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≫ピンキーストリート キラキラ☆ミュージックアワー
■発売元 ディンプル
■開発元 ヒューネックス
■ジャンル きせかえTouch!Live!
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税別) / プッチフィギュア付き限定版:6300円(税込)
■公式サイト ≫任天堂:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 5時間〜6時間(エンディング目的)、45〜60時間(完全攻略目的)
音楽とオシャレの街、『レインボーシティ』。
この街に住む女の子達は、みんなダンスとオシャレが大好き。
ストリートには、色々な個性を持った女の子達で溢れている。

「プッチ」も、そんな女の子の一人。
自分だけの夢を求め、この街へとやってきた。

しかし、ふとしたきっかけから、この街のダンスクィーン”アンジュ”と出会い、ジョージョヒルのクラブ『ANGELA(アンジェラ)』を任されてしまう。
こうして、プッチのレインボーシティでの日々が始まったのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆リズムアクションに着せ替えやフリーダンスの要素を取り入れた、新しくて懐かしい香りに満ち溢れたゲームシステム
◆イベントは従来スタイル、ダンスバトルは縦持ちスタイルと、ニンテンドーDSのハード特性を効果的に活かしたゲームデザイン&画面構成
◆基本、タッチペンオンリーの快適且つシンプルな操作性(メニュー周りの操作はボタンに対応)
◆タッチ、スライドなど、最低限に留めて遊び易さを追求した、ダンスバトルの操作パターン
◆自由なダンスが踊れるだけでなく、バトルの評価にも繋がって来る革新的な試みが成された『フリーダンスシステム』
◆フリーダンスの恩恵で、完璧を求めずとも挽回可能に調整されたゲームバランス
◆最大で46億通りもの組み合わせが作れる、圧倒的な奥深さが光る『着せ替えシステム』
◆全部で300以上と、膨大極まりない量が用意された着せ替えアイテム
◆難易度選択機能、チュートリアルなど、音楽ゲーム初心者を考慮した親切なサポート周り
◆音楽ゲーム好きなら熱中必至のやり込み要素『ランクシステム』(高ランク狙いは熱い)
◆エンディングまでは短めだが、個々の要素を極めると膨大な時間を必要とされる、充実しまくりの総計ボリューム
◆オーケストラ、ロック、パラパラ、更には演歌と無駄に幅広い楽曲ジャンル
◆古き良きゲームミュージックの香りに秀でた、名曲揃いの楽曲群(パラパラ系がグッド)
◆恐ろしく気合いの入った出来栄えのグラフィック(特にキャラクターの3Dモデル全般)
◆表情からリアクションまで、驚くほどよく動く3Dモデルのキャラクター達
◆絶妙に緩くてほのぼのとしたストーリーとキャラクター設定

--- Bad Point ---
◆高ランク狙いをする際には苦痛極まりない、リトライ機能未搭載の仕様
◆やや運に左右され易いダンスバトルの結果(評価基準がやや曖昧)
◆煩わしいキャンセル操作がタマにキズな着せ替え画面のインターフェース
◆やや遅い感が否めないイベントスキップの速度
◆新たに入手したものか、所持済みものもかの情報表示のアイコンが無い為、非常に混乱し易い着せ替えアイテムの管理システム&インターフェース全般
◆ちょっと長い上、省略できないオープニングのメーカーロゴ(そんなにリセットを繰り返すゲームではないが…)
◆演技の張りが弱く、気持ちが萎え易いキャラクターボイス(特にプッチ)
◆完全に女性向けの世界観&ストーリー(※それでも、遊ぶ価値大いにアリ!)
▼Review ≪Last Update : 3/14/2010≫
レッツ、演歌 DE ダンス!

突っ込み禁止。


2003年4月23日に発売されて以降、幅広い層からの支持を得ているVANCE PROJECT(バンスプロジェクト)によるドールフィギュア『ピンキーストリート』を題材とした、音楽ゲーム。キャラクターゲーム、乙女ゲームなどを専門とするデベロッパー、ヒューネックスが開発。

