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  4. スーパーマリオランド
≫スーパーマリオランド
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 ゲームボーイ版:2625円(税込)
バーチャルコンソール版(3DS):400円(税込)
■公式サイト ≫ゲームボーイ版 / ≫VC版(3DS)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 1〜2時間
ある所にピラフト王国、ミューダ王国、イーストン王国、チャイ王国の4つの国からなる、『サラサ・ランド』と呼ばれる平和な世界があった。そんな平和な世界にサラサ・ランドの征服を目論む正体不明の宇宙怪人、タタンガが襲来。各王国の住民達に宇宙催眠をかけ、自分の思うがままに彼らを操って、サラサ・ランドを乗っ取ってしまった。
更にタタンガはサラサ・ランドのデイジー姫を奪い、近々自分の后にするという。

それを知ったマリオは、デイジー姫を救出する為にサラサ・ランドへと向かう。
果たして、マリオはタタンガの野望を打ち砕き、彼女を救い出せるのか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆数は少ないが、その分、取っ付き易さと分かり易さは突出したマリオのアクション
◆初代スーパーマリオテイストの一本道構成で展開する、分かり易いゲーム本編
◆ボールを投げてコインを回収する能力で笑わせてくれる、今作独自の新変身アクション『スーパーボールマリオ』
◆アクションあり、シューティングありのバラエティー豊かな全4ワールド12コース
◆敵配置と攻撃が大人しく、初心者も安心してプレイできる作りが素晴らしい、シリーズ初のシューティングコース
◆これまでのマリオとは異なる、世界各地を模した現実味溢れる世界観
◆ロボットにハエ、更にはキョンシーなど、マリオにしてはマニアック過ぎる個性的な敵キャラクター達
◆マリオシリーズ伝統の取っ付き易さに秀でた直感的な操作性
◆適度に手強くて優しい、マリオらしい程好いゲームバランス
◆ボーナスステージによる残機大量アップチャンスに大量のコイン配置と、地味ながらアクションゲーム初心者を意識した救済処置の数々
◆クリア後に用意された高難易度の裏面など、アフターフォロー万全のやり込み要素
◆名曲揃いの音楽(特にワールド4の地上面の曲は秀逸)
◆ラスボス撃破演出など、マリオらしからぬ迫力に秀でたエフェクト系の演出
◆何故か『天国と地獄』がテーマ曲の無敵マリオ(スーパースターマリオ)

--- Bad Point ---
◆密度は濃いが、量としては乏しい感も否めない総計ボリューム
◆小さ過ぎて見難いグラフィック(主にキャラクターのドット絵)
◆イチイチ冗長な各ワールドクリア時のデモシーン(省略できた方が良かった)
◆本編マリオと多少異なるジャンプ挙動(ジャンプ後に十字キー入力を受け付けないなど、やや固いところがある)
◆決まってブロックから飛び出す為、地味に取り難いスーパーキノコ(1UPハートもまた然り。)
▼Review ≪Last Update : 12/27/2009≫
今度のマリオはシューティング!

今度の敵は宇宙人!


1989年4月20日に満を持して発売された任天堂初の携帯ゲーム機、『ゲームボーイ』と同時発売されたマリオシリーズ最新作にして外伝的作品。開発はゲームボーイ本体の設計に携わった横井軍平氏率いるチームが手掛けた。

