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≫洞窟物語
■発売元 アスタリズム
■開発元 Nicalis、開発室Pixel(※オリジナル版)
■ジャンル アクションアドベンチャー
■CERO B(12歳以上対象)
※暴力、出血描写あり
■定価 1000DSiポイント<※2016年現在、配信終了(再ダウンロードも不可)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■消費ブロック数 ブロック
■セーブデータ数 1つ(※1ブロック使用)
■推定クリア時間 3〜5時間(エンディング目的)、10〜12時間(完全攻略目的)
とある世界。
怪しげな王冠を手にした男が、二人の従者の封印を解いた。男は不思議な力を使い、この世界に住む『ミミガー』と呼ばれる生き物たちを次々と誘拐していった。

とある静かな洞窟。
主人公はそこで目覚めた。
だが、自分の名前も、今まで何をしていたのかも思い出せない。
ただ、手にした武器の使い方は覚えている。
そこにある機械の使い方も覚えている。
それ以上の事が思い出せない主人公は、自分とこの洞窟の事を知る為、探索を始めた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆はっきりとした道筋とストーリーイベントによる誘導の上手さが光る、探索型アクションゲーム初心者に易しい本編構成
◆迷わせない為の工夫と探索型特有の調べる楽しさが詰め込まれた、珠玉のマップデザイン
◆徐々に謎が明かされていく構成と残酷な描写で魅せる、見所満載のストーリー
◆プレイヤーの腕前が反映される仕組みと敵との戦闘の楽しさを引き立てるレベルアップシステム
◆レベルアップシステムとの兼ね合いによる緊張感溢れる展開で魅せる、やり応え抜群のボス戦
◆易し過ぎず難し過ぎずの絶妙且つ、緊張感を維持した調整具合が光るゲームバランス
◆近接武器と思しき『ブレード』まで遠距離攻撃用の武器とするなど、シューティング要素への徹底したこだわり(?)が光る個性豊かな武器の数々
◆短めながらも、本編密度の濃さもあって確かな充実感が得られる、適切なボリューム
◆難易度選択機能の実装、セーブデータ拡張を始めとする、フリーゲーム版からの強化点全般
◆数種類のエンディングと隠しボスとの戦いなど、豊富に仕込まれたやり込み要素
◆キーアサインに難点はあるが、挙動やレスポンスは概ね良好な仕上がりの操作性
◆ファミコン時代のゲームを意識したレトロ風味のドット絵で構築された、個性的なグラフィック
◆同じく音源をレトロゲーム風にするなど、こだわりの作り込みが光る音楽(印象深い曲も幾つか)
◆シューティング要素を取り入れた内容なりの派手さを追求した、迫力満点のエフェクト演出
◆見た目は可愛らしくも、微かに残酷さを秘めた設定周りが光る登場キャラクター達

--- Bad Point ---
◆変にレトロゲームを意識し過ぎたキーアサイン(Bボタンで攻撃、AボタンでジャンプはDSのボタン配置を考えると不適切。キーコンフィングも未実装)
◆全体的にシビア過ぎる感が否めないベストエンディングの条件
◆フリーゲーム版をそのままDSの液晶解像度に合せた所為で、縮小気味になってしまっているグラフィック(特にキャラクター周りで顕著。少し無理矢理感が漂う)
◆人によっては精神面を抉るような気持ちにもなりかねない残酷描写(地味に出血もある)
配信終了&再ダウンロード不可(さすがに1年経たぬ内に終えるのは早過ぎ…
▼Review ≪Last Update : 2/7/2016≫
屍を重ねた末の結末を目指すか、或いは…

普通に終えるのなら、一旦スルーが賢明です。


2004年にフリーゲームとして公開され、その完成度の高さで日本を問わず、海外のユーザーからも高い評価を獲得した、開発室Pixel製作のアクションアドベンチャーゲーム『洞窟物語』のDSiウェア移植版。移植作業はアメリカのNicalis社が手掛け、国内版の販売は『LA-MULANA(ラ・ムラーナ)』等で知られるアスタリズムが担当した。

