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≫ファイアーエムブレム 紋章の謎
■発売元 任天堂
■開発元 インテリジェントシステムズ、テック
■ジャンル シミュレーションRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版:9975円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):900Wiiポイント
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ+中断データ1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 ニンテンドウパワー版所持の為、不明
■推定クリア時間 40〜60時間(エンディング・完全攻略目的)
遥か昔、邪悪なる暗黒竜メディウスがアカネイア大陸を支配。人々を恐怖と絶望に陥れた。しかし、アリティアのアンリという若者がその野望を打ち砕き、大陸に平和をもたらした。

しかしそれから100年後、メディウスは復活。
ドルーア帝国を建国し、闇の司祭ガーネフと手を組んで再び世界を我が物にしようと大陸各地を侵略し始める。

アンリの末裔であるアリティアの王子、マルスはドルーアによって滅ぼされた祖国から逃れ、小さな島国タリスに身を隠していた。そして16歳になった彼は、メディウスの野望を打ち砕く為、兵を挙げる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ファミコンの初代『暗黒竜と光の剣』のリメイクと続編『紋章の謎』をカップリングした、お買い得感満点の二部構成
◆完全再現ではないものの、全体の難易度から雰囲気に至るまで見事に初代『暗黒竜と光の剣』を体現した第一部
◆初代未経験者も完全にフォローした、良心的な配慮が見事なストーリー設計
◆あっさりしてるが、「人を愛す事の恐怖」を生々しく描いた第二部のストーリー
◆滑らかなアニメーションと派手なエフェクトで魅せる、完成度の高い戦闘シーン
◆敵配置から地形設計まで、入念な調整が図られた高い完成度を誇る戦闘マップ
◆想い人と一緒に居ると必殺攻撃の発動率が上昇する、独特過ぎる新サポート要素『支援効果』
◆二部構成ならではの圧倒的な総計ボリューム(やり応え抜群)
◆過度に強過ぎず、弱過ぎずの絶妙な調整と個性付けの上手さが光る各ユニット
◆安定した緊張感と戦略性、自由度の高さに秀でた絶妙なゲームバランス
◆凝ったアニメーションと綺麗な色使いが魅力的なグラフィック
◆各マップ上の展開と戦闘を大いに盛り上げる、名曲揃いの音楽
◆大袈裟なほど拡大・縮小する大陸マップ画面、特定魔法の派手なエフェクトなど、なかなか凝った作りの演出

--- Bad Point ---
◆傭兵(勇者)ユニットとの差別化が不完全なユニット『ナイト』(それ以前に騎兵ユニットの乗り降り自体がイマイチ)
◆素早さのステータスに則った速度で移動する、マップ上のユニット達(その為、素早さが低いと移動スピードも遅くなる)
◆ややぎこちない操作性(特にカーソル操作が重い)
◆三連戦、途中セーブ無しのシビアさがタマにキズな第二部の最終マップ
◆ユニットロスト無しで初めて閲覧できる真・エンディングの存在
◆『星のかけら』を全部集めなければバッドエンド確定となる第二部(変に強制するような要素は設けないで欲しかった)
◆第二部における『レスキューの杖』を使わねば回避できない場面の多さ
▼Review ≪Last Update : 12/26/2010≫
悲劇と共に歴史が紡がれる。

アカネイア大陸を舞台にした物語、ここに完結。


シビアな難易度と奥深いゲーム性、ストーリーで根強いファンを獲得したシミュレーションRPGの先駆け『ファイアーエムブレム』シリーズの第三弾。開発は過去の二作と同様、インテリジェントシステムズとその子会社、テックが担当。

