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≫アラジン
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9450円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 1時間半〜4時間
魅惑の都『アグラバ』を一人の若者がパンを盗んで駆け抜けて行った。
若者の名はアラジン。
貧しいが、心には「いつかお城に住みたい」という大きな夢と希望を抱いている。

一方、美しい宮殿に住む王様の娘ジャスミンは、政略結婚から逃れる為、ある夜、こっそりと宮殿を抜け出す。
自由な世界に夢を託して…。

次の日の朝、アグラバの街にはアラジンとジャスミンの運命の出会いが待っていた。
そして二人は次第に恋に落ちていく…。

だがそんな最中、宮殿の大臣ジャファーは世界征服の陰謀を張り巡らせていた。
そしてその魔の手は、アラジンとジャスミンに迫ってきていた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆映画『アラジン』の世界を忠実なまでに再現した美しいグラフィック
◆ディズニー作品らしさ溢れる滑らかなキャラクターアニメーション(特にアラジンの相棒『アブー』の動きは必見)
◆端折られてる部分もあるが、全体的に映画に忠実なストーリー展開
◆『息つく間もないアクション』を徹底的に追求した敵配置等が見事なステージ構成
◆洞窟からの脱出、アスレチック、空中散歩等バラエティーに富んだゲーム展開
◆人間臭さを演出する、独特の『重み』を生々しく表現した操作感
◆滑らかな動きに相反して、驚くほど快適で軽快な操作性(動かすだけでも楽しい)
◆若干厳しく設定されてるが、努力すればしたなりの結果が反映されてくる隙の無さが見事な絶妙のゲームバランス
◆作品の世界観に程好くマッチした音楽(テーマ曲『A Whole New World』も収録)
◆映画の興奮とゲームとしての興奮の双方を上手に表現した演出
◆映画ファンにとっては感涙モノの魔法のじゅうたんによる空中散歩ステージ
◆表現の限界に挑戦した、文字通りのダイナミックな動きが印象的なラスボス戦
◆全部集めるとエンディングが変化する要素がニクい、やり応え満点の赤いダイヤ集め
◆短めで且つ覚え易いパスワード(ステージクリア後に表示される仕組みもナイス)

--- Bad Point ---
◆やや物足りないボリューム(せめてあと1ステージぐらいは用意しておくべきだった)
◆配置位置が意地悪な赤いダイヤ(少々、常軌を逸してる…)
◆難易度的に突出してる感が否めないステージ3とステージ4(初見殺しのトラップがかなりある)
◆大胆に端折られた映画のストーリー終盤の展開(容量の都合か…?)
◆処理落ちの激しいラスボス戦
▼Review ≪Last Update : 10/20/2007≫
瞬間移動でいざ、最終決戦!

展開、ぶっ飛び過ぎです…。


1992年に公開されたディズニー映画『アラジン』をベースにしたアクションゲーム。制作は『ミッキーのマジカルアドベンチャー』でディズニーゲームの実績を持つカプコンが担当。

人間臭さ満点のアクションと操作感、そして映画の雰囲気を見事に再現した世界観。
これぞ理想のキャラクターゲーム、と言わんばかりの高い完成度を誇る名作だ。

ゲーム内容はオーソドックスなステージクリアタイプの2Dアクションゲーム。プレイヤーはアラジンを操作し、合計6つものステージを攻略していく。基本的なゲーム展開並びにストーリーは映画『アラジン』に順序しており、アラジンとジャスミンの街中での逃亡劇、洞窟からの脱出、そして魔法のじゅうたんに乗っての空中散歩と言った映画を観た人ならばお馴染みの名場面はバッチリ収録。加えてそれぞれの名場面を自分の思うがままに操れる、ゲームならではの『動かす事の面白さ』も備わり、より一層の感動と臨場感を演出。映画のファンにとっては、興奮冷め止まぬゲームプレイを心行くまで堪能できる、実に感動的な作りとなっている。
しかも、それでいて凄いのが、本作は1つのアクションゲームとしても優れた面白さを誇っている事。映画『アラジン』を観た事の無い人でも同じような臨場感と感動を共有できる、実に懐の広いゲームに仕上がっているのである。
それを大きく体現するのが、プレイヤーが挑む事になる6つのステージ。とにかく、何処も彼処もバラエティー豊か。街中の逃亡劇から洞窟探検、更には脱出、アスレチックチャレンジ等と実に多種多様なアクションステージが用意されているのである。また、どのステージの敵から仕掛けも巧妙なバランスで配置されていて、文字通りの『息を付く間も与えぬ連続アクション』をプレイヤーに嫌というほど提供してくれる。中でも、ジーニーが作り出した世界を舞台としたステージ4はその真骨頂とも言うべき出来だ。
他にも一瞬の判断ミスも許されぬ緊張感を限りなく追求した魔法のじゅうたんによる強制スクロールステージ、ステージ内に隠された『スカラベ』を見つける探索要素など、プレイヤーの心を惹きつけて離さぬ興奮のアクションと遊びは満載で、単なる映画を再現しただけのゲームにせず、アクションゲームとしてもしっかりと遊べるものを作り出そうとする、制作スタッフの熱きこだわりを実感する事ができる。
何よりも、遊んでいて全くダレる事が無い、最後の最後まで興奮が治まらないのが凄い。如何に本作がアクションゲームを知り尽くした人間によって制作されたかが伺える。それでいて、ちゃんと映画『アラジン』の世界を忠実に表現しているのだから、なお驚きである。この優れたバランス感覚はまさに職人技と言うに相応しい。

