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≫がんばれゴエモン 星空士ダイナマイッツあらわる!!
■発売元 コナミ
■開発元 コナミ・コンピュータエンターテインメント神戸
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイカラー専用(※カラー以前のゲームボーイでは遊べません、ゲームボーイ専用通信ケーブル対応
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 6〜8時間(エンディング目的)、17〜25時間(完全攻略目的)
いつもより、一際平穏な大江戸はぐれ町。
それもその筈、ゴエモンは南国で行われる『日本小判投げ選手権』に、エビス丸は雪国で行われる『全国美味いもの早食い大会』に出場する為、出かけているのであった。

丁度その頃、宇宙の果てより巨大な『物体』が飛来し、大江戸上空に突如現れた。
その怪しげな物体から姿を見せたのは、ネコミミヘルメットを被った謎の男。
自らを征服王と名乗る、星空士(せいくうし)ダイナマイッツだった。
彼は他の宇宙人達が何度も征服に失敗した伝説の星『チ〜キュウ』を征服する為にやってきたらしく、手始めに『ニ〜ッポン』からの征服を開始すると宣言する。

かくして強引に日本を征服し始めたダイナマイッツ。
果たしてゴエモン達は大江戸を、日本を、そして地球を救えるのか?
新たな冒険が始まった………のか、どうかは分からない。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆一粒で二度美味しい、ザッピング要素を取り入れた独特の本編構成
◆ゴエモンシリーズ伝統の馬鹿馬鹿しさと荒唐無稽っぷりが秀逸なステージ上の仕掛け全般
◆馬鹿馬鹿しい仕掛けと練られた地形&敵配置でプレイヤーを楽しませる珠玉のステージ構成
◆スーパーファミコン版に負けず劣らずの迫力と、ハード性能を逆手に取ったアイディアに富んだ手法で楽しませてくれるゴエモン・インパクト戦
◆少し挙動が重くなっているが、直感的にキャラクターを動かせる楽しさは健在の操作性
◆ゴエモンシリーズ伝統の程好い手強さでまとめられた、良好なゲームバランス
◆単品でも勝負できるほどの圧倒的な完成度を誇る、珠玉のミニゲーム(通信対戦も可能!)
◆ステージ数は少ないが、密度の濃さで確かな遊び応えと満足感を提供する総計ボリューム
◆『わるもの図鑑』、『招き猫集め』など、充実したやり込み要素の数々
◆カラー専用ならではの精微な描き込みと派手なエフェクトで魅せる、質の高いグラフィック
◆過去のゴエモンシリーズのアレンジ主体だが、良質で耳に残る曲が盛り沢山の音楽
◆素晴らしくおバカなストーリー(特に大ボスのダイナマイッツは必見)

--- Bad Point ---
◆フワッとしていながら何処となく重く、地味に気持ち悪い手応えのキャラクターの挙動
◆軽過ぎて手応えがいまひとつな爆発音(もう少し重めの音にして欲しかった)
◆過去のゴエモンシリーズのアレンジ曲主体で、新鮮味に欠ける音楽(出来は悪くない)
◆過去のゴエモンシリーズと比較すると乏しいプレイヤーアクション(しゃがみ移動が無いのが辛い)
◆クリア時の演出が無い所為で、イマイチなステージ攻略時の達成感(ただ、ボスがいるステージに関しては専用のクリア演出が用意されている)
◆特定の街でしか達成状況を確認できない上、作業になり易いやり込み要素『わるもの図鑑』
◆スクロールが鈍過ぎてテンポが悪く、爽快感がなってないシューティングステージ
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
チ〜キュウを征服するダイナマイッツ!

我々は変態猫耳マッチョマンを絶対に許さないぞ!


