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  4. スターフォックス
≫スターフォックス
■発売元 任天堂
■開発元 アルゴノート・ソフトウェア
■ジャンル 3Dシューティング
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■その他 スーパーFXチップ搭載
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 1時間半〜3時間(エンディング目的)、6時間〜7時間(完全攻略目的)
広大な銀河のほぼ中央に位置する惑星集団ライラット系。
ここに住む全ての生き物は、周りの星々が羨むほどの恵まれた環境の中で、ゆったりとした時の流れを楽しんでいた。あの男…天才科学者Dr.アンドルフが現れるまでは。
ライラット系第四惑星『コーネリア』で生まれ育った彼は子供の頃から異彩を放ち、若くして超次元空間における動力機開発の第一人者となったのだが、その優れた頭脳を私欲の為だけに使うようになってからは、度々、危険な実験を繰り返し…遂にはコーネリアから、第一惑星『ベノム』へと追放されたのであった。

時が経ち、人々がアンドルフの名を忘れかけてきていたある日、コーネリアの防衛隊はベノムの異変を確認した。ベノムより発進される、様々な未確認物体。思えばこれが、アンドルフからの宣戦布告だったのである。

完全にアンドルフ皇帝の軍事基地と化してしまったベノム。
そして瞬く間にも、アンドルフ軍の魔手は伸びていった。
この侵攻に対し、コーネリア防衛隊隊長のジェネラル・ペパーは、開発中であった超高性能戦闘機『アーウィン』の戦線投入決定する。しかし、アーウィンを乗りこなすパイロットを養成するには、あまりに緊急を要していたのである。
そんな最中、ペパーは大決断を下す。宇宙狭しとその名を馳せる、フォックス・マクラウドをリーダーとする雇われ遊撃隊『スターフォックス』にアーウィンを委ねる事にしたのだ…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆何処とない味わい深さに満ちた、ポリゴンによって構築されたグラフィック
◆ルートによる遊べるステージの変化などと、一粒で二度美味しい進行システム
◆仲間が襲われるイベントや多彩な仕掛けがこれでもかと言わんばかりに詰め込まれた、全19の個性的なステージ
◆シューティング初心者の方でも安心して楽しめるように盛り込まれたトレーニングモード
◆クイックターン、ローリングなどの多彩なアクロバットアクションが可能な自機のアーウィン
◆スコアアタック、ステージ攻略率などと充実したやり込み要素
◆シューティングが苦手な方、初心者の方でも頑張ればちゃんとクリアできるよう調整された、絶妙なゲームバランス
◆カッコ良く、一度聴いたら忘れられなくなるインパクトを持つ、完成度の高い音楽
◆シューティングゲームの爽快感と迫力感を存分に表現した、素晴らしい演出(特に爆発系の演出はお見事)
◆ポリゴンながらもとても個性的な登場敵キャラクター達(メインキャラクター達も、なかなか良い味を出してる)
◆インパクトありまくり、耳に残ること請け合いのスリッピーのボイス

--- Bad Point ---
◆レベル3の『セクターZ』の難易度がちょっと高すぎる(特に透明な柱が沢山出てくる所がきつい)
◆ローリングのアクションの操作がぎこちない(言葉では説明し難い…)
◆あまりに反則的なクリプトンミサイル(喰らったら一撃死って…)
◆ゲーム中に使用されている文字フォントが小さい上、全てという事もあってカタカナでかなり読み難い
◆完全に襲われるキャラとして徹してしまっている仲間キャラクター達(もうちょっと援護して欲しい…)
▼Review ≪Last Update : 7/21/2007≫
ゲロゲロ!ゲロゲロ!

カエルの鳴き声がこだまする、梅雨にぴったりなシューティングゲーム…満を持して登場。


当時の最先端技術『ポリゴン』を任天堂と海外のソフトハウス『アルゴノート・ソフトウェア』が独自に開発した特殊チップ、『スーパーFXチップ』によって大胆にもスーパーファミコン上で実現した、3D視点のシューティングゲーム。

むき出しのポリゴンによって表現されたのはまさに『折り紙の世界』。だが、それを全く感じさせない演出と迫力のサウンドがあまりに見事な、3Dシューティングゲームの名作だ。