可愛い見た目に反したやり込み甲斐の深さが光る、意外な傑作だ。

ジャンルは「きせかえTouch!Live」と称されているが、基本的な内容は対戦型ダンスゲーム。指定のリズムに沿ってタッチペン操作を行い、相手より上手いダンスが踊れれば勝ち(具体的には画面上部のゲージ量が多い方が勝ち)…というルールのゲームである。
本編はストーリーに沿って進行。カーソル選択方式の全体マップを移動し、各ストリートのクラブに滞在するキャラクターと数回のダンスバトルをしながら進めていく。ワリとよくあるタイプのダンスゲームと言ったところだ。
特徴的なものとしては画面構成。ストーリーデモやマップ移動パートは従来の横持ちスタイルであるのに対し、ダンスバトルだけは縦持ちスタイルでプレイする、思い切った棲み分けが成されている。横持ちにしたり、縦持ちにしたりと、常に持ち方の切り替えが要されてくるので、地味ながら持ち手が忙しい。DSのハード設計を活かした、独特の作りとなっている。操作もテキスト送り、メニュー操作はボタンに対応しているが、ダンスバトルはタッチペンオンリー。ボタン操作は一切求められない、DSらしいシンプル且つ直感的な操作体系を起用している。ダンスで求められる操作も基本的なタッチとスライドと簡単なものに限定。リズムゲームが苦手なプレイヤーも、比較的すんなりと入っていける、敷居の低さを演出している。それのみならず、リズムゲームだけはどうしてもダメ!という方の為の更なる対策として、難易度選択機能も搭載。一番低い難易度であれば、タッチ操作だけしか最後まで使用しない、逆に普通の難易度なら全ての操作が使われる…と言った感じに、プレイヤーの腕に応じた遊び方を選ぶ事ができる。低い難易度だとプレイできないバトルがあるとか、そんな差別も皆無と良心的で、ヌルプレイにもガチプレイにも両対応。単純でありながら、間口も広いバランスで構築されている。
また、システム周りでは独自の要素として『着せ替えシステム』がある。ピンキーストリートのフィギュアの特性を反映させたシステムで、文字通りにプレイヤーキャラクターの衣装から髪型、アクセサリまでお好みのアレンジ(カスタマイズ)が加えられるというものである。
元のキャラクターの原型を留めない所までアレンジ可能と、かなり思い切った着せ替えができてしまうのが最大の特徴で、この手の事が好きなユーザーにはまさにヨダレモノのシステム。単に一箇所をアレンジにしても色を変えたりなど、様々な事が試せるので奥が深い。しかも、着せ替えの組み合わせは45億通りと膨大で、自由度も尋常でない。着せ替えを楽しむだけでも、ほぼ一生モノと言っても良いほどだ。
着せ替え専用アイテムも300種類以上あり、ダンスバトルやマップ上のショップで購入して集めると言った収集要素もあり、やり込み的な遊びも楽しめる。更に面白いのが、この着せ替えがダンスバトルにも少し反映される事。変な着せ替えだと高得点が得られないなど、プレイヤー自身のファッションセンスが問われる調整が図られており、ダンスゲームとしては稀な戦略を考える面白さを演出している。どういう衣装と組み合わせれば良い展開が作れるか。そして、有利に立てるか。踊るだけで終わらせないその深いゲームデザインには、最も受けが良いと思われる女性ユーザーだけでなく、コアな男性ユーザーも唸るほどの手応えを味わう事ができるだろう。
勿論、その辺を意識せずとも全ダンスバトルは攻略可能のバランスが取られている。意識すると奥深いけど、意識しなくても楽しめる、こんな幅広さもまた、今作特有の売りと言ったところである。作りはシンプル且つ簡単だけども、奥行きを与える要素が充実。見た目は可愛いけど、結構深い。今作はそんなダンスゲームに仕上げられているのである。キャラクターモノでありながら、ダンスゲームとしてはかなり本格的なのだ。