そしてそれはステージ構成や世界観の構築に限った事ではない。プレイヤーが操作する事になるアラジンのアクションにも、尋常でないこだわりが満ち溢れている。
実際に操作してみると痛いほど分かるのだが、一つ一つの動きがもの凄く人間臭い。ジャンプすると実際の人間がジャンプした時と似た、重力による『重さ』が伝わってきたり、ダッシュして途中で方向転換しようとすると慣性が働き、止まろうとした位置よりも少しずれてしまったり等と、かなり細かくてリアルな動きをするのである。特にジャンプをした際に感じる『重さ』は実に生々しく、まるで本当にアラジンほどの体格の人間を動かしているような錯覚を覚えるほど。それほどの人間の『重み』を感じ取る事ができるのだ。流石にジャンプ力はゲームの掟に従って非現実的な高さに設定されているが、アクションゲームのジャンプで、ここまで『人間の重み』を表現したのは素直に凄いの一言に尽きる。如何にも人間が主人公のアクションゲームらしい味が出ていて、味わい深い。
しかも、このような『重み』を表現していながらも、「動かすだけでも楽しい」という抜群の操作性と操作感を実現してしまっているのだから凄い。下手にリアルな動きを追求し過ぎたせいで、操作性並びに操作感が劇的に悪くなってしまったアクションゲームと言うのは世に沢山あるものだが、こうもリアルな動きを表現しながらも抜群の操作性と操作感を保ったゲームというのはかなり珍しいケースではないだろうか?リアルな動きを表現しながらも優れた操作性を実現するのなら、かなり根詰めたテストプレイとバランス調整をする必要がある。そんな操作性をこうも綺麗に実現してしまってる本作は、それほどの根詰めた調整を重々と施したという事なのだろう。凄いこだわりぶりである。
他にアクションの種類も多彩で先に述べたジャンプやダッシュ以外にも、馬飛び、振り子(鉄棒アクション)等、生身の身体を活かしたダイナミックなアクションを堪能できる。また、ステージの道中に隠されているアイテムを拾う事によって『ホバリング』や『リンゴ投げ』と言った特殊なアクションができるようになるのも見逃せない。
リアル故に若干、癖の強い所があるのがタマにキズではあるが、人間の重みを生々しく表現したその抜群の操作性と操作感、そして生身の身体を活かしたダイナミックなアクション群は、十分に評価に値する完成度。このあまりに人間臭いアクションとリアルな操作感を味わうだけでも、本作を遊んでみる価値は十分にあるだろう。
このようにアクションゲームとしても面白く、キャラクターゲームとしても完成度の高い本作は、まさに理想の原作付きゲームと言うに相応しい。双方の魅力を破綻無く描いたその手腕は、流石、これまでに数多くのアクションゲームを手掛けてきたカプコンだけにあると言った所だ。つくづく、ディズニーは良いメーカーに恵まれているなと思う限り。

ゲーム本編以外の部分、グラフィックと音楽の出来も実に素晴らしい。特にグラフィックは、背景からキャラクターのドット絵まで嘘偽り無くアラジンの世界を描いており、かなり良い仕事をしている。アラジンのみならずキャラクターの動きも素晴らしく、中でもアラジンの相棒として活躍するアブーが見せるリアクションは必見だ。
音楽もアラジンの中東の世界観にマッチした曲が満載。ちょっぴりロックマンシリーズを髣髴とさせる、カプコンらしい曲がチラホラと用意されているのも要注目だ。
また音楽と聞いて映画ファンの多くが挙げるのがテーマ曲であり、アカデミー歌曲賞をも受賞した『A Whole New World』であるが、本作ではこの曲もバッチリと収録!流石に容量の都合もあってか歌までは入っていないが、ゲームの展開を大いに盛り上げてくれる。この曲が使われる場面もかなり良い感じなので(具体的に何処かは秘密)、ファンも納得する事間違いなし。このテーマ曲を難なく入れてしまう、カプコンの潔さには脱帽する限りだ。これだけでも、本作が如何にキャラクターゲームとして優れているかはお分かりになるかと思う。

そしてゲームバランスもなかなか。若干、厳しく設定されてはいるが、やる気を促す理想的なバランスを維持。やり込めばやり込んだなりの結果が返って来る辺りもカプコンらしくて好印象。全体的にゲーム本編と揃って丁寧に練られている。
その他、演出周りに関してもソツがなく、『A Whole New World』を使用している場面やラスボスのあまりにダイナミックな動きは必見。上級者プレイヤー向けに導入された『赤いダイヤ集め』もなかなかやり応えがあって良い感じだ。
ややボリューム的に足りない所、ステージ3と4の難易度がやや突出し過ぎてる、そしてストーリーの終盤が大胆に端折られているなど細かな欠点もあるが、全体的な完成度の高さはもう言うまでもなく。
総じて、まさに理想のキャラクターゲームとも言わんばかりの名作。アラジンファン、そしてアクションゲーム好き双方にお薦めの逸品だ。スーパーファミコンを所持しているユーザーなら要プレイ。この人間臭さ、触ってみなくちゃ分からない。
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