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≫監修 日本常識力検定協会いまさら人には聞けない 大人の常識力トレーニングDS
■発売元 任天堂
■開発元 HAL研究所
■ジャンル 常識トレーニング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 4つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 40ページ
■推定クリア時間 測定不能
『常識』とは、人間が社会で生きる為の最低限の必要条件。これを欠いては、他人に不快感を抱かせ、当人の評判を落とす羽目になり、逆に常識を豊かに持てば、円満な人間関係を築く事に繋がります。

あなたは冠婚葬祭やビジネスシーンでのマナーに自信がありますか?本作に収録された『マナー』、『ことわざ』、『知識』などの様々なテーマから出題される問題に挑戦し、自らの常識力を確かめてみましょう。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆『礼儀』、『知恵』、『社会』、『決まり』、『教養』の全5ジャンル、バラエティーに富んだ問題の種類(各問題の内容も、それぞれの個性が上手く出ている)
◆各ジャンルの問題全て5問だけと限定された、適切な1日のトレーニングメニュー
◆気軽に挑める大らかさが秀逸な四択方式で構成された各問題(中には記述するものや、線で繋ぐものなどもあり)
◆間違えても答えを丁寧に教えてくれるなど、良い意味で緩いミス判定
◆普段は知る事の無いトリビアまで教えてくれる、無駄に丁寧な問題解説
◆自身の力を試せるほか、苦手な分野まで把握できる、やり甲斐満点の『常識力診断』
◆スコアアタックに15パズル、挑戦(サバイバル)等、充実したサブゲーム(やり込み要素)
◆『お手軽版』、『体験版配信』など、シリーズらしい充実したサブ機能群
◆タッチペンだけしか使わない、シンプル且つ直感的な操作性
◆トレーニングゲームらしい、シャープな質素さが異彩を放つグラフィック
◆前代未聞の主題歌収録と、異様なこだわりが炸裂している音楽(名曲もチラホラ)
◆多種多様な単位計算が出来る『常識電卓』など、これまた充実したおまけ要素
◆時折放たれる庶民的な言動が微笑ましい、ガイド役のお姉さん

--- Bad Point ---
◆全20問と、多過ぎる感の否めない挑戦(サバイバル)の問題数
◆全5ジャンルの問題を解かないとプレイできない仕様の『常識力診断』
◆常識を覚える度に過去の問題が何度も出たりと、ワンパターン化していく1日のトレーニングメニュー(これはダレる…)
◆一部、問題におけるミスの存在(任天堂公式サイトのこちらをご覧ください)
◆妙にROM内に収録されているものとのダブりが多い、ダウンロードで取得できる問題群
◆終了を選ぶと、その日には遊べなくなる仕様が逆に煩わしい『もっとトレーニング』
▼Review ≪Last Update : 8/23/2008≫
♪知らないことは、悪くない

♪知ってるだけじゃ、偉くない


前代未聞の大ヒットを記録した『脳を鍛える大人のDSトレーニング』に続く形でリリースされた、『常識』をテーマとした新たなトレーニングゲーム。開発は『星のカービィ』シリーズでお馴染みのHAL研究所が担当。

