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≫ドラゴンナイト4
■発売元 バンプレスト
■開発元 エルフ
■ジャンル シミュレーションRPG
■CERO(推定) C(15歳以上対象) ※恋愛、性描写等あり
■定価 8379円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 スーパーファミコンマウス対応
■総説明書ページ数 20ページ
■推定クリア時間 23〜28時間
勇者ヤマトタケルにより、世界が平和を取り戻してから十数年後。
西の果てのライムリン王国に『ルシフォン』なる謎の男が出現。強力な軍隊と人を石へと変える『黒い霧』を操り、世界の平和を脅かし始めた。

同じ頃、タケルの家ではその息子であるカケルが、親友のドラゴンナイト・バーンの城へと向かっていた。それが、ルシフォンとの戦いの始まりである事を思わずに…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆何故、元が18禁なんだと疑いたくなる、まさに「感動必至」なストーリー
◆RPGのようにキャラを動かす『クエストパート』と本編のシミュレーション(『シミュレーションパート』)が並行して展開する、風変わりなゲームシステム
◆RPG特有の『隅々まで調べる』面白さに秀でた『クエストパート』
◆イベントの進行が一目で分かる、クエストパートでの対象キャラクターの消滅
◆全マップにターン制限がかけられた、独特のシビアさが秀逸な『シミュレーションパート』
◆先制攻撃を受けたものが不利になるリアルさと、シンプルさが見事な戦闘システム
◆個々の特徴と、それを全面に押し出した成長パターンが印象的なユニット達
◆一度見るだけで対象となるユニットの強さが把握できる、簡略化された表示情報
◆コマンドメニューもが納められた、特徴的な画面構成(メニューを出す煩わしさが無い)
◆敵配置、地形配置共に駒遊びとしての面白さを強調した、秀逸なマップデザイン
◆慎重に進軍していけばあっさり攻略できる、シビアでありながらも突破口がはっきりとした、適切なゲームバランス
◆如何にもパソコンのゲームっぽい、カーソルの感触が面白い操作性
◆ちょこまかと動くキャラに派手な一枚絵など、気合いの入ったグラフィック
◆作中の各場面に上手くマッチした、秀逸な音楽(特に中盤以降のマップ曲は熱い)

--- Bad Point ---
◆オリジナルの名残とも言える描写の存在(抑えられているとは言え…やや刺激的)
◆無駄に長い、オープニングとエンディング(特に後者はやり過ぎ…)
◆『(ターンの)終了』と『降伏』の配置バランスが悪いコマンドメニュー(終了を選ぶつもりが、間違って降伏を選んでしまいかねないほど配置が良くない)
◆拍子抜けなラストマップとラスボス(1面よりも簡単って…)
◆性能的に反則なユニット『ドラゴンナイト』(ちょっと強力過ぎる…)
◆一部、音源が崩れた曲の存在(地味に耳障り)
◆感触は面白いが、煩わしさもある操作性(特にコントローラで操作した時とかは…)
▼Review ≪Last Update : 8/30/2008≫
運命は報われぬまま、潰える。

彼にとって、それは幸せだったのか。


PC-8801mkIISR用にリリースされ、後に続編がリリースされるほどの大ヒットを記録したエルフ制作の3DダンジョンRPG『ドラゴンナイト』の第四作目にしてシリーズ初のシミュレーションRPG、『ドラゴンナイト4』のスーパーファミコン移植作。

