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≫マリオ&ルイージRPG3!!!
■発売元 任天堂
■開発元 アルファドリーム
■ジャンル ブラザーアクションRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 2つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 20時間〜22時間(エンディング目的)、50〜60時間(完全攻略目的)
平和なキノコ王国に突如、体が膨れてコロコロと転がり続けてしまう謎の病気『メタコロ病』が流行し始めた。スターの精もさじを投げたこの病の問題に対し、ピーチ姫はキノコ城にて緊急会議を開くことを決定。
そこにマリオとルイージも招かれた。
だが、そこに参加を拒否されたクッパが現れ、会議を妨害。
これにマリオが立ち向かい、どうにかクッパを退けることに成功する。

そして撃退され、森の奥で目覚めたクッパは、怪しげな商人からとても強くなれる『ラッキーキノコ』なるものをプレゼントされる。それを食べればマリオに勝てると言った商人につれられ、クッパはキノコを食べるのだが、突如として様子が激変し、周囲のものを吸い込み始め、本人の意志とは別に暴走してしまう。

そのまま、ピーチ城に辿り着いたクッパは、キノコの効果でその場にいたマリオとルイージ、更にはピーチ姫を始めとする面々まで吸い込んでしまう。
こうしてクッパの体の中へと吸い込まれてしまったマリオとルイージ、そしてピーチ姫達。
一体、彼らはこのまま、どうなってしまうのか。

そして、クッパを暴走させるキノコを渡した商人の狙いとは…?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆上画面と下画面が互いに影響し合う、DSらしいアイディア満載のゲーム展開
◆2DアクションでRPGという、古き良き時代のマリオシリーズを髣髴させる視点構成が秀逸なマリオ&ルイージパート
◆豪快なアクションとイベントが盛り沢山の、見下ろし視点で展開するクッパパート
◆各キャラクターの特性を活かした地形設計とギミックが光る、珠玉のマップデザイン
◆上画面と下画面が影響し合うようになり、DSらしさが強化されたバトルシステム
◆操作性の改善で、快適に繰り出せるようになった伝統のアクションコマンド
◆DS本体縦持ちならではの迫力とタッチペンによる操作性が光る、巨大クッパ戦
◆前作の4ボタン操作が無くなり、初代の快適さを取り戻した操作性
◆相変わらず、無駄に丁寧な作りの操作解説&チュートリアル
◆ボスの体力が再調整され、初代並の絶妙さを取り戻したゲームバランス
◆ボスアタックにマメ集めなど、これまで以上に増強した寄り道要素(やり込み要素)
◆シリーズ伝統のドット絵の芸術が炸裂した、職人芸の2Dグラフィック
◆明るいものからシリアスなものまで、バリエーション豊かな音楽(上と下で曲調が変化する演出も面白い)
◆全編クッパが主人公並の活躍を見せる、熱いシナリオ
◆コテコテのキャラ付けが薄くなった恩恵で、今まで以上の活躍を見せるルイージ

--- Bad Point ---
◆全編タッチペン操作の為、やや煩わしい感も残るクッパのスペシャルアタック
◆丁寧ではあるが、逆にウザくて省略できないのが煩わしいチュートリアル
◆中盤なのに妙に難易度が高い、巨大クッパ戦の列車ボスとの戦い
◆やや量的に少ない感が否めない、戦闘専用音楽
▼Review ≪Last Update : 12/27/2009≫
「お前こそ消えるがいい!」

クッパが漢(おとこ)を見せる!


マリオとルイージを同時に操作する独自のスタイルとアクション性の高いバトルシステムで好評を博した『マリオ&ルイージRPG』、第三作目にして4年ぶりとなる続編。開発はこれまでと同様、アルファドリームが担当。

