前作は今回の『ミュージアム』で閲覧できる、ゲーム&ウォッチのゲーム紹介ぐらいで、正直な所、地味で人によっては集める魅力に欠けるものだった。しかし今回は、それらの他にも新しいゲーム、新しいモードなどを豊富に用意。つい手に入れたくなる、魅力溢れるラインナップとなり、やり込みの楽しさが大幅に増したのだ。そんな派手な特典が得られるのだから、自然とやり込みにも力が入るように。やり込みが中心のゲームとしては、まさにこの上ない改善点と言えるだろう。ゲーム紹介と言っても、当時のプレイヤーは楽しめても現世代には楽しめないものがある。そんな前作の弱点でもあった部分を見事に克服している。また項目の一つ『伝言板』と並行して、今回はメッセージの量も増加。ゲームルールの紹介、得点ごとのイベント発生条件など、より細かな情報を確認できるようになった。更にそれらのメッセージは『伝言板』の方に保存される仕組みとなったので、一度忘れた際の再確認も簡単に。只でさえ取っ付き易いゲーム本編が、ますます取っ付き易くなった感じだ。これも現世代を対象にしたナイスな改善点と言える。
そして肝心のゲームの方だが、前作同様に収録されたゲームにはオリジナルを忠実に再現した『むかしモード』とマリオのキャラクター達による現代風アレンジを施した『いまモード』が実装されている。但し、収録されてるゲームは全て新作。その数も5種類と前作よりも増え、やり込み甲斐が大幅にパワーアップしている。更に先に少し触れたが、隠しゲームも用意されているので、極めるのもなかなか大変。前作のボリュームに物足りなさを覚えていたプレイヤーには、感無量の充実っぷりとなっている。収録されている5つのゲーム(いまモード含む)は下記の通り。

■パラシュート
ヘリコプターからパラシュート付きで落下してくる人をボートで受け止め、救出するゲーム。人を受け止め損ねるとミスとなる。『いま』ではキャラクターによってパラシュートを開く位置が異なったり、落下を防いでくれる『プクプク』が登場すると言ったアレンジが加えられている。

■ヘルメット
何故か空から降ってくるスパナなどの工具類を回避し、小屋に入るのを繰り返すゲーム。工具類に当たるとミスになる。
『いま』では、コインを回収する事で小屋に入った際の得点がアップ。更に得点を重ねていくとステージが変化するという特殊な要素が追加されている。

■シェフ
フライパンで食材をキャッチし、炒め続けるゲーム。食材を落とすとミス。
時折、食材の動きを止めるネコが邪魔してくる。
『いま』はピーチ姫とヨッシーの二人を同時に操作し、左右から飛んでくる食材をキャッチして炒め、ヨッシーに与えていく別ゲームになっている。

■バーミン
モグラ叩き。突進してくるモグラをボーダーラインからはみ出ない内に撃退していく。
モグラがボーダーラインからはみ出るとミス。
『いま』はプロペラヘイホーから6つの卵を守りきる防衛アクションゲームと、別物になっている。一つでも卵を壊されると、問答無用でゲームオーバー。

■ドンキーコング
次々に転がってくるタルを回避し、ドンキーの居座る足場を破壊してガールフレンド救出を目指すアクションゲーム。
『いま』も同様だが、足場を破壊してドンキーを落下させるとステージが変化。全三つのステージが用意されている。

この他にもう一つ、隠しゲームがあるのだがネタバレになので伏せる。いずれも単純ながらも奥深いゲーム性に富んだ内容に仕上げられている。『いま』のアレンジも、今回は大胆な変更を行っているものがあるのも印象的。しかし、変更が行われているとは言え、取っ付き易さはそのまま。今回もオリジナル経験者、現世代の未経験者を見事にフォローしている。そして当然のようにやり込み甲斐も抜群。シンプル故に熱くなれる、そんな魅力も今回のゲームでは健在だ。
基本は前作を踏襲し、やり込み型のゲームとしての魅力を底上げする要素を導入。更に『いまモード』ではオリジナルを大きく壊す挑戦的な一面もあり、プレイヤーに驚きを提供する。まさに進化のお約束を守りつつ、大胆なチャレンジも行った続編と言った具合。前作以上に豪華で遊び応えのあるものを目指した、志の高い内容として完成されている。

