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  4. メトロイドII RETURN OF SAMUS
≫メトロイドII RETURN OF SAMUS
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 ゲームボーイ版:3570円(税込)
バーチャルコンソール版:400円(税込)
■公式サイト ≫ゲームボーイ版 / ≫VC版(3DS)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 ニンテンドウパワー版所持の為、不明(≫VC版の説明書はこちら ※PDF注意
■推定クリア時間 2〜8時間
20X5年、銀河連邦の調査隊により惑星『SR388』で未知の生物、『メトロイド』が発見された。だが、それを採取した調査隊が乗る船は、惑星ゼーベスを拠点とする宇宙海賊達の奇襲に遭い、壊滅。メトロイドも彼らの手に渡ってしまった。
後に銀河連邦軍の依頼を受けたバウンティハンター、サムス・アランによって宇宙海賊は殲滅。
更に彼らの手によって増殖を遂げていたメトロイド、及びゼーベスの要塞中枢にして宇宙海賊を統率していたマザーブレインをも破壊、その野望を打ち砕くに至った。

一連の事件を重く見た銀河連邦は調査隊を再度、SR388へと派遣。前回の調査で発見されていないメトロイドの存在を確かめようとした。
だが数日後、SR388の地底を調べに向かった調査隊が失踪したとの緊急連絡が入る。更に救助に向かった部隊まで、失踪してしまったというのだ。それを受け、銀河連邦は武装兵士で構成される特殊部隊をSR388へと派遣。だが、彼らも僅かな資料を送ってきただけで消息を絶ってしまった。

やがて、銀河連邦は特殊部隊より送られた資料を調べていくにつれ、メトロイドがSR388の地底深くで活動をしているという実態を掴む。この噂は瞬く間に広がり、再びメトロイドの恐怖が銀河全体を包み込む。
連邦は緊急最高会議を開き、結論を急いだ。

出席した全員の考えは一つ、サムス・アランによるメトロイド絶滅指令だった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆メトロイドの殲滅という明確な目的が設定された事により、進め易さと分かり易さが飛躍的に向上したゲームデザイン
◆意地悪な隠し通路が軒並み削られ、純粋に探索を楽しめるようになったマップ構成
◆酸の池の水位を下げ、進んで行くストーリー設定と自然にリンクしたガイド機能とシンプルな目的を思わせない起伏に富んだ構成が光るレベルデザイン
◆前作とは異なる緊張感と恐怖感に秀でたメトロイドとの戦闘
◆新たなアイテムの追加により、前作以上に多彩且つ個性的になったサムスのアクション
◆探索のし易さと面白さを引き立てる、セーブポイント&エネルギー補給ポイントの追加
◆高めながらも必要以上に難しくし過ぎない絶妙さじ加減が光るゲームバランス(終盤を除く)
◆アクションの挙動改善により、動かす面白さを存分に堪能できるようになった秀逸な操作性
◆長過ぎず短過ぎず、かと言って薄味であらずの密度の濃さが見事な総計ボリューム
◆前作譲りのタイムアタックのやり込みの面白さ(例の特典も健在)
◆サムスの頭身が伸びたり、敵のデザインが生々しくなるなど、元のイラストに忠実な作風に改められたグラフィック
◆静か過ぎて逆に恐怖感を煽る、雰囲気満点の音楽(地底が舞台という設定にもマッチしている)
◆表現面の乏しさを逆手に取って作り上げた恐怖演出の数々(メトロイド登場時の演出は必見)
◆演出も含め、非常に印象深いものに仕上げられたエンディング

--- Bad Point ---
◆容量の都合とは言え、いちいち該当アイテムを探して取得し、切り替える煩わしい仕様のビームチェンジシステム
◆普通に戦えば膨大なミサイルが必須となるラスボス戦(致命的な一撃を加える必勝法があるのだが、それが初見では非常に分かり難い)
◆途端に難易度が上昇するガンマ以降のメトロイド戦(動きの癖が強い)
◆オートマッピング機能非搭載(一応、無くても何とかなる難易度)
▼Review ≪Last Update : 5/12/2013≫
脱皮に次ぐ脱皮を目撃した末に…

運命の出会いが待っていた…!?


