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≫悪魔城ドラキュラXX(ダブルエックス)
■発売元 コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)
■ジャンル アクション
■CERO B(12歳以上対象
※暴力、出血描写あり
■定価 スーパーファミコン版:9800円(税別)
バーチャルコンソール版:823円(税込)
■公式サイト ≫VC版(WiiU)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 バスワードコンティニュー形式
■総説明書ページ数 VC版所持の為、不明
■推定クリア時間 2時間半〜3時間
中世トランシルバニア国。
ドラキュラ伯爵を封印したと言われる伝説の勇者、シモン・ベルモンドの時代から数百年の時が経ち、人々は平和に慣れ、堕落して行った。そしてまた、一部の人間の悪しき心が魔王ドラキュラ伯爵を復活させたのだった。

復活したドラキュラ伯爵は、自らを封印したベルモンド一族の末裔、リヒター・ベルモンドへの復讐を目論む。そしてリヒターを悪魔城へと誘き寄せる為、新たな部下達を率いて街を襲撃し、リヒターの恋人であるアネットとその妹マリアをさらい、悪魔城に幽閉した。
それを知ったリヒターは自らの宿命を嘆きながらも、アネットとマリアを助け出す為、そしてドラキュラ伯爵を封印する為に、先祖伝来の聖なる鞭を手に悪魔城へと向かうのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆オリジナル版の分岐要素が最小限に留められ、初代『悪魔城ドラキュラ』に近いシンプルで硬派なアクションゲームへの回帰を図ったゲームデザイン
◆地味ながらも、シリーズに新風を吹き込む可能性と衝撃性に富んだ新要素ボスキャラクター分岐
◆オリジナル版には及ばないが、マルチエンディング制に最小限のステージ分岐(&ボス分岐)が醸し出すリプレイ性の高さ(最低でも3周は遊べてしまう内容)
◆鞭の攻撃方向が左右に固定されながらも、画面上の敵に攻撃を与える『アイテムクラッシュ』にバック宙など、攻撃的で機動性の面で独自の個性を発揮した主人公リヒターのアクション
◆オリジナル版経験者も新鮮な気持ちで楽しめる新規に作り直された全9ステージ
◆アクション削減でやや劣化したが、動かす楽しさと手に馴染むキーアサインは健在の操作性
◆初代ドラキュラ襲来と言わんばかりの歯応え抜群、やり応え十分の難易度設定
◆オリジナル版とは打って変わった、渋くてカッコイイ、キャラクター&ビジュアルデザイン
◆アニメーションこそ無くなったが、渋いビジュアルと印象深い音楽で魅せる新規のデモシーン
◆成熟期のゲームらしい、細部まで描き込まれたドット絵が異彩を放つグラフィック
◆オリジナル版以上に攻撃時のヒット感と手応えが増した効果音(鞭の「バシッ」が特に爽快)
◆内蔵音源で作り直されながらも、その魅力は何ら衰えていない名曲揃いの音楽(どの曲もオリジナル版の雰囲気を壊す事無く再現している。更に新曲も収録)
◆ステージクリア後の表示になり、若干の改善が図られたパスワードコンティニューシステム

--- Bad Point ---
◆オリジナル版経験者には賛否の分かれる、旧作回帰のゲームデザイン(特に第二のプレイヤーキャラ、マリアで本編が楽しめないのには結構な不満を覚えるかも)
◆ふわふわしている為、慣れるまでは事故が頻発し易い、癖の強いジャンプ時の挙動
◆オリジナル版よりも種類が減ったステージロケーション(幽霊船のような特異なステージが無い)
◆サブウェポンの操作が十字キーと鞭攻撃のYボタンとの同時押しに回帰するなど、劣化した部分も多々見受けられる操作性(スーパーファミコンの前作を倣って欲しかった)
◆トライ&エラーで解放が見えて来るとは言え、陰湿にし過ぎな感も否めないステージ構成
◆極端過ぎるステージ分岐(それも、少しでもミスしたら即座に別ルートというのがきつい)
◆もはや地形そのものがボスとなってしまっている最終ボス戦(穴だらけにも限度がある!)
▼Review ≪Last Update : 8/3/2014≫
敵は伯爵だけにあらず!

足元をよく見ろ!


