Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Super Famicom>
  4. アクスレイ
≫アクスレイ
■発売元 コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)
■ジャンル シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版:9240円(税込)
バーチャルコンソール版:800Wiiポイント
■公式サイト ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 26ページ
■推定クリア時間 50分〜1時間半(エンディング目的)、5〜8時間(完全攻略目的)
イーリス恒星系が『闇の帝国』を名乗る謎の敵との交戦状態に突入し、5年。過去三度の大規模な基地奪還作戦も失敗に終わり、イーリス防衛軍は壊滅的被害を受けた。

唯一、残された希望は『AXELAY(アクスレイ)計画』。小型戦闘機に巨大戦艦級の武装を搭載した、機動力と攻撃力の双方を備え持つ機体を開発するというプロジェクトだった。秘密保持の為、機体はイーリス本星にて製作され、搭載される特殊武装は各惑星の秘密基地で開発が進められていた。
だが、各惑星は既に帝国の手に落ち、通信は途絶えたままだった。

敵を殲滅し、特殊武装を奪還せよ。
今、最終調整を終えたアクスレイに燃料注入が始まった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆横スクロール、縦スクロールステージを交互に攻略していくという、ハイブリッド型の独特な作りが光る、特徴的なゲームデザイン&レベルデザイン
◆疑似的に3Dの奥行きを表現した、独特過ぎる描写と演出が異彩を放つ縦スクロールステージ
◆王道ながらも、音楽と絶妙にリンクした見事な演出と地形構成で魅せる横スクロールステージ
◆三種類の『ウェポン』をステージ開始前にセットし、それを切り替えながら敵を迎撃していく、戦略的なゲームプレイを演出する『ウェポンシステム』
◆一癖も二癖もあり過ぎる、全9種類のウェポン(特にニードルクラッカー、モーニングスターの個性の強さは他のシューティングゲームには無い味わいが満載)
◆雲海、宇宙基地、夜景の美しい都市上空、洞窟など、多彩で見応え十分のステージロケーション
◆スーパーファミコンのハード性能を活かした描写、ダイナミックなアニメーションとグラフィックでプレイヤーを魅了させる、見所満載のボス戦(ボス自体の強さも適切)
◆短めながらも、二周目以降のチャレンジを始め、やり込み甲斐は十分にあるボリューム
◆少し使うボタンは多めながらも、違和感なく手に収まる触り心地の良さが秀逸な操作性
◆控えめながらも、適度に手強くて遊び応えも十分な適切なゲームバランス
◆ショット速度、画面の明るさ設定など、妙に凝った設定が揃っているオプション機能
◆1992年製のゲームとしては驚異的なクオリティを誇るグラフィック
◆重厚感のある作風と印象的な旋律でプレイヤーを魅了させる、素敵な音楽
◆質感抜群で適度に仰々しい効果音(更にステージ4では…?)
◆音楽の流れとリンクしたステージ展開、強敵撃破時の派手なエフェクトなど、シューティングゲームの爽快感と達成感を見事に抑えた素晴らしい演出(特にステージ2は必見!)

--- Bad Point ---
◆やり込み要素、密度も十分ながら、やや少ない感も否めないステージ総数
◆個性的過ぎるあまり、性能格差が極端に開いているウェポン(使えないものはとにかく空気)
◆ストーリーの設定上仕方が無いとは言え、完全集結のタイミングが遅すぎるウェポン(全て揃った上で挑めるステージをあと2〜3個ぐらいは用意して欲しかった)
◆やや鈍くもある自機の移動速度(特に縦スクロールステージ)
◆少し長過ぎる感が否めないステージ6(その分、印象的な場面も多数あるのだが…)
▼Review ≪Last Update : 12/8/2013≫
コーヒーが…当たる?

