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≫メトロイドプライム ハンターズ
■発売元 任天堂
■開発元 Nintendo Software Technology、レトロスタジオ(監修)
■ジャンル ファースト・パーソン・シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4571円(税別) / バーチャルコンソール版:880円(税別)
■公式サイト ≫ニンテンドーDS版 / ≫VC(WiiU)版
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 60ページ / ≫Web版はこちら(※PDF注意)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応(※2017年現在、サービス終了)、DS振動カートリッジ対応
■推定クリア時間 7〜8時間(エンディング目的)、30〜50時間(完全攻略目的)
銀河連邦の勢力圏より遥か彼方の宇宙に存在する星域「アレンビッククラスター」。
「アレンビック族」なる平和的且つ、強大な種族がこの一帯を支配していたが、数千年前か数万年前、最高の兵器に護られた「オクトリス」なるものを残して、こつ然と姿を消してしまった。

それから幾世紀もの時を経た現在、アレンビッククラスターから突如、テレパシーメッセージが発信され、銀河中でも特に上位に位置する者達の頭脳に届くという、奇妙な事件が起きる。
メッセージは数千の言語、数千の言葉に翻訳されたが、その意味するところは全て同じであった。
「究極の力、その秘密はアレンビッククラスターに眠る」…と。

このメッセージに魅了された6人の名高いバウンティーハンターは、「究極の力」の正体を解き明かすべく、それぞれの理由を胸にアレンビッククラスターへと向かう。
そして、事件を知った銀河連邦も真相を探る為、サムス・アランをアレンビッククラスターに派遣するのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆タッチペンで調節を実施する、ニンテンドーDSならではの手軽さと分かり易さに秀でた照準操作
◆タッチ操作により、直感的な切り替えが行えるようになった一部アクション(特にモーフボールとミサイル)
◆ハード性能をフル活用して描かれたグラフィック(これまでのメトロイドプライムの雰囲気を完璧に再現!)
◆過去作よりは落ちるが、30fpsを堅持し、快適な操作感を演出したフレームレート
◆ステージクリア色の強い、テンポ良く進めていける構成が異彩を放つ本編ことアドベンチャーモード
◆シリーズお馴染みの新アクション習得による行動範囲拡大は無いが、「アーティファクト」、「ミサイル&エネルギータンク」集めなど、最低限の面白さはしっかり確保した探索要素
◆ローカルのみならず、オンラインにも対応して劇的なパワーアップを遂げたマルチプレイ(※2017年現在、Wi-Fiコネクションサービス終了の為、オンラインはプレイ不可)
◆スタンダードなバトルロイヤルからアイテム争奪戦、防衛線まで多種多様なマルチプレイの対戦ルール
◆得意なサブウェポン、透明化能力、近接特化型のステータスなど、それぞれ丁寧な個性付けが図られた、マルチプレイにおける7人のバウンティハンター達
◆過去のシリーズよりも短めながら、アイテム収集、隠し要素解禁、隠しエンディングなどのやり込み要素はしっかりと揃え、一定の密度を出している本編ボリューム
◆シリーズお馴染みの不気味さ、緊迫感を見事に醸し出した雰囲気満点の音楽
◆グラフィック同様にニンテンドーDSのハード性能をフル活用する姿勢が顕著に表れた演出周り(特にムービーデモ)

--- Bad Point ---
◆FPS初心者への敷居を逆に高めてしまっている、ロックオンシステムの廃止
◆実質二体しかおらず、それがパワーアップを遂げて再登場を繰り返すだけという、使い回し全開で後半にかけてマンネリ化を遂げるボス戦(戦闘内容も面白みに欠ける)
◆やる事がテンプレート化されているだけでなく、後半には解禁したマップ全体を探索する(それもノーヒントで)面倒臭い展開になるなど、レベルデザインに難があり過ぎるアドベンチャーモード
◆新アクション習得による行動範囲拡大が無いのもあり、味気無さも否めない探索要素
◆母船『スターシップ』でしか実施できないセーブ(道中にセーブポイントが無い…)
◆敗北するとストーリー進行に重要な重要アイテムを強奪され、それを取り返す手間が生じる、迷惑で面倒極まりない乱入ハンター(おまけに買った所で何のアイテムも得られないという…)
◆あまりにも心臓に悪いハンター乱入時の演出(主に音楽がその要因)
◆ブロックノイズだらけで、見るに堪えない質のムービーデモ(演出は凝っているのに…)
◆メトロイド作品としての必然性が皆無のストーリー(お馴染みのメトロイドどころか、プライムシリーズでお馴染みの「フェイゾン」も出てこないなど、作品名を冠している意義がまるで出せていない…)
▼Review ≪Last Update : 4/16/2017≫
「お前を追い続けるぞ…」