PCエンジンCD-ROM2用ソフトとして1993年に発売され、PCエンジン最高のアクションゲームと極めて高い評価を獲得した悪魔城ドラキュラシリーズ第十作『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』をスーパーファミコン向けに移植・アレンジした作品。

原点回帰を図ったコンセプトと興味深い新要素が光る、もう一つの『悪魔城ドラキュラX』だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ドラキュラシリーズお馴染みのステージクリア型アクションゲーム。主人公のリヒター・ベルモンドを操作し、またしても復活を遂げたドラキュラ伯爵と、伯爵に捕えられた恋人のアネットとその妹、マリアの救出を目指すというものである。
基本的なシステム、ストーリーはオリジナル版『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』をベースとしつつも、そのほとんどが改められた作りになっている。オリジナル版を経験済みの方なら、前述のゲーム内容のあらましで既にその違いが分かると思われる。マリアって、アネットの妹だったけ?…と。『血の輪廻』未経験の方に向け、簡単に紹介すると、マリアとはドラキュラを倒す為に悪魔城へと単身乗り込み、捕えられていた少女。本編もう一人のプレイヤーキャラクターでもあり、とあるステージで助け出す事で、使用可能になった。打たれ弱いが、二段ジャンプ、スライディングなど、その性能は主人公のリヒターを凌駕するもので、その圧倒的な強さに多くのプレイヤーが相当な衝撃を与えたとか、与えなかったとか。また、ストーリー上ではドラキュラにさらわれたアネットとは血の繋がりの無いキャラクターでもあり、基本的に他人同士として描かれていた。それが今作では血の繋がりのあるキャラクターへと変更。加えてプレイヤーキャラクターでも無くなり、アネット同様、ドラキュラにさらわれたヒロインの一人という立場になった。その為、今作ではプレイヤーキャラクターはリヒターただ一人。まさにドラキュラシリーズの原点に立ち返ったアレンジとなっている。これだけでも、今作がゲーム的にもオリジナル版と別物というのは、ある程度察する事ができるだろう。
だが、例によってそれだけに留まらず。他にも変更が加えられた部分はある。第一にステージ分岐要素。オリジナル版『血の輪廻』では、道中で手に入る『鍵』を特定の扉に対して使用する事で、別ルートへと進めるという、ファミコンで発売されたシリーズ第三作『悪魔城伝説』とは異なる趣の分岐要素が取り入れられていた。今作にもそれは継承されているのだが、ルート数が大幅に削減。途中のステージで2回ほど分岐があるだけと、かなり大人しいものにされてしまっている。また、それに合わせてステージ数もオリジナルでは13近くあったのが、9にまで減少。先のアネット、マリアの他、ドラキュラによって捕まった2人の村娘を救出する要素も無くなり、対象はアネットとマリアの二人だけに限定される形で縮小されている。まさに実質、ちょっとだけ分岐がある初代ドラキュラ(或いはスーパーファミコン版の前作)とも言った趣。全体的にボリューム満点なオリジナル版とは対照的な、コンパクトなものへと改められてしまっている。しかしながら、ステージ分岐が大人しくなったのを補う狙いでか、ボスキャラクター分岐とマルチエンディングと言った意欲的な新要素も。やり込み甲斐こそ薄れてはいるものの、単にグレードダウンしただけに留めていないなど、かつてファミコン版『魂斗羅』等を手掛けたコナミならではも手法も炸裂した仕上がりになっている。
そんな手法が炸裂しているものでは、他に第二としてそのステージ構成がある。簡潔に言ってしまうと、全ステージが新作。『血の輪廻』とロケーションこそ共有、一部削除されたものもあるが、地形から敵の配置、更にはボスキャラクターの登場ステージまでもが全てが今作独自のものにされている。その為、『血の輪廻』での経験はほとんど役に立たず。経験者でも、新鮮な気持ちで楽しめる新作同然の構成になっている。
