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≫X-RETURNS(エックスリターンズ)
■発売元 任天堂
■開発元 キュー・ゲームス
■ジャンル アクションシューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 823DSiポイント
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■消費ブロック数 125ブロック
■セーブデータ数 1つ(※1ブロック使用)
■推定クリア時間 7〜8時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
■補足情報 ≫攻略メモ(※ネタバレ注意)
時に宇宙世紀XXXX年、今から20年前のこと。
爆発的に増えた人口とエネルギーの枯渇にあえぐ人類は、新たな移住先を求めて宇宙へと進出。その末に地球によく似た環境の惑星『TETAMUSII(テタムスII)』とそこに眠る鉱物資源『POWER CRYSTAL(パワークリスタル)』を発見した。

第二の地球とも言うべき惑星、莫大な力を持つ資源の発見に歓喜する人類であったが、宇宙征服を企てるエイリアン軍がテタムスIIへと襲来。自らの軍事拠点とすべく、人類に対して攻撃を仕掛けてきたのだった。
この戦いで主人公は最新鋭宇宙戦闘タンク『VIXIV(ビクシブ)』に搭乗し、作戦を指揮する司令官『コーチ』のもと、迫り来るエイリアン軍を撃退。勝利を治めた。

人類の未来を救った二人は英雄と呼ばれ、コーチはテタムスIIに残って惑星の要職に就き、主人公は見果てぬ銀河の先を目指し、ビクシブで旅へと出た。

それから20年、彼方の銀河より戻った主人公は長いコールドスリープから目覚めた後、近辺の惑星『タロス』へと降り立つ。そこで彼を待っていたものは…!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作とは180度異なる、アクションアドベンチャーチックなシステム周りが光るゲームデザイン
◆爆弾の破壊、敵の攻撃からの防衛、人質の救出など、前作にも負けず劣らずのバラエティー豊かなラインナップで構成されたミッション全般(更に今回はボス戦も追加!)
◆視界を乱す『ソーラーフレア』、強制スクロールポイントなど、前作にも増して仰々しく、派手な作りになった惑星ごとのギミックとマップデザイン
◆特定施設での装備変更や弾薬補充等の複雑さな要素が取っ払われ、僅かながら直感的に動かせる作りへと改められた自機の『VIXIV(ビクシブ)』
◆一部アクションの廃止に伴い、少し取っ付き易い作りへと改められた操作性
◆寄り道要素『クエスト』の実装によって、更に遊び応えが増した総計ボリューム
◆高めながら、前作のシビアな要素が撤廃されて程好い手強さに落ち着いたゲームバランス
◆使う色を二〜三色に抑えた独特過ぎる作風とセンス溢れるデザインが光るグラフィック
◆状況に応じてメロディが変化する前作の特色をしっかりと継承した、臨場感溢れる音楽
◆上位ハードでの登場に併せて劇的に向上したフレームレート(ほぼ60フレームで動作)
◆司令官『コーチ』が信じ難い立場で登場するなど、前作経験者なら度肝を抜く展開が目白押しのストーリー(特に中盤から終盤にかけての展開が熱い!)
◆ユニークな台詞回しと頼りなさで楽しませてくれる主人公の相棒『VIX(ビックス)-529』
◆所々に仕込まれた初代『スターフォックス』ネタの数々(特にコーチのある攻撃は必見)

--- Bad Point ---
◆前作より取っ付き易くはなったが、相変わらず癖の強さはそのままの操作性(特に十字キーでの移動と照準操作が結構しんどい。3DSでプレイすると少し改善される)
◆同じく前作から少し緩和されながらも、独特の手強さはそのままのゲームバランス
◆序盤のミッションながら、難易度を苛烈に設定し過ぎな感が否めない帝国軍母艦との戦闘(特にラストの突貫攻撃に移行した後の展開がきつい)
◆一部、目に強い刺激を与える色の組み合わせの存在(特に赤と黒のグラフィック)
◆メインミッションとは対照的に、内容が偏りがちで単調さが否めない『クエスト』
◆前作同様に1つしか作成できないセーブデータ(最低でも二個は欲しかった)
▼Review ≪Last Update : 1/31/2016≫
オ、オソロシー!

ぜ、全然頼りにならねーッ!


