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≫RIZ-ZOAWD(リゾード)
■発売元 ディースリー・パブリッシャー
■開発元 メディアビジョン、ベイシスケイプ(音楽)
■ジャンル ファンタジックRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5229円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ+中断1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 18時間〜20時間(エンディング目的)、23〜28時間(完全攻略目的)
とある田舎に一人で暮らしている女の子、ドロシーが居た。
愛犬のトトだけを唯一の友達として持つ彼女は、両親が亡くなった後も思い出のある古い家を離れられず、ずっとそこに住み続けていた。そこへ突然、凄まじい竜巻が現れ、大事な家は破壊され、ドロシーとトトは空高く持ち上げられて何処かへ飛ばされてしまった。

目を覚まして気付いたところは、何処か遠い異国の地。ドロシーは途方にくれてしまうが、その時、天に届かんばかりの巨大な影が現れ、自らを魔法の国の王、オズと名乗った。
オズはドロシーに困難を乗り越え、自らの城まで来いと言い、彼女に魔法の世界を自由に歩く為の魔法の靴を与える。

こうして、ドロシーの冒険が始まったのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆タッチペンだけで遊ぶRPGという、ありそうで無かったテーマに挑んだ個性的なゲームデザイン
◆エリアごとのマップを順に攻略していく、シンプルで取っ付き易い一本道形式でまとめられた本編
◆タッチペンで『トラックボール』を転がしてキャラクターを動かす、他に類を見ない個性的な操作性
◆トラックボール操作ならではの素晴らしい疾走感(ドロシーの躍動感溢れる動きも必見)
◆コスト制こと『レシオ』が演出する、王道ながらも高い戦術性に秀でたコマンド選択型の戦闘システム(セミオートマチック方式ならではのテンポの良さも必見)
◆レシオ、キャラクターごとの不得意などと言ったシステムをフル活用した戦術が常に求められてくる、手応え十分、緊張感満点の珠玉の戦闘バランス
◆熟練のRPGプレイヤーをも唸らせる強烈な難易度設定で魅せる、歯応え十分のボス戦
◆『レシオ』の面白さを引き立てる、明確な差別化が成されたドロシーと3人の仲間キャラクター達
◆タッチペン操作の利点、欠点を踏まえた作りと適切な配置が見事なメニューインターフェース
◆あくまでもゲーム本編が主役と言わんばかりの必要最低限の描写に留められたストーリー
◆元を踏襲しつつ、今作独自のアレンジも施された『オズの魔法使い』に関連した描写の数々
◆鮮やかな色遣いと滑らかなアニメーションが光る、クオリティの高いグラフィック
◆明るく、時に勇ましくなる作風で作られた印象深い音楽
◆なるけみちこ&麻生かほ里のタッグによる主題歌が光る、オープニング&エンディングデモ
◆マップ攻略、ストーリー展開を引き立てる存在感十分の登場キャラクター達(特にネコズキン)
◆やり込み要素に乏しい構成ではあるが、密度とやり応えは申し分無しの総計ボリューム

--- Bad Point ---
◆トラックボール操作の疾走感の魅力を押し殺している、狭くて窮屈なマップデザイン
◆マップごとの違いを演出する配慮が不十分な為、イマイチ起伏が無いレベルデザイン
◆スキルの充実で終盤以降、手強さが薄れてくる戦闘バランス(序盤〜中盤は悪くないのだが…)
◆ゲーム性重視の潔さは素敵なものの、やはり描写不足な感も否めないストーリー(特にドロシーの仲間達3人に関しては、もう少し描写があっても良かった)
◆申し訳程度に入れられた面白くない謎解き(特に精霊関連の謎解きは手抜き同然の出来)
◆マップ攻略を主体としたゲームに不釣合いなマッピング機能非搭載(道中の標識でマッピングするという、何とも中途半端で面白みに欠けたものが実装されてしまっている)
◆敵の前衛、後衛の分かり難さ(影で表現しているのだが、ちょっと見え難い)
◆手に入る量の少なさから、金欠になり易いお金周り(この為、装備品購入に悩まされる事も)
◆乏しい隠し要素(隠しボスこそ居る事は居るが、量が少ない)
▼Review ≪Last Update : 2/2/2014≫
夏のビーチに猫はいけません。

