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≫グーフィーとマックス 海賊島の大冒険
■発売元 カプコン
■ジャンル アクションパズル
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8190円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 5〜8時間
大好きな釣りを楽しんでいた、グーフィーとマックス、そしてピートとピージェイの親子達。
大きな魚を釣り上げようと、ピートとピージェイの親子はボートで沖へと出るのだが、そこに一隻の怪しい船が出現。マストにはためくドクロマーク…それは、凶悪な海賊達の船だった! それに気付いたグーフィー親子は一目散と逃げたが、ピート親子はボートに乗っていた為に逃げ遅れ、海賊達に捕まってしまった。

それを遠くから見ていたグーフィー親子は、ピート親子を海賊達から救い出す為、船を追いかけ、彼らのアジトである『海賊島』へと乗り込む。

果たして、そこで二人を待ち受けているものとは…?
そして、海賊達がピート親子をさらった理由とは一体…!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆様々なパズルを解きながら、『ボス部屋の鍵』を見つけ、部屋にいるボスを倒すという単純明快なメインゲームシステム
◆パズルからボス戦、更にはアスレチックまで多彩な仕掛けが用意された全5ステージ
◆海岸から山、古城に洞窟と、バリエーションに富んだステージロケーション
◆移動スピードと力の違いなど、それぞれの個性が上手く滲み出た二人のキャラクター
◆キャラ性能による差別化をせず、互いにパズルの面白さを押し出したゲームバランス
◆入り組んだものは省き、素直に仕掛けを解除する面白さを追及した、パズルの難易度
◆パズルの苦手な方と得意な方の棲み分けを実現した、オプションのパズル難易度選択システム(難易度ごとに違ったゲーム展開も楽しめ、一石二鳥)
◆物を投げるなど、最小限にできる事を留め、操作の分かり易さを打ち出したアクション
◆某ゼ○ダ(ト○イフォース)を露骨に模倣した、爆笑必至のオマージュトラップ群
◆上に同じく、某ゼ○ダ(ト○イフォース)を露骨に模倣した、爆笑必至のアイテム群
◆アクションの少なさもあり、説明書を読まなくても直に馴染める、優れた操作性
◆パズルの絶妙さとアクション面の歯応えが交互に織り交ざった、奇抜なゲームバランス
◆見る者に不思議な安心感を与える、懐かしさ漂うグラフィック
◆一人プレイの時とは異なる攻略が楽しめるなど、新鮮な手応え溢れる二人同時プレイ
◆パズル難易度選択のほか、ヒントにパスワードコンテニューなど、豊富に用意されたサポート機能

--- Bad Point ---
◆悪く言えばやり過ぎ(過激)な、某ゼ○ダ(ト○イフォース)の露骨なオマージュ
◆地味極まりない演出(もう少し、ボス撃破時の演出とか、派手にしても…)
◆できるアクションが少なめな為、やや単調になり易い敵並びにボスとの戦闘
◆上に同じく、パワー不足な感が否めない音楽(盛り上がりに欠ける)
◆恐ろしく素っ気無い上に地味なエンディング
◆少々、やかましいアイテム入手時の効果音(1UP時の音が特に…)
▼Review ≪Last Update : 12/8/2007≫
こっ、この転がる鉄球とシャベル、そして骸骨どもは…!

モロにゼルダじゃないか!


ディズニーでお馴染みのグーフィーとマックス主演による、アクションパズルゲーム。制作は『ミッキーのマジカルアドベンチャー』、『アラジン』等、多くのディズニーゲームの名作を手掛けてきた、ご存知カプコンが担当。

こんなネタ乱舞をディズニーの世界でやっちゃって良いんですか!?絶妙なマップ構成と程よい難易度の裏で、露骨なオマージュが笑いを誘う、ディズニーゲームとは思えないほどの”ネタ”が満載の迷作…だ。