ゲームボーイのハード性能だけでワイヤーフレームによる3D空間を実現させた変態的な技術力、骨太なゲームデザインで当時のプレイヤーに衝撃を与えた野心作『X(エックス)』18年ぶりの新作。開発は前作の3D技術全般を手掛けたプログラマーにして、初代『スターフォックス』も手掛けたディラン・カスバート氏が興した開発会社キュー・ゲームスが担当。

遊び易くなったシステムと前作の路線を継承したグラフィックでプレイヤーを魅了する、DSiウェア屈指の秀作だ。

前作同様、ゲーム内容は3Dの一人称(主観)視点で展開する、ミッションクリア型アクションゲーム。最新鋭宇宙戦闘タンク『VIXIV(ビクシブ)』を操縦して様々な惑星を巡り、ミッションを攻略しながらキーサー銀河系で恐怖政治を敷く帝国とその皇帝の打倒を目指すというものだ。基本的なゲームの作りも地上と空中の二つの舞台で展開する戦闘、豊富な装備と機能を持った自機の『VIXIV(ビクシブ)』等、前作を踏襲。ただ、システム周りは前作から大きく刷新された。
まず第一に本編の流れだが、前作は『惑星テタムスII』のフィールドを舞台に一つ一つのミッション遂行を目指すというステージクリア色の強い構成だったのに対し、今作はテタムスII以外の惑星が複数用意され、それらを行き来しながらストーリーに沿って発生するミッションを攻略していく構成に。アクションアドベンチャー色の強いものへと改められた。それに伴い、前作のミッション開始前に展開された『ミッションブリーフィング』は廃止。併せて、舞台となる惑星のフィールドも縮められたほか、ミッション本番以外は縦横無尽に動き回れるなど、探索の自由度も強化されている。更にメインミッションとは別に、『クエスト』なるサブイベントも登場。寄り道ができるようになるなど、一本道だった前作ではできなかった遊びまで楽しめるようになっている。
また、惑星間の移動の際にはフィールド上の『ワープゲート』から行ける『トンネル』を通行する事になるのだが、この仕組みも前作から一新。制限時間が設定され、その時間内に出口への到達を目指す、シューティングゲーム色の強いルール設定が成された。その為、仮に時間切れになってしまうと問答無用でゲームオーバーに。前作のエリア間を繋ぐショートカットとしての作りからは大きく異なるものへと改められている。更に複数の惑星が登場するという事で、全体マップに当たる『スターチャート』なるものもあり、これを参照しながら、惑星間を移動し、目的地を目指すという事もストーリー上で発生。加えて、『トンネル』へと繋がる『ワープゲート』を開放するのに当たって、前作に登場したアイテム『パワークリスタル』を一定量集めるフィールド探索も発生したりと、ただ純粋に目的の達成を目指す作りだった前作とは一風変わったイベントも展開。まさに至れり尽くせりにして、完全なる別物。ゲームデザインからして前作の面影皆無の新しい『X(エックス)』になっているのだ。その為、前作経験者なら戸惑うこと必至。ステージクリア型では無いというだけでも、非常に刺激的で新鮮な手応えを感じられる作りになっている。
更に刷新されたのは本編だけにあらず。第二の変更点として自機の『VIXIV(ビクシブ)』がある。基本的に前作とアクション周りは一緒なのだが、武器の仕様とその機能周りが一新されたほか、一部、新機能が実装された作りになっている。代表的な所では、能力解禁方式が採用。前作は最初からミサイル等の武器が使用できたが、今回はアクションアドベンチャーなゲームデザインになったという事で、それらの武装がストーリーの進行に併せて解禁されていく仕組みになった。またそれに伴い、武器の装備が行える『レーダー基地』の施設も廃止。ほぼ全ての武器がボタン一発で切り替えられるようになったほか、補充もフィールド上のアイテムを回収して行うという、王道のものへと改められている。この弊害でどの武装で敵に対抗し、弾をどれだけ温存するかと言った戦略性・戦術性は落ちてしまったが、その分、アクション周りが快適になり、より直感的にビクシブを操縦できるようになっている。まさに使い易さと分かり易さを重視したアレンジ。シリーズ経験者のみならず、初心者もすぐにその動かし方をマスターできる、取っ付き易い自機へとその様相を大きく改めている。ある意味、尖りに尖ってた所を丸くしたとも言うべき変更。前作の反省を踏まえるかのような、新しいビクシブへと進化している。更に新機能として、ランクアップシステムとステータスのカスタマイズを実装。アクションアドベンチャー的な内容という事で、今作ではミッションを攻略する事で経験値に当たるポイント(pt)が溜まっていくようになっていて、これが一定値に達する事でビクシブがランクアップ。パラメータのアップグレードが行われるようになった。アップグレードはプレイヤーの任意で行う事が可能。対象となるパラメータは『ショットパワー』、『ショットスピード』、『アーマー』の三箇所で、いずれも最大3レベルまで強化させる事ができる。最終的にはどのパラメータも最高レベルに達するのだが、強化に当たってプレイヤーの意志が絡んでくる為、その成長過程は大きく変化。火力重視で行くか、或いは守り重視で行くか。成長のさせ方によって数パターンのゲーム展開が楽しめるようになっている。また、ランクは『ワープゲート』の解禁にも絡んでおり、ゲームを進めていくと規定ランクに達していないと入れないゲートも登場し、「待った」がかかるようにもなっている。なので、一切ランクを上げずに本編を攻略する縛りプレイは不可能な仕様。正直、賛否あるかもしれないが、こう言った縛り要素の存在も、今回の特色となっている。
その他、前作ではいわゆるギアチェンジ式のシステムが取り入れられていて、それを用いて自機の速度を調節する仕組みになっていたが、今作では廃止。単純に十字キーを押し続けているだけで速度が上昇していく、シンプルな仕様に改められている。更に細かい部分で、コンティニューシステム及びセーブシステム周りもクレジット制が廃止され、無限コンティニュー可能の現代仕様に。操作に関しても新たにタッチペン操作が搭載されるなど、開発元のキュー・ゲームスが過去に手掛けた『スターフォックスコマンド』を髣髴とさせる操作が盛り込まれている。無論、従来のボタン操作も完備。前作のようなスタイルでも遊べる作りになっている。
また、言うまでもなくゲームボーイからニンテンドーDSiタイトルになった事で、グラフィック周りも強化。完全な3D空間を舞台にしたアクションゲームへと変貌を遂げている。ただ、色数を最小限に抑えたローポリゴンで敵や地形が描写されているなど、そのビジュアルは非常に独特。ワイヤーフレームでキャラクターなどを描いていた前作のらしさが感じ取れる、独特過ぎる仕上がりになっている。いわゆる緻密なグラフィックではなく、味のあるグラフィックを突き詰めたとも言える作りは必見。そんな他のゲームには無い表現が盛り込まれているのも今作の特色だ。
このような感じに基本は前作をベースにしていながらも、肝心のゲーム性は別物。前作のネタを元に作られた完全新作の3Dアクションアドベンチャーゲームと言っても不思議では無い仕上がりになっている。だが、ローポリゴン全開なビジュアルに独特の性質を持った自機など、Xの続編らしい部分も幾つか。如何にも『スターフォックスコマンド』を手掛けた所が製作しているだけにある、挑戦的な制作姿勢が顕著に現れた作品に仕上げられている。