秀逸なゲームバランスと完成度の高いゲームシステムで魅せる、珠玉の傑作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、探索型アクションアドベンチャーゲーム。記憶喪失の主人公を操作し、ストーリーに沿って舞台となる洞窟を探索しながら、自身の素性と洞窟の正体、そして襲い掛かる敵の陰謀に迫っていくというものである。探索型という事で、ゲームデザイン的には任天堂のメトロイドシリーズ、コナミの悪魔城ドラキュラ(※月下の夜想曲以降)シリーズに比較的近い。ただ、探索要素自体は控え目で、基本的にはストーリーに沿って進行していく一本道構成。マップデザインも探索型特有のショートカットができない構造になっているなど、先に挙げた二作のような内容を期待してプレイすると少し肩透かしを食らう内容になっている。逆に言えば、進行中に詰まる事がほとんど無い構成。この手のゲームを遊んだ事の無いプレイヤーには非常に易しい、入門編として適した作りだ。
システム周りもアイテム入手による主人公のステータスアップ、複数の武器を状況に応じて使いこなす装備システムと言った、探索型アクションの王道を抑えた作り。特に武器は銃火器系の遠距離武器が主体で、近距離武器は一切無しという徹底したラインナップとなっている。それもあって、ゲーム性の面ではシューティング色が濃い目。同じ探索型のメトロイドも武器の大半が遠距離主体なので、シューティング要素があると言えるが、今作には『マシンガン』等の連射が効き易い武器が豊富と、それを更に一歩進めたかのような感じになっている。これまた他のゲームで例えるなら、コナミの魂斗羅シリーズやSNKのメタルスラッグシリーズのような感じ。登場する敵の数も多めであるなど、撃ちまくりの爽快感を推し出した設計が成されている。
また、少し特徴的なシステムとして『レベルアップ』がある。今作では敵を倒すと『エネルギー』なる黄色い三角形の形をしたアイテムを落とす。このアイテムを獲得すると、画面上部にある黄色のメーターが上昇。そのまま最大値に達すると『レベルアップ』の表示と共に武器の威力が上がり、敵に大きなダメージを与えられるようになるのだ。レベルは最大で3まで上昇し、高ければ高いほど与えるダメージが大きくなるほか、武器発射時のエフェクトも派手になって高い爽快感を味わう事もできる。しかしながら、例によって最大値に達せればそれが終始固定となる訳では無く、敵の攻撃やトラップなどに触れ、ダメージを受けてしまうと、体力と併せてエネルギーも減少。そのまま受け続けるとレベルが下がって威力が落ちてしまう。なので、回避行動を心掛けず安易にヒャッハー撃ちまくると手痛いしっぺ返しを喰らう。特にボス戦においては、この最大レベルを如何に維持できるかが戦局を左右してくるので、安易な力押しが効き難いバランス調整が図られている。このシステム自体は他のステージクリア型のアクションゲームでワリと見受けられるものだが、それを探索型というゲームデザインの異なるアクションゲームへと落とし込んだ事により、独特の緊張感と高いアクション性を演出している。基本的に能力アップ次第では力押しも効き易くなるなど、ゲームバランスの面でロールプレイングゲームの色も持ち合わせた探索型アクションゲームだが、今作はそこをこのシステムによって薄め、アクションゲームとしての手応えを追求。能力の強化のみならず、アクションスキルも重要という一風変わったゲームバランスを実現している。システム的には使い古されたものではあるが、探索型との組み合わせによって変わったバランスを実現しているのは大きな見所。シンプルながらも、侮り難い部分を併せ持った奥深さの際立つ仕上がりになっている。
この他、今作ではマルチエンディング制を採用。プレイヤーが取る行動で結末が変化する。エンディングの中にはかなり難解な条件が設定されたものもあり、それを目指してプレイすると全体の難易度が極端に跳ね上がったりする事も。そんなリプレイ性を高めるシステムも実装されているなど、やり込み周りでも存分に楽しませてくれる作りになっている。