全員、やる気なくします。


アメリカの児童文学作家、ライマン・フランク・ボームが著した名作『オズの魔法使い』を題材にしたロールプレイングゲーム。開発は『ワイルドアームズ』シリーズで知られるメディアビジョン、楽曲を崎元仁氏率いるベイシスケイプが担当。

個性的過ぎる操作性とシステム、歯応えのある難易度が光る良作RPGだ。

ゲーム内容は3Dの三人称視点で展開する、シナリオクリア型のロールプレイングゲーム(RPG)。『魔法の国』へと飛ばされてしまった主人公の少女ドロシーを操作し、国内で悪事を働く4人の魔女の討伐して元居る世界に帰る為に必要な『エッグ』なるアイテムの回収を目指すというものだ。最初の紹介の通り、今作は『オズの魔法使い』を題材にした作品で、ストーリーもドロシーを導く大魔王オズ、仲間であるカカシ、ライオン、キコリ、そしてそのオズに敵対する魔女達など、お馴染みの面々が登場する内容になっている。だが、原作を知る方ならば既にお分かりの通り、魔女の人数が4人に増えていたりなど、今作独自のアレンジが施された箇所も幾つか。知っているけど、何処かが違う。そんな微かな違和感を原作を知る人、そうでない人共に与える、現代&ゲーム版『オズの魔法使い』な内容になっている。
本編は一本道構成で、エリア単位で用意されたマップを順に攻略していく形で展開。舞台となるエリアは計四箇所あり、それぞれを魔女一人一人が統治しているという設定になっている。このエリアを統治する魔女を倒す事が各エリアのクリア条件で、倒す事によって次のエリアが順次、解放されていくようになっている。アクションゲームで言うなら、まさにステージクリア型構成で、RPGとしてはシンプル、悪く言えば行動の自由度が限られたものになっている。
だが、細かいシステム周りは、個性的なアイディアが凝らされたものになっている。まず第一に操作だが、今作では何と、十字キー、ボタンを一切使用しない。移動、コマンドの決定から全ての操作をタッチペンだけで行うのである。一応、ボタンに対応している所もあるにはあるのだが、基本はタッチペン。DS向けゲームならではの思い切り過ぎな操作になっている。むしろ、DSで発売されているRPGでも、稀有な一例と言ってもいいかもしれない。だが、先の通りに今作は3Dの三人称視点のRPG。それをタッチペンだけで遊ぶのって、コマンドの選択はまだしも、移動はどう考えても無理では、と思うかもしれない。それに関しても今作、DSのゲームでは類を見ない手法で解決を図っている。その解決策とは、『トラックボール』。PCマウスなどでお馴染みのあの『トラックボール』だ。今作では下画面に『トラックボール』が表示され、これをタッチペンで転がしながら、ドロシーを動かしていくのだ。動かし方自体は単純で、ボールをゆっくり転がせばドロシーが歩き、勢いよく転がし続ければドロシーが走ってくれる。但し、トラックボールで移動するその仕様上、一連の移動には慣性がかかる。その為、方向転換が急に行えない、減速する際に微調整が必要とされるなど、独特のテクニックが求められてくる。とは言え、別にアクションゲームみたく、高度な操作が求められてきたりする事は無いのだが、十字キーではなく、ボールを転がしてキャラクターを動かすというだけに、その手応えは非常に異質。RPGのようで、アクションゲームのような不思議な操作感を堪能できるものに仕上げられている。
しかし、そんな操作以上に個性の強さを発揮しているのが戦闘システムだ。仕組み自体は、王道のターン方式で展開するコマンド選択型バトル。だが、コマンド決定などをタッチペンで行うその仕様を考慮し、攻撃開始前にドロシーを始めとする全ての仲間達の実行コマンドを決定し、その後に一連の行動を一気に行うというセミオートマチック形式で展開されるものになっている。コマンド選択型のバトル、すなわち時にコマンド決定を連打する事になりがちだが、今作はタッチペン操作という特徴を考慮し、変に手数を踏ませて手に疲労を与えない狙いでこのような仕組みのものになっている。その配慮もあり、タッチペン操作ながらも煩わしさは皆無。非常に気を使った作り込みが光る仕上がりになっている。
それでいて、この戦闘システムの個性を際立たせているのが『レシオ』。『レシオ』とはいわゆるコストで、攻撃等の行動をする度、その値が消費される仕組みになっている。基本的に主人公のドロシーが1、仲間のカカシが1、ライオンが2、キコリが3という具合に設定されていて、彼らが行動する度にその設定された値に応じてレシオが消費されるようになっている。しかも、レシオには1ターン中、4レシオ以内までしかコマンドを受け付けない制限がある。なので、戦闘に参加できるメンバーが必然的に絞られてくるのだ。先の通り、ドロシーとカカシならレシオが1なので、4回連続行動ができる。しかし、ドロシーとライオンが行動すると合計レシオが3。必然的にレシオ3のキコリが選べなくなってしまう。逆にキコリを行動させると、レシオ2のライオンが選べなくなり、ドロシーかカカシのいずれかに絞り込まれてくる。こんな感じに誰を行動させ、誰を休ませるか、そんな状況を見極めた判断が常に求められてくるようになっているのだ。無論、レシオが高めに設定された者ほど、強力な特技を持つ。なので、パワー重視で行くか、或いは堅実にレシオの少ないメンバーで攻めていくかなど、戦術の幅は広い。また、戦闘に参加する者は『前衛』、参加しない者は『後衛』という配置になり、基本的に後衛になると攻撃ができないのに加え、ダメージも受け付けなくなるようになっている。これは敵も同様で、誰が前衛に居るか、居ないかを見極めないと、効率的に攻撃を展開していけなくなったりもする。更に極め付け、各キャラクターには得意、不得意とする敵も居るので、それに対応したメンバー選定も求められてくる。そんな誰を行動させ、誰を攻撃するかを常に見極めながら戦っていく為、そのやり応えはかなりのもの。仕組み自体は王道且つ、シンプルでありながら、個性的な制約と要素により、一筋縄では行かぬシステムに仕上げられている。その手強さたるや、熟練のRPGプレイヤーも唸るほど。見た目こそ万人向けで、作り自体も手軽でありながら、戦術面では容赦しないという製作者のこだわりが炸裂している。その個性の強さたるや、如何にもあのワイルドアームズシリーズで特徴的な戦闘システムを作ってきたメディアビジョンならではと言ったところ。侮って挑むと火傷する、やり応え十分、魅力十分なシステムに完成されている。
他にも、標識を使ったマッピング機能などの個性的なフィーチャーが盛り沢山。『オズの魔法使い』を題材にした作品という事で、見た目こそ万人向けなゲームという感じだ。しかし、その実態は熟練のRPGプレイヤーをも唸らせる内容というギャップの激しい作り。繰り返しになるが、侮って挑むと痛い目に遭うゲームになっている。まさに「羊の皮を被った狼」とまんま体現したかのような内容。タッチペン操作だけで遊ぶRPGというゲームデザインの妙味が全面において炸裂した、意欲的な試み盛り沢山のゲームに仕上げられている。

