Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Nintendo DS>
  4. 世界樹の迷宮III 星海の来訪者
≫世界樹の迷宮III 星海の来訪者
■発売元 アトラス
■ジャンル 3DダンジョンRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5980円(税別)<廉価版:2980円(税別)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応
■総説明書ページ数 45ページ
■推定クリア時間 40〜50時間(エンディング目的)、70〜80時間(ベストエンディング目的:通常プレイ時)、130〜170時間(完全攻略目的)
大陸の遥か南、海を越えたその先の海都『アーモロード』。
そこには古代、大いなる技術で栄えた巨大国家が100年前、突如海へと沈んで行ったとされる謎の異性にまつわる伝説がまことしやかに存在している。

この伝説に心揺さぶられた多くの冒険者達が、次々と海都を訪れて海底迷宮へと挑んで行った。しかし、未だ誰一人として海底の奥深くまで踏破した者は現れていない。

そしてまた、新たな冒険者が富と名声を手に入れる為、海都へと訪れる…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ伝統の迷宮の最深部を目指す事に特化した、シンプルながらも奥深い本編構成
◆全部が今作初登場のものという、大胆過ぎる刷新が成された全12種類の職業
◆メイン職業に他の職業の能力を上乗せし、より強力なキャラクターを作り出すという育成の面白さを奥深さを更に引き立てる為に実装された新要素『サブクラス』
◆事故に見舞われるか否かは全て自己責任という形の修正が成され、理不尽さと嫌らしさが大幅に緩和されたダンジョン内部のトラップ群(警告メッセージが表示されるようになった)
◆探索難易度は緩和されても、戦闘はいつも通りの世界樹らしさ溢れる硬派なゲームバランス
◆文字フォント拡大とインターフェース周りの改良で、更なる進化を遂げたマップ作成機能
◆ルートを指定しての自動移動機能『オートパイロット』の実装とタッチスクリーン上のレスポンス改善で、シリーズ最高の完成度にまで高められた操作性
◆お馴染みの色の個性を尊重した背景描写と入り組んだ地形で魅せる、ダンジョン内の各階層
◆本編の迷宮探索とは異なる、戦略ゲーム的な探索が楽しめる新要素『海域マップ』
◆手軽に強敵との戦闘が楽しめるだけでなく、通信機能を使う事で最大五人までのマルチプレイまで遊べるという革新的な試みも成された『大航海クエスト』
◆相手との進捗状況の競い合い、戦力の補充等、対戦要素や救済措置としての側面を持った、すれちがい通信機能を使った新要素『ギルドカード』の交換
◆イベント分岐による複数のエンディング等、いつになく凝った構成になったストーリー
◆分岐要素の実装により、これまでの作品の三倍以上に膨れ上がったボリューム
◆前作よりも更に鮮明且つ、明るく鮮やかなものへと進歩を遂げたグラフィック
◆シリーズ伝統の意図的にFM音源で製作された懐かしさ溢れる印象深い音楽
◆所々に仕込まれた『ふ●ぎの海のナ●ィア』を髣髴とさせるネタの数々

--- Bad Point ---
◆一部、最強の組み合わせが存在するなど、若干、破綻気味なサブクラスのバランス
◆実質、周回前提の構成になった事で、胃もたれを起こしかねない物量にもなった総計ボリューム
◆真エンディングに繋がる条件の分かり難さ(一周の時点で行くのなら、攻略本必須となるほど)
◆真エンディングに繋がるルートで対決する最終ボスの異様な強さと謎の設定ミス(とある一発逆転を狙うスキルが効くという、奇妙な設定が成されている。それはアリなのか…?)
◆必要以上にギミックを仕込んだ所為で、探索の楽しさ以上に煩わしさが勝っている『海域マップ』
◆前作に引き続き、今回も衝撃性に欠ける第五階層(しかし、背景を見ると…?)
◆強敵と手軽に戦えるとは言え、素っ気なさも否めない『大航海クエスト』
▼Review ≪Last Update : 3/13/2016≫
エグい爆発は致しませんので、ご安心を。

ついでに、近くに元宰相も居ません。


今時珍しい、骨太で歯応え抜群の難易度、ゲームブックスタイルの懐かしさ溢れるストーリーと世界観、FM音源で製作された印象的な音楽を始めとする演出で好評を博した、ニンテンドーDS向け完全新作3DダンジョンRPG『世界樹の迷宮』のシリーズ第三作目。