更に今作はフリーゲームとして配布されている作品の移植版兼商用版という事で、新規の要素も追加されている。代表的な所では難易度選択機能。フリーゲーム版『洞窟物語』では難易度が選べない固定仕様だったが、今作では『やさしい』、『ふつう』、『むずかしい』の三段階からなる難易度で楽しめるようになった。これにより、フリーゲーム版を遊んだ事の無い初心者からフリーゲーム版をやり込んだ上級者まで幅広く楽しめる内容へと進歩を遂げている。また、細かい所だが、難易度ごとに主人公のデフォルトカラーが変わる仕掛けも盛り込まれている。本当に色が変わる程度で、大したものではない。だが、難易度も併せてフリーゲーム版とは違う雰囲気で楽しめるのは経験者なら少し新鮮な気持ちに浸れる…かも。そんなちょっとした仕掛けも凝らされていて、フリーゲーム版とは違う魅力を醸し出している。これ以外にも追加要素として本編に登場するボス達との連戦に挑む『ボスラッシュモード』が追加。更にセーブデータも三つ作れるようになった(※フリーゲーム版は1つのみ)。これにより、他の難易度への挑戦や二周目以降のプレイが容易になったのは経験者にとっては嬉しい改善点と言えるだろう。
基本的にはフリーゲーム版そのまま。だが、難易度選択にセーブデータ拡張、ゲームモードの追加等の改良が施され、非常に遊び易く、且つやり込み甲斐のある内容になっている。単品のゲームとしても、シューティング要素の濃さにレベルアップシステムが演出する絶妙且つ、独特のゲームバランスなど、個性が際立つ仕上がり。シンプルながらも奥の深いゲーム性を持ち味とする、懐かしくも新しいという言葉がこの上なく似合うゲームとなっている。

そんな今作の魅力は、レベルアップシステムによって確立された絶妙且つ、アクションゲームとしての確かなやり応えを感じ取れるゲームバランスである。
特にその良さが顕著に表れているのがボス戦だ。ダメージを受ける事でこちらの攻撃力が下がる仕様もあり、攻撃を避けなければならない使命感を自然とプレイヤーに課すと同時に、この手の探索型アクションゲームのボス戦における戦術である、ステータスアップを図っての力押しを封じ、緊迫感溢れる戦闘を終始描き切っている。今作にも著名な探索型アクションゲームと同様、特定アイテム取得による体力の最大値上昇というステータスアップのシステムが組み込まれており、集めれば集めるほどに主人公が打たれ強くなっていく。だが、打たれ強くなると言って、力押しの戦術は通用しないというのが今作の面白いところ。先の通りに幾ら体力を上げても、肝心の攻撃レベルが高くなければロクなダメージを与える事ができないので、結局、相手の攻撃を回避する立ち回りをしなければならないのだ。その為、ステータスアップと言っても結局はやられ難くする為の保険でしかなく、勝利の行く末は全てプレイヤー自身の腕前次第。まさに今作がアクションゲームである事の意義を突き詰めたとも言える、抜け道ほぼ無しの徹底したバランス調整が図られているのである。
一応、力押し自体ができない訳では無く、最大レベルにまで上げ切った武器で一気に攻め込む手はある。だが、それを行うにしてもダメージを受けない事が前提。ダメージを受けながらであっても倒す!…という安直な考えで行けば、あっという間に武器が弱体化してしまうので、どうしても回避行動が求められてくるのだ。先に挙げた著名な作品を始め、探索型アクションゲームのボス戦は、ステータスアップを利用して一気に力押すというのが戦術の一つとして、当たり前のように使えるようになっている。実際にいずれかの作品を遊んだ経験があるなら、そう言った戦術を駆使してボスを打倒した…なんて経験は少なからずあるはずだ。今作はそう言った作品との差別化を図ってか、戦術が効かないようにシステム周りを整備。常に緊張感のある戦いが楽しめるよう、アクションゲームとしてのあるべき姿を突き詰めたかのような作りになっているのである。その為、今作に登場するボスはどれもこれも手強いものばかり。加えて、攻撃を読んで回避する事の面白さを存分に思い知らされる秀逸な仕上がりになっている。
それでいて、素晴らしいのは力押しが効き難い反面、攻撃パターンを読み易くする調整が図られていること。基本的にどのボスも攻撃時に分かり易い予備動作を示すようになっているので、理不尽な不意打ちを喰らう事がほとんど無い。回避できたかできなかったの原因は全てプレイヤー自身の判断に限るという、妥当なバランスで統一されているのである。中には攻撃の回避が厄介な例外的なボスも居たりはするが、理不尽な不意討ちはほとんど無し。回避に重きを置いたバランス取りをしているからこその、プレイヤーに不快な思いを抱いて欲しくない工夫と配慮が成されたものになっているのだ。力押しを効き難くしているからこそ、回避のし易さに神経を尖らすそのスタンスには、安易に今作がアクションゲームの難しさを突き詰めたのではなく、キャラクターを動かす面白さとその気持ちよさという本質的な部分に徹した事の現れ。そう言った丁寧な作り込みには、今作を探索型でありながらも真っ当なアクションゲームとして確立させようとした熱意とこだわりを感じ取る事ができる。
