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≫ピクロスDS
■発売元 任天堂
■開発元 ジュピター
■ジャンル パズル(ピクチャークロスワード)
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応、DS振動カートリッジ対応
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 19〜25時間(完全攻略目的)
縦と横に書かれた数字を手掛かりに、フィールドのマスに隠されたイラストを完成させる。
あの思考型パズルゲーム『ピクロス』が装いも新たに、ニンテンドーDSに参上。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マス目を塗ってイラストを完成させるその特異さが味わい深い、基本ルール
◆ルール解説、中断セーブ機能など、初心者にも優しいサポート機能の数々
◆簡単なものから硬派なものまで全部で300以上と、盛り沢山の問題総数
◆じっくり解くのでなく急いで解くという、新たな手応えが新鮮な『今日のピクロス』
◆タッチペンで絵を描くだけで簡単に問題が作れてしまうと言う、(良い意味での)適当さが素晴らしいエディット機能
◆エディット好きにはたまらない、Wi-Fiを通じての問題投稿機能(可能性は無限大)
◆旧ピクロスシリーズを遊んだ方のノスタルジーを喚起する、Wi-Fiを通して入手できるクラシック問題の数々
◆早解きにお邪魔プレイなど、意外な熱さが秀逸なシリーズ初の対戦モード
◆問題の息抜きとして、手軽に楽しめる敷居の低さが秀逸な『タッチゲーム』
◆タッチペンの起用により、従来にも増して快適さが向上した、取っ付き易い操作性
◆塗り間違いによるミスが緩くなるなど、大らかになったゲームバランス
◆まさに「シンプル」としか言い様の無い、潔さが印象的なグラフィック
◆じっくりと問題を解くスタイルにマッチした、良い意味で大人しい音楽
◆任天堂キャラの問題や懐かしの音楽など、盛り沢山のファンサービス

--- Bad Point ---
◆まともに使えるのは10×10の問題までと、勝手の悪さが目立つタッチペン操作(15×15以上は特に酷い)
◆15×15以上の問題における、ヒント数字の小ささ(これは仕方が無いが…)
◆制限時間が極端にシビアな『タッチゲーム』(もう少し大らかにしても…)
◆問題サイズの少なさ(20×20以上のもあって良かった気がする)
◆システムの都合上、1つしか作れなくなってしまったセーブデータ
◆スコアが記録されるのは、1日1回という仕様がややもどかしい『今日のピクロス』
▼Review ≪Last Update : 8/23/2008≫
ピクロスとは、『ピカっと光る、黒い炭』の略である。

何のこっちゃ!


1994年にゲームボーイでリリースされ、ミリオンヒットを記録した『ピクロス』シリーズ久々の新作。開発は過去のシリーズも手掛けた老舗ソフトハウス『ジュピター』が担当。

DSでもピクロスはピクロス!
変わらない面白さと変わった試みが盛り沢山の傑作パズルゲームだ。

マス目で構成されたフィールドに隠されたイラストを、縦と横に書かれた数字をヒントに完成させる…それが今作の大まかな内容。簡単に言うと、思考型パズルゲーム。『テトリス』のような落ちモノでなく、自ら問題を解決していく面白さに特化したパズルゲームである。
基本ルールは単純。先も言った通りに白紙のマス目のフィールドに隠されたイラストを完成させれば良いだけ。ただ、完成させるには、縦と横に書かれた数字の通りにマスを埋めていかねばならない。例えば5×5のマス目で、縦に「5」という数字が書かれた列があったら、そこは縦に5マス全て塗り潰せるということになる。逆に縦に「2 2」と書かれていた場合は2マス塗り、1マス飛んで2マス塗ると言ったように、1ヶ所だけ空白を残す必要がある。こう言った数字を、横や縦の数字と矛盾しないように塗り潰していく。たったそれだけのシンプル且つ、奥深いパズルゲームなのだ。基本的には、過去のピクロスシリーズとほとんど同じ。シリーズを遊んで来たファンならば、直に馴染む事ができるのみならず、「久々だなぁ!」と懐かしさを喚起させられるだろう。勿論、ピクロス初挑戦の方も、シリーズお馴染みのルール解説などのチュートリアルが万全なので、無問題。誰もが抵抗無く触れる取っ付き易さは、今回でも健在だ。
そんな今作では、ルールこそお馴染みのものを引き継ぎながらも、細かな面において大きな変更と試みが執り行われている。まず第一にゲームモード。用意された問題を延々と解いていくお馴染みの『ピクロス』はそのままに、新たに『今日のピクロス』と呼ばれるモードが追加された。これはいわゆる特定の条件によるチャレンジを行うモードで、複数の問題を解くまでの時間を計る『連続早解き』、チェック操作(塗らないマスに×の印を付ける操作)なしで行う『×無し』、塗り間違いなどを修正する『間違い探し』などと言った様々な課題が楽しめるようになっている。また『今日〜』の名の通り、ここでプレイしたチャレンジの記録はその日、一回分しか保存されない。故に一回遊んだら終わり(再プレイは可能)。何処となく『脳を鍛える大人のDSトレーニング(脳トレ)』を髣髴とさせる、サッパリとしたものになっている。
別に少し遊べば『脳トレ』みたいに前頭前野の活性化が期待できる訳でもないので、少々、その仕様には疑問を抱かざるを得ないが、収録されているゲームの出来はいずれも秀逸。特に『連続早解き』のモードは、時間を狭めていくプレイが熱い。更にこれまで「じっくりと問題を解く」ことが肝とされてきた本シリーズにて、「直感的に問題を解く」という新たな手応えを演出しているのもなかなか面白いところだ。勿論、早解きというだけにやり込み甲斐もかなりのもので、全てのゲームで高ランクを狙うプレイは否が応にも熱くなること、間違い無し。脳トレのような効果はないにせよ、ツボにはまったら毎日やり続けたくなる衝動に駆られてしまうだろう。
まさに、ピクロスとしては革新的な試みとはこのこと。久々のシリーズ(NINTENDO POWERのピクロスNPシリーズ以来)なのもあってか、色々と突き抜けた事をしてしまっているのだ。ピクロスファンなら度肝を抜かされるのは必至。

