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≫WireWay(ワイヤーウェイ)
■発売元 コナミ
■開発元 ナウプロダクション
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応、DSダウンロードプレイ対応
■総説明書ページ数 29ページ
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、35〜45時間(完全攻略目的)
イタズラ好きのエイリアン・ワイリー。
彼はパートナーのリフレッシュと共に希望のエネルギー『エラン』を求めて地球にやってきた。

そこで彼らは宇宙ギャングと出会い、ワイリーはその中の一人、キセラに恋をしてしまう。

そんなキセラの気を引く為、彼らはエランよりも強いエネルギーを持つ『スーパーエラン』を求め、宇宙のあちこちで奇妙な冒険を繰り広げる…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆『ゴムひもアクション』も同然な突っ込みどころの多さと、タッチペン操作による親和性の高さ、手軽な爽快感が秀逸なワイヤーアクション(癖も少なく、取っ付き易い作り)
◆タッチペンのスライドだけで遊べてしまう、手軽で取っ付き易い操作性
◆勢い任せなストーリーとバラエティに富んだレベルデザインが光る本編の『クエスト』
◆程よく探索要素を織り交ぜた、遊び応えのある構成が秀逸なクエストのステージ設計
◆自然あり、都会あり、宇宙要塞ありとハチャメチャでぶっ飛び過ぎなステージロケーション
◆飛び回りながら弱点を突いていく疾走感とスリルが印象的な『クエスト』のボス戦
◆詰め将棋なものからピタゴラスイッチ風のパズルゲームまで、本編を食うほどの充実ぶりが印象的な『チャレンジ』
◆大らかさと思い通りにいかない手強さが程好く混ざり合った、絶妙な難易度設定
◆全モード合計90を超えるステージ、アイテム収集やタイムアタックなど、値段に割り合わない充実した総計ボリューム
◆ピクトグラム風(記号風)の独特過ぎるデザインで描かれた登場キャラクター達
◆特徴的なキャラクター達のデザインにマッチした、不思議な作風のグラフィック
◆操作の手応えと飛ぶ快感を大いに引き立てる、質感溢れる効果音
◆勢い任せなカット割りとストーリー展開が印象的なムービーデモ

--- Bad Point ---
◆DS本体の継ぎ目部分にすっぽりと隠れてしまう、上方向に配置されたワイヤー
◆継ぎ目に隠れたワイヤーが何処にあるかを示すサイン機能の非搭載
◆自分の周辺しか見回せない、狭苦しい仕様が嫌らしいカメラ操作(この為、遠く離れたワイヤーや上方向のワイヤーが確認できないという弊害が)
◆画面構成の問題とカメラ操作の仕様の所為で、若干、初見殺しな一面も併せ持った全体の難易度バランス
◆単調でイマイチ盛り上がらない音楽
◆ステージ開始前に決まって挟まれる数秒のロード画面(無くして欲しかった)
◆勢い任せで、何が何だか分からないストーリー(気にしない方が幸せかも…)
◆突っ込みどころ満載のワイヤーアクション(いわゆる、カプコンの『ヒットラーの復活(バイオニックコマンドー)』のようなワイヤーアクションを期待してはならない)
▼Review ≪Last Update : 4/8/2012≫
遂にワシが主人公となる時が来た!