そう言ったこだわりはマップデザインと敵配置にも現れており、探索型特有の広大さと隅々まで調べる面白さを残しつつ、行く先が分からなくならないよう、進行すべきルートは一本道にして道標的な意味合いで敵を配置するなど、双方の良さを絶妙なバランスで活かした作りになっているのが見事。探索型の楽しさを外し過ぎず、アクションゲームのコアな部分に行き過ぎずの際どいさじ加減で作り込まれたその構造にもまた、動かす面白さを第一にしたアクションゲームを作ろうとした意図が透けて見える。力押しがし難い点が探索型の特色を損ねているのは否定はできない。だが、今作はそこをアクションゲームとして妥当なものにする為に演出からバランスにまで徹底して工夫するなど、安易に封じただけで終わらせていないのが実に秀逸。それによって生み出された絶妙なバランスとシステムの活かし方の上手さには、アクションゲームの本質的な面白さと醍醐味というものを存分に思い知らされるだろう。そうも今作は調整具合が緻密。これぞアクションゲーム、と言わんばかりの仕上がりになっているのだ。
また、ゲームの魅力を更に引き立たせる多彩なロケーションと残酷な要素を秘めたストーリーも特筆すべきものがある。特にストーリーは展開の仕方が絶妙。いきなり洞窟内部から始まった後に謎の人物からの通信が入り、それに従って探索を進めていくにつれ、自身の正体と舞台となる洞窟の全容、そして敵の陰謀が明らかとなっていく、プレイヤーを惹き付けて離さない、魅力的な構成になっている。世界観にしても想像の余地を残すよう、あえて設定を語らないなど、レトロゲームに対するオマージュと敬意が込められており、適度に余韻を残す作りになっているのが実に印象的だ。アクションゲームでストーリーは…と思う所もあるかもしれないが、遊んでみると、その絶妙な語り口と展開の上手さには思わず舌を巻くはず。これ目的でプレイしても損はさせないので、是非、騙されたと思ってチェックしてみて欲しいところだ。
他にレベルデザインも素晴らしく、地形の作りで示した自然なチュートリアルに中盤からの程好い難易度上昇、豊富なボス戦と洞窟とは思えない奇抜なシチュエーションの数々でプレイヤーを飽きさせない。探索型ならではのパワーアップ、特に武器類はどれも性能周りを始め個性豊かで、戦闘ごとに使い分ける戦略的な面白さが演出されているのも見事だ。
それだけに、操作性周りが惜しまれる。というのも今作、何故だかファミコンのゲームを倣うかのようにAボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃というアサインになってしまっているのである。これがWiiリモコンのようにファミコンのコントローラに近い構造であるならば話は別なのだが、このDSiはスーパーファミコンのコントローラとABXYボタンの配置が一緒。それだけに、違和感が凄まじい。一応、最終的に慣れれば気にならなくなる上、AXボタンの組み合わせで疑似的に操作する抜け道(?)もあるのだが、この所為で初プレイ時に戸惑いが生じ易くなっているのはマイナス点と言わざるを得ない。オプションにキーアサイン変更機能を盛り込んでいながら、この配置に設定できない仕様になっている所にも悪意を感じる。
原作がファミコンのゲームだからそれに準じた操作性にしたという意図は分かるが、対象となるハードのボタン配置はファミコンでは無いし、そんな配置にされたら操作もし難い。あえてここはこだわりを捨てて、ハードに準じたアサインを心掛けてほしかった所である。折角、ゲームの出来が抜群に良いのにこういう所で落としてしまっているのは勿体ないの一言に尽きる。だが繰り返すが、慣れればどうという事は無いし、挙動周り等に関しては全く違和感はない。アクションゲーム特有の動かす楽しさはしっかりしているので、その点だけは強調しておきたい。