更にもう一つの新モード『マイピクロス』に実装された、エディット機能も見逃せない。何と、今作ではオリジナルのピクロス問題が作れる!熱狂的なピクロスファンには、まさに歓喜の機能が今回、備わったのだ。故に今回は問題を解く面白さのみならず、作る面白さまでもが楽しめる。あまりに贅沢極まりない内容に大化けをしてしまったのである。
しかも、肝心のエディット機能の完成度もかなりの高水準。何と「絵を書けば、それで問題ができてしまう」という驚異的なシンプルさ。現実でピクロス問題を作るように、ヒント数字を考慮し無ければならないと言った、面倒な手数を踏む事無く、あっという間に!手軽に!スピーディに!問題を作れてしまうのだ。
エディットというと、何となく作るにおいて面倒臭そうなところがあるのがいわゆる、お決まりごととしてあるが、そんな中で今作のこの驚異的なシンプルさは特筆に値すると言っても良い。面倒臭さ皆無、下手すれば子供からおじいさんまで気軽に作れてしまうと言うその敷居の低さは、まさに革命だ。しかも、絵を書くに当たって使うのはタッチペン。ボタン操作などよりも遥かに簡単にできる!…もう、抜け目が無さ過ぎである。
極め付けはニンテンドーWi-Fiコネクションによる問題投稿機能。作った問題は自分だけのものにするのみならず、世界中に配信する事までできるようになっているのだ。それに加えて、他のユーザーが作成した問題を新たにダウンロードして入手するのも可能。半永久的にゲームを新鮮なままに保つ事すら、容易にできてしまうのである。
もう、ここまで来ると凄過ぎるとしかコメントのしようがない。簡単に作成できるだけに留まらず、その作った問題を世界に配信できてしまう。エディット好きにとって、この(良い意味で)無駄な充実振りは殺人的と言っても良いだろう。
まさに、遊び方は無限大。単に予め収録されている問題を解くのも良し、新しい問題を作って配信するのも良し。滅茶苦茶自由度の高い内容となっているのだ…。
ちなみに『マイピクロス』のモードにはエディットのほか、『クラシック』なるものも存在。これは先のWi-Fiコネクションを経由して入手できる昔のピクロス問題で、それをここに保存していつでも楽しめるようになるのだ。問題はどれもこれも懐かしいラインナップで、シリーズ経験者なら「そう言えば、こんな問題あったなぁ〜」とノスタルジーを喚起させられること、間違い無し。更に、このクラシック問題で使用されている音楽は、あの『マリオのピクロス』の代名詞とも言える曲。これもまた、ファンにとっては感涙モノだろう。
エディット機能のみならず、こう言った懐かしい思い出に浸ると言った遊びができるのも今作の売り。もう、本当にここまでやられると、やり過ぎるだろ、と文句を言いたくなるばかりだ。

この他にも、これまたシリーズ初となる対戦モード、『ピクロス』モードの息抜きとして収録されたアクション要素の強い『タッチゲーム』など、革新的な試みは盛り沢山。
操作性に関しても、今作では通常の十字キー&ボタン操作のほかにタッチペンによる操作を追加。過去のシリーズではあり得なかったスピードでの塗り潰しができたりなど、大変快適なものに仕上げられている。ただ、それでも従来の操作を上回っているとは言えず、15×15ではマス目の縮小化と共に塗り潰す際にイチイチ、拡大しなければならなくなると言った手数が要されるようになってしまっているのは残念。感触そのものは悪くないだけに、もう少し、その手数を少なくするような工夫を凝らして欲しかったところだ。
ゲームバランスも、今回は制限時間切れによるゲームオーバーが無くなった為、かなり温めに。しかし、ミス判定の無いフリーモード等は従来の手強さをしっかりと表現。温くなっても元の味は生きているので、シリーズファンも心配ご無用だ。
グラフィックは結構、シンプル。しかしながら、問題完成後には凝ったアニメーションが展開されるなど、いつものドット絵の妙味はしっかり残されている。
音楽も今回は地味だが、懐かしの音楽が収録されていたりと、ファンサービスは万全。とても「よく分かっている」作りとなってる。そして演出周りもいつもの大人っぽさ。ピクロスらしさ全開だ。

問題の総数も300問以上とボリュームも万全。更に今回は、Wi-Fiで問題を新たにダウンロードできるので、プレイヤーがボリュームを水増しさせる事も可能。繰り返しとなるが、やり方次第ではほぼ一生モノになるので、やり応え満点だ。
これまでのシリーズとは違ってセーブデータが1つしか作れないこと、5×5と20×20のヒント数字のサイズの統一性の無さ、煩わしさ残るタッチペン操作など、ちょっとした欠点もチラホラとあるが、完成度はなかなか。半永久的に楽しめる莫大なボリュームとおまけ要素、革新的な試みの数々とまさにシリーズの集大成とも言える仕上がりとなっているこの『ピクロスDS』。 シリーズファンはさる事ながら、ゲームは初めてという初心者の方にまで、自信を持ってお薦めできる傑作思考型パズルゲームだ。二画面による構成と優れたネットワーク機能がもたらしたピクロスの奇跡、その目で是非、チェックすべし。パズル好きには文句なしにお薦めの逸品です。
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