また、ビジュアル、演出周りも刷新。さすがにロムカセットへと媒体を改めたという事で、オリジナル版最大の特色たるフルボイスによるアニメムービーは無くなってしまったが、一枚絵でオープニングデモ、エンディングが描かれるなど、最低限のものは抑えている。また、オリジナル版と言えば、それまでのゴシックホラーな雰囲気から180度一転したアニメ風のキャラクターデザインが良くも悪くも話題を呼んだが、それも今作では一新。ゲーム関連では『バズー!魔法世界』、『ミスティックアーク』で知られる著名なイラストレーター、山田章博氏が手掛けたゴシックホラーな雰囲気と幻想的なイメージが絶妙に混ぜ合わさったものへ改められている。本編では先のオープニングなどのデモシーンでしか、拝む事はできないが、その独特の雰囲気にはオリジナル版のアニメな雰囲気に違和感を覚えた方も納得すること請け合い。あまりゲーム性の部分とは関連してこない所ではあるが、こんな所においてもコナミ特有の技が炸裂している。
逆にスーパーファミコンでは前作に当たる『悪魔城ドラキュラ』からパワーダウンした箇所も。代表的なものでは操作性で、八方向に振り回せた鞭は旧作及びオリジナル版と同様、左右横方向に固定となり、使い勝手が大幅に落ちている。サブウェポンにしても、前作では鞭攻撃とウェポンを分別したキーアサインになっていたが、今回は十字キーの上と鞭攻撃のボタンの同時押しで発動する、旧作準拠のものに。更にしゃがみ歩きなども無くなるなど、移動周りにおいても旧作準拠のものに原点回帰してしまっており、前作の優れた操作性に慣れたプレイヤーなら悪戦苦闘必至のものになってしまっている。かと言って動かす楽しさが無いほどの劣化ではなく、バック宙のアクションがあったり、十字キーとの組み合わせでジャンプの高さが調整できる要素が加わっていたりなど、使いこなせばこなすほど、奥深さが増す試みも成されている。キーアサインも全体的には馴染む配置だ。それでも、前作より落ちるが、適切なレベルにまとめられてはいるので、そんなに大きな問題ではない。万能さを追求した前作、ストイックな路線を追求した今作と、違う路線を追求した新作と思って挑めば、楽しめること請け合いだ。
全体的にオリジナル版から大きく変わった箇所、前作からパワーダウンした箇所もあるなど、後発の新作にしてはらしからぬ部分が多々見受けられる。だが、スーパーファミコン以上の表現が可能だったハードからの移植でありながら、単にソックリそのまま移さず独自にアレンジしていたり、オリジナル版の欠点を改善、シリーズ異例の新要素を盛り込んでいたりと、劣化移植と簡単に断じては失礼千万と言うほどの見所がある。純粋に前作からパワーアップを遂げた点もあり、続編としても見所のある内容になっていたりと、抜かりはない。まさに往年のコナミの技が炸裂した仕上がり。移植ながらも、独自の味わいを持った内容に仕上げられている。

そんな今作の魅力は、先に挙げたファミコン版『魂斗羅』等を髣髴とさせるコナミの職人技が炸裂したアレンジ具合だ。かつてコナミはアーケードのゲームをファミコンへと下位移植する事を多数行っており、その中でも『魂斗羅』、『グラディウスII』の二作はオリジナルのアーケード版に勝るとも劣らぬ出来栄えで、高い評価を獲得した。中にはファミコン版の『パロディウスだ!』みたいなものもあったりしたが、移植対象が性能面で恵まれないハードであっても、それに向けて作られたものだからこその魅力と独自性にこだわるスタンスには、ゲーム制作の職人としての意地が良く現れていた。
今作でもそんな往年の意地が炸裂している。それが最も色濃く現れているのは演出周りだ。オリジナル版と異なり、ROMカセットという事でフルボイスによるアニメーションや透明感溢れる音楽を表現する事ができず、一枚絵による簡易的なものに変更して量を削減、内蔵音源で新規に作り直すと言った下位互換が行われているのだが、それでも十分なインパクトを持ち合わせたものに完成されている。中でも演出周りはデモシーンが最小限しか入れ込めない分、メインのステージにおいて徹底的に盛り上げるというゲーム部分と直結させた方向性に舵を取っているのが見事だ。最初のステージ1はまさにその真骨頂で、ドラキュラの配下達の襲撃を受けた街という雰囲気と悲劇性をより高める為、ラスタースクロールと透明処理を用い、街全体が炎に覆われている要素を余す事無く描くなど、非常にインパクト溢れるビジュアルを実現している。