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≫ロックマンワールド4
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3675円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー方式)
■総説明書ページ数 ニンテンドウパワー版所持の為、不明
■推定クリア時間 4〜7時間
最新のロボットを発表する『世界ロボット博覧会』に参加していたライト博士とロックマン。
だが、その会場上空に突如、Dr.ワイリーが自身のUFOと共に出現。
博覧会の開催を祝った後、この場に居るロボット全てを世界征服の為に利用させて頂くと宣言し、UFOから誘導電波を発信して、会場に居た最新型のロボット達を暴走させてしまう。暴走を始めたロボット達により、会場は大混乱。更にロボット達は世界各地にも飛び散り、被害を拡大させてしまう。
正義の良心回路のおかげで、ワイリーの誘導電波から逃れたロックマンは、暴走したロボット達を止める為、そしてワイリーの悪事を食い止める為、敵地へと向かうのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆画面サイズを考慮したステージ設計、ゲームスピードなど、前三作から継承された、携帯ゲーム機の特性と制約を絶妙に活かしたゲームデザイン
◆前作を継承、発展させた前半後半の切り分け型の本編構成(今回も結構な密度)
◆新アイテム『Pチップ』を支払う形で強化アイテム等をゲットできるようになり、初心者でも気楽に本編を進めて行ける環境を構築した『Dr.ライト研究所』ことアイテム購入システム
◆購入システム追加で、今まで以上に懐が広くなったゲームバランス(未使用時のバランスも絶妙な加減)
◆意地悪な地形が無くなり、本編シリーズに迫るクオリティに引き上げられたステージ構成
◆流砂を止めたり、遠くのアイテムを回収すると言った、旧作に無かった新機能が追加され、ステージ攻略の面でも活躍の場面が増えた全8+1つの特殊武器
◆新しい大型ボス、雑魚敵の追加、そして本編シリーズでも見た事のない新展開、仕掛けが登場するなど、これまでのシリーズを凌駕するオリジナル要素の数々
◆新展開の追加など、大幅な強化が施され、充実感が更に増した総計ボリューム
◆画面の半分を埋め尽くす巨大ボスとの戦いも加わり、より魅力的な内容に進化したボス戦
◆前作そのまま、直感的にキャラクターを動かせる楽しさに秀でた操作性
◆ゲームボーイの限界に挑戦した、ド派手な演出の数々(特にムービーデモは必見)
◆前作から引き続き採用された、撃ち込み感抜群の素晴らしい効果音
◆白黒ながら、芸術的且つ、鬼気迫る描き込み具合が目を見張る、クオリティの高いグラフィック
◆旧作のリメイクからオリジナルまで、幅広く取り揃えた音楽(特にボス戦曲の豊富さは圧巻)

--- Bad Point ---
◆『ロックマン5』経験者には賛否が分かれる、スーパーロックバスターの仰け反り仕様追加
◆入手頻度低めの『Pチップ』(もう少し、ドロップ率を高くすべきだった)
◆複雑化し、前三作の分かり易さが失われてしまったコンティニュー用パスワード
◆前作同様にやり応えはあるが、少々ダレ易い所もあるステージ構成
◆地形配置の嫌らしさが他よりも傑出し過ぎな感が否めないクリスタルマンステージ
◆一部、ボス戦における派手な処理落ち(具体的には新ボス『ハンター』との戦い)
◆呆気ない上、展開的に突っ込み所も満載なエンディング(綺麗に終わるには終わるのだが…)
▼Review ≪Last Update : 9/29/2013≫
今、明かされる、あの頭の正体!

ワールド1の伏線が大胆な形で回収される!