そんな今作の魅力は美しさでは無く、味わい深さを重視したローポリゴンで構築された独特の世界観とグラフィックだ。前作の個性を際立たせた、製作者のこだわりに溢れるビジュアルは圧巻の一言。何より、使う色を二〜三色程度に絞り込むという、縛りを設けた上で描写しているのがインパクト抜群。昨今のテクスチャありきの3D作品とは異なる独自の個性が炸裂している。ニンテンドーDSiのハード性能を考えれば、初期のプレイステーション及びNINTENDO64レベルの3Dグラフィックは実現可能で、実際にリメイク版の『ファイナルファンタジーIII』、『Newスーパーマリオブラザーズ』等の作品においてはそのレベルのグラフィックが実現されている。3Dの箱庭空間にしてもまた然り。開発のキュー・ゲームスが手掛けた『スターフォックスコマンド』のほか、『ジェットインパルス』、『超操縦メカMG』等、実例は幾つもあり、そう言った方向性のゲームも作れる事が証明されている。でありながら、今作は生のポリゴンを全開に出したビジュアル作りに特化。あえて現代風にしないという、我が道を行く作り込みが成されているのだ。
それもあってか、ビクシブを始めとする兵器等のグラフィックは非常に無機質。ポリゴン剥き出しのデザインなので、リアルというのには程遠いものになっている。前作の司令官にして、今作にも登場する『コーチ』もあのポリゴン全開のデザインのまま。それでも、手が追加されると言った妙な進化を遂げたりするのだが、見た目は古臭く、人によっては『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の川島隆太教授が脳裏を過ぎるかのような姿。これから脳トレをやらされるのか、と言った疑念すら抱くほどものになっている。だが、少ない色数を活かしつつ、パーツごとの緻密なデザインを施した事で、どれもしっかりとしたキャラクターとしての存在感を出している。特に『コーチ』はその象徴で、オープニングでの戦闘シーンにおいて、グラフィック特有の強みとちょっとしたネタ(?)で大いに魅せてくれる。併せて、ゲーム全体のフレームレートも可変ながら60フレームによる滑らかなスクロールを実現しているほか、沢山ある惑星に固有の色を一つずつ着けられるという差別化と個性付けに貢献するなど、随所にて制限をかけた恩恵が現れている。表現が少ないからが故に想像力を刺激させられる所も幾つかあり、それを際立たせる為に世界観の解説を含めたテキストを用意するなど、絵的な面での表現力の乏しさをカバーする施策も凝らす等、抜かりが無い。これが先に挙げたDSのゲームのように普通のビジュアルだったら、これほどまでに印象に残る演出とフィールドのデザイン、フレームレートの滑らかさも実現できなかったのは間違いない。美しさを求めるのも一つの方向性だけど、制限を限って、ポリゴンをむき出しにする古い技法を用いたやり方でも、こんなにも印象に残るビジュアルと表現ができる。今作はそんな一つの可能性を提示しており、主に若い世代のユーザーに大きな刺激を与えるビジュアルデザインが成されているのだ。無論、前作を経験していた往年の世代も新鮮に感じられる仕上がりで、リアルな方向性に舵を取らないビジュアルには初代『スターフォックス』や『ワイルドトラックス』等の作品を髣髴とさせる懐かしさを感じるはずだ。また、既に使い古された技術を活用して刺激的なビジュアルを構築するというやり方に、ゲームボーイ生みの親であり、前作でプロデューサーを務めた元任天堂の故・横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」の哲学が込められているのも面白いところ。実際にこの手の描写自体はスーパーファミコン〜プレイステーション時代等において使い尽くされてしまったもの。それを現代に蘇らせ、他のゲームと一線を欠く個性を作り上げている所には、その哲学に基づいて作られたゲーム機、『ゲームボーイ』のゲームとして生まれた前作『エックス』の続編というらしさと誇りが現れていて非常に興味深い。古い技術を元に作られたゲームが続編でも古い技術を用いる。その宿命的な構図には、任天堂のゲームを長年遊んできているユーザーならニヤリとしてしまうだろう。
ビジュアルばかりでなく、ゲーム部分も大幅に進化し、前作の尖っていた部分が削ぎ落とされ、凄く遊び易くなった。特に燃料やギアチェンジ、『レーダー基地』での武器装備と言った要素が無くなり、シンプル且つ直感的に自機の操作ができるようになったのが見事。煩わしさを感じる事無く、ビクシブの操作に集中できるようになったので、気持ちよくゲーム本編に集中できるようになっている。レベルデザインの面でも、様々な惑星を辿っていく流れになった事で、より起伏の富んだ構成へと進化。惑星ごとの差別化も素晴らしく、先の色による設定もさることながら、ある惑星では『ソーラーフレア』が発生して視界が悪くなるなど、環境面でも違いを見せる工夫が成されていて、惑星来訪の楽しさを引き立てている。前作でも多種多様な内容のものが用意されていたミッションも素晴らしい出来。時限爆弾の解除に人質の救出と言った前作を再現したファンサービス的なものも抑えつつ、帝国軍母艦と戦闘機との激しい攻防戦、巨大兵器との戦い、反帝国グループと連携しての輸送列車の護衛など、シューティング要素を推し出した新たなミッションが多数用意されている。ストーリーとは直結しない『クエスト』も、アイテムの回収から『トンネル』でのレースバトル(?)と実に多種多様。その起伏に富んだ構成には前作の続編としての意地を痛感させられるだろう。
他にも能力解禁方式になった事で、前作では気軽に使えなかった『ジェットパック』、『ボム』と言った装備が思うがままに使えるようになるなど、経験者なら有難味を感じてしまうこと必至の進化点も実に魅力的。
ただ、任天堂にしては骨太な難易度であったエックスの続編である故にか、今回もその苛烈さを継承してしまっているのは賛否の分かれるところ。コンティニューがクレジット制では無くなったので、そこまで意地悪ではないのだが、少し壁となるミッションを沢山用意しているのはやり過ぎの感が否めない。特に先の帝国軍母艦との戦いはその象徴で、ここまで来るのに一度発生する、ランクアップ時の強化対象とするステータスの選択を誤ると更に難易度が苛烈になる辺りは調整ミスと言わざるを得ない。別にそのステータスをアップグレードせずとも勝てるバランスにはなっているのだが、もう少し母艦の弱点となる個所の耐久力を下げるなりして、苛烈さを和らげて欲しかったところである。他の部分が前作の尖った部分を軒並み削ぎ落としているのに対し、バランス面だけは尖った所が残ったままなのにはちょっと苦笑い。ただ、それでエックスの続編らしさが出ているのも事実なので、評価が難しい所である。