正統進化に徹した前作から一転。
数多くの新要素追加とシステム面の改良を施し、劇的なパワーアップを遂げた続編だ。

ゲーム内容は過去二作と変わらない。3Dの一人称視点で展開する3DダンジョンRPGで、海都『アーモロード』に訪れた冒険者の一人となり、パーティを編成して都の地下に広がる『世界樹の迷宮』なるダンジョンを探索していくというものである。本編の基本構成及び、システム周りも前二作を踏襲。ニンテンドーDSの下画面(タッチスクリーン)に表示される迷宮の地図に様々な情報を書き込めるマッピング機能、『スキル』の習得によってプレイヤー好みのキャラクターを作成できるメイキングシステム、全10種類以上にも渡る職業などは今作にも引き続き実装されている。また、『カニ歩き(※視点を一方向に固定させての移動)』、『中断セーブ』の前作で追加された新要素も継承。良いところはそのまま引き継ぐ、続編の王道に則った仕上がりになっている。但し、今回は前作の一作目のアッパーバージョン的な内容から大きく一転。多くの新要素の追加と既存要素の刷新を行った、新しい世界樹の迷宮というイメージを強く推し出した作りになっている。
その新要素及び変更点の一つとしてまず職業だが、何と、前作及び前々作で登場した全ての職業を撤廃。今作にて初登場の職業だけで構成するという、大胆過ぎるラインナップになっている。前作は『パラディン』を始めとする前々作から続投した職業プラス、新職業の『ガンナー』、『ドクトルマグス』、『ペット』を加えたラインナップとなっていたが、そんな続投となる職業が一つも無い!全部が新規!『プリンセス』、『ウォリアー』、『ファランクス』、『ゾディアック』と言った、過去のシリーズで見た事の無い職業しかない。そんな新しい職業の中からパーティメンバーを編成し、今回は迷宮探索に挑んで行く事になるのだ。初代から継承された職業が選べないだけあって、当然ながら、戦略と戦術面も今作独自のものが求められるという設計。根っからの別物ではなく、スキル周りに共通点があるなど、多少は経験を活かせるところもあるが、見た目から性能まで新しいだけあって、戦闘や探索時の新鮮味は抜群。新しい世界樹の迷宮という事を嫌というほど体現した、象徴的な新要素として仕上げられている。また、職業には更なる新要素として『サブクラス』なるものを追加。メインで就いている職業とは別の職業を一つだけ選び、そのスキルを習得する事ができるようになった。本編がある程度進行するに応じて解禁されるもので、最初から使う事はできないのだが、このシステムにより、更に特徴的なキャラクターの作成が可能に。組み合わせ次第では強力なキャラクターが誕生したりと、検証し甲斐のあるシステムに完成されている。そして、この要素の実装で育成周りもますます濃い作りとなって、やり込み甲斐がパワーアップ。悪く言えば複雑化したとも言えるのだが、単純に効率的なスキル割り振りとレベル上げに徹するだけでは物足りないと感じていた前作経験者には心底たまらないものへと発展を遂げている。併せて敵との戦闘においても起伏を激しくしたりと、嫌でもプレイヤーに新しい世界樹である事を印象付ける徹底振り。こんな濃い要素が実装されたのもあって、今回はやり込みを含めたボリュームも前二作とは比べ物にならないほど膨大に。冗談抜きにシリーズ史上最高と言わんばかりのスケールになっている。
更に新要素はダンジョン探索にも。今回も舞台となるアーモロードの地下に建造されたダンジョンに潜って、最深部を目指して進んでいくのだが、このメインのダンジョンとは別に『海域マップ』なるものが追加。船を操作してアーモロード周辺の海域を探索し、海図を埋めていくという新しい探索パートが設けられている。しかも、システム周りも迷宮探索とは勝手が異なり、移動制限があったり、未開の島や土地を巡っての交易品探し、航路の確保と言った限られた制限下で知略を尽くして行動するという戦略ゲーム的な色の強い作りになっている。あくまでもメインは迷宮の探索で、これ自体はサブ要素的な位置付けではあるのだが、ここでの調査次第でパーティの戦力を大幅に強化できたり、またモンスターの討伐クエストで手軽に経験値稼ぎができたりなど、メリット多め。少しずつ見知らぬ土地と航路が開き、探索範囲が広がっていくという流れも迷宮探索とは異なる探索も描かれているなど、独自の魅力も満載だ。迷宮とは違うマップを探索するというその遊び応えの面でも新鮮味は抜群。更にワイヤレス通信に対応した最大五人までの協力プレイも遊べるなど、シリーズ初の試みも成されており、様々な面において侮り難い特色を持った新要素になっている。ある意味、今作の舞台が海の都だからこそ成し得たという独自性も現れていて、ストーリーと世界観にしっかり溶け込んでいるのも見逃せないところ。これももまた、前二作とは違う世界樹の迷宮というものを強く印象付けるものに仕上げられている。
この他、ワイヤレス通信絡みでは、すれちがい通信機能を使った『ギルドカード』及び交易品の交換と言った遊びも実装。活用する事でアイテム関連の図鑑を手早く埋める事ができるなど、様々なメリットを得られるほか、『ギルドカード』には進捗状況を示す『勲章』が記録されるなど、他のプレイヤーとの腕比べ的な事までできるようになっている。また、やや小さめだった台詞の文字フォントが大きめのサイズへと一新、シリーズお馴染みのタッチスクリーンを活かしたマッピング機能も操作周りを改良して直感的に線が描けるようになるなど、前二作からの大幅に強化された所も。加えてマッピングには、地図上に移動ルートをタッチスクリーン上に書き、再生ボタンを押す事で自動的にダンジョンの中を移動する『オートパイロット』機能を実装。レベル上げの際のループ移動もお手軽に行えるようになり、ますます持って痒い所に手の届く作りへと進歩を遂げている。その配慮の徹底振りもまた、シリーズ史上最高と言っても過言ではないほど。
こんな具合に今回は新規の試みが満載。前作以上に新鮮な体験が味わえる内容へと進化を遂げており、これぞ新しい世界樹の迷宮だと断言できる手応えと新鮮味を特色とした続編に作られている。そして、新規要素が満載なだけに、今回は新規プレイヤーにも入り易い設計。ここから始めても全然オッケーな世界樹にもなっている。