ロックマンシリーズ外伝にして、前作で本編シリーズにも勝るとも劣らぬ完成度を見せつけた、『ロックマンワールド』のシリーズ第四作目。

正伝シリーズ顔負けのクオリティで送る、ロックマンワールドシリーズ最高傑作だ。

ゲーム内容は過去の『ロックマンワールド』シリーズを踏襲。横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲームで、プレイヤーは主人公のロックマンを操作し、自由に選択できる前後半合計8つのステージを攻略し、ボスを倒して特殊武器を手に入れながら最終ステージを目指すというものだ。
基本システムは前作『ロックマンワールド3』と同じで、前後半に分けられた各4つのステージとステージセレクトシステム、中間ステージ、チャージショット等は今作にも引き続き実装されている。無論、グラフィック、サウンドに関しても前作基準のクオリティを維持。今回はそれらを踏襲しつつ、正伝シリーズ5作目に当たる『ロックマン5 ブルースの罠!?』をベースとしたものへと進化、発展を遂げている。それに伴い、前作では『ロックマン4』の『ニューロックバスター』とされていたチャージショットが『スーパーロックバスター』へと変更。更に5にて初登場した、敵に対して強力な体当たり攻撃を行う新サポートキャラクター『ビート』も今回、新たに登場する。そして、今回もチャージショットにはオリジナルとは異なる新たな仕様を追加。何と、オリジナルにはない『仰け反り』が加わった。スーパーロックバスターを一発撃つ度、ロックマンがその反動で少し後退するようになったのだ。後退自体は本当に些細なものだが、この仕様変更によって前作はおろか、オリジナルよりもチャージショットの使い勝手は悪くなっている。恐らく、このような変更を行ったのは、オリジナルのスーパーロックバスターが強過ぎたのが原因かと思われる。ただ、あの豪快さが一種の魅力でもあったので、オリジナル経験者には正直、賛否の分かれる仕様変更と言えるかもしれない。前作のチャージショットは無難な進化だったが、今回はどういう訳か癖のある方向へと進化。何とも挑戦的な作りになっている。とは言え、慣れれば気にならなくなるので、決して劣化した訳ではあらず。そんな調整の上手さも光るものに仕上げられている。
更に今作には、このバスターを遥かに凌ぐ挑戦的な新要素が導入されている。それが新アイテム『Pチップ』によるアイテム購入システム。今作ではアイテムの一つとして『P』と描かれた『Pチップ』なるものを新たに追加。これはいわゆる『お金』で、一定数溜める事で、ステージセレクト上でセレクトボタンを押すと行ける『Dr.ライト研究所』で補助アイテムの購入ができるようになるのだ。購入できるアイテムは体力回復アイテムの『E缶』から1UPアイテムまでと実に多彩。中にはここでしか買えない『W缶』なる特殊武器の使用エネルギーを回復するアイテム、『エネルギーバランサー』なる特殊武器のエネルギー使用量を抑える装備アイテムもあったりと非常に豪華。正直、これは正伝シリーズが取り入れてもいいのではと思ってしまうほど、優れた救済システムになっている。
この新要素により、今回はプレイスタイルの幅も拡大。ストイックに進めたい場合は研究所を一切使わず、逆に安全に進めたい場合はフル活用すると言った具合にプレイヤーの腕に応じた遊び方ができるようになっている。また、この要素は難易度選択の役割も兼ねていて、使うか使わないかで全体の難しさも大きく変化。さすがにミスを帳消しにする反則アイテムは無い上、活用すれば劇的に易しくなる訳でも無いのだが、便利なアイテムを沢山持った状態で難関ステージに挑むというだけでも普通に挑むよりかは随分と気が楽になる。例え相応の腕を持ってなくとも、アイテムの力に任せた攻略が可能になったという点では、ある意味、正伝シリーズを超える懐の広いバランスを実現したと言っても過言ではないだろう。毎回毎回、E缶を始めとするアイテムを集めるのに一手間かけなければならないという、従来の遊びを根底から覆すとんでもないシステム。もはや、ゲームボーイ版向けにアレンジしたロックマンと称するのも失礼ではないのかと思ってしまうほど、インパクトのあるものに完成されている。
しかも、進化はこれだけに留まらない。他にも、前作で微かに追加されたオリジナル要素が劇的に強化。新しいボスが数体登場するだけに留まらず、ステージ上においても、正伝シリーズに無い新たな仕掛けが導入されるなど、もはや新作としか思えない作り込みが成されている。それでいて、シリーズお馴染みのオリジナルボス、ロックマンキラーもしっかり登場するだけでなく、それまでのシリーズに無い意外性の強い行動をお披露目する徹底振り。
これまでのシリーズでも、ゲームボーイ版独自の要素を導入する試みは積極的に行われて来たが、今作における試みは明らかに過去最大級の域。もう、新作ではないか、と言いたくなってしまうほどに進化し過ぎの続編に仕上げられている。冗談抜きに作品全体の新鮮味は歴代シリーズ最高クラス。正伝シリーズが霞むほどのクオリティだ。