今作最大の魅力は、前作と変わらない。単純でありながら奥深い、ゲームの原点を突き詰めた全5つ+αのゲームに集約される。相変わらず、基本は移動のみと単純な内容でありながら、徐々にスピードアップしていく展開、多彩なイベントと言った巧のレベルデザインでプレイヤーを引き付けて離さない。
しかし何と言っても今回は、ゲーム&ウォッチを体験したことの無い若い世代を強く意識した配慮の数々が実に見事だ。『ギャラリーモード』の特典の増強、アレンジモードこと『いまモード』の大胆な変更など、前作よりも若い世代の方々にゲーム&ウォッチの色褪せぬ魅力を伝えたいという開発スタッフの思いの数々がそこかしこに仕込まれている。
特に『ギャラリーモード』の強化はその象徴。若い世代に向けて昔のゲーム紹介だけやっても、興味が無い人は興味を持たないし、最悪の場合、ゲーム本編を遊び込む意欲まで失わせてしまう。では、如何にして若い世代の方々の関心を引き付け続けるか?そしてゲーム&ウォッチのゲームに興味を抱かせるように誘導させるべきか?そんな苦心の末の結論が今回のギャラリーモード全般の特典開放の流れに現れている。少し遊ぶと『音楽室』が開放され、曲がいつでも聴けるようになり、更に遊び込むと謎のパネルが出現。「これは何だ?」とプレイヤーの関心を引き付け、もっとやり込むのを暗に促す。そしてやり込んでいく内にそのパネルの一部が開放。もっともっと遊びこむと、遂にパネルの全てが開放され、新たなゲームが出現。そして「まだ何か出るのか?」と、以下繰り返していくと『ミュージアム』、更に隠しゲームの『いまモード』が現れると言った様々な特典が切り開き、遂にはその結果を求めて本編に没頭するようになってしまう。そしてゲーム&ウォッチのゲームと言うものに興味を抱くようになり、どんなものがあるのかをミュージアムで眺めるようになる…と、最初にゲームと特典でプレイヤーの興味を引き付け、その後、暗にやり込みを指示してゲーム&ウォッチのゲームに関心を寄せるよう、流れを作ったのである。その結果、嫌でもゲーム&ウォッチのゲームを遊ぶ事にもなるし、更にやり込む事でその独自の魅力に引き付けられていくという、ある種、確信犯な構成を確立された。餌(特典)で釣って興味を抱かせる、何とも悪どいというか、プレイヤー心理を巧みに汲み取った構成だ。しかし、この構成は非常に上手い。最初の流れで掴みはバッチリ取れてるし、その後に開放されていく要素にしても、興味を引かせるだけの魅力を持ち合わせている。そして、やり込みの楽しさ、ゲーム&ウォッチのゲームの魅力をアピールする流れへと運ぶ流れも自然で、若い世代へ魅力を伝える策として機能している。プレイヤーが継続して遊び込みたいと思える環境を構築し、そこからゲーム&ウォッチの魅力を伝えていく。ゲーム&ウォッチを知らぬ世代にその魅力を訴えかける構成としては、これほど適したものも無いと言っても良いだろう。非常に自然で、それでいてプレイヤー心理を上手く捉えている。単にスターを集め、ギャラリーを全開放しようとかなり突き放してた前作よりも、長く遊び続けたいと思わせるだけのパワーが今作には満ち溢れてると言えるだろう。如何にして今作が、若い世代を強く意識して作られたか、その苦労がひしひしと伝わって来る。
それ故に今回はゲームのラインナップも、この上ないほどベストだったとも言える。シンプルに左右に動く事を目的とした、ゲーム&ウォッチの単純な奥深さを若い世代にも分かり易く訴えかけるゲームとして、今作に収録された5つは適役だ。とにかくシンプルに遊べて、長時間プレイしてしまう中毒性が魅力であると、それを十分すぎるくらいに教えてくれる。これで仮に複雑なゲームを一本、或いは二本も導入したりしてたら、魅力が上手く伝わらなかった可能性も十分にあり得るだろう。そういう点でも、今回のラインナップは本当にナイスチョイスだったと言える。
無論、オリジナル経験者にとっても今回の5つのチョイスは申し分無しと言えるだろう。『いまモード』のアレンジにしても、大きく変えたものもあるが、基本は移動主体。シンプルに遊べる事を何よりも大事にしている辺りは、如何にスタッフがゲーム&ウォッチのゲームを愛し、理解しているかを痛感させられる次第である。
単純ながら奥深いという魅力をより、多くの世代へ。本当にそれを目的に今作が作られたのかどうかは、スタッフのみぞ知る域だ。しかし、実際に今作は若い世代にもゲーム&ウォッチの魅力を十分過ぎるほど訴えかけるだけの内容。豪華な特典による丁寧な誘導は、職人技の域である。そもそも、ゲーム&ウォッチって何?どういう所が魅力だったのか?それを知るにおいて、今作ほど適したタイトルも無いと言っても良いだろう。