マリオシリーズ屈指の多彩なゲーム展開が光る、ゲームボーイ初期の名作だ。

ゲーム内容は横スクロールのステージクリア型アクション。マリオを操り、宇宙怪人タタンガが待ち受ける最終ステージ目指して全4ワールド12ものコースを攻略していくというものだ。
システム周りは1つのワールドが3つのコースで確立、3コース目のラストにはボス戦があるなど、ファミコンの初代『スーパーマリオブラザーズ』を踏襲。全体マップやアイテムウィンドウなど、『スーパーマリオブラザーズ3』にて初採用されたシステムも無い、原点回帰を図った作りとなっている。ただ、基本システムは初代を踏襲しているが、細かな面においては新しい要素やゲームボーイならではのアレンジが加えられている。
まずマリオのアクション周りだが、今作ではゲームボーイの液晶の性質(素早いスクロールが発生すると残像が表示され、視認性が落ちる点)を考慮し、甲羅を蹴る、持つと言った敵や物を利用したアクションを廃止。シンプルなジャンプアクションとしてのマリオに特化した作りとされている。ハードの制約上、止む無い処置なのだが、色々と多彩なアクションができた本編と比べてしまうと、さすがに見劣りする感は否めない格好だ。ただ、少ない分、アクション自体の取っ付き易さと分かり易さは群を抜いており、これまで以上に直感的なプレイが楽しめるのは大きな強み。さすがに今のマリオはできることが多過ぎて戸惑うよな、と思うプレイヤーにしてみれば、今作の分かり易さはこの上ないものと言えるだろう。制約上の逆手を取った、独自の魅力が発揮されている。 また、マリオと言えば変身アクションだが、これにも新たな種類のものが追加されている。その名も『スーパーボールマリオ』。文字通り『スーパーボール』を放つ、攻撃アクションが可能となる変身だ。実は今作にはシリーズお馴染みの『ファイヤーマリオ』が無く、これがその代わりを務めている。単純にファイヤーボールがスーパーボールになっただけにしか見えないが、ボールが一発しか放てない、壁や床にぶつかるとバウンドするなど、性質は大分異なる。更にこのボールをコインにぶつけるとそれを回収するという、驚きの特殊能力まで持っており、サポートアイテムとしての活躍も見せてくれる。単純に攻撃専門だったファイヤーボールとは、えらい違いである。ただ、連射できない為に隙も多く、やや使い勝手に癖がある点ではファイヤーボールに劣る。敵にぶつけるにしても、放つ方向が斜め下なので、最初はその角度を調整するのに色々と悩まされる。しかし、攻撃からサポートまで幅広く活躍する、その能力は実に面白い。そして、画面内を縦横無尽にバウンドする光景も本編のマリオシリーズには無い、新鮮な雰囲気を醸し出している。 癖はあるけど、能力のインパクトは結構なもの。始めは戸惑うが、使いこなせるようになれば、なかなか奥深いテクニックの妙が味わえる。独自の面白さに秀でたアクションなので、要チェックだ。
更にこの他にも、本編でプレイすることになるステージにアクション以外のものとして、シリーズ初のシューティングステージがあったり、アイテムのラインナップが多少異なったりなど、新要素や独自の工夫が凝らされている。
特にシューティングステージは今作最大の見所で、マリオが潜水艦や飛行機に乗って、迫り来る敵を撃墜していく様は単に見ているだけでも楽しい。シューティング独特の大量の敵を倒す爽快感もきちんとしているだけでなく、アクションとセットでシューティングも楽しめる、その一粒で二度美味しい贅沢さもまた、今作の独自性を強調する要素と言える。
作り自体は初代を踏襲しながらも、その初代で見受けられなかったようなアクションやステージと言った新要素が充実。パッと見はマリオのゲームとして王道だが、中身はチャレンジ精神旺盛。ある意味、本編以上に冒険しているのでは?と思ってしまうほど、並々ならぬ気合いが入った、マリオのゲームに仕上げられている。

