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≫マリオVSドンキーコング2 ミニミニ大行進!
■発売元 任天堂
■開発元 Nintendo Software Technorogy
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応(※ダウンロードプレイは体験版配信のみ)、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 6時間〜7時間(エンディング目的)、35〜40時間(完全攻略目的)
マリオが経営する会社『マリオ・トイ・カンパニー』が発売したゼンマイ玩具『ミニマリオ』が大ヒット。
これで大儲けしたマリオは、玩具で一杯のテーマパーク『スーパーミニマリオワールド』を建設し、そのオープンパーティの日に多くの友人を招待した。

パーティの途中、マリオが友人の『ポリーン』にミニマリオを紹介しようとすると、それに対抗意識を燃やしたのが従業員のドンキーコング。彼もポリーンに自分をモデルにした玩具『ミニDK』を差し出すが、ポリーンはそれに気付かず、ミニマリオだけを手に取ってしまう。
それを見てフラれたと勘違いしたドンキーは、悔し紛れにポリーンを誘拐。テーマパークの屋上に閉じ込めてしまう。この事態にマリオは『ミニマリオ』達にポリーン救出の指示を出す。
かくして、ミニマリオ達によるポリーン救出作戦が始まった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆『マリオとワリオ』風の誘導型のアクションパズルへと大幅な変更と進化を遂げたゲームシステム
◆タッチペンだけしか使わない、お手軽で取っ付き易い操作性
◆慎重に行くか、大胆に攻めるかの選択の多様性を尊重した攻略スタイルの幅広さ
◆ハンマー攻撃、ファイアーボールを投げるなど、意外と芸達者な一面を持ったミニマリオ
◆攻略スタイルの幅広さが醸し出す、選択による変化が露骨に現れる調整が光るゲームバランス
◆タッチペン操作特有のアイディアとプレイヤーを飽きさせない入念な配慮が見事なステージ構成
◆マリオシリーズお馴染みのキノコ王国、土管地帯、火山など、ビルの内部という設定から逸脱しまくりな嘘っぽさが素敵なステージロケーション
◆操作説明を挟みつつ、段階的に要素を増やしていく絶妙なさじ加減が見事なレベルデザイン
◆下画面でミニマリオを発射してドンキーコングを撃退する、奇抜な構成のボス戦
◆オリジナルステージが作れる楽しさと制限付きながら、ネットワークを介した配布機能が異彩を放つエディットモード
◆ゴールドスター集め、ハイスコアチャレンジなど充実したやり込み要素の数々
◆前作のCGから一転し、ドット絵主体の暖かみのある作風へと一変したグラフィック
◆前作の欠点、音楽のデフォルト音量の改善
◆実に13年ぶりの復活を遂げた、今作のヒロイン・ポリーン

--- Bad Point ---
◆ナンバリングを付ける必然性を感じないゲーム内容(前作とは完全な別物なのだから、2とは付けずにサブタイトルだけに留めるべきだったのでは?)
◆音量は改善された反面、全体的に地味で印象に残り難くなった音楽(名曲が少ない)
◆ゲーム性の一変で派手なアクション、エフェクト等も無くなり、地味になった演出周り
◆見た目こそ奇抜だが、演出の地味さもあって盛り上がりに欠けるボス戦
◆配布制限が煩わしいエディットステージ(フレンドにしか提供できない)
▼Review ≪Last Update : 12/30/2012≫
元カノ復活!

でも、彼女を覚えている人は居るのかどうか…。


ゲームボーイ版『ドンキーコング』の精神を受け継ぐ作品としてリリースされた『マリオVSドンキーコング』の続編。開発は前作に引き続き、Nintendo Software Technorogyが担当。