以上、空耳アワーでした。


1990年に発売された『グラディウスIII』に次ぐ、コナミのスーパーファミコン向けシューティングゲーム第二弾として製作された完全オリジナル作品。

独特の映像表現と演出、奥深い兵装システムが光る意欲作だ。

ゲーム内容はステージクリア型シューティングゲーム。戦闘機『アクスレイ』を操縦し、迫り来る敵の群れを撃墜しながら全6ステージの攻略に挑むというものである。各ステージの攻略条件は、最後に登場するボスを倒すという王道のもの。対し、本編ことステージの作りには独自の試みが成されており、奇数ステージでは縦、偶数ステージでは横と言った具合にスクロール方向が棲み分けられた構成となっている。
また、各スクロールで構成されたステージは当然の如く、その作りもまるで違う。特に違いが露骨なのが縦スクロール。ステージ全体が擬似3Dで描かれた、独特のものになっている。見た目こそ、よくある縦スクロールなのだが、画面上方向の部分に遠近法をかけた奥行きが表現されており、何処と無く3Dっぽい構成になっているのだ。この為、敵の出現描写も画面奥から来た時は最初に小さく表示されたり、自機の近くまで来ると大きく表示されると言った具合に3Dっぽいものになっている。更にこの奥行きが表現された上部では、自機の速度が遅くなるという独自の仕様も盛り込まれている。このような仕様の為、従来型の縦スクロールよりも上部での戦うのが大変危険。基本、中央辺りをキープしながら敵機の撃墜に専念するという、ありがちではあるのだが、何処か新しいテクニックが求められてくる作りになっている。
対照的に横スクロールは、同じコナミの『グラディウス』シリーズなどを髣髴とさせる王道スタイル。縦スクロールのような独特の映像表現や仕様も無く、素直に遊べるステージに仕上げられている。ただ、基本システムは縦スクロールと共通。今作独自の仕様もそのままなので、そこには気を配らなければならない。
その今作独自の仕様とは、道中にアイテムが登場しないという事。シューティングゲームではお馴染みとも言える、攻撃のパワーアップやオプションの追加などの付加効果を与えるアイテムが今作には1ドットも登場しないのである。ステージ上に出てくるのは自機であるアクスレイと雑魚、ボスを含む敵キャラクター、そして仕掛け(トラップ)だけ。シューティングゲームではお約束とも言える、パワーアップの概念が無いのだ。
その代わりとして、自機であるアクスレイには予め、三種類の『ウェポン』が装備されている。今作ではこのウェポンを状況に応じて使い分け、各ステージを突破していく事になる。『ウェポン』は初期からフルパワー状態となっており、特に強化する必要もなくバリバリ撃つ事ができる。但し、敵の攻撃が被弾すると、あっという間に故障。以降、使えなくなるという致命的な弱点を持っている。当然、アイテムが登場しないので回復手段も無し。そのまま、弱いノーマルショットで戦うのを強いられる事になる。裏を返せば、敵の攻撃を受けてもすぐやられないので、シューティングゲーム初心者には優しい仕様ではある。だが、受ければ受けるほど、攻撃が貧弱になっていく為、デメリットの方が大きい。回復手段も無いので尚更だ。最初からフルパワーで撃て、強化の必要も無く、一発死を防いでくれるなど良い所ずくめに見えるが、その実態は意外にシビア。アイテムが登場しない故の厳しさ、敵との戦いに集中できる分かり易さ、そして状況に応じて使い分ける戦略性の高さの三つが絶妙に絡み合った、独特のゲーム性を演出するシステムに完成されている。
また、アクスレイに装備する『ウェポン』は各ステージの開始前に自由にセッティングが可能。『ウェポン』は機体上部、機体側部、機体下部の計三箇所に割り当てられ、それぞれに個別のものが用意されている。ただ、カスタマイズの自由度はそれほど高くなく、同じ武器を三つの部位に装備する事はできないなど、縛りが多い。ウェポンも最初から全てが選べる訳ではなく、ゲームが進む度に追加されていくようになっている。最初から色々選べるものと期待すると、肩透かしに遭うのは間違いないだろう。しかし、ウェポン自体は個性的なものが多く、組み合わせによっては難易度や遊び方が大きく変わるなど、このシステムならではのツボはしっかり抑えた作り込みが成されている。この武器でないと突破は難しいというようなシビアさもなく、基本的にどんな武器を選んでも、全ステージがクリア可能というゲームバランスの懐の広さも特筆に値する。自分の好きな武器で、好きなようにステージ攻略に挑める。縛りは多いものの、そんな色々試せる作りは、シューティングゲーム好きの心を大いにくすぐるだろう。
基本的な作りこそ、シューティングゲームの王道を地で行ってるが、縦スクロールの映像表現にウェポンシステムなど、新たな試みが満載。これまでにコナミはグラディウス、ツインビーなど、特徴的な要素などを取り入れた設けたシューティングゲームを多数、世に送り出してきたが、今作もその例に漏れず、唯一無二のシステムと要素を実装。完全新作ならではの新しさと独自の味わい、そして個性的なアイディアの数々が炸裂した意欲作に仕上げられている。