そんな今作の売りは言うまでも無く、タッチペンだけで遊べるRPGという新たなスタイルを突き詰めた珠玉のゲームデザイン。タッチペンだけで操作と聞いて、遊び難そうな印象を抱くかもしれないが、実際に触ってみるとそんな事は一切なし。トラックボールによる移動にしろ、インターフェースにしろ、驚くほど自然で、煩わしさを感じさせないものに完成されている。
特に秀逸なのが戦闘システム。タッチペン操作の良い所、悪い所を全て洗い出した上で構築された、触り心地が良く、それでいて戦闘の醍醐味も十分に堪能できる、完成度の高いものに仕上げられている。例によって、その完成度の高さを際立たせているのが、今作独自の要素たる『レシオ』だ。これのおかげでボスのみならず、雑魚敵との戦いでも、常に行動させるメンバーを決めていかなければならないので、安易な力押しによる一方的な展開になり難く、終始、緊張感に富んだ戦闘を堪能できる素晴らしいバランス調整が成されている。
そのバランスも、見た目からして万人向けでありながら、かなり骨太なものになっているのが見逃せない。先に熟練のRPGプレイヤーを唸らせる、と記述したが、実を言うとそれはシステム周りに限った話では無い。実は難易度面でも、そんなプレイヤーに冷や汗をかかせる調整が成されている。雑魚敵との戦いですら、瀕死寸前に追い込まれたりなど、そんな事が頻繁に起こり得るのだ。なので、本当に気が抜けない。安易に力で押せば良いやと思って突貫すれば、もうそれで死が確定したのと同然になってしまうほど、シビアなバランスになっている。しかもボスこと魔女との戦いに至ってはそれ以上に苛烈で、レベル差は勿論のこと、しっかりとした戦術とターンごとに適応したメンバー編成を行っていかなければ瞬殺されかねないぐらい、厳しいものになっている。その難易度設定たるや、熟練のRPGプレイヤーは冷や汗どころか、思わずポルナレフな状態になってしまうほど。万人向けな世界観だから、難易度も大したこと無いだろうと舐めた思いで挑んできたプレイヤーを地獄の底へと突き落とす、血も涙もない恐るべき戦いが繰り広げられるのだ。その手応えたるや、万人向けのRPGと思って挑んだプレイヤーなら、「すみませんでした!」と衝動的に土下座したくなるほど。見た目からは想像が付かないほどに手応えありまくりのバランスになっているのである。とは言え、決して勝てないほど理不尽な難易度にはなっていない。レベル上げ、アイテムの用意、適切な戦術を心掛ければ確実に勝てるバランスになっている。肝心の難易度の高さにしても、DSのRPGで例えるならば『世界樹の迷宮』シリーズほど高い訳では無いので、RPG初心者でも根気さえあれば確実に乗り越えられる程度にはなっている。それでも、安易な力押しは効き難い上、戦術を考えながら攻めていかなければならないので、軽い気持ちで挑むと痛い目にはあるが。
仮にも『オズの魔法使い』を題材にした内容でこの難易度設定は不釣合いじゃないのか、と思ってしまう所もあるにはある。世界観は紛れも無く万人向けと言い張れるものになっているので、もう少し緩くしても良かっただろう。だが、この難易度のおかげで今作は終始、ダレる事なく戦闘を楽しめる事ができる。コマンド選択型RPGというのは、レベル差が極端に出るバランスであればあるほどボタン連打で解決しまいがちになり、結果的に戦闘自体が作業になってしまう恐れがある。特に今作の場合、タッチペン操作であるのを考えれば、そんな事になったらひたすらペンをタッチし続ける、つまらなくて疲れるゲームになっていた恐れがある。そんなゲームにだけはしたくない。コマンド選択型なのだから、しっかり状況を判断して考える面白さを追求したものにしたい。そんなこだわりが今作の戦闘難易度において炸裂しており、確かな手応えとRPGとしての面白さを存分に堪能する事ができる。本当にそのような意図でこの調整になったのかは関係者のみ知るところだが、タッチペンで遊ぶ事からくる単調さを防ぐ作り込み、細かな配慮の数々には目を見張るものがある。ライトな作りであっても、核となる面白さをしっかり追及している所には、改めてワイルドアームズシリーズでRPGの制作経験を積み重ねてきた開発会社としての意地、こだわりを実感させられるばかりだ。ペン操作であるが故のひたすらタッチし続ける内容を避ける目的でも、今作の難易度設定は極めて適切。操作からして、変に温くしてしまえば本当に作業になり得る恐れがあったので、この難易度で一貫させたのは見事な判断であったと言えるだろう。
だが、全編を通してバランスが良いという訳では無い。今作ではゲームが進む度、各キャラクターが特殊な『スキル』を習得していくのだが、これがある程度揃ってくる終盤辺りになると、難易度の厳しさが薄れてくる。ボス戦にしても、終盤はスキル充実でやや作業染みた所が出るなど、調整の甘い部分が出てくるのが惜しい。この辺は如何にも難易度の高さを売りにしたゲームによくあるパターンで、同じくメディアビジョンが開発したPSPの『ワイルドアームズXF』でも似たような所があっただけに、またそれが再現されてしまったのはちょっと残念だ。
また、バランス周りではマップデザインにしても正直、イマイチな出来だ。とにかくどのマップも道が狭く、トラックボールで走る疾走感を窮屈なものにしてしまっている。道の狭さは進むべき方向の分かり易さを示す狙いもあったのかもしれないが、見事、仇となってしまっている。更にマップに関しては差別化も不十分で、どのマップも構成が似たり寄ったり。違いはストーリーと出現する敵のラインナップ、グラフィックと音楽程度で、特徴に欠ける作りになってしまっているのが残念極まりない。今作を開発したメディアビジョンはワイルドアームズシリーズで、その手のマップ製作を得意としているはずなのだが、何故、そのノウハウが今作では行かされなかったのか。手軽さを出す狙いでなのかは分からないが、これは正直、もっと凝って欲しかったところだ。結果的にレベルデザイン面での面白さがイマイチという、シナリオクリア型RPGとしては致命的に等しい欠点が出てしまっているのが残念でならない。
とは言え、タッチペンだけで遊ぶRPGという課題に挑戦し、実現させたこの内容は素晴らしいの一言。前例の無い操作を特徴とするRPGの制作に挑み、且つちゃんとした面白さを持った内容に仕上げたその手腕はさすがと言ったところだ。粗削りな仕上がりではあるが、間違いなく今作はニンテンドーDSだからこそのRPGと言える内容。新しさとRPGとしての本質的な面白さ、手強さの双方がしっかり味わえる、ゲーム性に重きを置いた作品に完成されている。