その本編以上に冒険している「気合い」の数々こそが、今作最大の売り。アクションだけで終わらせず、間にシューティングステージを挟んだりするなど、とにかく、新しいマリオシリーズを作ろうとする意気込みが半端じゃない。特にアクションとシューティングを交互に挟みながらの展開の目まぐるしさは、今日のマリオシリーズの中でも指折りのクオリティだ。
目玉であるシューティング自体、全12コース中2つと少ないが、それでもマリオ初の試みなだけに個々のインパクトは凄まじく、「マリオはアクションだけじゃない」という、強いメッセージを感じ取れる仕上がりになっているのが印象深い。アクションだろうが、シューティングだろうがこなしてしまうその様は、さすがはミスタービデオゲームだけにあると言ったところ。テニスの審判までやった経験のある、マリオの凄味が如何なく発揮されている。
そして件のシューティングステージにしても、敵配置が良い意味で大人しく、それでいて敵を連続して撃墜する爽快感にこだわった調整が図られているのが秀逸。一般のシューティングゲームのような不意打ち、覚えゲー的な一面も 皆無で、全ての敵からボスまで、初見で落ち着いて対応できる辺りに人を選ばないマリオらしさが発揮されていて見事だ。シューティング嫌いのプレイヤーにそっぽを向かれないよう、嫌われ易い要素を廃し、遊び易さを重視させたその作りの深さは、他のシューティングゲームも見習って欲しいぐらい。実質、おまけに過ぎないが、今作はその遊び易さもあってか、シューティングゲーム初心者には申し分の無い入門編ソフトと言っても過言では無いだろう。
そして、起伏の激しさも相当なもの。シューティングステージの個性も相当なものだが、アクションステージの個性も負けず劣らずで、沢山の骨の魚が飛び交う場所あり、落石に飛び乗って突破するトゲだらけの地帯ありと、これまでのマリオでは見受けられなかった光景の数々が画面いっぱいに繰り広げられる。
各ステージで待ち受ける敵も頭を飛ばしてくるロボットや羽根の生えたモアイなど、無駄に個性豊か。明らかにこれまでのマリオとは違う、その敵のデザインもまた、新しいマリオとしての面白さに満ち溢れている。
しかし、それ以上に注目なのは今作のワールドごとの世界観だ。
これまでのファンタジックな世界観から一変、実在する世界各地を模した現代的な世界観となり、いつにも増して「身近な空気」が強めにされている。ベースとなった場所もエジプトだったり中国だったりと、これはマリオなのか?とツッコミたくなる何でもありな姿勢が炸裂しているのが愉快だ。しかも、中国のワールドでは「キョンシー」が敵として出てきたり、今の時代から考えれば、無駄にマニアックなネタまで凝らされてる始末。
ファンタジーからはかけ離れた世界を舞台に展開する、そんな何でもありな様もまた、今作の目まぐるしさの象徴と言ってもおかしくはないだろう。そして、そんな世界が舞台故に進める度に新たな発見も盛り沢山。
只でさえ、全体のステージ構成も目まぐるしいのに、世界観まで目まぐるしくしてしまうその徹底振りも、新たなマリオを創造する為のこだわりか。本当、何処まで冒険する気満々なんだと、言いたくなるほどだ。
ただ、これほど魅力的な世界観とアイディアが満載なのに12コースしかないのは寂しいところ。容量的な問題なのかもしれないが、せめてあと4コースぐらい追加したりなど、それなりのボリュームアップを図って欲しかったところである。ここまで強烈なものを作りながら、この量はちょっと勿体無い。だが、世界観などが魅力的である恩恵もあり、短めながら満足度は結構なもの。それに、ファミコンの本編とは一線を欠く目まぐるしさとアイディアの数々も、独自の味を醸し出していて、単に触れるだけでも楽しい。
あえて初代のスタンダードに乗らず、独自の味付けで新たなマリオを創造しようとした冒険心は特筆に値する。物足りなさもあるけど、新たなマリオを目指した意味において、今作は見事な成功を治めた作品と言えるだろう。

その他、操作性からバランスと言った点も及第点の域。操作性は挙動が初代などと異なり、ジャンプ後に十字キーの入力を受け付けないという独自の癖があるが、概ね直感的に動かせる作り。マリオらしい、動かす楽しさはきちんと活きたものに仕上げられている。
バランスも敵の攻撃がやや激しいが、難し過ぎず優し過ぎずの任天堂らしい職人技が光る。物足りない人向けの高難易度モードも用意されているなど、アフターフォローもバッチリだ。
また、グラフィックは初代を髣髴させる懐かしい画風で描かれており、ここもまた、システムと同様の原点回帰が図られている。しかし、初代の画面構成をゲームボーイの液晶で無理矢理表現したような様の為、個々のグラフィックが小さくて見難いのがタマにキズ。初代の再現を目指した心意義は買うが、見難さが際立っていてはどうしようもない。できればある程度、拡大するなりの工夫を取って欲しかった。ただ、エフェクト周りの演出は頑張っていて、ラスボス撃破の演出とかはマリオらしからぬ迫力に秀でているのが印象的だ。そこはある意味、必見である。
そして音楽だが、これは正直言って凄い。特に地上面BGM、ワールド4の地上面BGMの二曲はシリーズ屈指の名曲と言っても良いほど。その強烈な旋律には、ちょっと圧倒されてしまうかもしれない。何気に作曲担当が、MOTHER2で知られる田中宏和氏(現:たなかひろかず氏)なのも驚き。ある意味、今作が名曲揃いなのもこれでは納得と言えるだろう。

他にも、再プレイ欲を刺激させるボーナスゲームが仕込まれた独特のゴール設計、妙な嫌らしさに富んだワールドクリア時のデモシーンなど、見所は多い。
ゲームボーイ初期のタイトルなだけに、ボリュームなどでこなれて無いところも目立ちはするが、完成度は結構なもの。マリオのゲームとしても、世界観からステージ構成(レベルデザイン)に至るまで、新しいチャレンジが満載で、ゲームボーイならではのマリオの味わいに富んでいるのが素晴らしい。少し、ボリューム的には少ないが、秀逸なレベルデザインと様々な新しいアイディアで確かな満足感を与えてくれるこの『スーパーマリオランド』。
マリオシリーズファンは勿論の事、ゲームボーイを持ってるユーザーなら要プレイの名作だ。キョンシーなどのマニアック過ぎるネタもあるけど、面白さは抜群。オススメです。
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