そんな今作の魅力は、何と言ってもシリーズ屈指の独自性の高さに尽きる。これまで、正伝をベースに少しだけオリジナル要素を足した印象が強かったこのシリーズだが、今作にてそのお約束を破壊。ゲームボーイ向けに作り直したロックマンと言うのが失礼千万と思うほど、新作色が強く、挑戦的な姿勢が現れた作品へと化けてしまっている。その完成度は、正伝を遥かに凌ぐと言っても過言では無いほどなのだ。
特にその姿勢が顕著に現れているのが、先ほども紹介した『Dr.ライト研究所』ことアイテム購入システムである。このシステムの恩恵で、これまで実力でどうにかしなければならなかった感もあるステージが金の力に任せたゴリ押しで通せるようになり、難易度が正伝シリーズ以上に柔軟なものになった。全てのステージをクリアするに当たり、諦めない精神と腕を磨く努力の二つが何よりも求められてきたロックマンシリーズにおいて、このような万が一の策が取れるようになったのは、まさに革新的な出来事と言っても過言ではないだろう。
無論、使えばどんな人でもエンディングを迎えられるほど温くなる訳ではない。仮に使ったとしても、ある程度の粘りと努力が必要とされるなど、ロックマンらしい容赦の無い一面はそのままになっている。しかし、従来のストイックな所が大幅に緩くなり、軽い気持ちで遊べるようになったのは、過去のワールドシリーズはおろか、正伝シリーズとも決定的に異なる部分。万人向けにはまだ程遠い所もあるが、今作がシリーズ入門編として非常に最適な作品であるというのは間違いないだろう。今作のベースになった『ロックマン5』もシリーズ入門編には最適な内容であったが、それとは別のアプローチで攻めた今作は、ある意味、5の血筋を継承した新作、或いは続編と言ってもいいのかもしれない。それほどまでに今作の難易度の柔軟さは群を抜いている。
挑戦的な姿勢が現れているのは難易度と新システムだけではない。ステージ構成、レベルデザインの面でも、今までのシリーズに無い展開、演出を強く意識した作り込みが成されている。中でも特筆すべきは大量に追加されたオリジナルボス。前作にもワールドシリーズお馴染みの『ロックマンキラー』とは異なる、新しいボスが一体追加されていたが、今作ではそれを更に増やしており、新鮮な刺激と興奮を沢山提供してくれる。加えて、『ロックマンキラー』にも非常に面白い試みが成されている。詳細はネタバレになるので伏せるが、今回のロックマンキラーはワールドシリーズはおろか、ロックマンシリーズ全体で見ても随一の執念深さ。まさにロックマンの前に立ちはばかる大きな壁と言わんばかりのその存在感には、ワールドシリーズだけでなく、正伝シリーズでも体験した事の無い「熱いもの」を感じるだろう。
ボスばかりでなく、ステージの方にも新鮮な試みが盛り沢山。正伝シリーズでも見た事が無い仕掛け、敵キャラクターが登場するほか、従来のお約束を根底から壊すかのような展開まで仕込まれている。少しだけネタバレすると、開始早々にボス戦が始まったり、とんでもなく長いステージがあったり…と言った具合だ。先ほどに紹介したロックマンキラーにしても、執念深いという点でシリーズのお約束を根底から壊しているが、それ以外にも沢山のぶっ壊し要素の数々が今作には仕込まれている。それらの新しい展開には、ベースとなった『ロックマン5』だけでなく、他のロックマンシリーズを経験済みのプレイヤーも新鮮な気持ちに浸れること請け合い。まさにワールドシリーズという名の外伝作品だからこそできた、それらの挑戦的な試みが仕込まれた展開の数々もまた、先ほどのボス周りと同様に要チェックだ。
基本的には前作を改良・発展させた内容。しかし、アイテム購入システムによって柔軟になった難易度、シリーズのお約束を根底から覆すボスキャラクター、ステージ構成など、その内容はもはや続編というよりは新作同然のクオリティ。3より前のワールドシリーズと比較しても、明らかに気合いの入れ方が違う。今回の開発スタッフも初代、そして前作を手掛けたメンバーであり、ロックマンのアクションの挙動からステージ構成、難易度設定に至るまで、全てが「分かっている」仕上がりになっている。その初代、前作でロックマンの作り方みたいなのをマスターした事が今作の大爆発へと繋がったのか?真相は神のみぞ知るだが、それほどまでに今回の独自色の強さ、ロックマンとしての進化具合は頭一つ抜けていて、正伝シリーズを超えたと言っても全然不思議でない内容に完成されている。もはや前作の進化系というよりは、究極進化系。シリーズ最高傑作にして、革新的一作というに相応しい出来を誇る作品になっているのだ。