前作と新作が一本で楽しめてしまう、あまりに贅沢なFEシリーズ屈指の傑作だ。

ゲーム内容はターン制で展開する、マップクリア型のシミュレーションRPG。カーソルを操作してユニット(駒)を移動させ、マップ上に配置された敵を撃破しながら敵の要所である城門、または玉座の制圧を目指すというものだ。
基本システムは、シリーズ第一作こと初代『暗黒竜と光の剣』を踏襲。マップをクリアする事でゲーム、及び物語が進む『シナリオキャンペーン方式』、耐久値の設定された武器と道具などは今作でも採用されている。また、シリーズの伝統である戦闘で死亡したユニットは二度と使えなくなる『死の概念』(※一応、復活できる救済処置はある)を始めとする、シビアな仕様も健在。『手強いシミュレーション』の肩書きに偽り無しの、やり応え抜群の内容に仕上げられている。
またシステムだけでなく、世界観(舞台設定)も『暗黒竜と光の剣』を踏襲。その為、ストーリーも『暗黒竜と光の剣』の直接的な続編となっている。内容は簡単に言ってしまうと、『暗黒竜と光の剣』の後日談だ。主人公も初代と同じマルスが務め、他にも初代で登場したキャラクター達が多数登場する。過去のキャラクターが登場するというのもあってか、本編では前作の物語について語られる場面も豊富。そう言った内容である為、前作の経験が無い人にとって今作は、敷居の高いゲーム…と見えてしまうが、実はその逆。別に経験が無くても問題無く遊べる作りとなっている。というのも、今作には前作の『暗黒竜と光の剣』をほぼそのままの形で収録。前作と新作の二つが一本で楽しめる、お得な二部構成となっているのだ。厳密には第一部が『暗黒竜と光の剣』、第二部が続編の『紋章の謎』という形で分けられている。各シナリオはゲームスタート時に限り、任意で選択可能。続編だけ楽しみたいのなら第二部を選ぶ、前作を知らなければ第一部から順番に追っていくなど、好みに応じたプレイが楽しめる。こんな具合に前作を知らない人は第一部からプレイすれば、続編を楽しむのに必要な知識が備わるので、何ら抵抗無く入っていける。しかも、たった5面とかで終わる簡単なダイジェストでなく、20面ものマップが用意されたボリューム満点の内容なので、やり応えも十分。幾ら何でもこれはやり過ぎだろうと、ツッコミを入れたくなるほど気合いの入った救済処置に仕上げられている。
また、第一部から順番にプレイするかにより、全体のボリュームが激変するのもこの構成の大きな特徴。じっくり楽しみたい、手軽に楽しみたいプレイヤーの欲求にも応えている。前作未経験者だけでなく、コアなプレイヤーまでフォローしている配慮の細やかさは、まさに溜息モノ。そんな単純な救済処置で終わらせていない、作り込みの深さも必見だ。
更に先程に触れたが、第一部である『暗黒竜と光の剣』がほぼそのままの形で収録されているという点も結構、衝撃的。ダイジェストとして簡単にまとめず、一から十までプレイヤーに楽しんでもらいたいという、制作スタッフの強烈なこだわりが反映された仕上がりとなっている。ただ、「ほぼ」と言った通り、完全再現という訳ではない。例えばマップはオリジナルでは25面あったのに対し、今作では20面に削られてしまっている。また、登場キャラクターもメモリーの都合で一部がリストラ。ただ、削られたとは言え、そこまでオリジナルとの大きな差は無い仕上がり。全くの別物ではないので、経験者も違和感を覚えず楽しめる出来。削られてるとは言え、配慮が随所に感じられる内容となっている。
その他、オリジナルと異なる点としてグラフィック、音楽は全面的に強化。キャラクターの顔グラフィックもアニメ調に変更され、見栄えが向上。細かい所でシステムもオリジナルを踏襲しつつ、新要素を幾つか追加している。
特に目を惹くのが『支援効果』。あるユニットが特定のユニットと隣接した際、攻撃の回避値と必殺攻撃の確率にボーナス補正がかかる、「好きな人と一緒だと頑張れる」という人間の強み(?)を表現したようなユニークな要素が加わっている。これにより、戦術面で相性の良いユニットと隣接しながら戦うとやや有利に事が展開したりする変化が。また、ストーリーにも一定の奥行きを与えており、人間関係を妄想する楽しさが強化されてるのも見逃せないところだ。 それ以外にも騎兵ユニットが下馬できるようになったり、第二部に限って行動済みのユニットを再度行動させる『踊り子』なるユニットが登場するなど、戦術面に変化を及ぼす要素は存在。
ゲーム自体は続編がメインで、ストーリーもそれを意識して作られている。だが、極端にユーザーを差別しようとする悪意は皆無。前作をリメイクして入れたり、新要素を入れてゲーム性に変化を与えるなど、かなり気を遣った配慮が随所に満載。新規プレイヤーも全く抵抗無く入っていける、非常に良心的な作りとなっている。理想的にして最高の続編、というのは大袈裟だが、それほど特筆すべき敷居の低さが際立つ出来。愛情とこだわりが炸裂した内容に仕上げられている。

