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≫SPACE PUZZLE BOBBLE(スペースパズルボブル)
■発売元 タイトー(現:スクウェア・エニックス)
■開発元 ランカース
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫スクウェア・エニックス:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応、パドルコントローラDS対応
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 7時間〜10時間(エンディング目的)、70〜80時間(完全攻略目的)
とある田舎の星にバブルンとボブルンという双子の仲良し兄弟が暮らしていた。

ある日、二人の前に”何か”が降ってきた。
その中から聞こえてきたのは、自らを『スノーン』と名乗る不思議な少女のメッセージ。
それによると、『デビルン』という悪い奴がスノーンを捕え、宇宙に散らばる『コスモバブル』を集め、宇宙征服を目論んでいるというのだ。
バブルン達はスノーンを助ける為、色々な星を巡り、『コスモバブル』を集める事にした。

果たして、どんな冒険が二人を待っているのだろうか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆泡の玉こと『バブル』を発射し、画面上部に詰められたバブルの集まりを消していく、シンプルでシューティングゲーム的な味わいに富んだ独特のゲームルール
◆オーソドックスなステージクリアタイプから対戦、持久戦、更には特別なチャレンジモードまで、盛り沢山で遊び甲斐十分の全5種類+αのゲームモード
◆純粋なステージクリア型でありながら、意欲的な試みが多数成された新モード『ストーリー』
◆5ラウンドを一気に駆け抜ける作りと刺激的な難易度設定でヒヤヒヤさせる『ストーリー』のステージ構成
◆バブルを消していく遊びを一貫しつつ、巧妙なバブル配置でプレイヤーを大いに唸らせる、職人的な作り込みとバランス調整が異彩を放つ『ストーリー』のレベルデザイン
◆パズルゲームとしては異例の真剣勝負構成で展開する、斬新な味わいに富んだボス戦ステージ
◆特殊なバブル『コスモバブル』集めに隠されたワールドなど、予想外に充実した『ストーリー』の総計ボリューム(普通にクリアするだけでも、人によっては10時間を超過する)
◆隠しモード、キャラクターの解禁、それらの完全攻略と、『ストーリー』以外のモードでもやたらと充実したボリューム(遊び切るだけでも大変な物量)
◆往年のタイトーファンをニヤリとさせる、狙い過ぎた特典要素の数々
◆十字キーとワンボタンで手軽に遊べ、時々頭も悩ます珠玉の手応えに富んだ操作性
◆やや運に左右される部分もあれど、確かな手応えと達成感を提供するゲームバランス
◆明るく、可愛らしい世界観を十二分に描いたカラフルで鮮やかなグラフィック
◆世界観の雰囲気にマッチしていて、楽曲自体も印象深いものが盛り沢山と、見所満載の音楽
◆賑やかで、盛り上げる所では徹底的に盛り上げる丁寧な作り込みが炸裂した演出

--- Bad Point ---
◆運要素の強さ(特に『ストーリー』の後半はそれに左右される面が一部、出てくる)
◆途中でゲームオーバーになれば問答無用で最初の1ラウンドからやり直しになるなど、シビアな感も否めない『ストーリー』のステージ構成(途中再開ができても良かった)
◆詳細は伏せるが、条件的にシビア過ぎる感が否めない『ストーリー』の最終ワールド出現条件
◆意外と狙った所からズレる為、ストレスを感じ易くもある『狙い撃ち』の操作
◆ほとんど機能していないネットワーク対戦(人口数の少なさもあり、絶望的にマッチングしない)
▼Review ≪Last Update : 12/1/2013≫
その中に誰が居るのか、考えてはいけない。

うさぎの人(本名):談。


1994年に『バブルボブル』のパロディ作品的な位置付けで登場し、シンプルなゲームルールと独特のシステムで好評を博したアクションパズルゲーム、『パズルボブル』のニンテンドーDS向けシリーズ第三弾。開発は初代『パズルボブルDS』を手掛けたランカースが担当。

