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≫マリオゴルフGB
■発売元 任天堂
■開発元 キャメロット
■ジャンル ゴルフ+RPG
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ゲームボーイカラー専用(※カラー以前のゲームボーイでは遊べません、ゲームボーイ専用通信ケーブル対応、64GBパック対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 12〜17時間(エンディング目的)、45〜65時間(完全攻略目的)
あの『マリオゴルフ64』のゲームボーイ版が登場。
新米ゴルファーとなり、数々の経験を経験を積んでトーナメントに挑戦。
そして最強のゴルファー、『マリオ』との勝負に挑むのだ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆RPGのようにイベントをこなし、トーナメントなどで優勝を目指す独特の構成と新鮮な味わいに満ちたストーリーモードこと『マリオンクラブハウス』
◆パッティング対決、アプローチレッスン、更にはカラス撃退など、ユニークなサブイベント群
◆ファミコンの『ゴルフ』から継承された、優れた完成度を誇るゴルフゲームとしての基本設計
◆1UPキノコ探し、ライバル探しなど、お約束のように盛り込まれたマップの探索要素
◆プレイヤー好みのゴルファーを作れる魅力と高い中毒性を兼ね備えた育成システム
◆全4人のゴルファーの絶妙な成長度合い(必ず個性を持ったゴルファーになる調整が上手い)
◆各トーナメントの制覇からサブイベント攻略まで、盛り沢山で極め甲斐抜群の総計ボリューム
◆ゴルフ用語辞典、操作解説など、ロクヨン版以上に丁寧で洗練された作りの救済機能の数々
◆大量の経験値を取得できるほか、ロクヨン版のコース攻略情報までゲットできるという魅力的な特典を多く取り揃えた『マリオゴルフ64』との連動要素
◆王道ながら、少しぶっ飛んだ地形も取り揃えた盛り沢山の全90ものゴルフコース
◆取っ付き易くてレスポンスも申し分無しの爽快な操作性
◆育成要素があっても実力勝負な所は崩さぬ、入念な調整が図られた絶妙なゲームバランス
◆カラー専用ならではの鮮やかな色使いと脅威のドット絵で魅せる、完成度の高いグラフィック
◆アレンジ主体だが、全体的に良質でマリオシリーズファンへのサービスも盛り込まれた音楽
◆ダイナミックなカット割りとカラー専用ならではの鮮やかなグラフィックで魅せるデモシーン

--- Bad Point ---
◆これと言って起伏もなく、淡々とした作りのストーリー(また、台詞回しがちょいと変)
◆淡々とした作り故の味気ないゲーム本編の展開(トーナメント攻略主体なので地味)
◆何故かステータス画面から確認できないレベルアップまで必要な経験値の総数(特定の場所に居るキャラクターに話しかけないといけないという謎仕様)
◆男性ゴルファーの愛着が湧き難いデザイン(一方で女性は無難なデザインという謎)
◆制約はあれど、ロクヨン版と比較すると地形的に大人し過ぎる感も否めないゴルフコース
◆例によって小さな子供には敷居が高い、ゴルフプレイ時の風の抵抗計算
◆削除された『パターゴルフモード』(息抜き用としてあると良かった)
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
どんなに成長させても魔女っ子にはなりませんよ。

似ているのは気のせいです。


NINTENDO64用ソフトとして発売され、完成度の高いシステムと奥深いゲーム性でロングセラーとなったゴルフゲーム『マリオゴルフ64』のゲームボーイ版。開発はロクヨン版と同様に初代『みんなのゴルフ』に携わった事で知られるデベロッパー、キャメロットが担当。