操作性も前作より動かし易くなったとは言え、照準操作と方向転換は結構癖がある。特に照準操作は十字キーで行う為、手応え的に「固い」。もう一つのタッチペンにしても癖が強く、ある程度の慣れが要求される作り。そう言った事情から、DSiでプレイするより、ニンテンドー3DSでプレイするのがベストとなってしまっているのが困ったところ。そんな難点もあって、出すハードを間違えた感が滲み出てしまっているのは何とももどかしい限りだ。
また、前作同様にセーブデータが一つしか作れないのも厳しい。ストーリーを一通りクリアするとその状態が強制保存されてしまい、クリア後の世界で『クエスト』攻略に徹する事になるのも寂しい限りだ。せめて二つデータを確保するか、能力を引き継いでの二周目とかを用意して欲しかったものである。折角、本編の出来が良いだけに勿体ない。
逆にボリュームは申し分無し。ミッション総数こそ前作と一緒なのだが、スケールが大きくなった事で密度が増している上、『クエスト』や帝国軍の残存勢力掃討等の寄り道要素も充実しているので、長く遊び込める仕上がりになっている。ストーリーのイベントも前作以上に増しているので、結構な充実感を得られるはずだ。
音楽も前作の良さをそのまま継承。ミッション状況に応じてメロディが変化する仕掛けを凝らすなど、非常に凝った作り込みが成されている。印象深い楽曲も豊富で、前作の名曲『トンネル』の曲もアレンジされて再登場するなど、前作経験者や『大乱闘スマッシュブラザーズX』の収録で前作の事を知ったプレイヤーならニヤリとしてしまうこと請け合いだ。
また、作曲担当が前作同様にとたけけこと戸高一生氏なのもこだわってて見事。昨今はどうぶつの森シリーズで知られる氏だが、今作ではSF風の楽曲を多くお披露目するなど、原点回帰のスタンスに徹した作曲を行っている。『どうぶつの森』シリーズでしか氏を知らないファンも、今作の曲を聴けば結構な衝撃を覚えること間違いなしなので要チェックだ。