そんな今作の魅力は、より続編らしい進化を遂げたそのゲーム内容。豊富な新要素が実装され、基本的な遊びからバランスにまでメスが入って、新鮮味たっぷりな世界樹の迷宮として完成されている。
中でも職業に『サブクラス』が追加され、より一層、キャラクター育成が奥深いものへと強化されたのは最も見逃せない箇所。前作までは割り振ったスキルによってプレイヤーの個性が現れる設計となっていたが、今作はそこに別の職業の能力やスキルを上乗せできるようになり、プレイヤーの育成方針そのものが露骨なまでに現れる作りになっている。12種類の職業があって、そこに12種類の職業を重ねる事ができて、追加されたスキルを割り振る事で独自の性能を持ったキャラクターを生み出せる。スキルの割り振りだけでは物足りないと感じていたプレイヤーにしてみれば、まさに夢のような作りに進化したと言えるだろう。また、組み合わせが膨大になった事で検証のやり込みも相当深いものになり、極めようとすれば本編以上の時間を費やす必要が生じるなど、大幅なスケールアップが図られているのも見逃せないところ。まさに世界樹の迷宮は独自のパーティ編成とキャラクター育成にありと考えるプレイヤーの欲求に応えた…否、応えまくったとも言える仕上がり。もはや底なし沼同然にして、戦術面の幅を広げる魅力溢れるシステムになっている。また、育成の幅が広がった事で、それを相手に自慢し、お披露目したくなる面白さもパワーアップした。この欲求に応えるべく、すれちがい通信を用いた『ギルドカード』の交換機能を用意したのも実に絶妙な試み。更にこの交換を行う事によって相手側のエースユニットをパーティに組み入れ、勝てずに居る強敵に挑むなど、救済措置としての役割を果たしているのも秀逸の一言に尽きる。惜しむべきは、ローカル限定でインターネットには非対応なこと。さすがに扱うデータのスケールとハード性能等を考えれば、実現しようにも無理があったのだろうが、仮に対応できていれば遊びの幅が大きく広がる要素になっていたのは間違いないだけに、ちょっと勿体ないと感じてしまうところだ。しかしながら、この要素の追加によって仲間とのコミュニケーション手段が設けられ、一人黙々と遊ぶダンジョン探索に幅の広がりを持たせたのは特筆すべき箇所。体験したくとも環境的な問題もあって、そう易々と行かない所もあるが、ある意味、ダンジョンRPGのジャンルに一石を投じたとも言えるその作りは必見も必見。新しい世界樹の迷宮というものをまざまざと思い知らされるだろう。
育成ばかりでなく、今作の肝たるダンジョン探索の面白さも健在。相変わらずの凶悪な敵の群れと意表を突いたトラップ、複雑に入り組んだ通路でプレイヤーを大いに手こずらせる仕上がりになっている。ただ、今回は探索のバランスがもの凄くいい塩梅に調整されている。というのも、理不尽なトラップに遭遇し、そのまま敵に翻弄されて全滅という事故が発生し難くなった。何かしら拙い事が予期された場合、警告メッセージが表示されるようになり、後にそのまま行動を続行するか、或いは中断してその場から離れるかを選択できるようになったのだ。これにより、今回はトラップ系に引っかかって全滅する行為自体が完全な自己責任に。嫌な目に遭ったとしても、それは自分が欲に駆られたのがいけなかったという説得力のある理由付けが成されたものに改められているのである。正直、突発的な事故あってこその世界樹だろうと、魅力の一つだと考えるプレイヤーには否寄りの感想を抱くこと必至の変更だが、これによってトラップの理不尽さが消え失せ、事故に見舞われた際のストレスが緩和されたのはあまりにも大きな改善点。何より、自分の欲を制御できるかで結果が出て、それに負けて己を過信し過ぎた事が敗北へと繋がるという説得力のある流れになったのは、ゲームバランス的に見ても極めて適切なものになったと言える。特に前作はダンジョン内に突発的なトラップを仕掛け過ぎてたきらいがあり、その所為で難易度にムラが出過ぎていた。突発的な事故は初代世界樹からの伝統芸みたいなものだが、怪しい所を調べたら逃げる手段も無く必ず嫌な敵と遭遇するようになってた所には多少、不便さがあったのも事実。そこにメスを入れ、プレイヤー自身の責任が問われるものにしたのは、バランスの適切さを出すという点でもベストな判断だったと言えるだろう。それに、幾らトラップが回避し易くなったとは言え、戦闘の難易度はいつもの世界樹。少しの油断が致命傷へと繋がる、相変わらず容赦の無さだ。その戦闘にプレイヤーを集中させる為に探索周りを緩和させ、理不尽さを取り除いたのは理に適っているし、バランス全体の統率を取る策としてもこの上ない。遊び易くはするけど、手応えは残す。そして、全て自己責任になる。まさに真に適切な高難易度というものを目指した感じで、今回の探索は非常にいい塩梅にまとまっているのだ。そんな事故で悩まされる事が無くなっただなんてとんでもないと、その辺に強い魅力を感じていた経験者ほど思うかもしれないが、プレイすれば大いに思い知らされるはずだ。そして、その職人芸の調整に、いつも通りで新しさもある世界樹というものを実感させられるだろう。
この他、新要素の海域マップとその探索も行動制限がある故の戦略ゲーム的な面白さ、そして直接対決方式ならではの辛口な戦闘難易度など、本編の迷宮探索とは方針の異なる面白さと手強さを演出した仕上がりになっているのが実に印象的。前作では、戦っても経験値が得られなかった『F.O.E』から経験値が得られるようになったのも、地味ながらナイスな改良点だ。ただ、案の定とも言うべきか、新要素を沢山盛り込んだが故に至らない所も幾つかある。特に『サブクラス』については能力調整が甘い所が目立ち、組み合わせ的にほぼ無敵に等しいものが存在するのは魅力を殺いでしまっていると言わざるを得ない。また、海域マップに関しても戦略ゲーム的な面白さはあれど、少しマップデザイン的に行動範囲を狭め過ぎている所もあり、二度手間のかかり易いものになってしまっているのは褒められないところである。
そう言ったもう少し頑張って欲しいと思わせる所もあるが、意欲的に新要素を取り入れ、新しい世界樹の迷宮を作り出す方針へのこだわりと熱意には圧倒されるものがある。ゲームバランスの面でも、適切さを出す為の配慮の上手さには唸るばかりだ。そんな仕上がりになっているだけあって、今回はアッパーバージョン的な前作に物足りなさを感じたプレイヤーも満足間違いなし。シリーズ未経験者にも取っ付き易くなるなど、続編でもあり新作でもある世界樹の迷宮に完成されている。ここから始めても全然オッケーと先に言った事に偽り無し。これを一作目として出すのもアリだったのでは、と思うほどにしっかり作り込まれた作品になっているのだ。

