Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Super Famicom>
  4. クオンパSFC
≫クオンパSFC
■発売元 T&Eソフト
■開発元 ONESONG PARTNERS
■ジャンル 転がしパズル
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7140円(税込)
■解説サイト ≫Cu-On-Pa Fun!
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 7〜9時間(エンディング目的)、26〜36時間(完全攻略目的)
キューブを転がし、パネルを消そう。
『クオンパ』は誰もが未体験の楽しさを秘めた新感覚のパズルゲームだ。
君の頭はこの刺激に耐えられるか!
さあレッツ、チャレンジだ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆キューブを転がしてパネルを消していく、シンプルながらも独特なゲームシステム
◆普通のパネル消しから詰め将棋と、多彩な遊びが楽しめる全三種類のゲームモード
◆全モード合わせて300ステージと、充実しまくりの総計ボリューム(やり甲斐満点)
◆基本的に十字キーのみしか使用しない、ビックリするほどシンプルな操作性
◆ルールからテクニックの解説まで、懇切丁寧に指導してくれる秀逸なチュートリアル
◆複数のパネルを誘爆させて一気に消す、独特の爽快感が癖になる『サンダーパネル』
◆自らの限界に挑戦する面白さ、リスクとリターンの概念が活きた、中毒性満点・やり込み甲斐も満点のスコアアタック
◆クリアするだけなら簡単、やり込むと難しい絶妙さが見事なゲームバランス
◆色数の少なさを全く感じさせない、卓越した色使いが異彩を放つグラフィック
◆「一色の強調」を全面的に押し出した、地味ながらも迫力満点のエフェクト演出
◆世界の遺跡めぐりのようなミステリアスさが味わい深い音楽(名曲もチラホラ)
◆パネルを消す手応えと爽快感にこだわった、質感溢れる効果音
◆シンプルなゲーム展開に似合わない存在感の強さが面白い隠しキャラ『おやじ』

--- Bad Point ---
◆やや独特なイージーモード以外でのパネルの消し方(癖を掴むまでは混乱するかも)
◆対戦プレイ非搭載(パーティゲームには向かない)
◆背景はあるが、基本はキューブとパネルがメインの地味な見た目
◆連続してステージをこなしていくスタイルの為、止め時を作るのが難しい『ノーマル』&『イージー』
▼Review ≪Last Update : 10/4/2008≫
コロコロ、コロコロ…

そして訪れる、衝撃のボンバータイム。


突然だが、前置きよりも先に断言する。
これは、かなりお薦めの逸品。
スーパーファミコンを持ってるユーザーなら絶対に遊んでおくべき名作です。

『ペブルビーチの波頭』などのゴルフゲームを主力とし、その裏で『地球解放軍ジ・アース』などの数多くの隠れた名作を世に送り出してきたメーカー『T&Eソフト』。そのT&Eソフトが1996年…次世代機の時代が始まり、スーパーファミコンの時代が末期に入っていた頃にリリースしたのがこの『クオンパSFC』である。
元々、今作はNINTENDO64向けソフトとして開発され、そちらでの発売が予定されていた。
ロクヨンユーザーならば当時、電撃NINTENDO64やスーパー64と言った専門誌にて、その名を多く見かけただろう。(ちなみにその時は『クオンパ』という題名だった)雑誌によっては4ページにも渡る特集も組まれ、期待していたユーザーも少なからずいただろうと思われる。だが紆余曲折の末、NINTENDO64での発売は中止。というよりも、別にNINTENDO64でなくてもクオリティに問題はないと判断されたのか、その後、どういう訳かスーパーファミコンで、『クオンパSFC』という名に改めてリリースされた。(更にその1年後、プレイステーションでもリリースされている)
次世代(それも高性能)ハードでの開発が組まれながらも、末期ハードでの発売される事になった…。その事から極めて珍しい経緯を辿った作品であり、ある意味ではいわく付きの一本とも言える(後にPSでリリースされた事も然り)。
そう言ったいわく付きという性質上、「そんなに面白くないんじゃないの?」と少し敬遠してしまう方もいるかもしれないが、…とんでもない。先の繰り返しになるが、実際は名作というに相応しい高い完成度と中毒性を誇るパズルゲームに仕上げられている。その完成度の高さは、スーパーファミコンのパズルゲームでは三本の指に入ると言っても全くおかしくないほど。一度遊ぶと病み付きになってしまうほど、麻薬的な面白さを秘めた作品となっているのである。
そんな今作の基本ゲームルールは至って単純。カラフルな色で構成されたキューブを動かし、フィールド内にある『ライフパネル』と呼ばれるマスを消していくというものだ。ただ『ライフパネル』の消し方は少し特殊で、同じ色…例えば赤のライフパネルなら、赤の面をそれにくっ付けるのではなく、キューブの上面がライフパネルの色と揃うようにするというものとなっている。以下の図を見て頂ければ、大よその消し方の仕組みは理解できるだろうと思う。



