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≫スーパーマリオコレクション
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 10290円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 全ゲーム共通して4つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 見開き形式
■推定クリア時間 7〜20時間(完全攻略目的)
ファミリーコンピュータで発売されたマリオシリーズ、『スーパーマリオブラザーズ1〜3』、『スーパーマリオUSA』が一本になってスーパーファミコンに登場。『スーパーマリオブラザーズ3』におまけの2人対戦用のバトルゲームが追加されたり、便利なセーブ機能が搭載されたりと、とてもお得な4本立て。
また、過去のシリーズで話題になった裏技もバッチリと再現。

アクションゲームの原点、そしてマリオシリーズの原点がここにある。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオならではの「その場を楽しむ面白さ」を追求した自由度の高さ
◆オリジナル版を大幅に進化させた、高画質の名に相応しい美麗なアレンジグラフィック
◆上に同じく、オリジナル版のものを大幅に進化させた、高音質の名に相応しい完成度の高い音楽(新曲も収録)
◆全作品共通、シンプルで分かり易い操作性(マリオシリーズならでは)
◆「コレクション」の名を冠するゲームならではの大ボリューム(隠し要素も盛り沢山)
◆全作共通、簡単過ぎず、難し過ぎずのマリオらしい絶妙のゲームバランス
◆現代風のアレンジにより、よりやり易く、それでいて綺麗になった『スーパーマリオブラザーズ』(ボス戦の曲を追加したりなどと、演出面もパワーアップ)
◆隠しステージ突入条件の軟化などと、大幅にやり易さが増強された『スーパーマリオブラザーズ2』
◆セーブ機能の導入により、じっくりと作品世界に浸れるようになった『スーパーマリオブラザーズ3』
◆一部システムの改訂が行われ、快適さが増した『スーパーマリオUSA』
◆気分転換に最適なオリジナルの対戦ゲーム『マリオブラザーズ』(燃えます)
◆バグを仕様として、忠実に再現した各ゲーム裏技・裏テクニック
◆妙なライブ感に満ちたタイトル画面(話し声が地味にリアル)

--- Bad Point ---
◆やけに柔らかくなってしまった、マリオ1、マリオ2のブロック破壊時の手応え
◆しっぽマリオ時にダメージを受けると、スーパーマリオに戻されるようになった事もあって大幅に低下したマリオ3の難易度(上級者の方はかなり不満を感じるかも…)
◆少々、手強すぎるマリオ3の7ワールドの迷路面(矢印リフトの操作もちょっと嫌らしい)
◆ちょっと紛らわし過ぎる決定関連の操作(Bボタンで決定って…。)
◆少し大雑把なセーブシステム(マリオ2を除いて、ワールドごとにしかセーブできない)
◆最終目的がない為に、見つけ難い止め時(せめて、エンディングぐらいあっても…)
▼Review ≪Last Update : 7/28/2007≫
見た目が変わっても、名作は名作。

まさに、ゲームの王様たるゆえん…。


日本のみならず、全世界に空前のファミコンブームを呼び起こした、ゲーム界の金字塔『スーパーマリオブラザーズ』のシリーズ3作と番外編のUSAをスーパーファミコン向けにアレンジ、まとめて1本に収録したお得なソフト。

