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  4. スーパーマリオランド3 ワリオランド
≫スーパーマリオランド3 ワリオランド
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 5〜6時間(エンディング目的)、8〜9時間(完全攻略目的)
自分のお城欲しさに、幼馴染であるマリオの城を奪い取ったワリオ。
しかし、結果的にマリオの猛反撃を受け、城は奪還されてしまった。

だが、ワリオは懲りてなかった。それどころか、マリオに負けた事で、ますます自分の城が欲しくなってしまったのだった。そして、何か他に城を手に入れる方法は無いかと考えていた中、ワリオはふとある噂を思い出す。
その噂とは、巨大な黄金像が海賊に盗まれたというもので、その黄金像をマリオが取り戻そうと探しているという話だった。そこでワリオは思いついた。海賊ならば宝やコインを沢山持ってる、それを横取りすれば簡単に城を手に入れる事ができる…!と。そうと決めたワリオは早速、意気揚々と海賊達のアジト目指して出発した。

だが、その黄金像を奪った海賊『ブラックシュガー団』は、キャプテンシロップを中心とする海賊の中でも1・2を争う荒くれ者達の集まり。そんな海賊達からワリオは宝を横取りできるのか?
そして、念願の自分の城を手に入れる事ができるのだろうか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆体当たり、所持コインを投げるなど、パワフルで豪快なアクションの数々
◆ワリオの豪快さを表現し尽くした、豪快な変身アクション(地震を起こしたり、火炎放射を放ったりと豪快)
◆宝物集め、マルチエンディング、隠しコースと前作以上にボリュームアップしたやり込み要素の数々(探索要素も強化)
◆取っ付き易く、そしてマリオとは異なる独特の重量感が異彩を放つ操作性
◆コース総数が40に増大し、前作以上にやり応えが増した総計ボリューム
◆ワリオ独自のアクションを活かし切る丁寧なレベルデザインが成されたコース構成
◆迫り来るマグマ、敵を利用して進む部屋など、より派手になった各コースの仕掛け
◆敵に触れても簡単に倒れないワリオの強さで多少温くなりつつも、仕掛けの厳しさで確かな歯応えを演出し切ってる絶妙なゲームバランス
◆前作譲りの大き目のドット絵を起用した、見易さ抜群のグラフィック
◆マリオとはテイストの異なる悪っぽさを引き立てる旋律が印象深い音楽
◆画面半分を覆い尽くす大型のボス、ラスター処理など、前作より更に派手になった演出
◆マリオとは毛色の異なる、濃い目のデザインが印象的な敵キャラクター達(ボスも含む)
◆寂しいものからぶっ飛び過ぎなものまで、多彩なバリエーションが用意されたエンディング

--- Bad Point ---
◆遅いワリオの移動速度(ジェットワリオの移動速度がデフォルトだと良かった)
◆一部を除き、たったの一度しか楽しめないボス戦
◆『シャーベッ島』⇔『ポット山』の全体マップでの行き来の煩わしさ(ポット山の内部マップを経由しなければならない。)
◆弱過ぎるワールド2『ポット山』のボス・ビーフン(瞬殺可能)
◆セーブファイル選択までの地味な長さ(選択までに子芝居を見なければならない)
◆完全一本道進行と、圧倒的な自由度を誇った前作から後退した感も否めないゲームシステム
▼Review ≪Last Update : 8/29/2010≫
オレ様の時代の始まりだ!

任天堂屈指のワイルドヒーロー、満を持して降臨!


スーパーマリオランド2 6つの金貨』で登場した新キャラクターにして最終ボス・ワリオを主人公に抜擢した、スーパーマリオランドシリーズ衝撃の第三弾。開発はこれまでと同様、横井軍平氏率いる任天堂開発一部が担当。