年齢制限があまりに勿体無い、感動必至の名作だ。

ゲーム内容は、オーソドックスなターン制を採用したシミュレーションRPG。そのジャンルから、任天堂の『ファイアーエムブレム』シリーズを想像するかもしれないが、実質的な内容はそれとは大分違う…独自色の強いものになっている。例えば、ゲーム展開の仕組み。今作ではRPGのように街のマップを歩き回り、イベントを進めていく『クエストモード』と敵との戦闘を行う『シミュレーションモード』の二つのパートが用意されていて、この二つを交互にこなしていくものとなっている。マップを順に攻略していくだけの単純明快な内容じゃない。街の住民や仲間の悩みを解決したり、マップを隅々まで探索しなければならなかったりと、必要以上にプレイヤーのすべき事の多い、入り組んだ構成の内容となっているのである。
また、肝心の『シミュレーションモード』にも独自の特徴がある。それは、全てのマップにターン制限がかけられていること。「何ターンかかっても、勝利条件を達成すればクリア」と言った、自由なプレイが許されたマップというのは1つも無く、ほとんどが「指定されたターン数以内に勝利条件を達成しなければ、即ゲームオーバー!」と言った、えらくシビアなものとなっているのだ。それ故にじっくり、ゆっくりと進軍するスタイルを取って挑んだりすれば、確実に間に合わない。むしろ、そんなプレイスタイルが通用するマップは皆無。全てにおいて的確に、且つ速やかな進軍をしていかねばならない、詰め将棋にも似た厳しいバランス調整が施されているのである。そんなバランス故に、今作にはジャンル特有の『まったり感』もゼロ。最初から最後まで、緊張感満点の戦闘が繰り広げられていく。
更に、そんな緊張感満点の戦闘に追い討ちをかけるのが、プレイヤーが動かす事になるユニット(駒)の特徴と戦闘システムだ。ユニットはどれも基本的に9人の編隊で構成されており、これが全滅する(0になる)と死亡、クエストモードで『回復の種』を使って復活させないと、ロスト扱いとなってしまう。ファイアーエムブレムよろしく、失った仲間は戻って来ないのである。加えてユニットには何と『回復役』がいない!ダメージを受けた際の回復手段は、マップ上にある『回復の泉』と呼ばれる施設に待機させるしか、方法がないのだ。
そして極め付け、戦闘は「先行有利」のバランスとなっていて、先に攻撃を仕掛けられたものほど不利になる。つまり、敵の先制攻撃を受ければ、ほぼ致命傷。圧倒的不利に立たされてしまう訳だ。しかも、ユニットは例によって、戦闘をこなすに連れて成長するのだが、経験値が入るのは「敵を倒した時だけ」であって、ダメージを与えた時には入らない!だから、突出した強力なユニットを作り上げる事すら、厳しいのである。
もう、ここまで話したのならば、如何に本作がシビアなシミュレーションRPGなのかは…想像に難くないだろう。とにかく、こちら側にかけられる制約が多くて厳しい!まさに『極限の戦い』とも言うべき、手強い仕上がりとなっているのだ。
そんなにもシビアだから、シミュレーションRPG初心者に今作は割り合わない…と思うかもしれないが、実は意外にもシステム自体は初心者にも取っ付き易い。ユニットの特徴…と言っても、戦闘で使う攻撃技が違うだけだし、技が固定されているのもあって武器を装備する必要も無い。それにステータス周りもそんなに細かくは無く、『強いか・硬いか』が結果に反映されるので、現状の把握もし易い。他にも、マップのクリア条件は敵の全滅が主だったり、毎ターンセーブが可能であったりなど、敷居の低さを現す箇所はチラホラ。確かに、バランス周りはシビアで、相当な集中力を持って挑まねばクリアは厳しい。けど、このようにシステム周りの取っ付き易さは秀でており、遊び手は選ばない。厳しいんだけど、初心者も手軽に楽しめる…何とも不思議なシミュレーションRPGなのである。
このジャンルはよく、遊び手を選ぶ事で知られているが、こんなにも取っ付き易さとバランスの厳しさが両立している作品は正直、かなり珍しいと言っても過言ではない。

