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≫東北大学未来科学技術センター 川島 隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング
■発売元 任天堂
■ジャンル 脳活性化ゲーム
■CERO A(全年齢対象)
■定価 2800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜16人
■セーブデータ数 4つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&DSダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 44ページ
■推定クリア時間 測定不能
脳の機能は青年期を過ぎると、加齢と共に低下していく。これは、ごく普通の生活をしていても体力や筋肉が年々低下していくのと同じ。しかし、体力や筋肉は毎日の運動習慣で低下を防ぐ、或いは向上させる事ができる。
そしてそれは何と、脳についても同じであるという事が、最近の脳科学研究の進歩と共に、明らかにされてきた。毎日、積極的に脳を使う習慣を身に付ける事によって、脳の機能の低下を防ぐ事ができるのだ。

最近、物忘れが酷くなったと感じたり、言いたい言葉がなかなか出てこないと言った事などが思い当たる、そこの貴方!
東北大学の川島 隆太教授が監修したトレーニングドリルで、脳を鍛えてみませんか?

そして、自分の”脳年齢”を測ってみませんか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆説明書を全く読まなくても直に覚える事ができる、極めてシンプルな操作性
◆ニンテンドーDS本体を横に持ちながらプレイするという、斬新なプレイスタイル
◆毎日、トレーニングを継続できるように盛り込まれた、ユーザーの心理を巧み捉えた要素の数々(増加システム、スコアランキング、ハンコシステムなど。)
◆バリエーション豊かで、短い時間にパッと遊べ、パッと止められる作りが見事な全9つのトレーニング(脳年齢チェック専用の問題も短時間で遊べる設計になっている)
◆単純な内容でありながらも、何度も何度もプレイしてしまう…不思議な中毒性
◆日常生活にも役に立つ、『教授語録』(脳に関するタメになる話が満載)
◆ビックリするほど高い感受率を誇る、音声認識システム
◆高齢の方を考慮した、大きめかつはっきりとした見易さ抜群の文字フォント
◆学習ソフトである事を思わせない、意外にカッコイイ音楽
◆やたらと濃い、ガイドキャラクターの川島教授(一応、良い点ではある…)
◆とてもお手軽なお値段(2800円(税込)なので金欠の方にも優しい(笑))
◆ひっそりと仕込まれたマリオネタの数々(さすが任天堂(笑))

--- Bad Point ---
◆文字認識と音声認識の精度がかすかに悪い
◆『色彩識別』の解説で表示されるヘルプウィンドウが非常にウザい(やたら頻繁に「ここをタッチすると続きが読めます」と表示される。もっと表示を抑えて欲しかった)
◆脳年齢チェック専用の問題が自由にプレイできない(これは賛否両論…)
◆コテコテのポリゴンで描かれた川島教授(正直、怖い…)
◆上に続いて、川島教授をイジる事ができる要素の存在
◆『お絵かきクイズ』での一個人の勝手な解釈が盛り込まれた問題(シャーロック・ホームズに関する問題が酷い)
▼Review ≪Last Update : 12/31/2006≫
「貴方の脳年齢は……○○才」

さあ、いくつでしょう?


東北大学の川島 隆太教授監修の元、製作された本格派、脳活性化ゲーム。
『エレクロプランクトン』を皮切りにスタートした、『Touch!Generations』シリーズの第三弾としてリリースされた作品。

生活スタイルをも一変させる恐るべき影響力。
そして、古き良きゲームの魅力がぎっしり詰まった内容の濃さ。
2800円という低価格からは想像もつかない奥深さを秘めた怪物ゲームだ。

ゲーム内容は、先述でも少し述べたが、加齢と共に低下してしまった脳を活性化する為のトレーニングが多数用意された、脳活性化ゲーム。簡単な計算問題、記憶問題、そして音読などの様々なトレーニングを毎日行い、本来の脳機能を取り戻す為の努力をしていく事が本ゲームの大まかな目的となっている。
収録されているトレーニングは、全てタッチペン操作だけで行なわれるものとなっており、更に解説機能も充実しているので、基本的に説明書を読む必要とかは全く要らず。
Touch!Generationシリーズならではのこだわりがぎっしり詰まった作りになっている。
また、本作は従来のDSゲームとは違い、本体を縦に持って遊ぶという、一風変わったプレイスタイルを採用している所も注目すべき点。いちいち上に下に視点を動かす必要がなく、パッと見で2画面ごとの状況を把握できるので、実に痛快(一部、きついのもあるが)。DSの2画面機能を心行くまで堪能できるこの設計には、まさにお見事の一言だ。