RPGとゴルフゲームの魅力が絶妙に絡み合った、斬新な傑作だ。

ゲーム内容はゴルフゲームと公では名乗っているが、その実態はロールプレイングゲームの要素を取り入れたゴルフRPG。プレイヤーは全部で4人の見習いゴルファーの中から一人を選択し、様々なゴルフコースやチャンピオンが参加するトーナメントに挑戦。ハイスコアと優勝を目指して彼らを成長させていくというものである。
基本的なゴルフゲームとしての作りはNINTENDO64(ロクヨン)の『マリオゴルフ64』を踏襲。パワーゲージに合わせ、Aボタンを三回押して行うショット操作、風向きやゴルフコースなどの詳細な情報を多数表示した画面構成などはそのまま。ロクヨン版と全く変わらぬ感覚で遊べる作りとなっている。但し、ハードがロクヨンからゲームボーイへと移った事でグラフィックはドット絵に改められ、それに伴い、ゴルフコース全体確認画面は2D見下ろし視点へと変更。コースの丘陵もグリーン限定となり、矢印で表現する形に改められている。その為、ゴルフゲームとしての作りはゲームボーイ初期に発売された『ゴルフ』に非常に近く、それを進化、発展させた形となっている。
また、収録ゲームモードも『トーナメント』、『ストローク』、『マッチプレイ』、『トレーニング』の4つはロクヨン版から引き継ぐ一方、『リングショット』と『パターゴルフ』の二つは削除。その代わりとして、『マリオンクラブハウス』なるモードが新たに追加されている。これはいわゆる『ストーリーモード』。RPG風のフィールドマップ上を歩き、トーナメントへの挑戦やゴルフコースでの練習、時にはチャンピオンとの一対一の勝負に挑んだりしながらストーリーを進めていくというものだ。これが今作のメインモード。このモードを軸にゲーム本編が展開されていく。また、モードセレクト画面から選べる『トーナメント』、『ストローク』、『マッチプレイ』の三つは、実を言うとこのモードの要素一つ。いずれも本編から独立したモードではない。全てがマリオンクラブハウスの方に内包された要素なのである。つまり、モードセレクト画面はマリオンクラブハウス内の要素を呼び出す為に設けられた『ショートカット機能』。非常に紛らわしいが、そんな扱いとなっているのだ。更に全てのモードが別モードの要素という事すなわち、今作には『マリオンクラブハウス』しかモードが無い事も意味している。ただ、一つのモードで4つのモードを遊べるので、密度は相当なもの。贅沢さ抜群の構成となっている。また、RPG風という事で、各モードをプレイしたい時はマップの指定の位置まで移動しないとならないのだが、先のショートカット機能を使えば即座に始める事が可能。そんなノンストレスな設計になっているのも地味に見逃せない。実質、1つも同然な為、少し寂しい感じはあるが、中身が中身だけに遊び応えは十分過ぎるレベル。魅力溢れる内容に仕上げられている。
更に最初に解説したが、今作では4人の見習いゴルファーがプレイヤーキャラとして登場。その内の一人を操作し、本編を進めていく事になる。どのゴルファーも飛距離が短かったり、ショット後の弾道が違ったりなど、初期性能は様々。しかし、経験を重ねる事で、プレイヤー後のみの性能へと成長させる事ができる。その仕様からして明らかだが、今作ではRPGの成長要素も実装。トーナメントで勝利したり、ストロークでゴルフコースを一通り回り終えると経験値が手に入り、それが一定値にまで達するとレベルが上昇。好きな能力を上げれるようになるのだ。上げられる能力は飛距離は勿論の事、弾道から高さに至るまで実に様々。但し、基本的に1つか2つぐらいしか上げられない仕様なので、沢山成長させれば完全無欠の万能ゴルファーになれるという訳ではないのがミソ。程好くプレイヤーを悩ます、ニクい作りになっている。
また、この4人のゴルファーはロクヨンの『マリオゴルフ64』へ持ち込む事もでき(※要:64GBパック)、そちらで活躍させる事もできてしまう。加えてロクヨン版で経験を積み、こちらへと戻ると沢山の経験値を得られたりと、持ち込んだなりの強烈な特典も完備。こんなゲームボーイとロクヨンの連動要素まで兼ねているのも、今作の成長システムにおける大きな特徴の一つだ。そういう様々な要素を実装しているだけに、成長させる楽しみと中毒性もなかなかのもの。RPG要素を取り入れた内容だけにある、奥深く長く遊び込める仕上がりとなっている。
基本的には『マリオゴルフ64』のゲームボーイ版。作りも共通している。しかし、このような特徴的な要素を取り入れている為、ほとんど別のゲームとして完成されている。ロクヨン版がパーティ要素を重視したのなら、今作は一人プレイを突き詰めたと言ったところ。じっくりとやり込める、遊び応え抜群の斬新なゴルフゲームとなっている。