ゲーム性重視な点はストーリーにも良く現れている。実を言うと今作のストーリー、非常に希薄。町の住民との会話は無いし、イベントもそんなに無い。ひたすらにマップ攻略、戦闘に特化した作りになっているのだ。その為、RPGと言ったらストーリーと考える方なら、間違いなく今作には抵抗を覚えるだろう。実際、本当にストーリー的なイベントは少なく、あると言ったら序盤と終盤程度。中盤はひたすらにマップ攻略と魔女の討伐を目指すので、やや単調さすら覚える。しかし、希薄だからと言って、見せ場に欠ける訳では無い。特にエンディングは、今作を最後まで遊んで良かったと心の底から思えるほどのものになっている。キャラクター達も魅力的で、中でも魔女の手先としてドロシー達の前に立ちはばかる『ネコズキン』達の可愛らしい仕草と台詞は猫好きのハートを鷲掴みにしてしまうこと必至。希薄ではあるが、抑えるべきところはバッチリ。そんな基本がしっかりした仕上がりになっている。とは言え、ドロシーとその仲間達の描写に関しては、もう少し掘り下げるべきだった気がするのも事実だが。序盤ぐらいにしか、具体的な描写が無い辺りはちょっと残念だ。
そんなストーリー、本編を彩るグラフィックに関しては圧巻の一言。非常に完成度が高い。特に背景の美しさは、数あるニンテンドーDSのゲームの中でも屈指のクオリティだ。その鮮やかな色遣いには、DSの本気というものを思い知らされるだろう。地味ながらフレームレートも高く、ビックリするほど滑らかに動くキャラクター達は必見。
また、音楽も素晴らしい出来で、明るくて時に勇ましい、素晴らしい楽曲が多数収録されている。更にオープニング、エンディングには歌も収録されており、その作曲をワイルドアームズシリーズでお馴染みのなるけみちこ氏、歌を同じくワイルドアームズシリーズでお馴染みの麻生かほ里氏という、盤石のタッグが担当しているのも見逃せないところだ。