その執念深さの源とは。


シリーズ久々の新作として発売され、主に海外を中心に好評を博した『メトロイドプライム』シリーズの最新作にして、外伝作品。開発は『ウェーブレース ブルーストーム』、『NINTENDOパズルコレクション(パネルでポン)』などを手掛けたNintendo Software Technology。本編シリーズの開発元であるレトロスタジオは監修の立場で参加している。

携帯機でメトロイドプライムを実現させてしまった、良くも悪くも強引さ溢れる佳作だ。

ゲーム内容は過去のメトロイドプライムシリーズ同様、3Dの一人称(主観)視点で展開するファーストパーソンアドベンチャー。主人公のサムスを操作し、遠方の星域「アレンビッククラスター」の惑星、宇宙ステーションを探索し、「オクトリス」なる謎のアイテムを集め、テレパシーメッセージの謎に迫っていくというものである。
ただ、本編構成に関しては、これまでのシリーズと大きく異なる。どう異なるのかというと、ステージクリア方式同然な形で進行。「星域スキャン画面」なるワールドマップから目的地を選び、そこを探索して「オクトリス」を回収し、脱出するというのを繰り返していく。要は明確なゴールが設定されていて、それを目指し、マップを探索していく為、従来のシリーズにも増してステージクリア色が強い構成になっている。オクトリス回収の度、スキャン画面で選べる目的地も増えていくという仕掛けがあるので尚更だ。一応、「オクトリス」を目指すに当たって「アーティファクト」と呼ばれるアイテムを集めていくなど、マップの隅々を調べていく要素もあるが、構造的に直線状の横に広がりの少ない地形が多い為、一本道色が強め。また、どのマップも基本的に「マップ探索&アーティファクト集め⇒ガーディアン(ボス)との戦闘⇒オクトリス入手⇒惑星からの脱出」の繰り返しと、一種のテンプレートで固められている。その為、広大なマップを探索するという要素は控えめ。従来の構成に慣れていたプレイヤーは戸惑い易く、シリーズ初心者には分かり易い側面も持った作りになっている。
システム周りもこれまでのシリーズと異なる。見た目こそ共通しているが、サムスのバイザーを切り替えて熱源の探知や隠し通路を探し出すシステム、敵に狙いを定めて攻撃を確実に命中させるロックオンシステムの二つは未実装。一応、バイザーは周囲のオブジェクトから情報を読み取る「スキャンバイザー」だけは残されていて、これを用いた謎解きも登場するが、後者はその欠片も無い。故に今作ではマニュアル操作で照準を動かして敵に狙いを定め、攻撃していかなければならない。いわば、一般的なファーストパーソンシューター(FPS)と同じ操作体系に改められているのである。従来のシリーズがFPSが不得意なプレイヤーでも簡単に遊べる親切設計だったのを考えると、逆行に等しい作りだが、照準の操作自体は単純。タッチペンでタッチスクリーン上をスライドしながら行う。その為、直感的に狙いを定める事が可能。細かな力加減、微調整を意識することなく、スムーズに動かせるものになっているのだ。特にパソコン上でプレイするFPSに手慣れたプレイヤーなら、これと言って抵抗なく馴染める。また、武器の切り替えとモーフボール(丸まり)、ジャンプと言ったアクションもタッチスクリーン上のアイコン等をタッチするだけで行える上(※ジャンプはABXY、十字キーの操作にも対応)、ボタン側の操作は基本的に十字キーとLボタン(※左利きの場合はABXYボタン、Rボタン)の二つしか使わないので、複雑さも皆無。動かしていてストレスを感じ難い。それでも、確実に狙いを付けてくれる訳では無いので、初心者には難しい所もあるが、使うボタンの少なさと直感的なスタイルもあって、敷居は意外と低い。まさにニンテンドーDS特有の操作感とパソコンで遊ぶFPSのスタイルを融合させたとも言える、独自の操作体系に仕上げられている。
更に今作はプライムシリーズはおろか、メトロイドシリーズとしても珍しく、サムス自身の身体能力が拡張される成長要素が無い。今回は初期段階からチャージショットにミサイル、モーフボールと言った能力を会得した、成長しきった状態になってしまっているのだ。その為、特定の能力を会得すると行動範囲が広がる展開も皆無。敵を全滅するか、スキャンバイザーでスキャンするかで切り開いていく展開がほとんどと、メトロイドらしさに欠けたものになってしまっている。先にステージクリア型の色が強いと称したが、これもその事を象徴する要素。一応、「サブウェポン」というミサイル以外に用意された武器が用意されているが、使う場面は戦闘に偏っている為、謎解きにはあまり絡んでこない。こう言った特徴もあって、シリーズの謎解きが好きだった方にとって、今作が賛否の分かれる内容であるのは言うまでもなく。意外なほどアドベンチャー要素が薄めなのである。ある意味、戦闘重視なゲームデザイン。操作体系も併せて、今作はシューティング色の強いメトロイドにすることを目的にしたかのような作り込みが徹底されている。
そのコンセプトを体現するかの如く、今作には本編の「アドベンチャー」とは別に「マルチプレイ」も実装。オンラインにも対応しており、世界中のプレイヤー同士で戦い合う事までできるようになっている。バトルルールにしてもローカル、オンライン共に七種類も用意されていたりと、ある意味、こっちが本編ではと思うぐらいの充実ぶり。
見た目こそ、メトロイドプライムで、種類は減ったがバイザーを使った謎解きに探索要素など、それっぽい作りにはなっている。だが、メトロイドお馴染みの身体能力の成長要素が無い、照準操作はマニュアル、ステージクリアの色彩が強めなど、そのゲームデザインは全くの別物。アドベンチャー色はあるけど、全体的にはバトル重視。シリーズとしては非常に珍しい、アクション寄りのゲーム性を推し出した、異色のメトロイドになっているのである。