その本格さ…間口の広いゲームデザインこそが、今作の最大の売りだ。
特にダンスバトルのバランス調整だが、単に表示されるリズムを間違えなく操作していければ、必ずそのバトルに勝てる訳でないというのが大変面白い。ダンスゲームにしては異質過ぎるが、実は今作はリズムを完璧にこなせば絶対にクリアできるというバランスが取られてない。先の着せ替えの組み合わせ、リズムに乗ってアピールが決められたかどうか、それが問われる独自の調整が図られている。最も重要視されるのがアクションで、ダンス中に上手くリズムに乗ると、プレイヤーキャラクターが特定のアクションを披露。それと同時に評価基準となる画面上部のゲージがグンと伸び、相手からリードを取る事ができるのだ。このアクションをどれほど出せるか、それが今作での勝利のカギとなるのだが、これの発動仕様が斬新。何と指定のリズムに乗る…のみならず、フリーダンスを合間に披露する事でも発動する。つまり、自由なダンスができ、それが勝利への近道になる。指定のリズムに従う「縛り」が基本のダンス系ゲームでは凄く稀な、自由度の高い要素が今作には仕込まれているのである。
その為、今作のダンスバトルで使用される楽曲には決まって、自由にダンスできる「フリーパート」が常にセットされている。ダンス系ゲーム、音楽系ゲームの曲にありがちな「押し付けがましい主張」というのが、ビックリするほど薄い仕上がりとなっているのである。なので、どの曲にも縛りから来る堅苦しさは皆無。むしろ、一部自由に動かせる故に、単に踊るだけで楽しい気持ち良さすらあるのだ。
それだけでも、今作のゲームデザインが、間口の広いものなのかは言うまでも無いだろう。仮にリズムを外し過ぎても、フリーで挽回が十分に可能。この手のゲームが苦手なプレイヤーにして見れば、かなり良心的なバランス調整である。自由な行動が許される、そして勝利のカギとなるだけでも革新的だ。音楽に乗ってダンスする、その面白さを嫌味を加える事無くなく見事に表現している。自由にダンスするだけでない。着せ替えの組み合わせがダンスの結果に少し影響されてくるのも、女性プレイヤーの気持ちをくすぐるものになっていて面白い。
主にこの手の着せ替えが好きな、小さな女の子であれば夢中になるのは必至。ダンスでファッションショーをする楽しみがあり、組み合わせまで評価されるほどだから、思わず没頭するほどやり込みたくなってしまうだろう。欲を言えば、もっと着せ替えが結果に左右してくると奥行きが増した気もするが、あくまでもメインはダンスな訳で、このぐらいが丁度良かったのだろう。それに変に強めれば、ゲームの敷居が上がるのも事実。そういう意味では、この調整は良い塩梅であったと言える。あまり絡まさせず、かと言って絡み過ぎもせず、その絶妙な構築はさすがと言ったところだ。ゲームデザインセンスの高さを痛感させられる。
しかし、フリーダンスも求められてくるとは言え、一番低い難易度であれど、いささか運が左右される所があるのは残念なところ。この辺は際どい調整となってるのかもしれないが、たまに一気に逆転されて負けてしまう事があるのはちと気持ち悪い。裏を返せば、それが今作の自由度の高さを象徴してるとも言えるが、諸刃の剣な感じなのは褒められない。可能であれば、この辺の不確定要素は極力廃する努力をして欲しかったところだ。さすがに幾ら腕を磨いても、運が絡んでくると言うのはバランス的に気持ちよくない。
とは言え、自由なスタイルを許し、着せ替えをダンスに反映させたバランス調整とゲームデザインの上手さは称賛に値する出来。縛りの多い音楽ゲームで、ここまでの楽しさを表現した手腕はさすがの一言だ。そして、キャラクターゲームらしからぬ作り込みの深さも秀逸。そういう意味では、今作は模範的なキャラクターゲームの良作とも言えるだろう。

また、ダンス系ゲームは、ゲーム性と同時に音楽も命だが、今作はそれも群を抜いた出来だ。全体的に昔懐かしいゲームミュージック風味の熱い曲が多く、各ダンスバトルを大いに盛り上げてくれる。特にパラパラ系全般、ロック系全般の曲は名曲揃い。いずれも要チェックである。更に音楽ゲーム史上初、「演歌」が収録されているのも見逃せない。ちなみにその演歌も意外に(失礼)名曲だったりする。侮れないぞ。あと地味ながら、メインメニュー画面からいける練習モード『ライブ』でサウンドテスト代わりに各曲を堪能できるのも嬉しいところだ。
その他、ボリュームも本編はコンパクトだが、高ランクチャレンジに着せ替えアイテム収集など、寄り道のやり込み要素が充実しており、結構長く遊べる。中でも、ランクチャレンジは音楽ゲームに精通したプレイヤーも唸る手強さ。納得の歯応えと満足感を味わう事ができるだろう。
そしてグラフィックと演出も何気に侮れない。特にグラフィック…キャラクターの3Dグラフィックは手の込んだ出来で、ダンスバトル時、ストーリーデモのリアクションと、ビックリするほどよく動く。モデリングこそさすがに荒いが、DSの限界に挑戦したとも言えるその作り込みには、ビックリしてしまうこと請け合いだ。無駄にコロコロ変化する表情も必見である。

程好く緩いストーリー、ボイス演出等も世界観にマッチしており、如何にもピンキーストリートらしい可愛らしさが余す事無く表現されているのも見事。ただ、ボイスは少しハリが弱く、人によっては萎えてしまうところがあるのが賛否両論であるが…。また、ダンスバトルにおいてやり直し(リトライ)機能が無い為、ランクチャレンジのやり込みが煩わしい、着せ替えアイテムで過去に入手済みのものがまた手に入った時、既に手に入れてるものかどうかの色分けがされてないなど、細かな粗も気になるところだ。
でも、全体的な完成度は相当なもの。キャラクターモノでありながら、きちんとしたゲーム性を演出するのみならず、ダンス系ゲームとしては革新的な試みも豊富で、結構な意欲作に仕上げられている。音楽系ゲームの命である音楽も総じて上質。単にキャラクターのゲームとして作るだけに留まらず、音楽ゲームとしても面白いものを作ろうとした熱い意気込みが込められた今作。これは冗談抜きに男女問わず、DSを持ってるユーザーなら是非プレイしてみて欲しい秀作音楽ゲームである。可愛い見た目に騙されてはいけない!こいつ、予想以上にできるゲームです!オススメ。
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