更に先も少し触れたが、操作周りもマッピングのインターフェースとレスポンスが改良された事で、より使い勝手の良い作りへと進化している。特にペン操作に関しては、書ける範囲が若干、制限されていた感じのこれまでのシリーズから一転。ほぼ思うがまま、滑らかに線を書けるようになっている。また、『オートパイロット』追加で、手ぶらプレイもできるようになったりと隙が無い。ある意味、世界樹シリーズの操作系がここに完成したとも言える仕上がり。人によっては旧作に戻り難くなる危険すら孕んだものになっている。
そして、ボリュームも過去最大級に大きい。紹介が遅くなったが、何と今作はマルチエンディングシステムを搭載。イベントの選択肢によって異なる結末が訪れるという入り組んだ構成になっているのである。無論、ルートは複数あり、その中には真のエンディングに当たるものも存在。一周目で到達する事も可能ではあるが、仮に選択を誤れば二周目以降のプレイが必須になってしまうなど、恐ろしい展開に至る事になるのだ。とは言え、それを考慮しての引き継ぎ機能もあるので、プレイ自体はそう苦ではない。だが、しっかりやり切るとなると凄まじい時間が要されるとだけあって、本当に一筋縄ではいかぬ内容。シリーズ最大規模とも言えるほど、濃過ぎる密度になっているのだ。これに加えて、お馴染みの隠しダンジョン、アイテム図鑑コンプと言ったやり込み要素である。如何にヤバい内容かは容易に察せるだろう。冗談抜きにシリーズ経験者すら悲鳴を挙げるレベル。本気現れ過ぎの仕上がりだ。
また、グラフィックも前作と変わりないが、色の鮮やかさが増しており、主に迷宮の背景周りにおいてその魅力が炸裂している。更にインターフェース周りも文字フォントの拡大で、見易く改良されているのも注目すべき部分だ。
FM音源全開の音楽も健在。特に戦闘曲の出来が傑出しており、大航海クエスト、後半の通常戦闘曲等の名曲が揃っている。戦闘曲の数が増えている所も大きな注目点。こんな所でも、前作から見違えるほどの進化を遂げている。