ファミコンディスクシステム用ソフトとして1986年8月に発売され、任天堂らしからぬダークな世界観、歯応えのある難易度で多くのマニアを唸らせた傑作探索型アクションゲーム『メトロイド』、5年半ぶりとなる続編。前作から打って変わり、携帯機向けタイトルとして発売された。

ハード制約による、圧倒的な恐怖感が異彩を放つ珠玉の傑作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、探索型アクションゲーム。主人公のサムス・アランを操作し、舞台となる惑星『SR388』の地底世界を探索し、そこに巣食う浮遊生命体『メトロイド』の全滅を目指すというものだ。
システム周りは、ファミコンディスクシステムで発売された『メトロイド』を踏襲。通常ショットとミサイルの二つを使い分ける攻撃システム、アイテム習得によって拡張されていくプレイヤーアクション、広大なマップの探索に重きを置いた本編などはそのまま継承されている。但し、本編の展開及び目的は大幅に刷新。メトロイド探しとその始末を主な目的とした、一本道構成に改められている。前作は広大なマップを駆け回り、惑星中枢部を目指すという自由度の高い構成で、好き勝手に探索を行う事ができたが、今作では行ける範囲を絞るマップデザインが施され、行動範囲が縮小。ある程度、自由度に制限がかけられた構成になった。一応、広大なマップを探索するゲーム性に変化はないが、行動範囲縮小によって好き勝手な行動は取り難くなっている。自由度の高さに魅力を感じてた前作経験者にとっては、ちょっと残念な刷新と言えるだろう。ただ、これにより、前作以上に何を目指せば良いのかという目的がはっきり示されるようになり、迷い難さが大幅に緩和。自由度が高いのは良いが、何処に行ったら分からない敷居の高い部分が無くなった事により、非常に遊び易い内容へと進歩を遂げている。
また、本編の展開の仕組みもとても分かり易い。先の通り、今回はメトロイドの殲滅が主な目的で、マップ内に潜むメトロイドを探して倒していく事でゲームが進んでいくようになっている。メトロイドは全部で38匹。うち、エリアごとに数匹が隠れていて、それらを全て倒すと地震が発生し、エリア内にある『酸の池(ダメージ池)』の水位が低下。その下に続く道が現れ、次のエリアへと行けるようになる。つまり、今回はエリアごとに巣食うメトロイドを全て倒し、『酸の池』の水位を下げる事に徹するだけで普通に本編を進めていける。惑星中枢を目指すというアバウトな前作以上に目的がはっきりしており、何をすれば良いかで最後まで迷ったり、立ち止まったりする事が無い良心的な構成になっているのだ。
更に現在の進行状況が『残りメトロイドの数』で示されるので、本編がちゃんと進んでいるのか否か心配になる事も無し。そんなゲームが進んでいるという確かな手応えがしっかり感じ取れる配慮も万全。色んな人がマップをしらみ潰しに調べる楽しさを共有できる、そんなゲームデザインを目指したとされる作り込みが随所で成されていて、探索型でありながらも人を選ばない敷居の低さを実現している。自由度が下がった点では劣化したが、内容そのものは間違いなく進化。人を選ばぬメトロイドというに相応しいものに完成されている。
細かい所でマップデザインも無駄に長い通路や縦スクロール地帯、意地悪な抜け道が無くなった事で、探索のし易さが向上。更に途中セーブを行える『セーブポイント』も追加されたので、気軽にメトロイド探しに浸れるようになっている。そうも遊び易さを強化した事から、難易度的に温くなったのではとの不安も抱いてしまうかもしれないが、そこも心配ご無用。あくまでも遊び易くなっただけで、手応えのある難易度には大きな変化は無い。特にメトロイドの隠れ場所はかなり捻っていて、じっくり周囲を観察したり、アイテムを駆使しないと発見できないものも居たりするので、そう易々とは行かない。更にメトロイド自体も手強い。今回のメトロイドは『脱皮』を行い、強力な形態となってサムスに襲い掛かってくるのだ。しかも、本編が進めば進むほど、更なる脱皮をメトロイドは繰り返す。最終的には原型を留めないほどの不気味な容姿となり、倒すのも一苦労な強さに変貌を遂げてしまうほど。そんなのが38匹も出てくるのだから、どれほど手強いかどうかも容易に想像が付くだろう。その他、前作から引き継がれたアイテム探しもなかなかの手応え。隠し場所も捻りに捻っているので、十分過ぎるほどの達成感と満足感を堪能できる。
内容的に前作から大きく変化したが、探索する楽しさと侮り難し難易度は健在。それがより遊び易く改良された事で、誰もが同じ体験を共有できる作りへと進歩を遂げている。ハードスペック的にはグレードダウンしているが、中身は確実にパワーアップ。素晴らしい進化と欠点の改善を図った、正当進化系というに相応しい続編に仕上げられている。