知識を得る快感と面白さに富んだ、取っ付き易さ満点の秀作トレーニングゲームだ。

基本的なゲーム内容は、そのまんまな名前だが常識トレーニングゲーム。『礼儀』、『知恵』、『社会』、『決まり』、『教養』の5つのジャンルに分けられた問題を解き、様々な知識を習得しながら『常識力』を鍛えていくというものである。
もの凄く極端に言ってしまえば、『お勉強ソフト』。同じ任天堂からリリースされた『えいご漬け』に似たコンセプトを持ったトレーニングゲームとなっている。
しかし勉強を題材としながらも、実質的な手応えはとても「ゲームらしい」。勉強特有の堅苦しさは皆無で、お遊び感覚で楽しめる、大変取っ付きの良い作りとなっているのだ。
その取っ付きの良さを象徴するのが、クイズ仕立てで構成された大らかな問題達。手書きで解答するのではなく、予め用意された四つの答えをタッチペンで選んで解答する選択方式をメインとしているので、いわゆる「どうしようもなさ」というのが皆無。問題の答えが見出せなくも、勘で選べばどうにかなる、良い意味で適当な作りとなっているのである。
勿論、問題の全てが選択方式という訳ではなく、中には手書き解答が求められるものもあり。けど、そう言った問題も分からなければパスできるようになっているし、パスしたからと言ってペナルティを受ける事も無い。それは、問題を間違えた際に関してもまた同じ。パスしても間違えても、しっかりと正しい答えと解説をその場で行ってくれるようになってるので、知らない人だけがと罰を受けるとか、そんな酷い要素も皆無。問題の作り然り、ミス判定然り、全てが大らかなのだ。知らないからと言って悪いと言われる訳でもないし、知っているからと言ってエラいと言われる訳でもない。遊んでいる全ての人が平等である、そんな理念が活きた仕上がりとなっているのだ。
更に、そんな各問題の大らかさを引き立てるものとして、問題の量の少なさがある。実は今作、どのジャンルであっても1日の内に挑める問題は5問まで。それを解いてしまえば、その日に挑めるの問題は終了。新しい問題は次の日にならないと出て来ないのだ。1日のトレーニングを終えて、追加問題が出される事もありはするが、それもほんの僅か。
それしかやれないなんて、少な過ぎ!…と言いたくなる方もいるかもしれないが、実はこの少なさこそが今作の肝。元々、勉強というのは持続するには相当なパワーが要されるものだ。余程の精神力とやる気を持って挑まねば、確実に折れる。挫折を招くだろう。それで仮に一つの問題で挑めるのが5問じゃなく、各20問ぐらいだとしたらどうなる?どう考えても、精神力のある人以外は続かないだろう。ゲームとしても、酷く堅苦しくなって取っ付きが悪くなる。逆に5問ならば、量的にも程好いし、めげる事も無い。精神力の弱い人でも、これだけの量なら楽にこなせるのは間違いない。
だからこそ、この少なさは絶妙。ゲームとしての大らかさを引き立てるのみならず、持続のし易さをも演出しているのである。これなら、誰だって楽しめるのは確実。勉強特有の弱点を徹底的に排除し、「問題を楽しむ(遊ぶ)」という事を重視したこの姿勢は、本当に素晴らしいの一言。大らかにしてこそ、勉強も面白くなるというそのメッセージは、現代の教育現場に対するアンチテーゼとも見て取れるだろう。
とにかく、勉強を主題としながらも、あらゆる面が大らか。ひたすら勉強一辺倒だった『えいご漬け』とは異なり、今作は「知識を得る遊び」というものを重視。大変遊び易く、尚且つ堅苦しさも無い、魅力的なトレーニングゲームに仕上がっているのだ。流石は、大らかなゲームの代表格とも言える、『星のカービィ』シリーズを手掛けたHAL研究所だけにあると言ったところ。上手い具合に、そのノウハウが活かされている。