人違いです。あしからず。


タッチペン操作とニンテンドーDSの二画面構成によるお手軽ワイヤーアクションを特徴とした、完全新作のアクションゲーム。開発はナウプロダクションが担当。

取っ付き易い作りながら、際どい調整不足が尾を引く、非常に惜しい作品だ。

ゲーム内容は縦横スクロールで展開する、DSの二画面表示機能を活かしたステージクリア型ワイヤーアクションゲーム。主人公のワイリーを操作し、様々な仕掛けが張り巡らされたステージを突破していくというものだ。ワイヤーアクションと言うと、ゲームに詳しい方なら『ヒットラーの復活(バイオニックコマンドー)』のようにワイヤーを発射し、天井などに引っ掛け、振り子運動で目的の足場まで飛ぶ…というものを想像するかもしれない。だが、今作で謳っているワイヤーアクションはそのようなものではない。平たく言ってしまえば、今作のワイヤーアクションとは玩具のパチンコ。伸び縮みするワイヤーを引っ張り、その反動でプレイヤーキャラを飛ばしていくというものになっている。そりゃワイヤーアクションじゃなくて、『ゴムひもアクション』じゃないかと突っ込みたくなると思うが、まさにその通り。要はワイリーという名の弾をゴムことワイヤーでふっ飛ばしていくだけなのだ。しかし、そんな内容でありながらも、今作はあくまでもワイヤーアクションだと豪語しているので、これ以上は追求しないでおこう。
肝心のワイヤーアクションの操作はシンプル。タッチペンでワイヤーをスライドし、離せば良いだけ。たったそれだけでワイリーを簡単に飛ばす事ができる。ほとんど玩具のパチンコと同じ操作な上、ボタン入力などの複雑な操作は一切求められないので、説明書を全く読まずとも習得できる、直感的で簡単なものとなっている。(※ちなみにこの一連の行為を『フリック』と呼ぶ)しかし、飛ばし方が簡単だからと言って、イタズラに飛ばしまくれば楽々とクリアできる甘い作りではあらず。今作では、ステージ内に配置されたワイヤーを乗り継ぎながら進めていくのが基本となるので、きちんと飛ばす方向を調整し、上手く次のワイヤーに掴まれるように飛ばしていかなければならない。更にステージによっては普通の飛ばし方では届かない場所にワイヤーが配置されていたり、特殊な仕掛けを解かないと進めない場所があったりするので、そうサクサク進めていける訳でもなく。時には敵が邪魔をしてきたり、奇妙な乗り物に乗りながら進めていく場面もあるので尚更だ。操作こそ凄く簡単で取っ付き易いが、その一方で肝心のゲーム本編は何も考えずに飛ばしまくると痛い目に遭う作り。まさにシンプルの裏に難関あり、と言ったところか。一筋縄ではいかない、表裏一体の作り込みが成されている。
また、ゲームモードもストーリーに沿いながらステージを攻略していく『クエスト』、様々な課題に挑戦する『チャレンジ』と、数は少ないものの、遊び応えのあるものが揃っている。
メインは『クエスト』で、ワールドごとに用意されたコースを攻略していくというオーソドックスな内容だ。このモードでは『エラン』と呼ばれる星型のアイテムをノルマで指定された数まで集め、ゴールを目指していくのが基本となる。『エラン』は大抵、道なりに配置されているが、後半になると特定の仕掛けを解除しないと手に入れられないものが出てきたりと、マップ全体の探索も求められてくるようになる。やる事は結構単純ではあるが、構成は意外と入り組んだ作り。オーソドックスながらも、手応えのツボを押さえた内容に仕上げられている。
そしてサブに当たる『チャレンジ』は更に手応え満点の内容。限られたフリック数でゴールを目指す『フリックトライアル』、コース内にワイヤーや仕掛けを設置してゴールまでのルートを作成し、実際にプレイしてゴールまでワイリーを進めていく『ストラテジー』の二種類が用意されており、『クエスト』とは趣の異なるワイヤーアクションが満喫できる仕上がりになっている。正直、こちらがメインモードと言っても不思議なくらいの充実ぶりだ。
特にゴールまでのルートを作成する『ストラテジー』は、パズル的な面白さに満ち溢れているのみならず、エディットしながらゴールを目指すというルールが実に珍妙。かの『ピタゴラスイッチ』のアクションゲーム版的な斬新な手応えは、要チェックの価値アリと言えるだろう。
もう一つの『フリックトライアル』も、限られたフリック数でゴールを目指していくという知略を尽くしながらのプレイが熱い。シンプルなワイヤーアクション独自のもどかしさも上手く演出されており、確かな歯応えと満足感が味わえる。自由に飛ばせる『クエスト』とは真逆の方向性を突き詰めたゲームデザインも必見である。
このようにファミコン、アーケードゲーム時代からある元祖『ワイヤーアクション』とは全く趣の異なるアクションで、同様のものを期待すると肩透かしに遭う内容ではある。しかし、タッチペン一本のスライド操作で気軽にキャラクターを飛ばせる爽快感、豊富で個性分けされたゲームモードを始めとする異なる魅力の数々は捨て難いものがある。突っ込み所はあれど、単純さと遊び易さは格別。DSならではの魅力を活かしきったアクションゲームとして完成されている。