そして例によって、今作最大の魅力にして見所は新モードの『マリオンクラブハウス』。ストーリーを進めながらゴルファーを鍛え上げたり、時には人の悩みの解決に奔走したりするその変化に富んだ構成は、他のゴルフゲームにはない面白さと新鮮な味わいに満ち溢れている。
特に本編のトーナメントとは別途に用意された『サブイベント』が良い味を出している。今作ではRPGと同様にマップを歩く要素があるという事で、当然のようにそのマップ上には多数のサブキャラクター達が存在。例によってその中にはプレイヤーに勝負を挑んできたり、仕事を依頼してくる者が数人居て、それが『サブイベント』という形で幾つか用意されている。このイベントの内容というのが実にユニーク。基本的にはパッティング勝負、アプローチチャレンジなど、ゴルフをテーマとした王道のものが占めているのだが、中には散らばったゴルフボールの回収、カラス撃退と言った漫画的なものも幾つか用意されていて、もはやゴルフゲームとは思い難い奇妙な遊びが体験できるのである。大半は短時間で決着する作りとなっている為、本編のトーナメントと比べると密度は薄いが、真面目さとは無縁の奇妙なゴルフが体験できるというのは実に魅力的。また、これらのサブイベントはクリアすると経験値も獲得できる特典がある為、自然とやる気になる作りになっているのもニクい限りだ。イベントの数も豊富で合計40以上。中には各クラブハウスのチャンピオンとのマッチプレイで勝たないと解禁されないイベントもあるなど、やり込み要素としての側面を持っているのも見逃せないところだ。惜しいのは漫画的なイベントが僅かしかない所だが、それでもゲーム全体に奥行きと起伏を与える要素として十分な存在感を発揮している。単にトーナメントの制覇だけに留まらず、こんなRPG的な遊びまで今作は実装。従来のゴルフゲームと遊び応えがどう違い、どう異色なのか。それはもう容易に想像できるだろう。
更にサブイベントのみならず、RPG的な探索要素までも今作は実装。あくまでもおまけ程度だが、マップ内に隠されたゴルファーのレベルを1つ上げる『1UPキノコ』、他の主人公ゴルファー達を探すという特殊な遊びも楽しめる。そんな明らかにRPGな遊びもさりげなく盛り込まれているのも今作の見所。単にモードセレクトをフィールドに改めただけで終わらせてない作り込みもまた、サブイベントと並行して要注目である。 そしてこの『マリオンクラブハウス』最大の売りにして、今作の象徴でもある育成要素も中毒性が非常に高く、やり込み甲斐があって面白い。経験を重ねるに従い、少しずつ能力を伸ばし、次第にダイナミックなショットが撃てる存在へとなっていくゴルファーは、思わず愛着が湧いてしまうほどに愛おしい。そんなどんどん強くなって注目を浴びるゴルファーに成長していく過程には、RPGに勝るとも劣らぬ嬉しさと快感に秀でている。成長するに当たり、一部の能力しか上昇できないという縛りも絶妙。それが万能ゴルファー誕生対策と育成の楽しさを演出する要素として、見事に機能している。一つの能力を上げると他の能力がその煽りで意図しない方向に伸びたりなど、適度にプレイヤーを悩ませる要素を取り入れているのもニクい限り。この辺の成長させる面白さと悩みの塩梅の良さは、さすがは元ドラクエスタッフが携わっているだけにあるといったところか。その絶妙過ぎるバランスにはゴルフ好きのみならず、RPG好きも思わず舌を巻く衝動に駆られるだろう。
無論、ゴルフゲームとしての基本的な出来も傑作であるロクヨン版を踏襲しているだけに申し分無し。ゴルフコースも全体的にロクヨン版よりは大人しい作りの正統派が多いが、中にはマリオキャラクターのイラストを模した所があったりなど、奇抜なセンスが炸裂したものもあって楽しませてくれる。
そんな完成度の高いゴルフにRPG要素を組み込み、互いの魅力を損ねる事無く綺麗にまとめたこのゲームデザインの上手さ。ある意味、水と油の関係とも言える異なる二つのゲームをこうも自然にまとめ、従来型ゴルフゲームにない魅力、バラエティーに富んだシングルプレイというものを演出させてしまっているのには、本当に驚きの一言である。爽快で戦略性に富んだゴルフ、キャラクターを育てる楽しさと中毒性に秀でたRPG。それが仲良く融合した今作は、まさに奇跡の一本と言っても過言ではないだろう。それほどまでに一つ一つの出来がずば抜けている。そして、シングルプレイが面白いゴルフゲームという新たな手応えに満ち溢れているのだ。