また、収録されている問題の中身もなかなか魅力的。先にも話した通り、『礼儀』、『知恵』、『社会』、『決まり』、『教養』の5つのジャンルが収録されており、いずれも独自の問題が盛り沢山。
『礼儀』であったら、ビジネスマナー…「タクシーで最も大事なお客様はどの席に案内すれば良いか」などの問題が主だったり、『社会』ならば「通信速度の単位はどれか」、「●●県は何処か」と言った一般常識を問われる問題があったりと、いずれもタメになるのみならず、やり応えも抜群で解き甲斐がある。中には「音楽を聴いてそれが何の曲かを当てる」、「対象となる郷土料理がある県を線を書いて繋げる」と言ったプレイヤーの意表を付くタイプの問題も用意されており、単純に答えを選んでいくだけのゲーム性にちょっとしたアクセントを与えている。特に音楽絡みの問題はユニーク且つ、マニアックなものも満載で、常識じゃなくて逆に雑学(トリビア)を学べるメリットもあるので、是非とも要チェック。仲間内での話題や自慢話の際のサポートとして、ひっそりと活躍してくれるだろう。
話題作りになる要素としてはそれ以外にも、今作の肝とも言える『常識力診断』がある。これは、先の5つのジャンルの問題を全て解いた後にプレイできるようになるもので、全部で10問(ある程度、ゲームが進むと問題が15問にまで増える)のランダムで選ばれた問題を解く事で、プレイヤーの総合的な『常識力』を測定できる。『常識力』は「0〜100」までの数値によって判定され、低ければ低いほど非常識、高ければ高いほど常識人という事になる。点数によって示される、あまりに直接的な表現なので、人によっては少し結果にめげるかもしれないが、自身の力がどれほどのものなのかを試すには打って付け。しかも、高得点を取るのはなかなかシビアなので、やり込み甲斐があるのも地味に面白いところだ。
更にこの診断では、プレイヤー自身の得意・苦手とするジャンルも最終的に判定され、後の学習の方向性を決める際、道標ともなってくれる。真面目に常識力を磨きたいという方にとっては、この上ないオプションだと言える。『脳を鍛える大人のDSトレーニング』とは異なり、診断が毎日行えるのではなく、5つのジャンルの問題を解き切ってからという形式も、そう言ったユーザーには刺激的な仕様といえるだろう。逆にすぐにでも診断をしたいという人には、不満を感じるかもしれないが。この辺は賛否両論と言ったところである。
他にも、トレーニングでは問題のみならず、問題ごとの丁寧な解説、息抜きの15パズル、スコアアタックモード、サバイバルモードと言ったおまけ要素も沢山収録。
ただサバイバルに関しては、収録問題数が20問もあり、量的に多過ぎるのが痛い。一度でも間違えたら、その時点でゲームオーバーとなる性質からして、できればスコアアタックと同じ、10問程度に落ち着かせて欲しかったところだ。流石に、これではバランスが悪い。序盤で間違えれば、後の常識は全て覚えた常識から抹消される(本作では、覚えた常識が記録されるようになっている)という仕様も、できれば取っ払って欲しかったところだ。
そんな感じに一点、欠点はありはするが…総じて、問題の中身とその他のモードに関しての出来栄えは水準以上。先にも挙げた「知識を得る遊び」へのこだわりが光る仕上がりとなっている。常識というよりはトリビアじゃ…というようなものもあったりはするが、そこはご愛嬌。こんなお遊びが凝らされているのも、本作ならではの魅力だ。

操作性に関しても、タッチペンしか使わない故に快適。要求される操作もタッチと書くが主体なので、説明書要らず。老若男女誰もが馴染める、優れた体系を実現している。
体験版が楽しめる『お手軽版』、1台のDSで最大4人までの対戦が楽しめる『みんなで常識力』と言ったサブモードも充実。また、本作はニンテンドーWi-Fiコネクションにも対応しており、全国的な常識力の平均を知ることもできる。更にこの通信でなければ楽しめない問題もあったりと、更なる常識力の向上を狙うプレイヤーにとっては魅力溢れるおまけが用意されているのも必見だ。これでネットワーク対戦ができればなお良かったんだが、それは贅沢過ぎる願いなんで良し。
グラフィック、音楽も総じて高水準。特に音楽は数こそ少なめだが、あの『星のカービィ』のHAL研究所が手掛けてるだけに出来はかなり良い。中でも注目なのがスタッフロールの歌!Touch!Generationシリーズとしては異端、本作には主題歌が収録されているのである!しかも、これがまたやたらと歌詞が良い!「♪知らないことは、悪くない」とか、心の涙腺を無駄に刺激させられる(笑)。人によっては、明日を頑張ろうと言う、やる気すら湧いてくる事もあるほど。はっきり言って、この歌を聴く為に今作を買う価値はあると言っても良いだろう…。

歌以外にも、様々な単位の計算が出来る『常識電卓』(なんと、読み上げ機能付き)、やたらと庶民的なガイド役のお姉さん(名称不明)、お絵かきによる問題など、トレーニングゲームとしては異端な魅力は盛り沢山。
先のサバイバルの問題の多さ、常識を沢山溜めると、徐々に過去に解いた問題が再出題される確率が高まったりすること、そして一部問題の間違い(これに関しては任天堂公式サイトのこちらをご覧ください)があったり、細かな粗はありはするが、出来はかなりのもの。ここで挙げるのも難だが、同じ勉強をコンセプトとしていた『えいご漬け』よりもゲームらしさは満点。Touch!Generationシリーズ特有の快適な操作性と優れたインターフェース、充実した問題、異端なおまけ要素群と、勉強をテーマとしたトレーニングゲームとしては異端の手軽さ、面白さを誇るこの『常識力トレーニングDS』。
もう一度、常識を学びなおしたいと願う社会人の方は勿論のこと、ゲームを普段遊ばない人から遊ぶ人まで、幅広く楽しめる傑作トレーニングゲームだ。社会で円滑な人間関係を構築したいのなら是非、これを遊んで鍛えまくりましょう。
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