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≫モンスターボンバー
■発売元 タイトー
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫任天堂:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 15分〜20分(エンディング目的)、3〜4時間(完全攻略目的)
平和な地球に『ボバン星』のモンスター軍団が襲来。
彼らは星の源となるエネルギーを食べつくし、あらゆる星を滅ぼして来た。
この星も例外無く、滅亡の道を歩むかに思われた。
しかしそんな中、人類は新兵器『バクダン玉』の開発に成功。
モンスター軍団に対抗する、唯一の手段を編み出すに至った。

そして今、モンスターの魔の手から星を守る為の反撃が始まろうとしていた。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シューティングとパズルの要素を絡め合わせた、独創的なゲームシステム
◆下画面を発射台として、上画面から迫り来る敵を迎撃する、ニンテンドーDSの二画面を上手く活かした画面構成
◆他の敵を巻き添えにして爆発させる、独自の爽快感に秀でた『爆風連鎖』
◆タッチペンのみしか扱わない、シンプルで直感的な操作性
◆暇潰しには最適な、極度に温くて遊び易い難易度(ゲームバランス)
◆ステージクリア、持久戦と数は少ないがやり込み甲斐のあるゲームモード群
◆全20ステージと量は多い反面、枝分かれ構成故に1周僅か10分程度というギャップの激しさが面白い『シナリオモード』
◆ソツなく描き込まれたグラフィック(キャラのドット絵周りが秀逸)
◆メロディアスな良曲が満載の音楽(特にラストステージの曲はなかなか)
◆爆発をテーマにしたゲームならではの質感溢れる効果音(爆発連鎖の音が良い感じ)
◆派手過ぎず地味過ぎずの丁度良いバランスで仕上げられたエフェクト演出

--- Bad Point ---
◆シナリオモードにおけるレベルデザインの甘さ(大半のステージのクリア条件が敵全滅と、似通ったものばかり)
◆レベルデザインの甘さの所為で、結局敵の迎撃に終始してしまう単調なゲーム性
◆意図的に狙うのが難しい『爆風連鎖』(ほとんど敵の配置などの運が絡む)
◆シンプルではあるが、長時間プレイしていると腕が疲れる操作性(ひたすらスライドして弾くの繰り返しなのできつい)
◆適当に弾を撃てばクリアできてしまう故、皆無に等しいパズル性
◆運が絡んでくる問題の所為でバランス的に破綻している、シナリオモードの目標連鎖達成系ミッション
◆特定の敵の撃破、連鎖達成などパターンに乏しいシナリオモードのミッション内容
◆乏し過ぎる敵の種類(全体で3種類ほど。もう少しいても…)
◆登場すらしないボスキャラクター(登場した方が展開に華やかさがあった)
◆効果時間が短い『レインボーチャンス』(しかも、それで倒すより普通に攻撃した方が敵を多く減らせるという…)
◆完全クリアまでに10時間もかからない、あっさりし過ぎな全体ボリューム
◆適当に弾を撃てばクリア可能な為、手応えもほぼ無いに等しいゲームバランス
◆難しさの変化は表現されているものの、ゲーム性の問題もあって手応えに甘さが際立つ全4種類の難易度
◆得点争いに終始する、味気ない対戦プレイ
▼Review ≪Last Update : 6/6/2010≫
ついにこの日が来てしまった…。