意欲的な新要素が炸裂した、DS屈指の隠れた傑作アクションパズルゲームだ。

ゲーム内容はアクションパズルゲーム。泡の玉こと『バブル』を発射する発射台を操作し、画面上部に敷き詰められたバブルの集合体を消していくというものだ。
ルールについて更に解説すると、バブルは同じ色、或いは模様のものを3つ以上繋げると消滅。基本的に発射台にセットされたバブルを同じ色が配置された所を狙って発射し、消していく事になる。また、バブルはそれぞれが連結しており、その支え部分のバブルを消す事で、支えから外れた他のバブルも連動して消える特殊な仕組みがある。更にバブルは左右の壁に当たるとピンボールのように跳ね返る特性があり、これを用いて隙間にある連結部分のバブルを消し、一気に残りを消すと言ったテクニックもできるようになっている。バブルの集合体は一定数、発射台からバブルを発射すると一段下降。最終的に発射台に到達するまでに全てのバブルを消せればステージクリア。逆に発射台に集合体が到達、接触してしまうとゲームオーバーとなる。以上、少々簡潔ではあるが、これが今作の基本ルール。シューティングゲームの『狙い撃つ』という動作をパズルゲームへと昇華させた、独特のゲームデザインが光るゲームに仕上げられている。
今作『スペースパズルボブル』も、アーケードの初代から継承され続けている基本ルールをそのまま踏襲。だが、肝心のその内容はこれまでのシリーズとはほぼ別物。DSならではの新要素をふんだんに取り入れた、完全新作になっている。
中でも、今作最大の特色が収録モード。今作には『ストーリー』、『バーサス』、『エンドレス』、『チャレンジ』、そして『ネットワーク』の全5種類、それもシリーズ初とも言えるものまで取り揃えた豪華なラインナップとなっている。そして、今作のメインモードにして、注目が『ストーリー』。その名の通り、ストーリーに沿ってステージを順に攻略していく、ステージクリア方式で進行するゲームモードだ。パズルゲームではありきたりなゲームモードだが、これが何故、注目点なのかはその構成にある。というのもこのモード、パズルゲームとしては結構、異色な作りのモードになっているのだ。
基本的に『ストーリー』本編は、各ワールドごとに用意された3+1つのステージを順に攻略しながら進めていく。各ステージのクリア条件は先程のルール解説の通り、画面上部に敷き詰められたバブルの集合体を全て消すこと。だが、完全なクリアに至るには、5つのラウンドごとに用意されたバブルの集合体を消さなければならない。実は『ストーリー』で登場するステージは5つのラウンドで構成されており、一度、バブルの集合体を全て消したからと言ってそれでクリアにはならない。その後、2回、3回と出てくる集合体を次々と消していき、最後の5回目に当たる集合体を全て消す事で、ようやくステージクリアになるのである。いわゆる、連戦構成なのだ。その為、僅かな合気の緩みが命取りに繋がることもしばしば。しかも、何処のラウンドでも一度、ゲームオーバーになってしまえば問答無用で最初のラウンドからやり直し。ラストのラウンド5まで到達したとしても、だ。更に各ステージには何処かしらのラウンドに『コスモバブル』なる、特殊な模様が描かれたバブルが登場。これを消すのではなく、集合体の軸(支え)になっているバブルを消し、落下させて獲得するやり込みも用意。消す以外のテクニックが求められて来る場面も設けられた、一筋縄では行かぬ試みも凝らされている。肝心のパブル集合体の形にしてもなかなかにクセモノ。単純に一つずつバブルを消していけば良いのではなく、軸を狙って大量のバブルを消さないとピンチに陥る場合もあるなど、適当にバブルを発射していけば楽々にはならないよう、徹底したバランス調整、レベルデザインが敷かれている。しかも、そう言った集合体を5回連続で的確に消していかなければならないのだから、スリルも申し分無しだ。
しかも極め付け、各ワールドの最後には『ボス戦ステージ』なるものが登場。何と、パズルゲームでありながら、各ワールドの最後のステージではボスと対決する事になるのだ。その戦闘内容も対戦ゲームを行うのではなく、バブルの配置を考えながら、ボス本体にダメージを与えていくという真剣勝負。そんなパズルゲームでも類を見ないステージまで用意されているので、遊び応えと先に進むワクワク感も抜群だ。基本的にやる事はバブルを消すだけ。だが、様々な要素が詰め込まれている為、意外とやる事に対して単調さは感じされられない。そのイメージから、ありきたりなモードと見えてしまう所もあるが、その内容はパズルゲーム的に革新的な試み盛り沢山。なかなか侮り難いモードに仕上げられているのだ。
勿論、他のモードに関しても気合の入れ方は申し分ないのだが、それらの影を薄めてしまっている程度に『ストーリー』が強烈。今作はまさにその為にある作品と言っても過言では無いほどのものになっている。まさに至れり尽くせりで意外性満点。基本こそ、これまでのパズルボブルに忠実な内容なのだが、その形を残しつつもも新たな事に積極的にチャレンジした、大変意欲的な作品になっている。これぞ新生パズルボブル、と言っても何ら不思議ではない仕上がり。新たな方向性を突き詰めたパズルボブルなのである。