操作性に関しても元々、完成度の高いファミコンの『ゴルフ』から継承されたものを採用しているだけにある抜群の出来栄え。レスポンスも良好で、気持ちいいショット操作を堪能できる。RPGの移動周りの操作も良好で、ダッシュボタンの実装など、痒い所に手の届く仕上がりになっているのも見事だ。
ボリュームも丁度いい量。さすがにコース総数はロクヨン版より少ないが、そこを豊富なサブイベントとチャンピオンとのマッチプレイなどのやり込み要素がカバーしているので、遊び応えは十分。ロクヨン版と変わらぬ満足感を得られる。
グラフィックもカラー専用だけに鮮やか。特にゴルフコースにてその真価が発揮されており、対応ソフトでは決して表現できない美しいドット絵の芸術を堪能できる。コースのみならず、オープニングのデモシーンにおいても専用ソフトだからこその真価が発揮されている。大きく表示されるキャラクター、ダイナミックなカット割りはいずれも要チェックだ。
対し、音楽は『マリオゴルフ64』のアレンジが主体な為、新鮮味は薄い。しかし、アレンジ具合は総じて良好。マリオシリーズの懐かしの曲がとある場面でアレンジされて登場するなど、ファンサービスも充実しており、侮れない仕上がりだ。

初心者プレイヤーに対する救済処置も充実。ゲーム序盤における丁寧な解説、ゴルフ用語辞典など、豊富なヘルプが設けられており、ゴルフ初心者でも快適に遊べる作りとなっている。また、ロクヨン版の『マリオゴルフ64』の連動も本編で獲得した経験値の継承のほか、ロクヨン版のコースのやり込み具合が確認できるようになるなど、地味に便利な特典が用意されているのも見逃せないところだ。
RPGという事で、例によってストーリーもあるが、その中身は正直、あってないようなものなので、それほど期待してはならない。更に台詞回しも何処か奇妙で、違和感を抱かせる作り。正直、この部分の出来は甘いと言わざるを得ない。それ以外にも4人のゴルファー内、男性二人はキャラクターデザイン的に愛着が湧き難いのも残念。ただ、ゲーム自体がよく出来ているのもあり、それほど気にならないレベルなのはせめてもの救いではある。
少し至らぬ所も散見されるが、ゴルフゲームとしての完成度と新しさはピカイチ。ゲームボーイで本格的なゴルフを遊べる魅力、そしてRPG要素が醸し出す中毒性の高さと、シングルプレイの面白さと新たなゲーム性演出へのこだわりが光るこの『マリオゴルフGB』。ロクヨン版の『マリオゴルフ64』とセットでお薦めの傑作だ。RPGとゴルフの奇跡の融合、そして絶妙なバランスで構築された中毒性抜群の育成要素はいずれも必見。ゴルフ好き、マリオ好きの方ならば是非、機会があったらプレイしてみて欲しい。大変お薦めの逸品です。
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