原作の持ち味を一切殺さず、新しさまで含めた素晴らしいアレンジの数々。
まさにこれぞ、リメイクのお手本と言っても過言ではない、高い完成度を誇る作品だ。

ゲーム内容は、収録されている4作とも共通して、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはマリオを操作し、多種多様なコースをクリアしながら、最終ワールドを目指して進んでいく。
ただ、マリオ1とマリオ2に関してはゲーム展開が一本道(ショートカットあり)で行われる事、マリオ3はマップ画面とアクション画面を介してゲームが展開する事、マリオUSAに関しては一本道でありながらも、コースのクリア条件が異なるなど、細かな面では様々な違いがある。また、システム面に関しても、2人プレイが出来るや出来ない、ワールドマップ画面がある、キャラクターセレクトが行える、マリオ達の攻撃手段が違うなどの相違点がそれぞれ存在する。これらの違いに関しては、後の作品ごとの紹介において解説する。
基本的に本編は、これらのシリーズ4作品を一つずつ遊びながら展開していくものとなっている。4作品全てはゲーム開始前、プレイヤーの任意で選択する事ができ、どの作品から始めるのはプレイヤーの自由。また、全てのゲームをクリアすればエンディングが拝める…と言った様な最終目的もあらず、別に全てのゲームをクリアしなくても一切問題はない。自らの意志で止める事も続ける事もできてしまうのだ。この辺の仕組みに関しては、「それでは、やり甲斐が得られないではないか」との不満を感じてしまう方もいるかもしれないが、下手にプレイヤーを縛るような目的を与えず、それぞれの作品ごとの世界を満喫できる事というこの試みは、シリーズを一貫して「その場を楽しむ面白さ」を追求してきたマリオシリーズならではだ。確かに、最終目的が無く、エンディングが無いのが消化不良に感じるのは否定できないが、これはこれでマリオのゲームらしい試みだと言える。
また、本作では全作に共通して新たに、スーパーファミコンならではの『セーブ機能』が搭載され、より各作品ごとの世界を満喫できるようになった点も見逃せない。特にマリオ3に関しては、その感じが一層引き立っており、オリジナル版以上に『旅』の色彩が濃くなっている。何気に、各作品ごとに4つのセーブファイルを作成できるという豪華さ、そしてオリジナル版以上にそれぞれの作品がクリアし易くなったのも見逃せない所だ。
このように、全体的にはコレクションを名乗るに相応しい自由度の高さが満ちた作りとなっており、それがマリオの持ち味と絶妙にマッチした内容に仕上がっている。まさに、マリオとコレクションゲームの奇跡の融合とでも言うべきか。

肝心の4つのゲームの完成度もかなりのものだ。セーブ機能が追加された事により、遊び易さと世界への没入度が増したのは既述だが、それ以外にも様々な当時の時代を考慮した、素晴らしいアレンジが施されている。

◆スーパーマリオブラザーズ
もはや語るまでも無い、日本全国に爆発的なファミコンブームを巻き起こしたと同時に、マリオの名を不滅のものにした横スクロールアクションゲームの金字塔。
大魔王クッパにさらわれたピーチ姫を助ける為、マリオを操作して、様々なワールドとコースに挑み、クッパの城目指して進んでいく横スクロールタイプのアクションゲーム。一本道でありながらも、分岐点が豊富に用意されており、様々な攻略法が可能である事、そして各コースにこれでもかと言わんばかりに詰め込まれたネタと裏技の数々と初心者から上級者まで幅広く楽しめる絶妙のゲームバランスが売りの歴史的名作だ。
本作では、オリジナルであるファミコン版の持ち味を最大限に活かしつつ、グラフィックの大幅描き直し、新曲と新しい演出などを追加。見た目は如何にもスーパーファミコン向けに作られた感じが強めだが、実際に触ってみるとかなり新鮮な感触に満ちている事が嫌と言うほど伝わってくる。特に、それまで簡素な絵だった背景グラフィックが、異常なほど豪華になっている点はオリジナルファンのみならず、釘付けになってしまう事間違いなしだ。また、ボーナスステージが豪華な作りになった(更に流れる曲まで新しくなった)事、ワールドのボス戦時に専用の曲が設けられた事、各ワールドクリア時に閲覧できるキノピオ救出シーンが全く新しいものに変更されたのも見逃せない改善点だ。
ブロックを破壊した際の手応えが異様なまでに柔らかくなってしまった事や若干、マリオの操作感覚が異なっているなどのオリジナルファンには違和感を感じ得ない点も数多くあるが、出来は流石に歴史的名作という事もあって、かなりのもの。未経験者から経験者まで、新鮮な気持ちで幅広く楽しめる一本に仕上がっている。