そんな今作の魅力は、ニンテンドーDSのハード特性を絶妙に活かしたゲームデザイン。主に操作周りになるが、現行の据え置き機よりもボタン数に劣り、スティック操作もできないハードで、FPS独特の「狙って撃つ」というゲーム性と感触をしっかりと表現した作りになっているのには素直に驚かされるものがある。それでいて、使うボタンの数が少ないので非常に取っ付き易い。ほぼ全てのボタンを活用するFPSとしては珍しい、「直感的に遊べる」を強みとする作りになっている。
特に秀逸なのがタッチスクリーン上のインターフェースで、タッチペンで照準を動かすという独自のスタイルだからこそ起こり得る事故というものとちゃんと想定した設計が成されている。厳密にはスライドする場所、タッチする場所を明確に区分している。スライドする場所、照準操作を行う所は中央の広いスペースに設け、タッチする場所、モーフボールやミサイルへの切り替えはそのスライドの場所の枠外(端側)に設けると言った具合に、互いの操作が干渉せず、プレイヤー自身もそっちに手が動く事はまず無いであろうと確信の持てる所に一連のものを配置し、誤操作を徹底的に防止しているのだ。
更にいずれのインターフェースも独自のデザインを施し、発動時の効果が分かり易いよう、視覚的にも配慮。「モーフボール」であれば「トランスフォームアイコン」なるスロット型のアイコンとしたり、「スキャンバイザー」であれば中央下部分の小さなスペースに配置して、丸型のサインを付けるなど、見た瞬間に何の効果が発動するかが分かるデザインを徹底している。それでいて、タッチできる箇所も少なめ。左下、右下、右上、中央上の四箇所だけなので、何処に何のアクションに関係したアイコンが並んでいるかを直に理解する事ができる。特定の方向に同じアクションを混在させていないから、ボールに切り替えたつもりがミサイルの切り替えだったという事故に至る心配もほとんど無し。ちゃんと、プレイヤーの望み通りの行動が取れて、スムーズに探索と戦闘に集中できる作りにされているのである。
実際にこのような措置が取られているのもあって、本当に誤操作は起き難い。それでいて切り替えもアイコンをタッチするだけの直感的な仕様なので、従来型のコントローラ以上に快適且つ、スピーディなゲームプレイを実現させている。明らかにボタン数で大きなハンデがありながら、従来型コントローラとまるで遜色が無いどころか、上回っているとすら感じさせるものに仕上げてしまっているのは圧巻の一言。製作スタッフが如何にして、この限りあるデバイスで従来型コントローラで遊ぶFPSと遜色のないものを作ろうと取り組んだのか、その熱意と努力を大いに実感させられる仕上がりになっている。タッチだけの操作で発動するものから長押しが要求されるものまで、差別化を図っているのにも検証に沢山時間をかけたのかがよく現れており、DSのゲームらしい手応えを追求したこだわりが満ちているのも秀逸。プライムシリーズでも操作性周りでは革新的なものを想像していたが、外伝に当たる今作でもその考えは見事に継承されており、今作にて再びFPSの世界に一石を投ずるものを作り上げている。その執念とも言える操作周りに対する作り込みの深さには、その辺には(いい意味で)非常にうるさい任天堂としてのこだわりを感じさせられるところだ。
スペックの低さをものともしないグラフィックの質の高さも特筆に値する。さすがに本編のプライムシリーズほどの美しさはないが、それに近付けることを目的とする作り込みが徹底されており、ニンテンドーDSの3Dグラフィックを採用した作品の中でも頭一つ抜けたクオリティを実現している。更にフレームレートも30fpsを堅持しており、快適なゲームプレイを演出。例え、性能差があろうと気持ちの良いゲームにする、執念とも言える作り込みは圧巻の一言で、職人の意地というものを実感させられる。特にFPSをやり込んだプレイヤーなら、「よくここまで…」と唸ってしまうかもしれない。
オンラインマルチプレイの実装も携帯機の作品としては非常に贅沢。ゲームモード、マップの多彩さも群を抜いているのみならず、フレームレートも安定しているなど技術的な面でも見所が多く、作り込みの深さを実感させられる。何気にプレイヤーキャラクターがサムス以外に複数人居るのもちょっとした注目点。シリーズの世界観を広げる要素としても上手く機能しており、長年、メトロイドを遊んできたプレイヤーの興味を惹く作りになっているので要チェックである。
他にマルチプレイには「ヘッドショット」と言ったFPS独自の要素もしっかり取り入れるなど、総じて基本的な完成度は非常に高い。しかし、メトロイドの新作としてみるとお世辞にも、高くも無ければ低くもないという際どい出来になってしまっている。特に成長要素が無く、戦闘寄りの構成になった探索パートは正直言って難あり。惑星と宇宙ステーションごとに同じ事を繰り返すという構成の味気なさのみならず、全ての探索地点を解禁した後、また最初の惑星に戻って別ルートで同じ探索を繰り広げるという、あからさまな水増しを行った作りは純粋に面白くない。しかも、登場するガーディアンことボスにしても、固定砲台のような二体の使い回しが続くというつまらなさ。容量の都合という、苦肉の策が滲み出た作りになってしまっている。マップに関しても先の通りに横の広がりが無い故に狭苦しく、正直、プライムシリーズ及び、本家メトロイドシリーズの起伏のある構成を期待すると、とんだ肩透かしを食らうこと必至の内容である。
なので、メトロイドとして期待すると盛大に裏切られる。アクション寄りメトロイドとして楽しもうとしても、レベルデザインの雑さと酷い使い回し、ワンパターンでマンネリ化し易い展開など、粗い部分が目立つので面白味は弱い。容量の都合か、それともマルチプレイにリソースを割き過ぎたのか、真相は関係者のみぞ知るだが、こんな素っ気ない作り故にシングルプレイのアクションアドベンチャーゲームとしての出来は正直言って、下の方。FPSとしての出来は良くても、メトロイドとしての手応えは希薄という、何とも本末転倒な仕上がりになってしまっているのである。異色というフォローをしても、だ。そもそも、これはメトロイドを名乗らなくていいんじゃないのか、そう思ってしまうほどに薄いのである。