これはマリオ&ルイージRPGではない。
クッパRPGという名の傑作アクションRPGである。

内容は、過去のシリーズと同様。アクション要素を取り入れた、イベントクリア型のロールプレイングゲームで、マリオとルイージの二人を同時操作し、キノコ王国各地で起こるイベントや戦闘を攻略していくというものだ。
回避行動が取れるアクションコマンドシステムを取り入れたバトルシステム、連携攻撃技のブラザーアタックなどのシステムは、今作でも引き続き採用。また、前作ではマリオとルイージの他にベビィマリオとベビィルイージも操作するという、4人同時操作となっていたが、さすがに複雑過ぎたという事で数を減少。
3人同時操作のスタイルとなり、ベビィマリオとベビィルイージの代わりとして、クッパがプレイヤーキャラとして参戦した。
しかも、今回の操作スタイルはかなり特殊。上画面でクッパを操り、下画面でマリオとルイージを操ると言う、分割スタイルとなっている。更に面白いのが、各種画面の舞台。クッパはキノコ王国…シリーズお馴染みのマップであるのに対し、マリオとルイージは何とクッパの体内!メインマップ移動にクッパを使い、その支援として体内マップでマリオとルイージを操るという、特殊極まりない構成となっているのだ。まさに巨大ロボット搭乗スタイルとも言うべきか。
その為、本編の展開も恐ろしく奇妙なものに。クッパでメインを進み、その途中、体内でやるべき事が起きたらマリオとルイージで体内のマップを探索するという感じに、DSの二画面を最大限に活かしたものとなっている。
また、マップの作りもクッパはいつものRPGマップ、マリオとルイージは2Dアクションスタイルの横スクロールマップと差別化されていて、それぞれ違った仕掛けとアイディアが凝らされている。
更に、この二つの画面は連動。上画面でクッパが水を飲むと、下画面に水が溜まったり、また下画面である事を行うと、上画面のクッパがパワーアップするなど、それぞれの画面で行った事が反映されるという、これまたDSらしい仰々しい仕掛けが仕込まれている。おまけに連動はバトルでも発生し、上画面でクッパが吸い込み攻撃をして敵を飲み込むと、下画面にその敵が送り込まれ、マリオとルイージが戦う事になったりも。上画面は全体マップの表示と言った感じに、シンプルなRPGの進化に徹していた前作を考えたら、今回はかなりDSらしくなったと言える。というより、進化し過ぎである。
また、この構成になった恩恵で、操作周りも大幅に改善。画面別にキャラが分けられて個別化されたので、マリオとルイージはAB、クッパはXYと言った感じにシンプルに動かせるようになっている。前作のようにABXYの4つのボタンを無理に動かす必要はなくなったので、これは嬉しい原点回帰である。前作ではおまけに過ぎなかったタッチペンによる操作も、今回はクッパのスペシャルアタック用の操作として起用。使う場面も大分増えている。スペシャルアタックだけでなく、今回から新たにイベント戦として追加された『巨大クッパ戦』の操作としても使うなど、もはやおまけと言うのも難しい。ある意味、今回にてアルファドリーム本領発揮と言うべきか。
全体としては前作以上に遊び易く、そしてニンテンドーDSの特性がフルに発揮された内容に仕上げられている。本編の展開も一本道で無くなったなど、地味に改善された所も色々。正直、前作をプレイした人ならば、何故この本気を以前に見せなかったのかと、ついツッコミたくなってしまうほどの化けっぷりだ。