例によって、今作の魅力はウェポンシステムが醸し出す変化に富んだゲーム展開とやり込みの奥深さだ。最初から選べるウェポンの数に限りこそはあるが、組み合わせによって全く違う展開が生み出されるだけでなく、難易度も変化するなどの違いが現れるバランス調整が成されているのもあり、リプレイ性が高い。同じコナミ製作のグラディウスのパワーアップ方式選択システムと特徴的に似てはいるが、こちらは武器そのものが独立した個性を持っている為、本当にプレイスタイルが変わってくるのが最大の違い。まさに一粒で二度美味しい作りとなっている。
その武器ことウェポンも一つ一つの個性が非常に強いだけでなく、威力周りでも突出して強力なものは無いなど、バランス調整の面でも気を使って作り込まれているのが秀逸。色んな組み合わせを楽しめるというシステムを実装したゲームなりの丁寧な気配りが図られている。
武器自体も性能面で面白いものが多い。特に敵を自動追尾するが、大量の敵が現れた時になると不利になる弱点を持った『ニードルクラッカー』、自機の周囲に拡散弾を撒き散らすが連射は不可能な『モーニングスター』の二つは、今作に用意されたウェポンの中でも突出した個性を放っていて、これまでのシューティングゲームでは体験できなかったスリルとゲーム性を演出している。後者の『モーニングスター』に至ってはその性能からして、こんなハンデだらけの武器で乗り切れるのかと、シューティングゲームに慣れた熟練プレイヤーも唖然となるほど。他のシューティングではなかなかお目にかかれないようなものに仕上げられている。
その性能からして明らかだが、これら二つを使いこなすのは結構難しい。前者、『ニードルクラッカー』は追尾性能付きというのもあり、使い勝手自体は悪く無いのだが、自機前方に発射されるその特徴から、下手に撃ちまくると大量の敵が現れた時に対応しきれなくなるという弱点がある為、扱いには慎重を要する。『モーニングスター』もその性能面から、下手に乱発すると返り討ちに遭いかねない。しかし、武装切り替えを上手く使いこなす事で、それぞれの持ち味はしっかりと発揮される。また、個々の癖を把握する事により、緻密且つ適切な自機操作ができるようになるなど、個性の強い武器ならではの使いこなす楽しさ、奥深さも健在。やり込めばやり込むほどに味が増していく、スルメ的な作り込みが成されている。この二つ以外の武器も、全体的に癖の強いものが多いが、やはり使いこなせるようになる事で、その面白さと爽快感がジワジワと増して来る。特定の敵に対してはこの武器、と言った具合に武装切り替えも適切に行えるようになると、動きがますます戦術的になっていくなど、見た目でもしっかりとその結果が反映されてくるのが面白い。威力こそ突出してないが、使い勝手が異様に良い武器だけは存在する為、少し偏り易い所もあるが、色んな武器が使えるという特徴とそれが醸し出す攻略の奥深さはとても味わい深いものがある。他のシューティングゲームではお目にかかれない武器など、独自性を出す姿勢も万全で、似通ったものは作らんとする強烈なこだわりが炸裂している。派手さこそ無いものの、作りの深さは格別。まさに職人の所業とも言うべきものに完成されている。
擬似3Dで描かれた縦スクロールステージなど、演出周りにおける独自性を出そうとするこだわりの数々も見逃せない部分。2Dのようで3Dみたいな奥行きがあるその映像と奇妙に描かれる敵達と地形は、まさに今作だけでしか味わえない代物。多くを語るまでも無く、この映像を見る目的だけでも今作をプレイする価値は十分過ぎる程にあると言っても良い。
また、縦スクロールに比べると見た目こそ地味な横スクロールも結構侮れない出来。バックで流れる音楽の盛り上がりに合わせ、適切な背景を見せていく構成、洞窟を舞台にしたステージにおいては効果音全てが反響するようになるなど、その細かい所にまでこだわった作り込みの数々は擬似3Dに引けを取らないインパクトがある。特に洞窟ステージにおける反響演出は、ファミコン時代より、音楽周りでプレイヤーに衝撃を提供し続けてきたコナミサウンドスタッフのお家芸炸裂とも言える出来。そこもまた、擬似3Dの縦スクロールステージと並行して必見だ。
ウェポンシステムで戦略性を演出すると同時に、異様な性能を持った武器を登場させて新たな手応えを実現。そして、映像面でも擬似3Dの表現、特定ステージにおける反響演出など、随所に仕込まれた意欲的な試みと丁寧且つ、細か過ぎる作り込みの数々は良い意味で常軌を逸しており、スーパーファミコンでここまでできるのかと、プレイヤーに驚きを提供してくれる。多少、荒削りな所もあるが、完全新作のシューティングゲームとしてこの気合いの入れ具合は圧巻。まさに唯一無二。他に無い味わいと面白さを持った作品になっているのだ。