例によって、今作の魅力は先にその詳細を解説したゲームモードである『ストーリー』だ。冗談抜きに、今作の面白い部分はここに集約されていると言っても良い。
特に『ボス戦ステージ』は「よくこんなのを思い付いたな…」と感心させられるほどの出来だ。パズルゲームでボス戦、しかも直接対決する戦闘がある作品で思い起こされるものと言えば、1994年にファミコンで発売された『ワリオの森』。こちらは落ちモノ系パズルとしてのゲームデザイン、爆弾を使用して敵を倒していくというアクション性を上手く絡め合わせ、それまでのパズルゲームから一転、アクションゲームに変貌するという奇抜過ぎる展開を作り出し、プレイしたユーザーに強烈な印象を残すものに仕立て上げていた。登場するボスにしても悪魔、人魚、死神風の魔導士など、マリオらしからぬ面々が多々居てインパクトがあったがそれは、今の事とは一切無関係の話なので置いておいて。ただ、こう言った直接対決を行うボス戦をパズルゲーム内で作り出した例は『ワリオの森』以外ではそれほど例が無く、大抵は対戦ゲームスタイルで描くものがほとんど。元々、ボス戦を本格的に描くにも相当な工夫が必要とされるジャンルな為、そう言ったパターンにチャレンジする作品はそれほどなかった。一応、『パネルでポン』、『クイックスアドベンチャー』などの作品ではそのようなステージを拝見できるが、これでも『ワリオの森』ほど本格的だったかというと際どいところである。
そんなパズルゲームでの本格的なボス戦に挑戦した、(恐らくは)第二の作品となったのが今作である。それも今作は旧シリーズから継承され続けているゲームルールに注目。これがシューティングゲームの「狙って撃つ」のコンセプトと同様なのを活かし、ボスを覆っている(時には周囲の仕掛けを覆っている)バブルを消し、ダメージを与えていく戦闘を作り出したのである。実際にどんなコンセプトで作られたのかは製作者のみが知るだが、元々、シューティングゲーム的な側面もあった今作の基本ルールを活かし、パズルゲームらしからぬスリリングな戦闘を作り出したのはお見事の一言。盲点でもあった箇所を違うゲームとして作り出し、シリーズに新たな魅力と可能性を作り出したこと、そしてパズルゲームで本格的な戦闘タイプのボス戦を成立させたのは、ジャンルの歴史に一石を投じたと言っても何ら過言では無いだろう。
更に見事なのが、一つ一つの戦闘がしっかり作り込まれていること。単にボス本体を覆うバブルを消していくだけではなく、相手によっては特定のチャンスが訪れるまで粘らないと攻撃を仕掛けられなかったり、別の相手に至っては最初は防御に徹し、徐々に反撃に転じていくテクニックが求められてきたりなどなど。ボス、一体一体がしっかりと個性付けされており、それぞれ違った戦闘を用意する徹底した作り込みが成されている。加えて、難易度もなかなかのもので、ボス自体も攻撃を仕掛けてくる為、それに少しでも飲まれると取り返しの付かない事態に陥ることもしばしば。しっかり攻撃を防ぎ、落ち着いて発射する慎重な判断が求められてくるのだ。まさにシューティングゲームさながら。終始、気の抜けないスリルを満喫できる。そんなシューティングゲーム特有の面白さ、パズルゲーム特有の面白さをどのボスでも余す事なく表現。一応、ボスの中には一部、何度か戦う面子も居るので、やや新鮮さを感じ難いところもあるのだが、只でさえ奇抜なこのステージの面白さを盤石なものにする為の作り込みの深さは圧巻の一言。単に奇抜なだけで終わらせず、ちゃんとゲームとしても面白いものに仕立て上げる辺りに今作を手掛けたスタッフの職人魂を痛感させられるばかりである。
更にストーリーはこればかりではなく。肝心のパズルメインのステージも5つのラウンドを駆け抜ける構成、バブル集合体の形と配置など、秀逸なレベルデザインが炸裂している。難易度設定にしても、後半になるにつれて正確なショットと判断が求められてくるなど、メリハリの効いた調整が成されているのが見事。楽しく、歯応えのある展開を満喫できる。ボリュームも申し分なく、普通にエンディングを目指すだけでも人によっては10〜12時間ほどは必要とされる。実際の所、ワールド総数とステージ総数はそんなに多い訳では無く、一見、あっさり終わりそうな程度の量になっている。だが、先の通りにパズルステージは5つのラウンドを駆け抜ける構成。加えて、難易度も緩やかに手強くなっていくので、終盤に行くほど一筋縄では行かなくなってくる。一部に運の要素が絡んでくるラウンドがあったりするなど、気にかかる部分も幾つかあるのだが、そのような調整が図られているのもあって密度、遊び応えは十分。一通り終える頃には、他のモードはやらなくて良いやというほどに燃え尽きてしまうだろう。
そう言いながら、他のモードもよく出来ているので遊ぶ価値は大いにあるのだが、それだけ『ストーリー』の存在感は傑出したものがある。従来のスタイルを踏襲しつつも、新たな要素を取り入れて今までにない内容を生み出す。少しでも加減を誤れば、中途半端なものになる恐れがありながらも、変革に果敢に挑戦して徹底的に作り込み、シリーズに新たな可能性を切り開いたという点でも、このモードは大きな評価に値する。また、シューティングゲーム的な要素を全面に出して、『スペースインベーダー』になぞって『スペースパズルボブル』と名付けたそのセンスも見事の一言だ。実際の由来は例によって製作者のみぞ知る、だが。それほどまでに、独自のセンスが炸裂した今作。その内容がニンテンドーDSの数あるパズルゲームの中でも上位に来るものであるというのは、もはや言うまでもないだろう。シリーズの新作としてもかなりの快作。職人技の炸裂したパズルゲームに完成されているのだ。