ステージの展開にしても一捻り加えられており、襲撃された街である故に途中、背後から大型の魔物が追いかけてきたり、ボス戦のフィールドではそれまでとは異なる色合いの炎がバックで描かれ、緊迫感を煽り立てるなどと作り込まれている。小型の敵であるメデューサヘッドが多数現れるトラップ地帯があるなど、最初のステージにしてはやや陰湿な所もあるがタマにキズではあるが、掴みのステージとしてのインパクトは抜群。このステージの構成とビジュアルを見るだけでも、今作が単にオリジナル版のクオリティを下げて移植しただけのゲームじゃないという事を嫌というほど思い知らされるだろう。無論、ステージ1だけでなく、他にもシリーズお馴染みの『時計塔』が舞台となるステージでは、成熟期を迎えたハードのゲームならではの立体的且つ、細部まできめ細やかに描かれた背景グラフィックが炸裂するなど、見所となるステージは多数ある。雰囲気作りも悪くなく、デモシーンにしても山田章博氏の独特の作風とも相まって、非常に印象的且つ、ドラキュラシリーズ特有のゴシックホラーな雰囲気に富んだものになっている。さすがにアニメーションよりかはインパクトは遥かに劣れど、一枚絵によるデモでもデザインと見せ方次第では強烈な印象を残すものになる、というものを痛感させられること請け合い。そんなアニメ調とは異なる方向性を突き詰めたものを取り入れるという事からも、今作の下位移植で終わらせぬ本気というものを思い知らされるだろう。
演出周りだけでなく、ゲーム性の面でもそのこだわりが炸裂している。ステージが全て一新されているのもそうだが、それ以上にユニークなのがゲームデザインの方向性。分岐要素を少なくしてステージクリア型アクションゲームとしての面白さ、手応えを追求するという、オリジナル版とは対照的な方向性、いわば初代『悪魔城ドラキュラ』や『悪魔城伝説』への回帰を図った作り込みに重きが置かれているのだ。それ故、敵配置が嫌らしい感じだったり、シビアな操作が求められる場面が頻繁に出てきたりなど、初期の頃のシリーズかと錯覚するような歯応えのある展開が用意されている。元々、このシリーズは難易度が高く、スーパーファミコンにおける前作やオリジナル版もその伝統に則ったバランスを踏襲していたが、今作はより初代に近いバランスに戻している所があり、かなり歯応えのある難易度に設定されている。その為、今回はシリーズ未経験者やアクションゲームがそれほど得意でない人にはしんどく感じてしまう所が多々ある。ある意味、シリーズ入門編とするには極めて厳しい設定と言っても何ら不思議ではないだろう。なので、適切なバランスにまとまってたスーパーファミコンの前作からやや退化した感は否めないのだが、演出面をゲーム寄りにしたこと、方向性の違いを出す目的を考えればこの施策は極めて適切。また、オリジナル版とは異なり、機動性に富んだマリアが使えないことで、硬派なアクションゲームとしての魅力が濃くなっているのもアクションゲーム好きには見逃せないアレンジと言える。それでも一部のボス戦を始め、陰湿にし過ぎとしか言い様の無い調整不足な点も散見されるのだが、あえて違う方向性を突き詰め、独自の魅力と手応えを追求したのは良くも悪くも下位移植で終わらせないというこだわりの産物。そのまま元を踏襲せず、独自性を第一にしたという所もまた、職人としての意地を痛感させられるばかりだ。
そう方向性の違いを出しつつ、それでもこれはあのドラキュラXなんだという事で、意欲的な新要素を僅かとは言え、盛り込んでいるのもさすがの一言。先にも紹介したが、ボスキャラクターの分岐とマルチエンディング制は特に印象的で、地味ながらもプレイヤーに強烈な印象を残し、且つシリーズ全体にも新風を吹き込むものに完成されている。どのボスが分岐対象なのかは伏せるが、その仕組みを知った上で周回プレイを重ねれば、間違いなく今作はプレイヤーの記憶に深く刻み込まれるゲームになるだろう。