高いゲーム性と寒いギャグに定評のある、コナミの看板アクションゲーム『がんばれゴエモン』シ リーズ最新作にして、ゲームボーイでは初の横スクロール型アクションのゴモエン。開発は本家ゴ エモンスタッフが集う、コナミコンピュータエンターテインメント神戸(KCE神戸)が担当。

ゴエモンシリーズの知られざる傑作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。ゴエモン、エビス丸のいずれかのキャラクターを操作し、様々な敵や仕掛けが待ち受けるステージを攻略していくというものである。基本的な作りは、スーパーファミコンで発売された『がんばれゴエモン2 奇天烈将軍マッギネス』、『がんばれゴエモンきらきら道中』の二作をベースとしており、エリアマップや画面構成はそれら二作に準じている。ただ、キャラクターグラフィックの大きさなど、全体的には『がんばれゴエモン2』を強く意識。実質、ゲームボーイ版『がんばれゴエモン2』と言っても不思議でない作りとなっている。
システム周りもエリアマップ、街ステージなど、先述の二作を強く意識しているが、シリーズ伝統の二人同時プレイはハードの都合により、今作では廃止されている。
それを補う目的で、『がんばれゴエモンきらきら道中』の『ザッピングシステム』を形を変えて導入。先述のストーリーの通りだが、今作では主人公であるゴエモンが南国、エビス丸が雪国へそれぞれ出かけてしまっている。 この珍しい設定を考慮し、今作では選んだキャラクターによってスタート地点(エリア)とストーリーが変化する要素を導入。ゴエモン、エビス丸それぞれの視点から違った展開が楽しめるようになった。ただ、きらきら道中とは異なり、途中でのキャラクター変更(エリア変更)は不可能。基本的に最初のセレクト画面で決定すると、以降は強制的にそのキャラで進めていく事になる。その為、若干ながら自由度は低めに設定されている。またスタート地点が違う故、当然のようにステージの性質もそれぞれ異なる。雪国のエビス丸は険しい谷や滑る足場などの仕掛けが沢山登場、南国のゴエモンは大人しい地形がメインなど、いずれも露骨な個性付けが成されている。更にこのスタート地点の選択は難易度選択の役割も兼任。最初は無難に進めたければゴエモン、歯応えを味わいたければエビス丸と言った具合に、プレイヤーの腕に応じた棲み分けが成されているのも大きな特徴だ。なお、最終的にこの二人はとあるステージで合流を果たし、以降はキャラクターチェンジが可能になる。合流後はそれぞれの担当エリアにも足を運べるようになるほか、以前プレイした時には行けなかった場所に行けるようになるなど、探索範囲も広がる。この辺の流れはきらきら道中を踏襲している。
基本的に一度決めると任意でキャラクター(エリア)変更ができないなど、自由度は低めだが、選んだキャラクターによってまるで違う展開が味わえる設計はなかなかユニークで、一粒で二度美味しい魅力に秀でている。ハード設計の都合で二人同時プレイができないハンデをカバーするシステムとしてもよく出来ており、シリーズとしては珍しい奥深さと密度の濃さを備えた内容に仕上げられている。ちなみにきらきら道中でプレイヤーキャラクターだったサスケ、ヤエの二名は、今作では特定ステージのみでしか操作できないゲスト扱いとなっている。ただ、どちらのキャラクターもそのステージがアクションではなく、縦横シューティングとなっているのは何気に大きな見所。それまでおまけゲームとしてあったシューティングが本筋に入り込んでくる展開は、シリーズファンならば必見だ。また、ゴエモン2やきらきら道中を意識した作りとは言え、さすがにゲームボーイでゴエモン・インパクトの巨大ボス戦は無理だろうと、シリーズファンの中には先入観で思ってしまう方がいるかもしれないが、カラー専用を侮るな。今作にもバッチリ、インパクト戦は用意されている。無論、演出周りに技術的制約を受けている部分もあるが、大型ボスをパンチなどの多彩な攻撃で迎え撃つ展開はそのまま。ゲームボーイの性能ではあの戦闘と臨場感は描けるはずがない、なんて先入観を良い意味で壊してくれる出来となっているので、こちらもシリーズファンなら必見である。
削られた部分も色々あるが、中身は間違いなく、あの『がんばれゴエモン』だと自信を持って言える出来。ゲームボーイであのアクションが作れる筈が無いだろ、という先入観を真っ向から否定する仕上がりとなっている。繰り返すが、今作はスーパーファミコン版と同様のシステムを実装したがんばれゴエモン。あのゴエモンのゲームボーイ版なのである。