全体のボリュームも、一応、エンディングを目指すなら8〜10時間ほどと、2Dアクションのメトロイドよりかは充実しているが、先の通り、シングルプレイは同じ事の繰り返しに徹するので、遊び応えとやり甲斐は薄い。シリーズお馴染みの100%クリアのやり込み要素もあるが、マップの狭さと本編の単調さもあって、面白味は皆無と言っても良い。
難易度周りに関しても問題点が多い。特に先に取り上げた探索地点全解禁後の展開は次に進むべきルートが一切表示されない為、基本的に総当たりプレイを要求されるのである。この辺はメトロイドとして見れば、御約束とも言えるのだが、入念に探索しないと次に進むべき場所なのかが分からないのもあって、非常に面倒臭い。更に全解禁後と前を問わず、探索しているとライバルの「ハンター」が中ボスで現れるのだが、これの出現条件がランダムに加え、相手自身が強いのもあってただの邪魔者と化している。それどころか、負けてしまうと獲得した「オクトリス」が奪われてしまい、逃げた先の惑星及び宇宙ステーションで討伐しないと取り返せない二度手間が生じる事になってしまうのだ。そうなると本来の攻略が進まず、プレイ時間が延びていくばかり。そんな迷惑千万な要素もあって、陰湿さまで漂わせてしまっているのである。故に全体としてお世辞にも絶妙とは言い難いバランス。あまり入念に調整しなかっただろ、と突っ込みたくなる問題だらけの仕上がりになっている。更にハンターに関しては「ドキッ」とするような演出で唐突に現れるいうおまけ付き。幾らシリーズがドッキリ要素も特徴としているとは言え、ランダム設定でそのようなものを表現するのはダメだろう。せめて「星域スキャン画面」でハンターが接近しているのを確認できる機能が搭載されていれば、このシステムも幾分かマシになったと思うのだが。結果的にマシどころか、ただのお邪魔要素に終わってしまっているのだからどうしようもない。
また、グラフィックも確かにモデリングや背景の質は悪くないのだが、要所要所で挿入されるプリレンダムービーの質が悲惨。ブロックノイズが露骨なほど目立っていて、見るに耐えぬ仕上がりになってしまっている。中には綺麗なものもあるほか、二画面突き抜けで表現する面白い試みも成されているのだが、正直、もう少し解像度を上げるなり、工夫はできなかったのか。どうも無理矢理入れた感が否めないのが気になるところだ。