そんな今作の売りは、タッチペン操作の魅力を突き詰めた作り込みの数々だ。基本的にスライド操作だけで遊べる分かり易さ、その分かり易さに奥行きを与えるアイディア満載のステージ構成に各種ゲームモードと、いずれもシンプルだからこその魅力を突き詰めた仕上がりとなっており、潔さを何よりも大事にしようとするこだわりが炸裂している。
特に全く異なる遊びが楽しめるのみならず、独自のアイディアが炸裂した各種ゲームモード(クエスト、チャレンジ)の作りは圧巻だ。自由にプレイヤーキャラを飛ばし、コース内を動き回る楽しさが味わえるクエスト、制限する遊びと自分でルートを構築する遊びの二つが味わえるチャレンジと、いずれも差別化が極端でまるで異なるゲーム性を演出している。更にアイディアとしての新しさも申し分なく、中でもチャレンジの一つ、『ストラテジー』の『ピタゴラスイッチ』とアクションゲームのスリルを織り交ぜたゲームデザインは斬新の一言。答えのルートを構築してそれで終わりにせず、自力でゴールを目指さなければならないという下りは本当、ありそうで無かった面白さに満ち溢れている。ステージの作りも練られているのみならず、ジャンプの飛距離も考慮してワイヤーを上手く配置していかねばならないなど、今作独自のテクニックが求められてくるのも新しい。ボスやストーリー上のイベントなど、派手な仕掛けが用意されたクエストと比べると、ゲーム性の面での地味さは拭えないが、それでもこの独自のゲーム性はかなりのインパクトがある。ある意味、このモード目的だけでも、今作をプレイする価値はあると言っても良いだろう。それほどまでに魅力溢れる内容に仕上げられている。
無論、他の『クエスト』、『チャレンジ:フリックトライアル』もなかなかの出来。いずれもステージ構成が上手く、数は少なめながら個性的なギミックでプレイヤーを楽しませてくれる。また『クエスト』ではワールド最後に巨大なボスとの戦闘も用意されており、飛び回りながら弱点を突いていくという、スリル溢れる遊びが楽しめるのも大きな見所。アクションゲームなのだから、戦闘もきちんと入れるなど、お約束をきちんと守ろうとする姿勢が現れているのもニクい限りだ。
しかしながら今作、調整周りで明らかな失態を犯しているのは褒められたものではない。その調整周りの失態というのは、画面表示の事なのだが、これが致命的な非常に仕上がり。縦方向にジャンプして進もうとする時で、次のワイヤーが上にあるかを確認したくなる場面が今作では多々あるのだが、この縦にあるワイヤーがDS本体の継ぎ目の部分に隠れてしまうのである。その為、「上を確認したら何もない⇒じゃあ横にジャンプしよう⇒ジャンプした上にワイヤーがあった⇒大きくコースアウト」という事故が頻発し易い。DS本体の設計上の都合とは言え、最低限フォローしなければならない部分の調整を今作は怠ってしまっているのだ。一応、十字キーで視点を動かす事もできるのだが、これが自分の周辺しか見回せない狭苦しい仕様で非常に使い勝手が悪い。自由に見回せたりすれば、探索要素のあるコースでバランス崩壊が生じかねないので、こういう仕様にしたのかもしれないが、ならば何故、「ここにワイヤーがある」みたいなサインを出す配慮を施さなかったのか。せめてその表示があったり、ワイヤーが継ぎ目に隠れないギリギリの所に配置する配慮が施されていれば話は違ったのだが、結果的に無配慮な様になってしまっているのは残念の一言だ。アクションやステージの作りは申し分ないのに、この調整不足は痛い。それも探索要素があるゲームで、この不自由な作りは褒められたものではない。こだわりがあったのかもしれないが、それ以上に快適性を最優先して欲しかったものだ。
結局の所、アクションとその他の新しさにこだわり過ぎたあまり、細かい調整を怠ったゲームとして仕上げられてしまっているのはあまりに惜しい。折角、基本が凄くよく出来ているというのに、こういう部分で落としてしまうのは勿体無いにも程がある。調整がしっかりしていれば傑作も間違いなかっただろうに、それを怠った罪は深い。
そんな致命的な欠点はあれど、各種ゲームモードの作りやシンプルなゲーム性は有り余る魅力に満ちている。ストレスを感じる調整の甘さという部分に目を瞑れば、きちんと楽しめるゲームにはなっている。しかし、快適さを求める方にとっては、正直な所、楽しさよりも苛々が勝ってしまう内容であるのは否定できないだろう。本当、基本の作りは良いのに調整が凄く甘い。こうも「惜しゲー」と断言できるゲームも他にないと言って良いかもしれない。