操作周りも良好。使うボタン数は少なめ、レスポンスも快適で心地よいと、申し分のない仕上がりになっている。ただ、狙い撃ちの際に細かい調整と角度計算が求められて来るのもあり、やや難しい所もあり。ただ、今作は別売の『パドルコントローラDS』にも対応。十字キー操作がどうしてもダメという方は、こちらを試してみるのがお薦めだ。
またボリュームも『ストーリー』だけでなく、他のモードも充実。更に今作ではゲームをプレイする度に『ポイント』を獲得する事ができ、これで『ショップ』で売られている専用アイテムを購入する要素も用意されている。その専用アイテムも盛り沢山で、発射台のデザインを変更したり、特別なゲームモードを出現させたりなどと実に様々。ポイントを溜めて買うだけの価値が十分にあるものばかりだ。更に、アイテムの中には往年のタイトー作品をテーマとしたものまで用意。そんなオールドファンをニヤリとさせるサービスが炸裂しているのも大きな見所である。
その他、グラフィックと音楽も非常に良い出来。グラフィックに関しては明るい世界観にマッチした、カラフルで丁寧に描き込まれたドット絵が素敵。それでいてキャラクターの動きも可愛らしいものに仕上げられており、中でも主人公であり、発射台付近に待機しているバブルンの動きは必見だ。音楽も明るい世界観にマッチした、楽しくて印象深い楽曲が揃っている。さりげなく、サウンドテストも特典で用意されていて、自由に聴き放題であるのも見逃せないところ。また、この面でも先のタイトーファンへのサービスは炸裂している。それが何なのかはプレイしてからのお楽しみ。「それを用意するか!」と思わず言いたくなる驚きをお約束します。

演出全般もボス戦での派手なエフェクト、可愛らしい世界観の引き立てと臨場感の強化に一役買っているボイス演出などなど、申し分ない出来。特にボス戦の演出は、さすが『ストーリー』の盛り上がり所とも言うべき派手なものになっているので必見。これ、本当にパズルゲームなのかと、人によっては良い意味での違和感を覚えるだろう。
他にも、ソフト1本で最大4人まで楽しめるという対戦プレイの敷居の低さなど、魅力的な要素、売りは多数。惜しむべきは、やはり難易度設定か。少し、運に左右される局面も幾つかあるので、人によっては不快な印象を抱くかもしれない。また、詳細は伏せるが「とあること」をしなければ、『ストーリー』は完全決着しないというのもシビア過ぎるの一言。普通にプレイしていても問題なく行けるようにしてほしかったところだ。
そう言った残念な所もチラホラあるが、パズルゲームとしての完成度の高さはピカイチ。シリーズとしても、一つのパズルゲームとしても他にないスタイルを突き詰めた作品に完成されている。正直、世間の知名度が驚くほど低く、どうしてこれほどの作品が何ら話題にならないのかと思ってしまうほど、よく出来た今作。まさに正真正銘、隠れた傑作である。2013年現在、やや入手困難になっているが、無理に探してでも遊ぶ価値はある。独特なゲームデザインによって誕生した、『スペースインベーダー』ならぬ『スペースパズルボブル』の世界を是非、堪能してみて欲しい。お薦めです!
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