そして、今作の魅力はゲームボーイという性能面でハンデの多いハードで、見事にスーパーファミコンの『がんばれゴエモン』を実現させた、職人的な作り込みの数々に集約される。拡大・縮小・回転機能による派手なエフェクトも使えず、ましてや二人同時プレイも不可能というハンデを抱えながらも、アクション性からレベルデザインに至るまで、全てにおいてゴエモンシリーズ独特の楽しさ、馬鹿馬鹿しさを今作は見事に継承している。先の繰り返しになるが、その完成度はスーパーファミコンなどの本家シリーズに負けず劣らない。シリーズの正当な新作としてカテゴライズしても何ら異議無しと言い切れるほど、高い完成度を誇っているのである。 特に秀逸なのが、ステージ構成を始めとするレベルデザイン全般。ゴエモンシリーズと言えば、馬鹿馬鹿しい仕掛け、世界観が一種の代名詞であるが、今作でもそんな伝統の設定及び世界観は健在。相変わらず非現実的なシチュエーションが満載の構成で、プレイヤーを終始、飽きさせない作りとなっている。ただ、ハード制約による都合により、仕掛けは全体的に大人しいものが多く、仰々しさの面ではスーパーファミコンのシリーズに劣る。しかし、それを補うが如く、仕掛けから敵の配置などの肝となる部分が丹念に練られており、やり応えは抜群。大人しくなった事で、正統派のアクションゲームとしてのカラーが強化されてはいるが、確かなアクション性と駆け抜ける楽しさは健在のゴエモンらしさ全開の仕上がりになっている。
それに、馬鹿馬鹿しい仕掛け及び世界観(舞台)も仰々しさが劣るとは言え、インパクトは相当なものだ。何故か小判箱が足場の観覧車、時代設定無視も甚だしい地下鉄、ミ●ション・イ●ポッシブルな導火線地帯、挙句の果てには月面(!)など、「そりゃねーよ」なものが沢山用意されている。それらの個性的過ぎる仕掛けと舞台を乗り越えていく楽しさと緊張感は、まさにゴエモンそのもの。シリーズファンは勿論の事、アクションゲームが好きなプレイヤーもそれらの仕掛けなどが織り成す非現実的な展開には思わず、くぎ付けになってしまうだろう。
また、敵キャラクター達も非常に個性的。某ドラ●もんではない猫型ロボット達にサイボーグ町娘など、相変わらずのカオスな面々がプレイヤーの前に立ちはばかる。ボスも大型で威圧感があるのみならず、戦闘内容もバラエティー豊か。ゴエモンインパクトで戦う巨大ボスも戦い甲斐のある強敵ばかりだ。なお、インパクト戦はハードの制約上、拡大・縮小・回転機能を駆使したボスキャラクターのアニメーションは削除されている。だが、それを補う形で今作はアニメパターンの変化で弾丸及びボスの接近を表現したり、カラー専用である事を強みとした残像エフェクトの導入、処理を軽減させる為の背景描写削除と言ったアプローチを実施。それにより、見た目の地味さを思わせぬ迫力ある戦闘を実現させている。ゲームボーイでありながら、臨場感抜群の戦闘を描いてしまっているのである。まさにこれぞ、職人の所業。ファミコン時代から技術屋集団と呼ばれたコナミの十八番が炸裂した仕上がりとなっている。技術的にもゲームボーイでは難しい戦闘な為、削る選択肢もあったはず。それを選ばず、ゲームボーイでも迫力あるインパクト戦を描くという野望の下、あらゆるアプローチを駆使して実現させたその手腕には本当、感服するばかりだ。更にこの手の派手な演出を取り入れた戦闘の場合、処理落ちが発生しがちだが、それも今作では一切生じない。終始、快適な戦闘を楽しめるのである。このような環境を構築できたのも、まさに技術屋集団コナミだからこそ成せた業、と言ったところだろう。
ゲームボーイ故の地味さこそあれ、あらゆるアイディアと表現技法を駆使したその演出は圧巻の一言。仰々しさを削り、正統派の手応えを追及したレベルデザインも魅力的だが、このあらゆる技術力をフル活用したインパクト戦も、強烈な魅力がある。惜しむらくは戦闘が少ないという事だが、それでもゲームボーイによるハンデをものともせず作り上げた一連のシーンは一見の価値大いにアリ。今作をプレイするに当たり、是非とも体験すべきシーンだと断言しても良いだろう。
スーパーファミコンのゲームをゲームボーイで出す。素人の考えなら、それが劣化した内容になってしまうのは安易に想像が付く。しかし、実際にゲームボーイでは任天堂の『スーパードンキーコングGB』の一例もあり、作り方次第によっては勝るとも劣らぬ物を作る事ができる。今作もそんな勝るとも劣らぬ作品にカテゴライズされる資格を持つタイトルだ。あらゆる技術的不利をアイディアでカバーし、アクション性からレベルデザインに至るまで、名作『がんばれゴエモン』の面白さを徹底的に追求し、それを余す事無く実現。このような作品を成功例と言わずとして何と言うか。それほど今作の作り込みの度合いは圧巻のレベル。シリーズ作品としても、一つのアクションゲームとしても、ゲームボーイ史上屈指のクオリティを誇る面白さと完成度を誇るタイトルに仕上がっているのだ。まさにコナミの本気、ここに極まりである。