ゲーム内容は、ステージクリア形式を採用した3D視点のシューティングゲーム。プレイヤーは自機『アーウィン』を操縦し、多種多様なステージに挑んで最後に待ち構えるボスを倒しながら、最終ステージ『惑星ベノム』を目指して進んでいく。
しかしながら、本作は最終ステージ目指して、敵を倒しながら突き進んでいく単純なシューティングゲームにはなっていない。ストーリーの項で解説しているが、本作でプレイヤーが操るのはスターフォックスと言う4人のメンバーで構成されたチーム。その内、プレイヤーの分身となるのが主人公のフォックスの機体で、残りの3人(3機)はステージ内では自由行動を取るようになっており、様々なイベントを起こしたりサポート行動を取ったりなどをするのだ。特に本編において彼らが最も遭遇する事になるイベントが、敵に背後を付かれる事。困った事に、この3人は敵に背後を取られ易いという性質を持ってしまっており、度々フォックス(プレイヤー)に助けを求めてくるのだ。もし、彼らを助けずに放っておくと、言うまでも無くそのまま撃墜され、死亡してしまう。決して一時離脱ではない。次のステージから、その撃墜されて死亡してしまった仲間は出てこなくなってしまうのである。
敵に襲われたりする事が多く、結果的に「足手まとい」となっているので、別に彼らを失ってしまってもゲーム展開には一切の支障は無い。しかし、仲間を失うとステージ並びにそのステージのボスの攻略ヒントが得られなくなってしまったり、各ステージの攻略並びにストーリー展開がビックリするほど寂しくなってしまうという精神的にしんどい上に、ゲーム的にも頂けない負荷オーラが噴出してしまうと言う、恐ろしい負荷要素が備えられている。つまるところ、酷く地味なゲームと化してしまうのである。仲間との交信もできず、尚且つ一人で黙々とプレイするしかなくなってしまう。「シューティングゲームって、元々そういうものじゃん」と思う方もいるかもしれないが、本作では訳が違う。実際に本作をプレイしてみると如何に独りになる事が拙いかは痛いほど伝わってくるはずだ。この辺りの仲間が抜ける事の寂しさは、まさにストーリー設定がゲームに効果的に反映されている事の表れとも言うべきだろうか。役立たずな所がタマにキズとは言え、この辺りの演出の巧さは流石の一言に尽きる。
仲間を失ってもペナルティはないので、その辺は自由だが、ハイスコアを狙いたい、きっちりとしたストーリー展開とゲーム展開を楽しみたいのならば、仲間を守るのは必須。 このように本作は、ゲーム自体は大変シンプルなものの、仲間の行動によるイベントやストーリーの変化などの様々な要素が盛り込まれており、仲間の存在をとても大切に扱ったユニーク且つ単なる一本道ではないシューティングゲームに仕上げられているのである。まさに「個性的」とはこの事だ。

その個性的な事は、ステージ本編のみならず、本作のゲーム進行システムにも言える。
基本的にはそれぞれのステージを順番にクリアしていくというものだが、そのステージ攻略を始める前に先ず、『進行ルート』を選択しなくてはならない。進行ルートは全部で3種類で、レベル1、レベル2、レベル3が用意されている。難易度的にはレベル1が最も低く、レベル2が普通、レベル3が最も高いという割り振りとなっている。この3種のルートのうち、いずれかを選ぶ事で初めてゲーム本編が始まるのである。
いわゆる、難易度選択システムな仕組みだが、そうも単純なものではない。実はルートごとに遊べるステージとその数、更には登場するボスまでもが大きく異なる、何とも大胆且つユニークな試みが成されているのだ。例えばレベル1の場合は宇宙空間が舞台のステージが多かったり、レベル2ならば惑星が舞台となるステージが少しあったりと、全体的な難易度だけでなくそれぞれのカラーも割り振られているのである。ただ、単純に難易度で区分するだけではなく、ステージの構成まで区分させる。全く持って、任天堂らしいユニーク且つ遊び手を飽きさせない為の試みと言える。
なお、決定したルートは途中変更できず、一度決めたらプレイヤーはそのルートの全ステージを攻略していかなければならないと、自由度は高くない。だが、とあるステージに別ルートへのステージへ移動できてしまう分岐点があったりと、単なる一本道のゲーム展開にはさせない工夫も僅かながら盛り込まれている。またステージによっては、ある行動を取る事で奇妙な隠しステージに行けてしまったり等と、意表を付く仕掛けが用意されているのも見逃せない部分だ。
このように本作では3種の異なるルートごとに異なったステージ攻略、並びに異なったボス戦が楽しめるようになっており、何度でも何度でも繰り返し楽しめる作りになっているのである。まさに、シューティングゲームが秘める特徴でもある「再プレイ性」を効果的に本編に反映させたゲームシステム。任天堂らしい、巧いゲームデザインだ。
そんなプレイヤーが駆け巡ることになる、ステージの総数も全部で19面とボリューム満点。どのステージも個性的且つユニークな仕掛けが満載で、プレイヤーの進む意欲を大いに刺激させてくれる。中でも、宇宙空間が舞台のステージ全体に漂う『孤独感』は言葉に言い表せない凄さがある。また、全ステージの最後に登場するボスキャラ達もステージと同じく個性的な面々が盛り沢山。むき出しのポリゴンで作られているとは思えないほどキャラ付けがはっきりとされており、制作スタッフの鬼神の如き作り込みを伺う事ができる。
このボスキャラ達を見るだけでも、本作をプレイする価値は十分にあると言えよう。