前作でも緊迫感溢れる展開が繰り広げられたストーリーも、抜群の面白さ。前作の司令官こと『コーチ』がとんでもない役柄で登場するなど、前作経験者をグッと引き込ませる作りになっている。また、今作での主人公のサポートはメカの『VIX(ビックス)-529』が務めるのだが、これがまた凄く愉快なキャラクターになっており、シリアスな本編に数々の笑いを提供してくれる。その頼れそうで頼りない彼を拝むだけでも、今作をプレイする価値はあると言っても良いほど。是非、その面白おかしい言動をチェックしてみて欲しい。人によっては『斬撃のレギンレイヴ』のイズンが脳裏を過ぎるかもしれない。
その他、演出面も敵を撃破するとバラバラになって散ったり、フル3Dになったからこその(短めの)リアルタイムムービーが挿入されるなど、気合の入った作り。前作にちなんだネタも幾つかあるほか、一部においては初代『スターフォックス』のパロディもあったりと、往年のユーザーなら爆笑必至のシーンがあるのも大きな見所だ。
癖のある操作性と多少抑えられはしたが苛烈気味な難易度、一部の目に宜しくない組み合わせの色設定(特に赤関連)、セーブデータが一つのみなど、引き継いだ欠点と新たな欠点もあるが、全体的には素晴らしいレベルデザインとストーリー、独特のビジュアルで存分に楽しませてくれる内容に仕上げられている。高い難易度は健在だが、過度に尖った部分は上手く削ぎ落とされているほか、前作同様に初心者に向けた操作解説などのチュートリアルも万全。その作り込み具合と言い、DSiウェアとして発売するのが勿体ないほどの魅力が詰まった今作。前作経験者は言うまでもなく、3Dアクションゲーム好きのプレイヤーなら是非、挑戦してみて欲しい良作だ。スマブラXで前作を知った方もお試しあれ。ただ、地味に「オソロシー!」難易度なので、挑むに当たってはある程度の覚悟を決めてからにしましょう。
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