変わり過ぎにも程がある、驚愕の試み満載・懐かしさ満載の続編だ。

ゲーム内容は前作『マリオVSドンキーコング』とは異なる、ステージクリア型の誘導アクションパズルゲーム。ステージ内の各所に散らばるミニマリオを動かし、タッチペンでその移動方向の指示、進路確保を行いながら、出口へと誘導していくというものに刷新されている。ポケモンこと、ポケットモンスターシリーズで知られるゲームフリークの処女作であり、誘導アクションパズルゲームの傑作でもある『マリオとワリオ』に近い内容というと、マリオシリーズを遊び込んだプレイヤーにはピンとくるかもしれない。
本編の構成は前作を踏襲。フロアごとに用意されたステージを攻略していく。各フロアは全9つのステージで構成。全てのステージを攻略すると、ドンキーコングと対決する『DKステージ』が解禁され、これを攻略するとフロアクリアになり、次のフロアへと進めるようになる。また、『DKステージ』とは別に『アタックステージ』と呼ばれる特殊なステージも用意されており、『ミニマリオカード』と呼ばれるアイテムを9ステージ全部で回収すると解禁される。基本的にこれらの三つのステージで本編は構成。メインはフロアの大半を占める9つの通常ステージで、ここでプレイヤーはミニマリオの誘導を行っていく。ミニマリオの誘導は単純明快で、全てタッチペン操作で行う。基本的にミニマリオを直接タッチすると自動的に移動を始め、もう一度タッチすると、その場で立ち止まる。また、ミニマリオは壁にぶつかると自動的に向きを変更。任意で移動中の方向を切り替える事もでき、ミニマリオに重なる形でタッチペンを望む方向にスライドさせると、望む方向にミニマリオが向きを変えてくれる。更に上方向にスライド操作を行うと、ミニマリオがジャンプ。主にジャンプ台を使う際に求められてくる。対し、小さな段差に対しては自動的にジャンプしてくれるので、いちいち上方向へのスライド操作を行う必要は無い。あくまでもジャンプ台などの使用時程度で、あまり激しい操作は求められてこない作りにされている。
基本的にはこれらの操作でミニマリオを誘導していく。『マリオとワリオ』と比べると多少、複雑だが、タッチペンの直感操作で一連の動きを手軽に行えるので、意外と単純。ゲームに慣れてない方でも取っ付き易い、親切設計になっている。
但し、今作は誘導する対象たるミニマリオが一体だけではないというのが最大の特徴だ。冒頭で「散らばる」と言ったように、各ステージには二体以上のミニマリオが居て、この全てをゴールに導いていかねばならないのだ。ただ、全員導かないとダメという訳では無い。一応、最低でも1体がゴールできればステージクリアになるので、無理に2体以上ゴールしなくても本編は進めていけるようになっている。だが、ゴールさせたミニマリオが少ないと『DKステージ』でドンキーコングを攻撃する際に用いる弾の数が減るペナルティが生じるので、余計な苦労を強いられる。なので、例え1体だけ到達しても良いとは言え、全員到達を心掛けねばならない。全員到達しなくても大丈夫な緩さを見せつけ、後で大変な事になる厳しい一面を見せ付ける容赦の無さ。如何にも任天堂らしい、茶目っ気全開の調整となっている。
例によって、2体以上の誘導は至難の業。それぞれが違った危険に晒される為、常にその動きに目を配るプレイが求められてくる。また、ミニマリオは非常に脆い。高い段差から落ちると即座に壊れて再起不能になる上、敵の攻撃を数発我慢できるほどほどの耐久力も無い。当たれば一瞬でお陀仏だ。そんな弱いキャラクターを2体以上も誘導するというだけに、ゲーム全体の緊張感も相当なもの。ちょっとした焦りが取り返しの付かない事態を招く、シビアなバランスになっている。更にステージ上には、進路を妨害する敵やギミックも盛り沢山。その種類もタッチペンで作る足場、ミニマリオを放り投げる敵など、特徴的なものが多く、只でさえ大変な誘導を大いに手強くさせている。
ただ、一体ずつ誘導するなどの慎重なプレイを心掛ければ難なく行けたりと、やり方次第で難しくも簡単にもなる側面もあり。中にはそれでは突破が難しい所もあるが、そんな自由度の高いプレイが楽しめるのも今作の特徴の一つ。シビアな所もあるが、突破口は用意されているので、初心者にも上級者にも対等な手応えを堪能できるバランスになっている。無論、あえて厳しいやり方で遊んだ際の対価もハイスコアという形で支払われるので、やり込み甲斐も十分。安全策で行くか、特攻策で行くか、こんな所にも任天堂らしい調整が炸裂している。同時に、そのやり方次第で難易度が変わってくるバランス調整は前作の売りそのもの。こう言った所で前作のノリもちゃんと継承されている。
何もかもが前作とは別物な続編ではあるが、前作の知識無しに初心者、経験者共に楽しめる鮮度抜群の設計は実に魅力的。『マリオとワリオ』を髣髴とさせる誘導主体のゲーム性も、マリオシリーズを遊び込んだプレイヤーにはノスタルジーを喚起させられるものがある。そして、基本システムとバランス調整において、さりげなく前作のノリを継承するという徹底振り。別物な為、前作のゲーム性を期待したプレイヤーには肩透かし所では済まされないが、それを捩じ伏せるだけの魅力と面白さが満載。全てにおいて意表を突き過ぎた、変り種にも程がある続編に仕上げられている。