プレイヤーが操る紙飛行機…もとい、自機のアーウィンも個性的。弾を発射する、回避行動を取る、上昇と下降と言った基本動作以外にも、加速ブースト、ブレーキ、ローリングなどのアクロバティックなアクションができ、如何にもゲームな「嘘っぽさ」に満ちた、ダイナミックなシューティングプレイを楽しむ事ができる。見た目のモロさとは偉く逸脱した万能っぷりだ。また、ウィングの部分が一定量のダメージを受けてしまうと損傷してしまい、安定した飛行ができなくなってしまうというリアルな要素も盛り込まれている。この要素は、まさに3Dシューティングたる由縁のもの。これにより、従来のシューティングゲームでは味わえない、針の糸を通すようなスリルが実現されており、今までにないスリルを体験可能だ。
ややキーレスポンスが鈍い為、癖の強さと敷居の高さが出てしまっているのが残念ではあるが、これらのアクションと操縦テクニックをマスターした後の気持ち良さは格別。この気持ちよさはやってみなきゃ分からない。
また、ゲーム以外のグラフィックと音楽も同じように、「やってみなきゃ分からない」凄さがある。特にグラフィックはテクスチャの貼られていない、むき出しのポリゴンと言う事も合って凄く地味なのだが、他の演出とサウンド面が優れている事もあり、見た目とはかけ離れた質感に満ちている。それは背景のみならず敵キャラクター関連に関しても同じ事が言え、こちらも正方形や三角形の塊とは思えないほど生き生きとした動きを披露してくるのだ。とにかくデザインセンスが突出し過ぎ。見た目の地味さとはかけ離れた凄さに満ちているのである。まさに、これこそ正真正銘の『職人技』だ。
音楽も大変素晴らしく、当時のスーパーファミコンとは思えないほどクオリティの高い曲が多数収録されている。中でもオーケストラ調の曲の出来は半端じゃない。これを効くだけでも本作をプレイする価値は十分にあると言える。

登場キャラクター達に関しても、ボスキャラや敵の所で何度か語っているが、とにかく個性的。それらの中でもスターフォックスのメンバーであるカエルのスリッピーは必見。彼の放つ「ゲロゲロ、ゲロゲロ」…というカエルボイス(勝手に命名)は、一度聞いたら二度と忘れられなくなるほどのインパクトに満ちている。
ゲームバランスも優し過ぎず難し過ぎずの程好いバランスを実現しており、シューティングゲームにしては異質の万人向けなムードに満ちているのが実に秀逸。ただ、レベル3の難易度に関してはやや極端過ぎており、異様な硬派さが出てしまってるのがタマにキズだ。
その他にもローリング操作の異様なぎこちなさ、クリプトンミサイルという反則的な敵の攻撃が存在すると言った欠点もありはするが、それを抜いても本作が名作レベルに値する作品であるという事実に一切の揺らぎは無い。
見た目が地味で「これって実は未完成品じゃないの?」とか思う方が居るかもしれないが、そんな事はない。本作はしっかりと作り込まれた3Dシューティングゲームである。そして、万人向けな珍しい3Dシューティングゲームでもある。
シューティングが苦手な方から得意な方まで、一度でも良いから体験してみて欲しい一本だ。スーパーファミコンの性能と特殊チップ『スーパーFXチップ』が生み出す、脅威の折り紙…もとい、ポリゴン世界を隅々まで味わってみて欲しい。
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