また、前作と前々作にて、意外性のある展開が光ったストーリーは、マルチエンディングシステム実装でシリーズきっての入り組んだ作りに。ただ、意外性は随分と落ちてしまっており、特に初代世界樹の迷宮のラストの展開を知るプレイヤーなら強烈な物足りなさを覚えるかもしれない。しかし、いつものように終盤の階層では思いもしないものが背景に描かれていると言った、初代を髣髴とさせる要素も。また、今回は海という事にちなんでなのか、1990年代にNHK教育テレビ(現:NHKEテレ)で放送されていたアニメ『ふしぎの海のナディア』のオマージュと思しきネタが幾つかあるのも必見だ。というか、本編で登場するある重要人物の容姿には、ナディアを知る人なら、「あんたネ●皇●だろ!」…と突っ込んでしまうかもしれない。念の為ですが、ガー●イルは出てきません。ネ●船長も出てません。ただ、プロモーション動画で●オ●長(…の声優さん)は出演されてますよ。
妙に話が脱線してしまったが、サブクラスのバランス、海域マップなど、新要素全般の作り込みの甘さが尾を引くが、完成度は高く、新しい世界樹の迷宮と言い切れるほどの作品に完成されている。新要素が豊富故に新規プレイヤーにも入り易く、ゲームバランスも改良が施されているので遊び易さも上々。まさに全てにおいて進化を遂げた今作。前二作までのシリーズ全てを遊んできた経験者の方は勿論、シリーズ未体験のプレイヤーにもお薦めできるボリューム満点、やり応え抜群の傑作だ。新しさを追求した世界樹の迷宮の本気とその圧倒的な密度を体感せよ。お薦めの逸品です。
≫トップに戻る≪