ゲーム内容は、2D見下ろし視点で展開するステージクリア方式を採用したアクションパズルゲーム。プレイヤーはグーフィー、或いはマックスのいずれかを操作し、様々なパズルが張り巡らされた全5ステージを攻略していく。
先述の通り、プレイヤーキャラクターは二人用意されていて、ゲーム開始前にまず、この二人の内の一人を選択する。
二人のキャラクターにはそれぞれ特徴があり、主人公のグーフィーは力があり、物を持ち上げるスピードが極めて速いが、移動スピードが遅い、息子のマックスは逆に移動スピードが速いが、力が弱い為に物を持ち上げる際のアクションで時間がかかる上、一部の敵が一発で倒せないと言った長所と短所を併せ持つ。その為、どちらのキャラクターを選んだ場合も本編の難易度、並びにプレイ感覚が大きく変化。基本アクションと操作性の面では互いに同じでありながらも、性能面において全く異なった手応えを実感できる、一粒で二度美味しい配慮が加えられた作りとなっているのだ。
但し、難易度が変化すると言っても、それは主に敵との戦闘に限っての事であり、メインでもあるパズルの難易度に関しては両者共に共通の手応えを堅持。このキャラだとこのパズルを解くのは容易・困難と言った明確な差別化はあまり図られてなく、基本的にどちらのキャラクターでも普通に解けるという、理に適ったゲームバランスを実現している。この辺の絶妙の調整具合は、数あるアクションゲームを手掛けてきたカプコンならではのこだわりと言える。どちらのキャラでも本編の面白さが一緒だというのも、いかにもディズニーの作品らしい”優しさ”と”幅広さ”が溢れていて、好印象だ。
そして、二人のキャラの内、一人を選択するといよいよゲーム本編となるステージ攻略がスタートする。ステージのクリア条件は至ってシンプルで、『ボス部屋の鍵』を見つけ、部屋にいるボスを倒すというもの。その鍵を入手する為に、プレイヤーは立ちはばかる様々なパズルに挑んでいく事になる。ただ、パズルは基本的にブロック(障害物)の除去やスイッチ解除、進路確保が主体となっており、ややこしいものはさほど登場せず。その為、入り組んだパズルが苦手な方でも気軽に楽しめる作りになっている。これもまた、ディズニーの作品らしい、優しさが出ていて良い感じだ。物足りない方のために、オプションでパズルの難易度を調節できるシステムが用意されているのもナイス。苦手な方から得意な方まで、幅広く楽しんでもらおうとする気配りを感じられる。しかし、その反面で登場する敵やボスとの戦闘はパズルの難易度にお構いなく手応えあり。こちら側の攻撃手段が、”物を投げる”だけしかないのもあってか、手数が少ないのである。しかも、プレイヤーキャラは敵の攻撃を一発でも喰らうと、直にやられてしまうのでスリル満点。パズルでは幅広い層に対応させながらも、アクションは逆にカプコンらしい、トゲのあるバランスを表現しているのだ。まさに、老舗の風格…と言った所か。
このように一粒で二度楽しめ、パズルも幅広く…と言った美味しく、それでいて優しい側面がありながらも、実質は結構手強いバランスを維持。同社『マジカルアドベンチャー』を髣髴とさせる、羊の皮を被った狼とも言うべきアクションパズルゲームになっているのだ。元の作りはシンプルなのに、ここまで濃いものを作るのは、如何にもカプコンらしい。