そして、そんな変わり過ぎたゲームシステムこそが今作最大の魅力だ。正直、前作とは別物も別物なので、これを続編、それも2と名付けていいのかと凄く疑問符の付く内容であるが、ゲームとしての敷居は前作以上に下がり、より万人が楽しめるアクションパズルゲームへとなった事に関しては、非常に大きな進化と言えるだろう。基本、2つのボタンしか使わないとは言え、ちょっとしたテクニックが求められた前作と比べれば、今作のタッチペン一本でありとあらゆる操作ができてしまうというのはあまりにも大きい。
また、『マリオとワリオ』を髣髴とさせながら、全く違ったゲーム性と緊張感を全面的に推し出したシステム全体の作りも秀逸の一言に尽きる。ゆっくり1体ずつゴールへと導くか、2体以上を始動させ、ノンストップで全員をゴールへと導くか、その方針の選択次第で全く違った遊びとスリルを味わえるその作りは実に奥が深い。
何よりも、難易度選択機能を全部包み込んでしまっているのが凄い。チマチマ動かせば難易度は簡単に、逆に全部のミニマリオを動かして一人一人の誘導を行っていくようにすると難易度は劇的に難しくなるなど、遊び方を選ぶ行為が難易度の選択へと繋がるように設計されているのである。ゲーム開始前に該当する項目を選んで難易度を決定付けるのではなく、プレイヤーが遊びを通してその難易度を決めていけるようにする。初心者と上級者と区別させず、誰もが同じスタートラインに立って、そこから様々な道を進めていけるようにした設計は脱帽の一言だ。遊びそのものが難易度を一変させるという点で、如何に今作のシステムがプレイヤー心理を巧みに捉えたものに設計されているのかというのが分かる。
また、遊び方次第で難易度が変化するというのは宮本茂氏が手掛けたゲームに共通する要素でもある。特にその作風が現れた作品というのがスーパーファミコンで発売された『スーパーマリオワールド』で、そちらでは『!ブロック』という要素を通して、遊び方を通した難易度選択というものを実現していた。今作もゲーム中身そのものは別物とは言え、その時の例に倣い、遊び方を通した難易度選択というものを実現してみせた。それも、一つの要素としてではなく、ゲームの根幹を担うシステムとして。本当に驚くべき所業だ。そういう意味でも今作は、『スーパーマリオワールド』の『!ブロック』の理念をそのままゲームに変態させた作品と言える。正直、無茶苦茶にも程がある繋げ方だが、実際にその過程はマリオワールドのそれと変わらない。難易度を選ぶ行為は一種の差別に近いので、意識せずに難易度が選ばれてるような自然なものにしたい。そんな思いが込められた今作のシステムは、まさに宮本茂氏のゲームに対する哲学がこの上なく活かされたものと言っても良いだろう。念の為、今作の製作に宮本氏はさほど絡んでいないのだが、それでも活かし方の上手さには製作スタッフの氏に対する敬意が如実に現れている。その絶妙な変化具合と言い、相当な時間をかけてこのシステムが作り込まれたというのを嫌でも実感させられるばかりだ。
他にステージ構成も仕掛けのバリエーションが多彩で、独立した個性を持ったものに完成されているなど、非常に出来が良い。また、タッチペン操作ならではの仕掛け、二画面構成を活かしたボス戦など、DSのゲームとしてのらしさを出す試みもそつなくまとまっており、特にボス戦は独特のルールもさることながら、誘導で忙しい本編のストレスを発散する内容になっているのが実にユニーク。何かもが妥協を感じさせないものに完成されている。
しかし、やはり純粋な前作の続編(進化系)を望んだ方には「これは無い」と思ってしまう内容であるのは否めない。それに今回はアクションよりも、パズルに重点を置いている為、ゲーム的に地味になってしまった辺りも、前作をやり込んだプレイヤーには賛否が分かれるだろう。それでも、ゲームとしての完成度は高く、別物だから駄作としてしまうのはあまりにも無礼。だが、2なのに以前の遊びが楽しめない辺りは不満に挙げらられても致し方ない面があるので、気にしたら負けと言い切れないのもまた事実と、何とも際どい。そういう意味でも、今作は続編としてかなり異端。出来は抜群に良いが、何か違う。そんな内容に仕上がっているのだ。