そんな新規プレイヤーも抵抗無く楽しめる、良心的過ぎる作りが今作最大の魅力だ。そもそも、今作は『暗黒竜と光の剣』の続編。なので第二部だけを独立させ、単品として売るのが、売る方法としては妥当だったはずである。制作面でも、新作だけに特化して行うのだから、苦労もそれほどではなかっただろう。
なのに今作は、「前作も収録する」という苦難の道を選んだ。新規の方も楽しめるゲームにする為に。しかも、収録した前作は簡単なダイジェストでなく、オリジナルほぼそのままのリメイクに直してまで、だ。正直、こんな無茶、余程の覚悟と作品に対する愛無くしてできたものではない。とんでもない気合いの入れ様である。
特に幾つかの要素を削ってまで、前作『暗黒竜と光の剣』を再現した第一部の完成度の高さは溜息モノだ。支援効果なる新要素が加わり、多少プレイ感覚は変わっているが、それ以外には大きく手を入れず、元の良さを尊重する姿勢が徹底されているのが見事。快適なプレイ環境を実現する為、マップ戦闘モードを導入したり、戦闘シーンのテンポを見直すなどの改良が図られてる辺りにも、より多くの方に楽しんでもらいたいという思いを感じ取る事ができる。第一部で初めてファイアーエムブレムをプレイした方を考慮し、続編こと第二部に大掛かりな新システムが導入されてないのも地味ながら秀逸だ。大きく変えない事でプレイヤーの混乱を防ぎ、第一部の経験を活かして楽しめる、良心的なプレイ環境が確立されている。これがもし、基本は共通していても、新たなシステムが沢山追加されていたら、敷居の高い内容になっていただろう。その拙さを考慮し、安心して遊べる作りに徹した判断は見事。第一部から始めるか否かで全体ボリュームが変わる点もだが、プレイヤーの心情を最大限に意識した作りは、まさに職人の成せる業。なかなか気付き難い所まで思いを込める姿勢には感服する限りである。
作り込まれてるのは全体構成ばかりであらず。ゲームバランス、マップデザインなども入念な調整が図られており、完成度が高い。中でもゲームバランスは巧の域だ。シリーズ伝統の『死の概念』というシビアな設定がある為、全体の難易度は総じて高め。しかし、敵の強さやユニットの成長の具合などが絶妙。一方的な展開を防ぎ、一手一手を考える戦略ゲーム特有の面白さを際立たせた良好なバランスとなっている。各種マップも敵配置から進撃ポイントも含め、入念な設計が図られており妥協が一切無い。一部、使い回しも存在するが、それも敵の配置と攻略手順を変えるなど、違いを明確に出す方針が強調されており、新鮮な気分でマップ攻略を楽しめる。何よりも、今作では第一部を含めると40以上ものマップが用意されているのだが、その一つ一つが独立した個性を放ったものとして完成されているのだから驚かされる。そして、どのマップもユニットの強化、及び道具による工夫次第では一瞬で攻略可能な奥深さ。何度かやり直す必要のあるマップも多いが、極端に難易度が高い所が少なく、状況をよく見てユニットを動かすのを心掛ければ自然とクリアできるのもさすがの一言だ。
ユニットのパラメータが上がり過ぎて一方的な展開になる事も無ければ、戦略性が失われることもない。そして考える楽しさも活き続ける。シミュレーションRPGとしてはまさに、優秀なバランスと言えるだろう。無論、全てが完璧という訳でなく、騎兵の下馬状態が剣士ユニットと似通ってしまうなどの欠点もあるのだが、ユニットを活かして戦う楽しさ、育成プランを練る楽しさなど、シミュレーションRPGの基本的な部分はバッチリ。如何に入念な調整が行われたかをうかがい知れる。これもまた、第一部の作りと同様に愛を込めて作ったからこその賜物と言えるだろう。
愛を込めてるとは言え、完全再現じゃない第一部の内容や初見殺しな第二部の終章マップ突入条件など、少し残念な部分も散見される。しかし、多くの人にファイアーエムブレムを楽しんでもらいたいという思い入れの深さは本物。そして、あらゆる無茶な仕様を実現に至らせた手腕と覚悟は高い評価に値する。愛を込めてゲームを作るとはどういう事か?そして、込める事で最終的にどんなものが仕上がるか?それをここまで見事に体現したゲームも、任天堂のシリーズモノの中では珍しい。とにかくこだわり全開の出来栄えなのである。

ただ、操作性はやや難あり。具体的にはユニットを動かすマップカーソルの挙動だが、若干重い。設定で速度を変更できるものの、それでもスムーズに動かせない辺りは少々気になる。慣れれば違和感も感じなくなるのだが、できれば最初に動かした際に起こる、妙なもたつきは撤廃して欲しかったところ。ここは正直、調整が甘かったと言わざるを得ない。
また、敵フェイズにおけるCPUの移動速度が、「素早さ」のステータスに則ったものになってるのも気になるところ。速いキャラは速い反面、遅いキャラは遅いので、テンポにかなりバラツキがある。これはできれば、全キャラ共通の速度に設定した方が良かった。
全体のボリュームに関してはもはや、語るまでも無い。単純に第一部から第二部を順に巡るだけでも、かなりの満足感が得られる。ただ、ベストエンディングの存在など、完璧なプレイが求められる箇所が存在するのはちょっと意地悪。これはもう少し緩くすべきだった。
対し、グラフィックと音楽は上々の出来。グラフィックは先も紹介したが、戦闘シーンの滑らかなアニメーションが実に印象的だ。音楽も名曲揃い。特に第二部20章ボス戦の曲、後半のマップ曲全般は必聴の価値ありだ。

シナリオも王道の戦争ファンタジーという事で、無難に楽しめる内容だ。しかし、第二部のストーリーは結構悲惨な展開が満載で重め。第一部から順にプレイすると、よりその悲惨さが際立つので、気になる方は試してみると良いかもしれない。
演出周りもスーパーファミコンの拡大縮小機能を活かした、大袈裟な大陸マップ画面、派手な魔法エフェクトなど結構、凝った出来。第一部の削られた部分、操作性や一部マップの突入条件などの細かな粗も多いが、シミュレーションRPGとしての完成度は上々。バランスも良好、更に新規プレイヤーも入っていける贅沢なボリュームと、シリーズの決定版とも言える出来栄えのこの『ファイアーエムブレム 紋章の謎』。
シミュレーション系ゲームが好きなプレイヤー、前作までシリーズを遊んで来てるファンなら要プレイの傑作だ。特に後者はこれ遊ばずしてFEシリーズは語れない。お薦めです。
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