シリーズ最高という点では、ボリュームもまた然り。中間ステージ、最終ステージの構成増強によってやり応え、密度共に正伝シリーズの4、5に迫る内容になっている。ボスの数にしても今回、オリジナルの面子が増えた事でその回数もシリーズ最高のものになっており、やり応えは抜群。前作とほぼ同等のステージ数であるのにとんでもなく密度が濃いその内容には、シリーズファンはなおのこと、アクションゲーム好きでも納得の充実感を得られること、間違いなしだ。
また、グラフィックも基本的には前作と一緒だが、エフェクト全般が派手になり、見栄えが非常に良くなっている。更に今回は画面の8割を埋め尽くす大型ボスが登場するなど、見た目でも楽しませてくれる点も必見である。
しかし、グラフィック面でそれ以上に見所なのはムービーデモだ。今回は中間ステージを始め、色々な所でムービーが挟まれるようになっているのだが、これがまたビックリするほどよく出来ている。「ここまで作り込まんでも…」と言いたくなるほど、キャラクターがよく動くのだ。しかも、詳細は伏せるが、あるボスに至っては登場時に専用ムービーが挿入されるなど、時代を先取りしたかのような演出が仕込まれていたりも。ゲームボーイでそこまでやるか!…と、その気合いの入れっぷりには職人としての意地が垣間見える。
この演出面も今回はシリーズ最高と言ってもいい出来で、ゲームボーイのゲームとは思えない迫力ある映像が液晶画面全体に繰り広げられる。正直、この迫力ある映像を堪能するだけでも、今作をプレイする価値は十分にあると言ってもいいだろう。また、演出面では今回、ストーリー性も強化。キャラクターが台詞付きで喋るなど、今まで以上にストーリーを体感できる内容に仕上げられているのも地味ながら大きな見所だ。

音楽も前作以上にオリジナル曲の数が増強。中でも、ラストのワイリーステージで登場するオリジナルボス達との戦闘で流れる曲は秀逸な出来。他のアレンジ曲も申し分ない出来で、熱さの増した本編の展開を大いに盛り上げる。
その他、操作性もスーパーロックバスターの仰け反りの影響でやや退化はしたが、シリーズお馴染みの動かすだけでも楽しい手応えは健在。難易度も、アイテム購入システムの追加で柔軟になっただけでなく、前作の欠点、ギリギリでジャンプしないと届かない地形がほとんど無くなり、理に適ったバランスにまとめられている。
Pチップの入手頻度がやや低い、そしてスーパーロックバスターの仰け反りなど、課題や賛否の分かれる部分もあるが、シリーズ最高傑作と称するには申し分無しの完成度。もはやゲームボーイ版ロックマンと言うのも失礼なほどにオリジナリティが高く、遊び応えのある内容に完成されている。単体のアクションゲームとしても大変素晴らしい出来で、ゲームボーイを代表する一本に数えられてもおかしくない今作。ロックマンシリーズファンは言うまでも無く、アクションゲーム好きならば是非ともプレイして頂きたい逸品だ。ゲームボーイの本気、ここにあり。お薦めです!
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