その他、操作性の良さに関しては前作同様。基本的に十字キーだけで遊べるシンプル設計なので、説明書を読まずとも安心して楽しめる取っ付き易い仕上がりとなっている。一部、AボタンとBボタンを使うゲームもあるが、それもゲームを少し触るだけで把握できてしまうほどの分かり易さだ。ゲームバランスも上々。今回は『むかし』と『いま』共に無駄に難易度の高いゲームが少なく、どれも安定した熱中度を誇る内容に仕上げられているのが見事だ。特に『ヘルメット』のバランスの良さは特筆すべきものがある。
全体のボリュームも収録ゲームの増強、ギャラリーモードの強化によって大幅にパワーアップ。スター集めもゲーム増強で最大数が増えており、集め甲斐がある。更に今回は集めたスターの確認が簡単になったほか、『ギャラリーモード』で現在集めた総数も表示されるようになるなど、細かな改善が図られているのも注目に値する部分だ。
グラフィック、音楽もなかなかの出来栄え。グラフィックはよりマリオらしくなったというか、ポップで明るい作りになったのが印象深い。音楽も今回、わざわざサウンドテスト(音楽)を用意するだけに結構、気合いの入った出来となっている。中でも『シェフ』の『いまモード』で流れる曲はなかなか耳に残る、癖のあるものに仕上げられているので要チェックだ。

演出もパワーアップしており、中断セーブからゲームを再開する際、タイトル画面でマリオが頭をぶつけるなど、地味ながら笑える部分がある。『いまモード』でミスした際のマリオ達のリアクションも相変わらず仰々しい且つ、精神的に響くものになっているのが面白い。
先に少し触れた通り、前作にも実装されていた中断セーブも引き続き搭載。その他、前作のギャラリーモードのデータを通信ケーブルを使って転送する事もできたりと至れり尽くせり。しかし、その転送の際に厳しい条件(前作のいま、むかしを含む全てのゲームで1000点以上獲得)を達成しなければならないのはあまりに酷だ。また、『ミュージアム』のゲーム紹介形式の見栄えが悪い、『シェフ』の『いまモード』の画面構成に癖があると言った点も少し気になるところだ。
しかし、今回もゲームとしての完成度、そして資料タイトルとしての価値の高さは健在だ。何と言っても若い世代にもゲーム&ウォッチの魅力を訴えかける構成、豪華になったギャラリーモード、そして大掛かりなアレンジも施された全5つのゲームは強烈な魅力に秀でている。更に遊び易く、そして世代を選ばなくなった今作。前作同様にゲーム&ウォッチ世代は言うまでも無く、若い世代にも自信を持ってお薦めする傑作だ。遊び応えとボリュームは前作以上。シンプルで奥深いゲームの原点を楽しんでみよう。お薦め!
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