ただ、ステージ総数は前作に負けず劣らず、100面以上と盛り沢山なほか、スコアアタックを始めとするやり込みもそのままなので、遊び応えには続編っぽい味が残されている。難易度も、遊び方によって変わる部分はあれど、基本的なバランスは優し過ぎず、難し過ぎずの前作を髣髴とさせる絶妙な調整。楽しくて手強い、あの味はそのままだ。
更に今作には、自分で好きなステージを作成できる『エディットモード』も実装。Wi-Fiコネクションでインターネットに接続すれば、フレンドコードを交換したユーザーとオリジナルステージの配布ができると言った事ができるようになっている。フレンドコードを交換したユーザー限定という事で、自由に作ったステージを配布したり、ダウンロードしたりできないのは少し不便だが、自作ステージを作れるというのはなかなか魅力的。そう言った本編の攻略以外の要素も盛り込まれているので、結構長く遊べるようになっている。
グラフィックも前作から大きく変わってドット絵に刷新されたが、クオリティはかなりのもの。背景からキャラクターに至るまで、驚くほど丁寧に描かれている。動きも可愛らしく、特に主人公に当たるミニマリオの可愛らしさは必見だ。
一方で、音楽はゲーム内容を反映してか、随分と地味で大人しいものになってしまった。前作の難点、音量の大きさは改善されたのだが、肝心の曲がパワーダウン。これは前作の曲の良さに惚れた方には残念な劣化と言えるだろう。

演出周りも音楽の地味化により、質素になってしまった。前作で多くのプレイヤーに衝撃を与えたであろうムービーシーンも地味で、マリオも喋らない為に見所が少ない。
だが、あのゲームボーイ版『ドンキーコング』のヒロイン、ポリーンが実に10年ぶりに復活したストーリーは、古くからのマリオファンにとっては必見。しかも、設定がGB版以降の時代に沿ったものになっているという徹底振りだ。そのマニアックな配慮には、知る人ぞ知るGB版プレイヤーなら、思わずニヤリとしてしまうだろう。
ゲームボーイ版『ドンキーコング』を現代風にアレンジしたとも言える前作から打って変わり、『マリオとワリオ』を髣髴とさせる誘導を主軸に置いたゲーム性とパズル要素の高さは、アクションを期待していたプレイヤーにはかなりショッキングな部分であるのは否定できない。仮にも2を名乗りながら、別物としてしまっている辺りにも結構、疑問符が付く。
そういう意味でも、続編としては落第点スレスレな所に位置した内容であるが、肝心のゲーム自体は紛れもなく傑作と言える出来。色んな遊び方で手軽に楽しめるゲームシステムと絶妙なゲームバランス、練られたレベルデザインなど、任天堂ならではの職人技と気配りが炸裂した作品に仕上げられている。
前作のようなアクションパズルに期待する方にはお薦めできないが、逆に『マリオとワリオ』が好きな方、パズルゲーム好きには自信を持ってお薦めできる一品である。2を名乗ってはいるが、前作未経験者にも同様にお薦め。手軽ながらも、結構奥深い味わいに富んだ今作。是非、じっくりとその妙味を堪能してみて欲しい。
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