そんな今作の魅力はストーリー設定と絶妙にリンクした、目的の分かり易い本編の構成だ。前作は『惑星の中枢を目指す』というそのアバウトな目的から、何処から進めても良いという自由度の高い構成で、それがゲーム自体の大きな魅力として高く評価された。しかし、逆に言えば中枢を目指すまでの過程が明確に示されないので、何処を目指して進めばいいのかが分かり難い構成でもあった。そして、そう言った構成であるが故、ゲーム全体に敷居の高い雰囲気が漂っていたのも否定できない。そこを今作は『メトロイドの殲滅』というストーリー設定を用いて改善を図った。万人受けするステージクリア型のシステムに改めると言った事をせず、前作の広大なマップを探索するゲーム性はそのままに、より遊び易い方向にアレンジを施したのである。
何と言っても、機能の追加とかではなく、ストーリー設定で改善を図ったというのが凄い。目的と世界観と上手く絡め合わせ、自然な形でプレイヤーを誘導させるマップデザインというものを実現させてしまっている。
特にその自然な誘導を演出する『酸の池』とその描き方は秀逸の一言に尽きる。トラップとしては非常に危険な類のものだが、これがある為にメトロイドを一通り倒した後に進む道ははここだ、という具合にプレイヤーを自然に誘導する要素として上手く機能している。何よりも、見ただけでその先に道があると分かるよう設計されているのが実に上手い。基本、どのエリアの酸の池もその下に道があるのが初見ですぐ分かるように描かれているので、嫌でもそこが次に進むべき道であるとプレイヤーに教えてくれるのである。更に酸の池があるからこそ、動くべき範囲というのも自然と限られてくるので、プレイヤーを迷わせない。このエリアだけを調べれば良いと、目的意識を引き締めさせてくれる。そして、エリア内でメトロイドを一定数撃破すると同時に地震が発生する演出も、プレイヤーを自然と酸の池へと導く演出として効果的に働いており、「ゲームが進む!」という希望と一定の目的が達成されたという確かな手応えを提供してくれる。
テンポ良く探索できるようにするのなら、次に進むべきルートを常時表示する矢印機能を実装するなど、他にも策はあったと思われる。しかし、それはそれで、まるでゲームを遊んでいるのではなく、やらされているかのような手応えが強くなってしまう。それに加えて、マップ内を隅々まで探索するという独特のゲーム性も損ねかねないので、雰囲気もぶち壊しとなりかねない。なるべく世界観の雰囲気を壊さず、且つプレイヤーを必要以上に迷わせない為にはどうすべきか。そう言った試行錯誤が実際にあったのかは不明だが、今作はストーリーを遊び易さを出す為の要素として活かした。露骨なシステムや機能を用いず、作品内の世界観を尊重した上でゲームとしての敷居を下げたというのは、実に驚くべき解決法だ。しかも、それがしっかりゲーム本編と融合し、作品全体の魅力を底上げしているのだから凄い。先にゲームから作られて、後からストーリーが足されたのだとしても、この説得力の高さと違和感の無さは特筆に値する。こんなにもゲームとストーリーが全く喧嘩することなく融合しているゲームデザインというのも、なかなか無いと言ってもいいだろう。このセンスには脱帽だ。そう目的が分かり易くなりながら、探索の面白さが何一つ損なわれてないのも凄い。先の繰り返しになるが、メトロイドの隠れ場所はかなり捻っており、そこを探し出すだけでも結構な時間を要されるようになっている。
マップ自体も行動範囲が縮小したとは言え、それなりに広く、ゲームボーイのゲームとは思えないボリューム感がある。また、初見では分かり難い抜け道と言った意地悪な地形も大幅に削減され、全体的なバランスも向上。加えて途中セーブができる『セーブポイント』も追加され、わざわざゲームオーバーになる必要は無くなった。この辺りは前作をやりこんだプレイヤーには非常に有り難い改善点だ。
更に能力を強化するアイテムを入手する事で、新たな道が開かれていくというパワーアップシステムは今作においた健在。それを活かした謎解きや隠しルートも豊富に用意されている。無論、続編という事で新しいアイテムも追加。壁に貼り付いて移動する『スパイダーボール』、連続ジャンプができるようになる『スペースジャンプ』など、前作以上に多彩なアクションができるようになっている。それらを駆使して、隠された道を次々と明かしていく快感も格別。前作で評価された要素も更に魅力的且つ、奥深いものへ進化を遂げている。
前作のディスクシステムより性能面で劣るハードに移行しながら、全く劣化していないどころか、逆に爆発的な進化を遂げてしまっているこの凄まじさ。それでいて、遊び易さにもこだわるなど、その隙の無い作り込みには圧倒されるものがある。まさにこれぞ究極進化系。ハンデを背負おうとも妥協せずに作り込む姿勢、そして全く嫌味を感じさせない方向でシステムの改善を図るという辺りには、開発スタッフのセンスの高さと今作に対する本気というものを痛感させられるばかりだ。とにかく、クオリティが桁違い。桁違いのセンスが炸裂した作品に完成されているのだ。