まさかの主役交代!
マリオの逆路線を突き詰めた、パワフルアクション満載の異色の続編だ。

ゲーム内容はこれまでのシリーズと同様、横スクロールのステージクリア型アクションゲームだ。しかし、先述の通りだが、今作でプレイヤーが操るキャラは、前作のラスボスだったワリオ。『スーパーマリオランド』なのにマリオは今回、プレイヤーキャラとして登場せず、代わりにワリオを操ってゲームを進めていく。まさかまさかの主役交代である。
例によって、主役がワリオに代わったという事で、アクション全般も刷新。ジャンプ、敵の踏み付けなどの基本アクションはマリオを踏襲しつつ、攻撃周りにワリオの体格を活かした『体当たり』なる新しいアクションが追加されている。その名の通り、タックル攻撃で敵を吹っ飛ばすという、豪快なアクションだ。
今作では、このアクションを使って敵を倒したり、障害物を破壊したりする、過去のシリーズで見た事のないシチュエーションを豊富に収録。乱暴で容赦のない、問題児ぶり全開のゲームプレイが楽しめる作りとなっている。さながらその感覚は、悪役レスラーを動かすも同然。優等生なマリオを操る事に徹してきたシリーズとしては、まさにビックリ仰天の変わりっぷりである。もはや、別物と言ってもおかしくない。
更に体当たりだけではない。ワリオ自体の性能もマリオとの違いが如実に現れている。何と言っても『強い』。雑魚敵に触れても、マリオのように弱体化しないどころか跳ね返してしまうし(※武器を持った敵は別)、攻撃手段も体当たり以外に所持コインを投げるなど、やたら豊富。マリオに倣い、変身アクションもあるのだが、それも実にパワフル。フィールド全体に地震起こす『ブルワリオ』、火炎放射攻撃が可能になる『ドラゴンワリオ』、そして助走無しで空を飛べるだけでなく、攻撃判定まで持った『ジェットワリオ』など、いずれもワリオの問題児っぷりを露骨に表した性能を持ったものしかない。そして、それらのアクションを駆使して雑魚敵達を虐げる…もとい、翻弄させる圧倒的な爽快感。ホントに「強い」以外に彼の特徴を言い表す言葉は見つからない。とにかく、全てにおいて問題児過ぎるのである。
とは言え、強いからと言って終始、無敵という訳ではない。敵の持つ武器に触れると弱体化してしまうし、マグマとかも平気ではない。それに攻撃が強い反面、移動が遅い(※ジェットワリオ時は除く)という欠点もあり、マリオのようなスピーディなアクションに弱い一面もある。強い、強いとは言え、パワフルキャラなりの扱い難さもきちんと残された能力調整となっているのである。だが、それでも飛び抜けて使い難い訳でなく、基本的にはマリオと変わらぬ動かす楽しさに秀でている。アクションの趣は確かに全く違うが、人を選ばぬ点は相変わらずなので、その点はよく分かった作りになっている。主役交代で別物になったとは言え、あくまでもマリオランドシリーズの続編。その伝統は今回も健在である。
ただ、システム周りは若干ながら退化。基本は前作をベースとしたワールドマップ攻略方式なのだが、プレイヤーの好き勝手にワールド攻略が楽しめたフリースタイルが廃止。伝統的な一本道構成になってしまっている。その為、今回は好き勝手なワールド攻略が楽しめない。好き勝手に楽しめるシステムに惚れたプレイヤーにしてみれば、この変更は正直な所、劣化だと言わざるを得ないだろう。
しかし反面、アクションは強化されているので、今回はそちらに力を注いだが故の結果だったのかもしれない。実際、アクション強化で攻略の自由度は格段にアップしているので、システムはあえて犠牲になったのだろう。とは言え、そんな退化したのはあくまでも魅力だけで、歴史ある伝統的なスタイルというだけに、普通に遊べる作り。自由度の低下は嘆かわしいが、それでゲーム性に支障が生じてる訳でも無いので心配はご無用だ。あくまでも、今回はアクションが最優先。伝統は少し残しつつ、主役交代を意識したならではの作り込みが成された内容に仕上げられている。