反面、音楽はプライムシリーズの路線を引き継いだ雰囲気重視の作り。ただ、今回はステージクリア色が強い…戦闘シーンが多い構成なのもあってか、戦闘系の曲が多彩で、印象深いものも揃っている。特にラスボス戦の曲は、メトロイドを知るプレイヤーならばニヤリとする作り。心臓に悪い曲調が難点だが、ハンター戦の曲も良いものが揃っている。その独特過ぎる作りは嫌でも耳にこびり付いてしまうかもしれない。
その他、ストーリーもメトロイドシリーズらしく最小限の演出で仕上げられた作り…なのだが、メトロイドである必然性が皆無な内容なのが気になる。特に題名にもあるメトロイドが一切登場せず、プライムシリーズお馴染みの『フェイゾン』も出てこないのはどうなのか。せめて前者は出しても良かった気がするのだが。こういう所からも、今作はメトロイドとしてではなくニンテンドーDSのFPSとして作る事が前提だったのでは、と邪推してしまうものがある。
一応、ゲーム自体は駄作では無い。特にFPS絡みのシステムの完成度は非常に高いほか、技術的にも見所が満載としっかりと作り込まれた内容になっている。だが、メトロイドとして見るとそれらしい要素に乏しく、シリーズファンの興味を惹く要素も無かったりと肩透かしのオンパレード。シングルプレイもマンネリ気味と、歴代シリーズで見てダントツの素っ気なさを誇る。そういう難点から、ある意味、ニンテンドーDSのFPSとしての見所しかないとも言える今作。
正直、DSで遊ぶFPSに興味がある人にしか薦められない佳作だ。メトロイドの新作としては全体的に貧弱気味。ただ、一応はシリーズのストーリーラインに入っている作品なので、熱心なファンはやっておく価値があるかもしれない。
なお、オンライン対戦は2014年5月20日にサービスが終了してしまったので、現時点ではプレイできない。ただ、ローカル対戦は継続して遊べるので、そちらに興味があるのならどうぞ。
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