だが、一粒で二度美味しく、それでいてシンプルで結構歯応えがあるのが本作の魅力ではない。本作の魅力…それは、随所で炸裂する、露骨なオマージュの数々だ。
今作はディズニーのゲームながらも、所々で他社ゲームのパロディネタがやたら用意されているのである。特に最も目立つのが、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のパロディ。遠く離れた足場へ移動でき、敵を麻痺させる効果がある『ワイヤー砲』(フックショット?)、地面を掘れる『スコップ』(名前そのまんま)、暗い通路を一部明るくする『ロウソク』(カンテラ?)と、明らかにトライフォースが元ネタとしか思えないものが次々と出てくるのである。しかも、『スコップ』に至っては、掘った後の穴までゼルダと同じという有様で、ゼルダファンならば思わず失笑してしまうほど。また、先ほどの段落で登場した『ボス部屋の鍵』の形状も、ゼルダに登場した『大きな鍵』そっくりと言うのだから、笑わせる。
だが、それ以上に強烈なのは、ステージ3の古城だろう。このステージの作りがまたとんでもなく、何とトライフォースで最初にプレイヤーが訪れる『東の神殿』にソックリな構造なのである!具体的に言うと、小型から大型の鉄球が大量に流れてくる通路があったり、ロウソクで無ければ全貌が分からない暗闇の部屋があったり等と、ゼルダファンにとってはどこかで見た事のあるような光景が連続して出てくるのだ。しかも別ネタとしてか、『ソマリアの杖』なるアイテムを使う事で作れる四角リフトらしきものがある部屋で登場したり、ボスキャラとして、骸骨のキャラクター(スタルフォス?)までもが出てくる。そして極めつけとして、このステージでは先ほどに紹介したスコップやワイヤー砲が活躍するという有様。もう、やりたい放題も良い所である。画面構成までもゼルダと本作はそっくりであるだけに、余計にそれっぽく感じるからなお性質が悪い。どう考えても、このネタの数々は確信犯としか言い様が無い。そもそも、同じ仕掛けをこうも露骨に出す事からして、わざとやってるとしか思えない…。
この古城以外のステージでも、上に物を置く事で開くスイッチや燭台が扉のスイッチとなっている部屋など、幾つかゼルダを思わせるパズルやシチュレーションは続々と登場。流石に剣の武器までもが登場したりとかはしないが、この露骨なパロディネタの数々には、ゼルダファン並びにシリーズ経験者ならば、思わず「マテやコラッ!」と突っ込みたくなる事、間違いなしだろう。それ位に今作、酷いパロディが炸裂しているのだ。
この一連の光景には冗談抜きに、これは任天堂からクレームが行ってもおかしくないんじゃないんか、と不安が過ぎってしまうほど。しかし実際、そう言ったクレームは当時起きる事は無かっただけに、よほどその当時は自由だったんだな…と考えさせられる…。流石に、今となってはNGも同然、更にはディズニー側も許さないだろうが。
この事だけでも、今作が如何にディズニーゲームとして異色の存在かはお分かりになっただろう。これまで、カプコンは子供から大人まで幅広く楽しめる、毒の無いディズニーのゲームを制作してきたが、今作においてとうとう禁忌を犯してしまった訳だ…。この所業が許されるか、許されないか…。その判断は遊び手に委ねられる。
それ位、今作は見た目に反して、ネタ色の強いゲームになっているのだ…。あろう事に。

操作性の面においても、その影響が垣間見え、特に敵を倒す基本アクションでもある『物を投げる』の感覚は、ゼルダっぽさ全開だ。だが基本アクションが少なめな為、直感的に操作系統を把握できるのは、今作ならではの味が光っている。
歯応えのあるゲームバランスもまた然りだ。全体的にパズルは適度に易しく、敵との戦いはかなり歯応えがあるという、これまでに硬派なアクションゲームを多数作ってきたカプコンらしいこだわりが炸裂していて、独特の味わいを醸し出している。やり込む度に結果がプレイに反映されるのもその象徴だ。
グラフィックの作りも丁寧。グラフィックは何処か懐かしさ漂う「安心感」があり、ただ眺めているだけでも楽しい。ステージのロケーションも海岸に山、古城に洞窟などとバラエティーに富んでおり、プレイヤーを飽きさせない。
一方で音楽と演出はどうにもパワー不足な感が否めない。いずれも、画面構成の見た目にこだわった為なのか、やたらと地味に抑えられており、イマイチ迫力が伝わってこない。特に演出面では、ボス撃破時の表現とかはもうちょっと、こだわってやって欲しかったところだ。アクションゲームに手馴れたカプコンにしては、この辺はちょっとらしくない。

また、コンテニュー回数に制限が加えられてる為、どうにも気楽に楽しめないのも地味に残念だ。この辺は過去のマジカルアドベンチャーなどに習って、フリーコンテニューとかにした方が良かった。しかし、その穴を埋める形で、パスワードコンテニューシステムが備えられているのは救い。また、ゲームがさほど得意でない方のことを考慮して、友達或いは家族との協力プレイ、随所にヒントメッセージやガイドキャラと言った対策が施されてるのもナイスな配慮だ。
総じて、アクションパズルとしての作りは割とシンプルであり、難易度やシステム、操作性の面は初心者にも取っ付き易い敷居の低さを実現している。が、至る所で他ゲームのパロディが炸裂していたりなど、ディズニーゲームとしてはらしくない側面も含んだ、この『海賊島の大冒険』。一応、ゲーム初心者から上級者まで…幅広く楽しめる作品ではある。しかし、ネタが強烈な為に…どちらかと言うとゲーム暦の長いコアユーザーにこそ、是非とも遊んでみて欲しい、ディズニーゲームシリーズ珠玉の迷作だ。この時代を感じさせる過激なネタ乱舞、何が何でもチェックすべし!
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