また、操作性もジャンプの挙動などが改められ、より軽快にサムスを動かせる爽快なものへと進化。キー配置も悪くなく、手に違和感なく馴染む作りになっている。
難易度もマップデザインの改善で意地悪なルートが無くなった事により、理不尽さが大幅に和らいだ。しかし、メトロイドとの戦闘はなかなかの難易度となっており、決して優しくなった訳ではない。如何にも高い難易度でプレイヤーに辛酸を舐めさせた作品の続編らしい、手強さ全開、やり甲斐抜群のバランスになっている。
ボリュームも前作と大差無いが、地形周りが多彩になったほか、エリアの数が増えた事によって充実感が大幅に向上している。また、前作で大きな話題を呼んだタイムアタックとおまけ要素も健在。今回も一定のタイムでクリアすると、例のおまけを見る事ができるので、腕に自信のある方はレッツ・チャレンジだ。
グラフィックもサムスの頭身が上がり、原画のイラストに忠実なものへと改められるなど、大幅に進化。音楽も前作以上に雰囲気重視の作風となり、中にはほとんど曲でないものがあったりと、随分と風変わりなものに改められている。しかし、それが逆に地底世界の不気味さを露骨なまでに描いており、ゲームボーイという携帯機の域を超えた圧倒的な空気感を演出している。無論、中には前作のようなタイプの音楽も収録。こちらの出来も良好なので、要チェックだ。

そして演出周りは芸術的の一言。特にメトロイドが醸し出す恐怖感は携帯ゲーム機という枠を超えた迫力がある。特に何も無い静かな部屋を進んでいたら、突然「デデデンッ!」という大きな音楽と共に現れた時の恐ろしさは強烈。そんな携帯機で怖いとか無いだろ、と侮っている方は実際に体験してみて欲しい。心臓が縮まる衝撃を受けることだろう。
メトロイドの戦闘に関し、特に後半に登場する上位種の強さと攻撃パターンに粗があるほか、最後に登場する親玉に至っては倒し方そのものが特殊で、気付かないと異常な長期戦を強いられる事になるなど、少し行き過ぎたところがあるのがタマにキズではあるが、ゲームボーイという下位機種としてのハンデを全く感じさせない完成度の高さは圧巻の一言。続編としても前作で問題となっていた部分の大半が改善され、より遊び易くなって人を選ばなくなっている。それでも全体的に難易度は高めだが、ストーリーとゲームが見事に融合したゲームデザイン、素晴らしく軽快なアクション、そして心臓に悪過ぎる恐怖感満点の演出等、携帯ゲーム機のゲームという枠を飛び抜けたクオリティを誇る今作。
前作をやり込んだプレイヤーは勿論のこと、アクションゲームが好きな方なら要プレイのゲームボーイ屈指の傑作だ。冒険と恐怖満載の地底世界を存分にご堪能あれ。かなりお薦め!
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