難易度を含めた全体のゲームバランスにしても、画面表示の詰めの甘さでストレスの溜まる仕上がりになってしまっているのが勿体無い。難易度自体は適切で、程好い難しさでまとめられているのだが、細かい調整不足がその良さを殺してしまっているのが痛い。操作性にしても、タッチペン操作は申し分無しながら、カメラ操作がストレス源になっていて、満点とは言えない出来なのが残念だ。
対し総計ボリュームは申し分無し。クエスト、チャレンジの各モードごとに用意されたコース総数は裕に90を超える上、アイテム収集やタイムアタックなどのやり込み要素も万全だ。大体1〜3分程度でクリアできてしまう1コース全体の手軽さも素晴らしく、パッと遊べて止められるのが実に魅力的だ。安めの価格でありながら、コストパフォーマンスは高い。
黒を主体とした作風で描かれた、アメコミチックなグラフィックも印象的。まるで記号のようなデザインの登場キャラクター達もインパクトがあり、唯一無二の世界観を作り上げている。
一方で音楽はちょっと単調。あまりにのんびりで(ボス戦ではそこそこ張りのある曲になるが)、アクションゲームに適してない。もう少し、バリバリのゲームミュージックにした方が凄く盛り上がったのではないだろうか。言葉が悪いが、この辺は正直言って手抜きと言わざるを得ない。

演出に関してはエフェクト周りも含め、そこそこ頑張っている。クエストにて描かれるストーリーも、アメリカンで勢い任せな作りになっているのが面白い。中身を追うと正直、色々訳が分からない作りで突っ込み所も満載なのだが、記号のようなデザインをしたキャラクターの存在感もあり、言葉にし難いシュールな雰囲気が炸裂しているのが実に印象的だ。その他、ステージも自然あり、都会あり、宇宙要塞ありとハチャメチャでカオス。効果音も「ビヨ〜ン」という音が妙に耳に残るなど、細かい部分にも独特の味わいが炸裂している。
タッチペン操作だからこそ実現し得たシンプルながらも奥が深いワイヤーアクション、露骨な差別化が図られた各種ゲームモードなど、作りは丁寧。意欲作と言ってもおかしくない出来と言えるだろう。しかし、画面表示の詰めの甘さにカメラ操作の自由度の低さなど、細かい調整の不備によって、気持ちよく遊べない作りになってしまっているのは如何ともし難い限り。そこさえ良ければ、堂々と傑作と言い張れたのに残念無念だ。
総評としてはギリギリ佳作と言ったところ。全く遊べないというほど出来は酷くないので、アクションゲーム好きや新しいもの好きならば、プレイしてみる価値のある一本だ。『バイオニックコマンドー』などとは毛色が異なるものの、独自の爽快感に秀でたワイヤーアクション、是非ともお試しあれ。
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