先の陰湿すぎる一部ボス戦など、独自色を出そうとするあまり滑ってしまっている部分もあり、行った試みのどれもが成功している訳では無い。だが、明らかに劣化移植になるのを見据え、演出やゲームデザインなどに手を加え、存在意義のある作品としての個性、魅力を高める作り込みを凝らした所には、今作が決して軽い気持ちで作られたゲームで無い事をうかがわせる。地味ながら、新規の要素もあり、ここでしか味わえない体験を追求している辺りからも、単なる移植で終わらせない意地が炸裂しているのが印象的だ。豪華な演出が売りの作品の下位移植なんて…と思ってしまう所もあるが、実際に遊んでみれば、今作が単なる劣化移植作品でない事はよく分かるはず。往年の移植作よりややインパクトは劣れど、コナミの下位移植に対する尋常ならぬこだわりというものを大いに思い知らされるだろう。

しかし、操作性はさすがにもうひと押し、と思ってしまうところがある。オリジナル版準拠と言えば聞こえは良いが、やはりスーパーファミコンでは既に優れた操作性で高い評価を得た前作が存在する。さすがに鞭を八方向に振れるようにしろとまでは言わないが、サブウェポンぐらいは単発ボタンでの発動を継承しても良かったのではないだろうか。折角、オリジナル版よりボタン数が多いコントローラがあるハードへの移植だけに、そういうアレンジを加えても良かった。
ステージにしても、オリジナル版では幽霊船に異例の青空をバックとした橋など、異質なものが目立っていた分、無難に『悪魔城内』という設定への準拠を目指した今作は刺激に欠ける。逆にそうした事で、これぞドラキュラな不気味でおどろおどろしい雰囲気が強化された面もあるので、一概に悪いと言い切れないのが難しいところである。
明らかにここは良くなった!…と素直に言い切れる部分もある。まず第一にパスワードコンティニューシステムだが、今作ではステージクリアと同時に表示される仕組みとなり、いちいちゲームオーバーにならないと見れない不便さが無くなった。セーブができたオリジナル版と比べると、パスワード方式へは退化とも言えるが、スーパーファミコン版の前作から見れば大きな進化であるのは間違いない。
先も挙げたが、グラフィックにしても相当に進化している。素材自体はオリジナル版からの流用なのだが、色が全面的に塗り直されて少し雰囲気が変わっていたり、背景周りの描き込みが強化されているなど、単なる使い回しで終わっていないのが凄い。その緻密な仕上がりには、ドット絵の芸術とデザイナーの本気を思い知らされるだろう。

更に今作が優れている箇所として効果音がある。オリジナル版では主に鞭の音が非常に大人しく、攻撃が当たっている手応えに欠けたものになっており、それに強い不満を覚えた方が少なからず居たと思われる。今作ではそれを改善し、敵などに命中した際、「バシッ!」と痛快な音が鳴るようになった。これにより、攻撃を当てている手応えと爽快感が大幅に向上している。鞭で戦うゲームなのだから、命中した際の音はしっかり鳴らしてもらわないと…と、オリジナル版で不満に感じた方も納得間違いなしの仕上がり。一度聴けば、余計にオリジナル版での違和感が増してしまうだろう。
その他、音楽も内蔵音源になったとは言え、音質の透明感は全く損なわれていない。むしろ、スーパーファミコンでここまでできるのかと、サウンドプログラマーの本気が炸裂した仕上がりになっている。楽曲に関しても名曲揃いで、オリジナル版にもあった『乾坤の血族』、『Op.13』の二曲は特に強烈。何気に今作独自の新曲も収録されており、その完成度もなかなかに高い。特にエンディングで流れる曲は一枚絵と合わせて要チェックだ。
全体的にオリジナル版よりも硬派さを高めたのもあり、敷居が高くなってしまってるところもある。だが、原点回帰とも言えるゲームデザインに歯応え十分のゲームバランス、凝った演出と印象深い新要素など、魅力も豊富にあり、もう一つの『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』としては非常に良く出来た作品になっている。スーパーファミコンの前作より難易度が高くなっている為、シリーズ入門編にするには極めて危険な一面はあれど、進化の具合は申し分のない今作。
オリジナル版経験者はさることながら、アクションゲーム好きならチャレンジしてみて頂きたい良作だ。コナミお得意の職人技が炸裂した秀逸なアレンジが炸裂したその内容は、今作でしか味わえないものがある。しんどく感じてしまう場面も多々あるが、とても印象に残るゲームになっているので、機会があったら是非、お試しの程を。
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