(同じ色を重ねるのはダメ<イージーモードではOK>)



(パネルと同じ色が上面に来れば消せる)

こう言った感じにプレイヤーはフィールド上のパネルを消していき、そのステージで規定された数のパネルを消していく。規定数のパネルを消せばステージクリアとなり、次のステージへと進む。そして、またパネルを消していく…の繰り返し。以上が今作の大まかなあらましだ。「これでもまだ…」という方もいるかもしれないが、そう言った方の為のプラクティス(ルール解説)も完備されるので、その辺はご安心あれ。初めての人も安心して楽しんで頂ける為の処置は万全だ。
また収録されているゲームモードは計三種類。ステージクリアタイプの『ノーマル』、ノーマルと内容は同じだがキューブの色数が少ない『イージー』、決められた手数で全てのパネルを消す『パズル』が用意されている。各モードとも、用意されているステージは100面、合わせて300面の大ボリューム。しかも使い回しのステージとかは一切無し、モードごとにエンディングが異なるというおまけも凝らすほどの徹底振りなので、やり応えも相当なもの。いずれもモードの内容としては地味でありきたりでもあるが、基本はとてもしっかりと出来ており、決して侮れぬ内容に仕上げられている。
なお、パズルゲームではお馴染みの対戦モードは無し。システムの都合上、一人プレイに特化されているので、パーティ用ツールとして求めるのは論外。その辺はご注意頂きたい。かと言って、全く対戦ができない訳ではなく、4つのセーブファイルを介したスコアアタックでの対戦は可能。スコアは内蔵のバッテリーバックアップで細かく保存される仕組みとなっているので、フォローもちゃんと成されている。そう言った事からガチンコ対決でなく、結果の勝負で戦いたいという方にとって今作は、申し分の無いタイトルであると言えるだろう。

……と、これまで一通り、今作のあらましを語ってきたが、ここまでの時点では地味なゲーム…としての印象しかない。実際、一人プレイに特化した内容、ステージクリアがメインとなっている時点で、地味であると言うだけの説得力がある。
しかし、あえて言おう。
このゲームが地味なのは見た目だけだ。
肝心の中身そのものは、大火傷するほどに熱い!
滅茶苦茶熱い!
時間を忘れるほど熱い!
そう言い締めるのが今作の最大の魅力、熱過ぎるスコアアタックである。実は今作、『ライフパネル』を消す方法は一つだけではない。キューブの上面とパネルの色を合わせる方法以外にも、『サンダーパネルの誘爆』というのがあるのだ。
『サンダーパネル』とは、全ステージのフィールドにて常時出現する『カラーパネル』と呼ばれる色の付いたパネルを消す(ライフパネルと同じようにキューブの上面とパネルの色を合わせる)と出現するもの。対応した色のライフパネルを消す事で、爆発させる事ができる。爆発の範囲は周囲1マスで、これの爆風にライフパネルを巻き込ませると、その色に問わず消滅させる事が可能。更に別のサンダーパネルを巻き込ませるとそのパネルを誘爆させる事もでき(勿論、色に問わず)、その量が多ければ多いほど、より広範囲に渡る大爆発も起こせる。そしてこの爆発に多くのパネルを巻き込めば、ボーナススコアをゲット。地道にキューブでパネルを消す以上の高得点を獲得できるのみならず、スピーディにステージをクリアする事ができてしまうのだ。
こいつが最高に面白い!できる限りのサンダーパネルを作り出し、それを一気に爆発させてフィールドに群がるパネルを消していく爽快感は一度味わうと病み付きになること必至。更に沢山巻き込めば巻き込むほど、高い得点を獲得できるメリットもあるから、一度クリアしたステージも「まだまだ得点を稼げるはず!」とまたプレイしたくなってしまう。そう言った、先へと進む意欲すら失ってしまうほどの圧倒的な中毒性を兼ね備えた、実に魅力的な要素に仕上げられているのだ。そのパターンを構築するのが面白いのなんの!パネルを消すだけのゲームとは思えぬ奥深さが堪能できるのである。
またこの要素、『リスクとリターンの概念』がしっかりしているのも大変素晴らしい。サンダーパネルを作ると言っても、各ステージには制限時間が設けられているので、作る事ばかりに集中し過ぎると時間切れとなってしまうし、フィールドのサイズによっては作れる量にも限界があるから、あまりに没頭し過ぎると逆にライフパネルの処理が遅れてしまう。
そう言った限られた制約の中で、何処までハイスコアを叩き出せるか?
何処までサンダーパネルを作れるか?
そんな「自分の限界に挑む面白さ」が綺麗に描かれているのは、まさにその概念に尊重したゲームデザインの賜物と言えるだろう。もし、これでサンダーパネル(&カラーパネル)自体が無く、ライフパネルしか無かったら、こうも今作、熱くて面白いものにはなっていなかったに違いない。そういう意味では、今作のゲームデザインを担当したスタッフは、実に良い仕事をしたと言えるだろう。地味なゲームをここまで魅力的なものに仕立て上げたその手腕は、まさに職人技だ。
他にも『リスクとリターンの概念』のみならず、爆発の爽快感を煽るエフェクトも秀逸。効果音周りも質感満点で、プレイヤーに心地良い手応えと爽快感を与えてくれる。パネルを消していくというゲーム内容を最初に聞き、地味なゲームとしてのイメージを抱いたきっと方は多いだろうと思う。しかし、ここまでの時点でそのイメージが、全く違うものだったのが痛いほどお分かりになっただろう。それほどまでに見た目に反し、やり込み甲斐がある。スーパーファミコンでは三本の指に入る逸品と言うに相応しいクオリティを兼ね備えた、素晴らしいパズルゲームとなっているのである。本当にこれは面白過ぎる。「スーパーファミコンを持ってるユーザーなら絶対に遊ぶべき」と言っても、決して大袈裟じゃないほどなのだ。