ボリュームに関しては、エンディングを迎えるまで大体18〜20時間程度。RPGとしてはややあっさりしているが、戦闘の難易度の高さもあり、密度とやり応えは十分だ。ただ、やり込み要素は無いに等しい感じ。一応、隠しボスが居るには居るが、長く遊び込めるタイプのゲームでは無いので、その辺のものを求める方は注意が必要だ。
また、インターフェースにしてもソツなくまとまっている反面、マップ攻略を主体としたゲームなのにマップ画面が無かったりなど、配慮に欠けた部分があるのが引っかかる。他にも敵の前衛と後衛がやや分かり難かったり、精霊を使った謎解きがおまけというのも生温いほど手抜きであるなど、もう少し作り込んでくれていれば、と思ってしまう所もある。
そんな粗削りな点が目立つのもあり、全体的に傑作と言い難いところはある。だが、良作なのは間違いなく、トラックボールによる操作感にやり応え抜群の戦闘システムなど、光る要素を沢山持った非常に魅力的な作品に仕上げられている。DSならではの独自色溢れる操作感とRPGの本質的な面白さを徹底追及したバランスで、RPG初心者は勿論のこと、熟練プレイヤーをも唸らせる今作。ニンテンドーDSをお持ちの方なら、是非ともお試し頂きたい逸品だ。特に熟練のRPGプレイヤーなら迷わずチャレンジを。この独特の手触り感は今作でしか味わえない。猫が大好きな方にもお薦めです。
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