その他、操作性もキーの配置、レスポンスも含めて違和感の無い仕上がり。オプションでショットの連射速度が設定できたりと、配慮回りも行き届いたものになっている。難易度も最初こそウェポン周りの仕様に戸惑いを覚え、ミスを連発してしまう所があるが、全体的には結構控え目で、適度な手応えを味わえるバランスにまとまっている。上級者向けの難易度選択機能も万全。最も高いハードにおいて一部、回避不能な攻撃が画面内に炸裂するという明らかな調整不足はあるが、熟練プレイヤーも唸る手応えとスリルを味わえるバランスだ。
ボリュームもステージ総数は6と少なめだが、ステージのバリエーションが豊かなのもあってか、充実感はなかなか。雲海、コロニー、夜景の美しい都市上空、洞窟など、多種多様な舞台が用意されているのでプレイヤーを飽きさせない。ステージ内の仕掛けも個性的且つ、縦スクロールでは擬似3Dを活かしたシチュエーションもあったりと、唯一無二の体験が味わえる。特に舞台の詳細は伏せるが、ステージ5の巨大生物の動きは必見だ。
グラフィックも非常に美しく、1992年製としては桁違いとしか言い様が無い、高クオリティのドット絵が見るものを魅了させる。中でもボス周りのグラフィックは素晴らしく、活き活きとした動きと見た目の美しさはインパクト抜群。ステージ2、ステージ5のボスはまさにその真骨頂とも言える出来栄えとなっており、今作の技術力の高さと職人技を痛感させられること請け合いだ。また、ドット絵ばかりでなくエフェクト周りのグラフィックの質も非常に高く、スーパーファミコンの拡大縮小機能などをフル活用した、ド派手なものが満載。今作より前に発売された『魂斗羅スピリッツ』で見せた、変態技術力のコナミ全開なその出来栄えもまた要チェックだ。

更に音楽もその音質、技術力の高さだけでなく、楽曲も耳に残るだけでなく、思わず口ずさみたくなる名曲揃いという桁違い出来。シューティングゲームというよりは、何処と無くRPGっぽい重厚感のある作風で、他のグラディウスやツインビーとは一線を画した味わいに満ち溢れているというのも面白い。特にステージ3、ステージ5の曲は要チェック。音楽にも定評のあるコナミの本気を思い知らされるだろう。
他にもオプション絡みだが、明るさの調整機能、強敵撃破の確かな手応えを演出する質感溢れる効果音など、地味なところでも職人のこだわりが炸裂。擬似3Dで描かれた縦スクロールにおける距離感の掴み難さ、武器の個性の強さ、そして難易度(ハード)の一部調整不足など、賛否を分ける要素や荒削りな所もあるが、全体的な完成度は1992年製とは思えないレベルで、スーパーファミコンの本気を感じ取れる作品に仕上がっている。まさにコナミの(技術系の)お家芸の集大成作品と言っても何ら過言ではない今作。スーパーファミコンのオリジナルシューティングゲームの傑作だ。その独特過ぎる映像と戦略的なシステムはシューティングゲーム好きなら要チェック。難易度は控え目で、簡単なものも用意されているので、シューティング入門編にも最適な一品です。お薦め。
≫トップに戻る≪