ゲームとして魅力のみならず、操作性も今作は突出している。
何と、本編で使うのは十字キーだけ!
他のボタンはメニュー操作以外では全く使わない、徹底したシンプルさを貫いているのだ。だからゲームをやった事の無いユーザーにも直に馴染める、取っ付き易さ。説明書要らずの超親切設計となっている。クリアするのなら簡単、ハイスコアを目指すと難しい、絶妙なゲームバランスも秀逸。パズルゲームとは思えぬほど直感的にプレイできる敷居の低さなので、パズルゲームが苦手な方も気軽に楽しめる。勿論、パズルゲーム熟練者もやり込み要素が充実しているので、かなりの満足感を得られること、間違いなし。特に詰め将棋的な『パズル』モードは是非とも要チェックだ。
色数の少なさを感じさせないグラフィック、ミステリアスな音楽も素晴らしい出来。特に音楽は曲数の多さも衝撃的。パズルゲームにしては用意し過ぎでは?…と言いたくなるほどで、音楽スタッフの気合の入れようが伝わってくる。勿論、名曲もチラホラ。ノーマル(&イージー)のステージ9と10、パズルのステージ9はいずれも必聴の価値アリだ。

これ以外にも常時、ゲームを止める事の出来る便利な中断機能に謎のキャラクター『おやじ』など、まだまだその魅力は尽きない。欠点と言ったら、あまりに見た目が地味過ぎることや独特なパネルの消し方、対人戦が楽しめる対戦モードの不在と言った些細なものぐらいで、ゲームとして致命的なものとかは無いと言っても良いほど。
それほどまでにパズルゲームとしては驚異的なクオリティを維持しており、尚且つゲームシステム的にも真新しい手応えに富んでいる、この『クオンパSFC』。
もう繰り返しとなってしまうが、これは文句無しにお薦めの逸品。パズルゲームが好きなユーザーは勿論の事、スーパーファミコンを持っているユーザーも一度でもいいから体験してみるべき価値のある、末期の名作だ。このキューブを転がし、パネルを誘爆していく面白さと爽快感、味わっておかなきゃ損ですぞ。
今(2008年10月現在)なら、中古ゲーム店でかなりの安値でゲット可能。直にでも遊んでみたいという方は、今すぐ近くのお店にゴーだ!値段以上に楽しめる事をお約束します。
≫トップに戻る≪