何とまた唐突な侵略だこと…。


ニンテンドーDSのタッチパネル、タッチペン操作の「スライド」「はじく」と言った特徴を前提にして作られた、完全新作のアクションパズルゲーム。

発想は面白いけどあと一歩が足りない、勿体無いゲームだ。

ジャンル名でアクションパズルを名乗っているが、肝心の内容はアクションとは正直言い難い。むしろ、シューティングパズルと称するのが妥当とも言える内容。『ストックバレット』と呼ばれる下画面の発射台からバクダン玉を発射し、上画面から迫り来るモンスターを撃墜していく、他に類を見ないルールを取り入れたパズルゲームとなっている。
しかし、上画面から迫り来るモンスターを撃墜する事の何処がパズルなのかと、これだけでは疑問を覚えると思う。むしろ、それは単なるシューティングゲームじゃないのかと。
もう少し具体的に解説すると、上画面から迫ってくるモンスターはそれぞれ、色で分けられていて、その色に対応したバクダン玉をぶつけないと倒す事ができない仕組みとなっている。つまり、モンスターに対応した色のバクダン玉を発射しないと撃墜できない(消せない)。そこがパズルになっているのだ。無闇に弾を発射すれば良い訳でなく、考えて弾を発射する必要がある。それが今作がシューティングパズルと称される由縁なのである。
これでパズルゲームと称される訳も理解できたかと思う。先の繰り返しになるが、パズルゲームにしては特殊なルールを起用したものとなっているのである。
一応、勝利条件はゲームモードによるが、モンスターを一定数撃破するか、或いは指定の色のモンスターを一定数撃破するかが基本。逆にモンスターが『デッドゾーンエリア』と呼ばれる、下画面への境界線エリアに侵入してしまうと、ゲームオーバー。要はモンスターを下画面に侵入させないよう、上手く撃墜していく事が攻略の鍵となる。
操作は基本的にタッチペンのみ。弾の発射は『ストックバレット』…いわゆる発射台にある色の部分を弾いたり、スライドしたり、或いはタッチする事で行える。『ストックバレット』上には発射スペース(色以外の部分)なるものも存在し、ここで軌道調整して、任意の狙った方向への発射も可能。更に一度、スライドした弾をタッチし続けてチャージし、強力なバクダン玉にして発射する事もできる。それ以外にもバレットには『レインボーゲージ』なるものがあり、これが一定量溜まった際、ゲージをタッチすると『レインボーチャンス』が発動。バレットの色が虹色になり、全ての敵を色に関係なく倒せるようになる。いわゆる逆転のチャンスで、主に追い込まれた際とかに重宝する技である。全体的に操作はシンプルながら、多彩な攻撃が可能。タッチペン操作ならではの特徴を反映させたものに仕上げられている。また、肝心の色は全5色で紫、赤、黄色、緑、青。敵もこれに準拠しており、対応した色の弾を発射し、対処していく事になる。但し、中には先にも紹介した、チャージ弾でないと倒せない敵もいるので、単に色に対応した弾を発射すれば良い訳で無いのがミソだ。
その他、ゲームモードはシナリオモード、サバイバルモード、通信対戦の計三種類を収録。メインはシナリオで、全20ステージの攻略に挑むというもの。但し、一回のプレイで遊べるのは5ステージだけ。枝分かれの分岐で展開する構成となっているので、全ステージを遊ぶには周回プレイを重ねなければならない。クリアまでのボリュームはコンパクトながら、全体としては結構、侮れない作りとなってる。シューティングらしくもあってパズルっぽくもある、両者の良さが程好く融合されたモードと言っても良いだろう。
ザッと概要を語ったが、このように今作、基本的な作りこそシンプルでありながらシステムも含め、結構特殊な味わいに富んだ内容。パズルでもあり、シューティングの一面も持つ、何とも不思議な特徴を持つゲームに仕上げられている。二画面分割やタッチペン操作の売りが発揮されているところか、DSのハードだからこそできたゲームと称してもおかしくないほど。そんな「らしさ」が全開のゲームになっている。