例によって、作品としての売りは、ワリオのアクションに絞られる。
優等生なマリオでは絶対に真似できない、それ以前にこんな事をマリオにさせたら、生みの親である任天堂の宮本茂氏が激怒するも必至なアクションが堪能できるのは、大きな魅力。まさに、「悪いマリオ」ことワリオさまさまである。
特に秀逸なのは、操作感も含めてきちんとワリオならではの味を演出している事だ。正直、ワリオはマリオと違って動きは鈍いし、ジャンプ力もマリオより遥かに劣っている。元々、ワリオは体格がマリオよりも大きめで、重量級のイメージが強い故、そんな鈍さを出すのは必然の調整。重いキャラなのだから、操作感も違うものにするのは普通の行為である。でも、今作が上手いのは、そうやって単に「鈍いマリオ」として終わらせてないこと。重量級なりの強さ、アクションの爽快感、そしてワリオなりの乱暴な性格などの特徴も含め、余す事無く操作感へと反映させているのである。
更にステージ上の敵の強さと配置、仕掛けにしても、ワリオならではの売りを引き立てる配慮を徹底。ワリオならやって当然な事を仕込んで、これは「ワリオ」だとしかプレイヤーに認識させないようにしている。体当たりするにしても、敵を倒すにしても、そこにいるのは鈍くなったマリオじゃなくて、ワリオそのもの。ワリオなら、やって当然な事しか、画面内では繰り広げられない。マリオがやらないようなことが目の前で繰り広げられる。そう言った、性格を如実に現した配慮と調整が今作、もの凄くしっかりしている。まさに唯一無二のワリオを描いているのである。この手のキャラの性格を操作感へと反映させる手法は任天堂のお家芸で、その代表作として『スーパーマリオUSA』があるが、今作はそれを遥かに超越する操作感を作り上げたと言っても、不思議ではないだろう。どのアクションにしても、ワリオらしい問題児っぷりがあり、ワリオでしかできない楽しさがある。単に身体的特徴だけでなく、性格まで操作感やアクションへと反映させてしまっているのだから、これがどれほど突出したものなのかは、もはや語るまでも無い。完璧と言うに等しいキャラクター性が、今作では見事に演出されているのである。ある意味、スタッフのワリオに対する愛が成せた技なのかもしれないが、それにしてもこの入れ込みぶりには圧倒される。職人技にも程がある。
また、ワリオを感じられる為のものとして、敵のラインナップやステージの仕掛けやロケーションにしても、そんな工夫が徹底されている。前者は凶器を取り扱う敵、無駄に濃い顔をしたボスなど、デザインからしてマリオとの相違が如実に現れてるし、後者に至ってはワリオの執念深さを現すかの如く、山、谷、海、氷山などと、何でも詰め込む姿勢がらしさを大いに煽る。アイテムにしても、ワリオのパワーアップはキノコじゃなくてニンニクであるなどと、豪快さが現れているし、『宝物探し』と言った彼だからこそ導入された遊びが楽しめるのも実に魅力的だ。
ステージの作りも凝っている。ロケーションは前作と比べると大人しくなった感があるが、新たにとあるコースをクリアする事で、地形に変化が及ぶという大胆な仕掛けが設けられ、コース一つ一つの奥行きが増している。水位が下がったり、コースが別物になってしまったりなど、その変化も様々で、宝物探しの要素と並行し、プレイヤーの探究心を煽る。同時にゲームボーイにしてはなかなかの仰々しさもあって、こう言った軽々と表現を導入してしまう辺りにスタッフの成熟ぶりをうかがい知れる。ロケーションのインパクトは正直、前作に劣りはするが、それらの変化による驚きはかなりのもの。まるで生きているかのような世界の作りは、プレイヤーを最後まで退屈させないだろう。性格まで露骨に反映させられた操作感にアクション、そしてステージ構成などの細かな配慮と言い、ワリオらしさへのこだわりは尋常でない。一方、重量級のキャラクター故の操作感の鈍さもあり、それがシリーズとしては珍しい欠点にもなってしまっているが、それすら豪快なアクションとワリオならではの味で隠してしまっている辺りもまた、容赦の無い彼らしさがあるから驚かされる。
マリオランドを名乗るが故の安定したバランスも大事だけど、それ以上に新しさを優先する。正直、マリオランドの正当進化系というには難しいものがある。しかし、シリーズとしてのマンネリを打破する為、そして新たな流れとヒーローを誕生させる為、今作が執り行った試みの数々は、大きな評価に値するものだと言っても何らおかしくは無いだろう。まさに、オンリーワンの傑作。今作にはそんな肩書きが相応しい。

その他、全体のゲームバランスも、前作の自由度による職人的な調整という魅力こそ無くなったものの、相変わらずの安定ぶり。優し過ぎず、難し過ぎずの丁度良いレベルにまとめられている。
また、今回はワリオの強さを反映してか、イージーモードを廃止。廃止された為に、難しくなったのかと懸念するかもしれないが、実際はそんなのいる必要もないほど、難易度が改善されたということの表れ。今回はアクションが本当に苦手な人でも大丈夫なくらい、通常難易度が優しくて、適度に歯応えのあるものになってるので、全く人を選ばない。ワリオだから人を選ぶなんて思ったら大間違い。実は結構、良い人なんです。
また、全体のボリュームも前作以上にパワーアップ。コース総数は40、更に宝箱探しのやり込みが加わった上、集めたコインの総数によってエンディングが変化するマルチエンディング制も導入され、よりやり甲斐のあるものに。シリーズとしては、最高クラスの満足度が得られる内容に仕上げられているので、やり込み派もバッチリだ。
グラフィックも大幅にパワーアップ。前作では見られなかった大型のボスキャラが登場したりと、演出面も合わせて大幅な強化が図られている。一方で音楽はややパワーダウン。ボス戦全般、マグマステージなど名曲もあるが、前作までと比べると少し、大人しくなった感は否めない。だがワリオならではとも言える、少し悪びれた曲調(?)は実に印象的だ。

オートセーブ機能、コース番号表示などのサポートも万全、ちょっとした出演を果たすマリオ、愛らしいリアクションをするワリオなどの小ネタなど、他にも魅力は多い。
マリオランドとしてはかなり異色の作りである。前作のようなストレートなジャンプアクションを楽しみたいクチには賛否が分かれるかもしれない。しかし、アクションゲームとしての完成度は高く、ワリオだからこそ実現した数々のパワフルアクションに凝りに凝ったステージの仕掛けなどは、見逃せないものがある。唯一無二のワリオのゲームとして完成されている、この『スーパーマリオランド3 ワリオランド』。
初心者から上級者、アクションゲームが好きなユーザーにまで幅広くお薦めできる名作である。マリオじゃ到底真似できない、ワイルドヒーロー・ワリオならではのアクションの数々を是非、その手で体験してみて欲しい。お薦めです。
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