そんな今作の売りは、全然『マリオ&ルイージRPG』でない本編に尽きる。
単刀直入に言って、今作の主人公はマリオとルイージではない。クッパだ。クッパがこのゲームの主人公なのである。それが最大の売り。最初から最後まで、隅から隅までクッパ、クッパ。ある意味、マリオシリーズでここまでクッパが注目されたゲームは無いと言っても良いほど、彼の魅力が炸裂した内容となっているのである。
何と言っても、その売りが発揮されているのは本編全体の構成だろう。クッパが中心となるイベントがあまりに多い上、シナリオもクッパ中心で進む等、無駄に優遇されている。もはやマリオとルイージは脇役同然なのである。
特に、それが光ってるのはイベント全般だろう。マリオとルイージもサポート役として参加するが、メインを張るのはクッパという事で、それを攻略した時は決まって彼にスポットライトが当たるようになっている。どんなにマリオとルイージが頑張っても、報われるのはクッパだけ。そんな奇妙な光景が終始、連続していくのである。『巨大クッパ戦』なんて、その真骨頂と言っても良いだろう。巨大なクッパが巨大ボス相手に暴れる様もさる事ながら、本体縦持ちスタイルで展開する特異性、タッチペンを最大限に活かした操作の面白さも相まって、まさにクッパだからこその同一性とインパクトを存分に演出している。純粋にこのバトル自体の出来も秀逸だ。縦持ちで大きなキャラを表現するというDSらしい発想、2Dだからこその嘘っぽさ、そう言ったものが発揮されていて、その迫力を演出するのにクッパ以外の適役はいなかったという意味の強さもあり、強烈なオリジナリティを発揮している。戦闘内容もバリエーション豊かで、単に巨大なボスと戦うだけでなく、小さなボスとの戦いもあったりなど、単調化を防ぐ工夫が徹底されているのも特筆すべきポイントだ。強いて言うなら、戦闘がクリア後とかに自由に遊べないのと数が少ないのは残念だが、完成度の高さもあって、些細な事にしか感じないのはさすがと言わざるを得ない。こんな強力なイベントがあっては、マリオとルイージの存在感が薄れてしまうのも、止むを得ないと言っても良いだろう。それにシナリオにしても、クッパ中心で進む内容以外に、クッパはマリオとルイージとは違い、喋るという特色があるのも、彼の存在感を底上げしていると言える。加えて、彼の今作でのキャラクター付けは、俗に言う「ツンデレ」だ。ある意味、今作の強烈な存在感は、そこから醸し出されているのかもしれない。
また、マップ構成にしてもクッパの魅力を活かす工夫が徹底されており、独自のインパクトが演出されている。大きめに表現された草木やシンボルエンカウントの敵キャラクターと言ったオブジェクト等はその象徴と言っても良いだろう。
単にクッパらしさが発揮されているのみならず、ゲーム全体としてのネタの豊富さも秀逸だ。上と下の画面を活かす面白味を最大限に表現したギミック、新アクションを習得する事によって切り開いていく道と言い、そのプレイヤーを飽きさせない工夫の数々は、いかにもネタの見せ方に秀でたアルファドリームらしい。展開の仕方も絶妙で、中盤からマリオとルイージがクッパの体内から出て行動ができるようになったりと、プレイヤーの予想を裏切るその変化には、溜息すら出る。マリオとルイージで行ける範囲、クッパでは通れない範囲など、仕切りの隙の無さも完璧で、各キャラの特性を最大限に活かした地形設計が成されているのも、職人技の域としか他に言い様が無い。過去の『スーパーマリオRPG』や『ペーパーマリオRPG』、『スーパーペーパーマリオ』でも、クッパを操る場面はあったが、ある意味、今作ほど彼の魅力が最大限に活かされた作品は、初めてと言っても良い。
それほどまでに、今作は「クッパラブ!」なRPGとなっているのだ。見方を変えれば、看板に偽りありだが、これはこれで良い裏切りになっていて面白い。偽りありでも「許す!」である。

また、今回は今まで以上に全体のボリュームが増強。ボスラッシュチャレンジなど、寄り道要素が過去以上に増え、やり込み甲斐が大幅に増している。エンディングまでのボリュームも20時間以上とやや拡大。
しかしダレる事は全く無く、高いモチベーションを保ったまま遊べる作り。相変わらずのアルファドリーム節全開なそのレベルデザインには、本当に感心させられる。
操作性の改善は言うまでも無く、バランスも大幅に改善。特に前作で極端に嫌らしかったボス戦は、ボスの体力が適切な量に再調整された恩恵により、難易度全般が原点回帰を果たしている。謎解きの難易度も秀逸で、簡単過ぎず難し過ぎずの任天堂らしい絶妙さが炸裂。安定した面白さを保っている。
ドット絵の芸術とも言えるグラフィック、下村陽子氏による音楽も大幅に進化。職人技とも言える滑らかなアニメーション、演出とラスボス戦の楽曲と言ったものは、プレイヤーに強烈なインパクトを提供してくれる。
更に前作では雑さも目立ったシナリオも、王道テイストに原点回帰。初代マリオ&ルイージRPGから出演し、メイン悪役に昇格したゲラコビッツの暗躍、二転三転する展開、熱過ぎるクッパの台詞など見所も満載で、くぎ付けになってしまうこと、間違いなし。過去にも増し、勇敢に描かれるルイージの活躍ぶりもファン必見だ。

タッチペンを併用する場面が増えた影響で、若干操作が煩わしくなった等の欠点もあるが、それを除けばあとは完璧と言っても良い出来栄えである。
前作のように一本道の流れでもなくなったので、自由度も高まり、RPGとしての完成度も上々。そして、バトルシステムも上下との連動で更に面白く且つ、奥深いものになったなど、その魅力はまだ沢山あるのだが、それは割愛。
とにかく、全てにおいてシリーズ最高とも言える完成度を誇るこの『マリオ&ルイージRPG3』…という名の『クッパRPG』。マリオシリーズファン、シリーズ経験者は勿論のこと、DSユーザーなら要プレイの大傑作だ。RPGとしても一級品の出来。マジでオススメです。前作で苦汁を飲まされた方も是非。クッパの魅力、てんこ盛りです。
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