そのDSならではの売りを活かしたゲームデザインと操作性、パズルとシューティングを組み合わせたゲームシステムが今作最大の特徴…でもあるのだが、悲しいかな、そんなにプッシュできるほどのクオリティに達して無いのが辛い。正直、システム面を盛り上げる為の工夫が甘く、面白さが十分に引き出せていない。発想止まりになってしまっている。
特に本編そのものだが、結局のところ、個別の色に対応したバクダン玉でモンスターを倒していくだけと、単調なものに落ち着いてしまってるのがあまりに寂しい。シナリオモードでは時々、指定の色のモンスターを撃墜しろなどと言った特殊な『ミッション』があったりするのだが、それも味気の無い作業的な手応えになってしまってるのが苦しい。
ミッションも基本的に指定の色のモンスターを倒すのが大半とバリエーションに乏しいのが残念。モンスター自体にしても、種類に乏しくてステージ攻略と展開が単調化し易い。攻撃を全く行って来ず、ただ下に迫ってくるだけなのも寂し過ぎる。せめて、パレットを一時使用不能にするとか、そんな攻撃をしてくるのがいるべきだったのではないだろうか。また、ボスキャラクターとかがもいても良かったはず。折角、システム面は面白いものになっているというのに、そう言った広がりへの工夫が足りてないのは本当、勿体無さ過ぎるの一言である。練り込む時間がなかったのか、真相は闇の中だが、だとしても最低限、ボスぐらいは出して欲しかったものである。少なくとも、それがあればかなり話は変わっていた。
また、システム的にゲーム性が成立していない所があるのも目に付く。色の違うチャージ弾でモンスターを後ずさりさせ、他のモンスターにぶつけて爆発させる『爆風連鎖』がそうなのだが、これが意図的に狙って出せない。基本的に運頼みであり、適当に弾を撃ってやるしかないというボロボロっぷりなのである。
ある意味、その運頼みになる所がパズルらしいとも言えるが、だとしても運頼りに偏る調整は褒められたものじゃない。他のモンスターとくっ付けるより、モンスターの爆発で他を巻き込ませる誘爆方式の方が、よっぽどバランス的には整っていたのでは?極め甲斐のあるシステム(要素)にも、化けていたのでは無いのだろうか。正直、これはもっときちんとしたものに改め直して頂きたかったの一言だ。運に頼るしかないというのは、さすがに調整放棄と見て取れない。もっとプレイヤーを遊ばせるものを考えて頂きたかったところだ。
その他にボリューム面も乏しく、シナリオモードとか分岐があるにしても、20面全クリアを目指すのは一日で出来てしまうのは拍子抜けだ。それでいて、ステージ構成も練れてなく、モンスター撃墜ばかりの内容なので、全てをプレイする魅力に欠けているのも痛過ぎるところだ。これで20面一つ一つが、違った魅力に富んだ内容に作られていたら話は違っていただろうに、それすら練られぬ状態に仕上げられてしまっているのには悲しみを禁じえない。
繰り返すが本当、システムの発想は良いのである。シューティングとパズルという意外な組み合わせを考え、それを実現して見せた事は大いに評価に値する事であると思う。
しかし、単にそれを実現させただけで終わらせるのは手抜きと言わざるを得ない。どんなに独創的なアイディアを凝らしても、それを活かす為の配慮をステージ構成然り、バランス調整然り、やらなくてはゲーム自体が映えないものだろう。そして、それを徹底して初めて面白いゲームは生まれるものだろう。全く持って、そんな基本的な努力を怠ってしまったのは情けないの一言だ。発想は全く悪くないだけに、これをもっと調整すれば間違いなく化けていた。そんな新たな種を自ら潰すとか、何の冗談か。時間が足りなかったにしても、頑張って頂きたかったところだ。本当に勿体無さ過ぎる。

そんな感じにシステムやバランス調整はダメダメだが、操作性は洗練された出来。タッチペン操作ならではの感触の良さとシンプルさ、その双方が活かされたものに仕上げられている。特にチャージ弾発射の手応えは結構なもので、手に力を込める快感を堪能できる。しかし、本編の出来がイマイチ故、あまりその快感が活きてこないのは残念なところ。
ボリューム…その他でやり込みも正直、乏しい。サバイバルの持久戦が辛うじて用意されているが、肝心の本編の調整がイマイチなので、のめり込めない。難易度選択による各難易度制覇のやり込みも、やはり起伏に乏しく作業的である故にのめり込めない。各種難易度別の難しさはきちんと表現できてはいるのだが、やはり基本的なゲーム性に問題がある為にどうにもいまひとつな感じは拭えない。
一方でグラフィックはそこそこ。そして、音楽に至ってはかなり良い出来だ。特に音楽はメロディアスな良曲が充実しており、単調になりがちな本編を大いに盛り上げてくれる。曲数が少なめなのがタマにキズだが。効果音もタイトル名に相応しい、適度な質感に富んだ仕上がりになっているのが良い。主に連鎖を決めた際とか、エフェクトの上手さも相まって気持ち良いものに出来上がっているのが好印象だ。この音周りは全体的として、良い仕事をしてると評価できる。

しかし、結局のところ、今作の中で素直に評価できるのはその音楽とか演出の部分、あとは操作性ぐらいであって、ゲームとしては褒められる所が少ない。残りは発想だけである。
システムの着眼点自体は決して悪くもないし、パズルゲームの世界に一石を投じるものの資格は十分にあるとは思う。しかし、細かい部分の調整を怠ってそれを潰された格好となってしまっているのは、本当、繰り返しになってしまうが勿体無い。きちんと作り込めば、間違いなく傑作の域に達していたであろうゲームだったのに、細部まで作り込まずに終えてしまったのは、大損失に等しい。
ともあれ、一応言うとゲーム自体は別に遊べないほど悪くは無い。ただ、面白さはイマイチであり、やり込めるタイプのゲームでは無い。故に手放しにはお薦めできないが、パズルゲーム初心者とか新しい物好きのプレイヤーであれば、試してみる価値はある一本だ。この独特のシステムは体験してみる価値はある。
それでも、値段分の面白さは皆無なので、下手に期待は禁物である。
最後に開発スタッフに対して言いたいが…これは是非、続編を作って欲しい。繰り返しになるが、発想は悪くない。バランス面を詰めれば、確実にゲームとして化けるポテンシャルがある。これだけで終わらせるのは勿体無い。どんな形であれ、リベンジに期待したい。かなり厳しいのは百も承知だが…。
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