ボリュームは控え目。ただ、マルチエンディング制を採用した内容を考えれば極めて妥当な物量。また、探索型特有のタイムアタックのやり込みにも適している。それ以外にも難易度別の完全攻略、真エンディングとそこへと繋がる隠しエリアの攻略など、やり込める要素は豊富。
特に隠しエリアに関しては、アクションゲーム好きならば是非とも挑戦して頂きたい難関。本編とは比べ物にならないほど難易度が苛烈な上、今作を構成するゲームシステムの本気が炸裂した仕上がりになっている。加えてエリア単位のボリュームもかなりのもので、これの攻略も含めて本編をクリアするとなるとプレイ時間が倍増するほど。一定の条件を達成しないと入口が解禁されないなど、簡単には挑戦できない仕組みになっているのだが、そのように設定されているだけの意義が嫌というほど現れたエリアになっている。是非、一度でも良いのでその凄味を味わってみて欲しい。今作の只ならぬ本気を痛感させられるはずだ。
グラフィックもファミコン時代のゲームを意識したレトロ風のドット絵が異彩を放つ仕上がり。少ない色数を効果的に活用しており、特に大型ボスはそれが如何なく発揮されたものになっている。また、先のストーリーに関する解説でも語ったが、キャラクターデザインも全体的に可愛らしさ溢れる作風。特にミミガー達は動きも含めて非常に愛らしいものになっているので、これまたボスと併せて必見だ。ただ、先の通りに残酷な描写も多いので注意されたし。
音楽もグラフィックの作風に準じたレトロ風の楽曲でまとめられている。曲自体の完成度も極めて高く、オープニングテーマから終盤の洞窟外部が舞台となるエリアで流れる『つきのうた』の二曲は特に要チェック。さりげなく、サウンドテストも実装されているので、音楽だけを楽しむと言った事も可能。そう言った配慮の素晴らしさも今作の特色だ。

演出周りもグラフィックこそレトロ風ながら、ボス撃破時の派手な爆発に集団で襲い掛かってくる敵達など、シューティング要素の強い内容なりの派手な描写が満載で、探索と戦闘を大いに盛り上げる。また、進行に応じて以前訪れた時とは様相を一変させるエリアもあったりなど、ストーリー性の強い内容である事を活かした描写もしっかりと盛り込まれている。無論、効果音と言った引き立て役の出来も申し分無し。そのアクションゲームとシューティングゲームの醍醐味をよく理解した仕上がりには、双方のジャンルが好きな方ならば納得の安心感を得られるだろう。
その他、インターフェース周りも所持アイテムやマップ上での現在位置をリアルタイムで確認できるなど、ニンテンドーDSの二画面構成の恩恵が現れた仕上がりで非常に快適。キーレスポンスにしても良好で、セーブも書き込み時間皆無で一瞬で行われるなど、気持ちよく遊べる為の配慮が炸裂した仕上がりになっている。それだけに基本操作のキーアサインが変にこだわったものになってしまっているのが惜しまれるところではある。だが、ゲームとしての完成度はピカイチ。元々、完成度の高さで定評のあったフリーゲーム版の内容を一切いじらず、より遊び易く、やり込める作りにした順当な移植作品に仕上げられている。単品の探索型アクションゲームとしても、レベルアップシステムが醸し出す絶妙なゲームバランスとマップデザイン、高い爽快感と残酷さを秘めたストーリーなど、有り余る魅力を持った内容になっている今作。探索型に限らず、アクションゲームが好きな方は勿論のこと、ニンテンドーDSiをお持ちの方ならば是非、遊んでみて欲しい稀代の傑作だ。フリーゲーム版経験者の方には中身がほとんど一緒なので、少し薦め難い所があるが、コンシューマ機で遊ぶ『洞窟物語』というのもなかなかオツなものがあるので、機会があったら是非、お試し頂きたい。
しかし、残念ながら今作は2012年6月6日を持って配信終了となった為、2016年現在、購入する事はできない。現時点で今作をプレイするのなら、2015年9月30日によりピッキーより配信された3DS版『洞窟物語』がお薦め。こちらは新エピソードの追加に3D立体視への対応、そしてキーアサインの欠点修正など、大幅なパワーアップを遂げた内容になっている。値段も今作同様に1000円とお手頃なので、3DSをお持ちの方は是非、こちらでお試しの程を。
また、3DSにはもう一つ、『洞窟物語3D』なるリメイク作品も存在するのだが…その詳細はこちらの同作のレビューにて。
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