肝心のトレーニングの作りも素晴らしい。ほんの数分、数秒で終えられるボリュームの短さ、解説をちょっとだけ読むだけで把握できるシンプルなルールと、忙しい社会人には打って付けの簡易設計。そして最初から全てのトレーニングができず、ハンコを押していく事で増えていくシステムやトレーニングのスコア、タイムが記録されるやり込み要素など、ゲーム的要素がふんだんに盛り込まれている点も見事だ。
特に後者のスコア、タイムが記録される要素は、一度高記録を狙うとプレイが止まらなくなる、やり込み派ゲーマーにはたまらない仕上がり。あの、かつて『F-ZERO』で味わったかのような、己の限界に挑戦する楽しみがギュッと詰まっている。しかも、その記録が一日一回のプレイでしか記録されないという所がまた何ともニクイ!この要素のおかげで毎日、毎日のプレイがなかなか止められなくなる。狙い過ぎも良い所だ、というのはまさにこの事。
プレイヤー心理を巧みに捉えたこの要素は本当、驚嘆の一言だ。いかに本作を製作しているスタッフが、ゲームというものに対する深い造詣を持っているかを窺い知る事ができる。しかも、その要素を使ってこんな人に優しいゲームを作ってしまったのだから、凄いとしか言い様が無い。何ちゅうセンスの持ち主だ。

収録されているトレーニングも9種類と、ちょっと人によっては少なめに感じるかもしれないが、中々密度の濃い仕上がり。計算問題から音読、記憶問題、更には文字数えに時計判断などの異色なものもあったりと、実にバリエーション豊かだ。
更に、これとは別途に自らの脳年齢を計測する『脳年齢チェック』のモード用のトレーニング…というよりは、問題も収録されている。こちらは、トレーニングの方とは違って自由にプレイする事はできないのだが、なかなか面白いアイディアに満ちた作りになっているので要注目だ。これらの問題をランダムで3つ解く事で計測される、貴方の脳年齢はいくつ!?

他にも、ペンで文字を書く事の気持ち良さを演出した効果音、ご年配の方々にも分かり易い、大きくてとても見やすい文字フォントなど、細かな点でTouch!Generationsシリーズならではのこだわりが垣間見える。旧世代のゲームユーザーを意識したように、一部、ボタン操作を加えている所もまた、何ともニクイ所だ。
音楽も種類こそ少ないが、なかなか気合の入った作りで好感が持てる。グラフィックについても、トレーニングゲームらしい落ち着いた色で統一されている所がお見事だ。
反面、本作のガイドキャラとしてプレイヤーをサポートする川島教授のキャラクターに関しては、ちょっとやり過ぎな所が…。故・横山 やすし師匠の如く、「メガネ、メガネ」のリアクションを取るのは…いくらお遊び要素とだ言っても、教授に失礼としか…。また、コテコテのポリゴンで描かれた教授も賛否が分かれる…。子供によっては、泣く子も黙る…な感じになってしまいそうな、そうでないような(?)。もうちょっと、この辺の配慮には気を配ってほしかったなと思う。
……まぁ、一応…教授が容認してはいるのだが。

同じ配慮として、文字認識、音声認識の甘さに関しても、もう少し気を配ってほしかった。特に前者は、平仮名の認識が甘く、「こたえ」と描いたはずが「こたそ」となってしまったりとかなりの詰めの甘さが露呈している。辛うじて、数字に関しては一定のバランスを保ってはいるが、それでも甘い所があるのは否定できない。裏を返せば、この認識の甘さは「文字は綺麗に書くようにしましょう」という制作スタッフからのメッセージと読み取る事もできるが…。

……と、色々と詰めの甘い面もあるが、タッチペンで文字をスラスラと書いていく新しい爽快感と自分の脳年齢を測定するという、年代を問わず心をくすぐる要素、そして己の限界に挑戦する古き良きゲームの魅力が詰まったやり込み要素と、全体的にトレーニングゲーム…学習ゲームとしても、そして一本のゲームとしても極めて高い完成度を誇る本作。
衰えた脳を鍛えたい方、普段ゲームをしない方、そして己の限界に挑戦するゲームへの熱い思いを持つ方には文句なしにお薦めの一品だ。生活スタイルを一変させ、若い者達の脳に追いつけ!追い越せ!そして、学習ゲームの場を持って蘇った、熱き戦いの地にその身を投じろ!敵はたった一人、……自分自身だ。
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