そんな今作最大の売りは、実はストーリーだったりする。とは言っても、半信半疑だろう。何せ、今作は元々18禁…18歳以上プレイ禁止となっていたゲームの移植作品。そんなゲームのストーリーと来たら、さぞかしあれや、これやと言ったものがあるんだろう…と、考えてしまうでしょう。否定はしない。流石にスーパーファミコンだけに、表現はかなり抑えられているとは言えテキストなど、所々にその名残とも言えるようなものは点在している。直接的ではないにせよ、人によっては引いてしまうのも止むを得ないだろう。
だが、断言しよう。そんなのがあっても、今作のストーリーは大変素晴らしい出来だ、と。
序盤こそ、先のようなイベントがあったりして、展開もかなり平坦なので、正直「何処が凄いの?」と思ってしまうだろう。だが、中盤に入るとそれが一変。「どうして、こんな事になってしまうんだ!?」と叫びたくなる予想だにしない事態が発生し、それ以降は怒涛の展開が繰り広げられていくようになるのである。
そして、それらの展開を超えた先に待ち受ける結末は、あまりにも悲劇的。ちょっとだけバラすが、数あるゲームの中でこんなにも主人公が報われない結末は、無いのでは?…と言ってもおかしくないほど、哀しい展開が披露される。それを見たプレイヤーの大半は、その報われなさに、涙腺を刺激されるのは避けられないだろう。それほどまでに、今作のストーリーは泣かせてくれる。パッケージの裏に書かれている『感動必至』の謳い文句に偽り無し。はっきり言って、何でこれが18禁のゲームとして出てしまったんだろう!?…と疑念すら抱くようになるほど、素晴らしい内容になっているのだ。そんな素晴らしい内容ゆえ、元が18禁のゲームだという背景を理由に今作をプレイしてみると、かなりの不意打ちを受けるのは必至。また、その種のゲームだからと思って、ひねくれた考えで挑んだ際にも衝撃的な裏切りを喰らうだろう。
かく言う筆者も、始めは舐め切っていた。どうせ、18禁のモノなのだから、それに注力が注がれているものなんだろ、と。(ちなみに、今作を買ったのは事故。単に面白そうと思って買ったら、18禁のゲームとの事で血の気が引いた…)しかし、いざやってみたら、その手の表現は少なめで気にならないどころか(これは個人差による)、先の通りにストーリーの素晴らしさと悲劇的な結末に魅了され、今となっては手放すことすらできなくなってしまった。18禁ゲームに激しい拒否反応を覚えていた(最悪、売りさばこうと思ってた)人間ですら、軽く説き伏せてしまったのだ。この一つの事実だけでも、今作のストーリーが如何に凄いのかは容易に想像が付くはず。
だからこそ、抵抗を覚えるかもしれないが、ストーリーを見る目的だけでも良いから、今作はプレイしてみる価値がある。元であるオリジナル版の事とか、そう言ったものを気にせずに(或いは気にしても良い)やってみて欲しい。きっと、作中のそう言った表現の少なさ、そして中盤からの怒涛の展開に我が目を疑うはず。そして、全てを見終わった時、ほぼ確実に今作を賞賛している自分自身に気付くはずだ。「そんなまさか」と思うかもしれないが、やれば分かる。保証しよう。

素晴らしいストーリーのみならず、操作性やゲームバランスなどのゲーム部分に関連した箇所もなかなかの出来。特にゲームバランスは先の通りシビアであるが、ユニットの移動距離や戦闘を行うタイミングを考慮した進軍プランを組み立て、クエストパートで手に入るユニットの能力強化アイテムを上手く割り振れば、ワリとすんなり進めていけるなど、適度なレベルに調整されている。絶望的なまでに難しいマップも少なく、2〜3回ほどトライすれば楽にクリアできるものが多いというのも、上手いところだ。
また、マップも敵配置から地形配置まで、細部までよく考えられた作りとなっているのもお見事。後半には同じ地形のマップが出てくる事もあるのだが、単に出てくる敵を強くしたのではなく、新たな地形を加えたり、配置を変えたりと言った適切な処置が行われているのも上手い。駒遊びとしての面白さを尊重しようとする、こだわりを感じられてグッドだ。
グラフィックもまずまずの出来。シミュレーションのユニットグラフィックがやや小さい感があるが、それでもちょこまかと動くキャラは可愛らしい。随所にて挿入される、派手な一枚絵も随分と気合が入った仕上がりで圧倒させられる。
そして音楽も、各シチュエーションを盛り上げる曲が盛り沢山。特に中盤以降のシミュレーションモードの曲はなかなか熱い仕上がりとなっているので、要チェックだ。

この他にもマップ画面と直結したコマンドメニュー、イベントの進行を直接的に表現したキャラの消滅描写なども魅力的。ストーリーを盛り上げる登場キャラクター達も、一癖も二癖のあるメンツばかりで、見ているだけでも楽しい。
オープニングとエンディングが無駄に長いこと(カット不可)、コマンドメニューの『(ターンの)終了』と『降伏』の配置バランスの悪さ、拍子抜けのラストマップとラスボス、掘り下げが無く、存在意義の分からない登場キャラクター(主に敵)等の細かな欠点もあるが、ゲームとしての取っ付き易さとストーリーのインパクトの強さもあってか、ほとんど些細なレベル。
シビアでありながらもシミュレーションRPG初心者にも取っ付き易いゲームシステム、適度に歯応えのあるゲームバランス、そしてまさに「感動必至」な珠玉のストーリーなど、元が18禁ゲームであるというのが本当に謎としか言い様の無い、この『ドラゴンナイト4』。シミュレーションRPG好きな方からコアユーザーは勿論のこと、スーパーファミコンを持っているユーザーならば少しでも遊んでおく価値のある、隠れた名作だ。しかし、直接的ではないにせよ、色々と毒な表現は残されているので、低年齢層のユーザーはやってはいけない。遊ぶなら、年を取ってからにしましょう…。
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