操作性やゲームバランスの完成度も高い。操作は少し挙動が重くなっているほか、しゃがみ移動などのアクションが削られ、やや動かす気持ちよさが殺がれているのだが、それでも違和感なく自然にキャラクターを動かせるものとして完成されている。ゲームバランスも程好く手強い、絶妙な調整。アクションゲーム好きも納得の手応えを堪能できる。
ボリュームもステージ総数こそ20以上と本家より少なめだが、一つ一つの密度が濃いので、満足度は高い。また、招き猫集め、『わるもの図鑑』と言ったやり込み要素も豊富に収録されているほか、クリア後のスペシャルステージと言ったおまけまで用意するなど隙が無い。更に寄り道要素で4種類のミニゲームが収録されているのだが、これがまた桁違いに面白い!本編そっちのけでやり込んでしまうほどだ。これもスコアアタックなどのやり込み要素を完備しているので、コアなプレイヤーも思わず納得の手応えを得られるだろう。
グラフィック、音楽の完成度も非常に高い。特にグラフィックは非常に鮮やか。これぞドット絵の芸術とも言うべき丁寧な描写の数々は一見の価値ありだ。音楽は『がんばれゴエモン3』、『がんばれゴエモンきらきら道中』のアレンジが中心で新曲が無いのが寂しいが、それでも良質な楽曲が充実。ゲーム本編を大いに盛り上げてくれる。一方で爆発系の効果音が軽く、手応えがやや弱いのは残念な所。できれば、もう少し重い音にして欲しかったところだ。

演出周りは先にも語ったが、表現の乏しさを逆手に取った迫力あるエフェクトが秀逸。またデモシーンも大きな一枚絵とエフェクトを凝らしたテキストで描かれていて見栄えが非常に良く、ストーリーの愉快さを際立たせるものに仕上げられているのが実に印象的だ。
そのストーリーも素晴らしくバカ(褒め言葉)。特に今回の悪役であるダイナマイッツは過去のゴエモンシリーズの悪役にも勝るとも劣らぬ…否、シリーズでも三本の指に入る強烈なキャラクターとなっている。正直、彼を拝む為に今作をプレイするだけでも、相当な満足感が得られる…かもしれない。とにかく必見である。
少し重い操作感、アレンジ主体の音楽、そして軽い効果音などの残念な所があるほか、全体的にリメイクっぽい空気が強いのがタマにキズだが、ゲームボーイという性能面で劣るハードで、スーパーファミコンの『がんばれゴエモン』を見事に作り上げた手腕、随所に点在する職人的な作り込みの数々は圧巻。コナミの本気を大いに実感させられる、非常に魅力溢れる内容に仕上げられている。外伝とは言え、正伝にカテゴライズしても全く違和感無しの素晴らしい面白さと馬鹿馬鹿しさを誇る今作。ゴエモンシリーズファンならば絶対に抑えておくべき傑作だ。無論、アクションゲームが好きなプレイヤーも要チェック。ゲームボーイで作られた本格的な『がんばれゴエモン』、とくとご賞味あれ!かなりお薦め!
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