◆スーパーマリオブラザーズ2
ファミコンディスクシステムで発売された、「マニア向け」と称される続編。基本的なゲームシステムは前作のものを踏襲しているが、コースの難易度と全体的なボリュームが過剰に増大した事、新アイテム並びに新敵キャラが追加された事、そしてプレイヤーキャラを選択できるようになった(1人プレイ専用のゲームとなった)事などの相違点がある。
最大の特徴はプレイヤーキャラの選択で、ブレーキング能力が高いがジャンプ力が低いマリオとブレーキング能力は低いがジャンプ力が高いルイージのいずれかを選択する事で、全く異なるゲームプレイが楽しめるようになり、ゲームとしての深みが増している。また、前作以上にコースごとに1UPポイントが配置されている事、分岐点が豊富に用意されている事なども2ならではの特徴と言える。
本作でのアレンジは基本的に先述のマリオ1と全く同じ。欠点も一貫しており、これと言って語る事はほとんどない。ただ、オリジナル版よりも隠しワールドの条件が緩くなっている事、そしてセーブが詳細に行われる点は、本作ならではのアレンジ。特に前者の隠しワールドの条件軟化は、オリジナルファンにとっては感涙モノの改善点と言えよう。
難易度が高い為、初心者お断りのカラーが強い作品だが、豊富に仕込まれたネタの数々や精密なゲームバランスなどと完成度は総じて高い。マリオ1が物足りないと感じた方、コアなアクションゲーマーには打って付けの一本だ。

◆スーパーマリオブラザーズ3
舞台を移してファミコンで発売されたシリーズ第三作目。甲羅をもって投げるなどより多彩になったマリオのアクションと豊富な変身アクション、特徴の異なるコース、一本道でない進行形式(コースを省いてワールド攻略が行える)とワールドマップのシステムを採用した作品で、それまでのマリオ1と2とは全く毛色の異なる手応えに満ちた内容となっている。この優れたシステムは後の『スーパーマリオワールド』を始めとする、数多くのアクションゲームに大きな影響を与えた。そういう意味では、第二の金字塔とも言える作品である。
本作でのアレンジはグラフィックの全面描き直しは当然としながら、難易度が劇的に低下した。具体的には変身アクション時のダメージ判定が軟化され、変身アクションが出来る状態に敵に触れるなどをしてダメージを受けるとチビマリオでなく、スーパーマリオに戻されるようになった。その為、オリジナル以上にミスの恐怖感が薄らいでしまっている。この辺は、賛否両論があるかもしれないが、このように判定が緩くなった都合で、ゲームクリアが一層し易くなったのは大きな改善点と言える。また、本作は4作の中で、最もセーブ機能の恩恵を受けている作品で、オリジナル以上にゆったりと、それでいて気ままに各ワールドの世界観に浸れるようになったのも見逃せない所である。
それ以外に新モードとして『バトルゲーム』が追加された。これは本作オリジナルの対戦モードで、懐かしの『マリオブラザーズ』のシステムを元にした5本先取の対戦プレイが楽しめる。対戦モードという事もあり、1人プレイができないのが残念な所ではあるが、本編の合間の息抜きとしては最適な作りとなっている。 この他にも、コースクリア時の演出が新しくなっている事、一部コースの背景が躍動的なものに改められているなどの変更点もある。難易度の低下が旧作ファンには不満かもしれないが、出来は相変わらずの高さ。ゲームバランスも2ほどマニアックではないので、安心して楽しめる。
4本に収録されているゲームの中でも特に際立った一本。これを遊ぶ為だけでも、本作を買っても決して後悔はしない。

◆スーパーマリオUSA
海外版『スーパーマリオブラザーズ2』。元は『夢工場ドキドキパニック』というディスクシステムのアクションゲームで、それをマリオに置き換えた作品である。4つのゲームの中で最も異彩を放つ作品で、基本はステージクリア型アクションゲームでありながらも、コースクリアの条件がボスを倒す事であったり、マリオ以外のキャラで本編を楽しむ事ができたり、更にはマリオ達の攻撃手段が野菜の投げつけであるなど、それまでの3作とはかけ離れた手応えに満ちた内容となっている。また、本作に限ってライフゲージによるダメージ制が採用されている事もまた、異彩を放つ要素の一つといえる。
最大の売りはキャラクターセレクトシステムで、マリオ2とは違い、マリオとルイージの他にキノピオにピーチ姫と言ったキャラクターを使って本編を楽しむ事ができる。いずれのキャラも個性付けが明確になされており、それぞれのキャラごとに異なったゲームプレイが楽しめるなど、一粒で二度美味しいアクションゲームになっている。また、登場する敵キャラクター達が本編のマリオシリーズとはかけ離れた者ばかりという点についても、注目に値する部分である。
本作におけるアレンジはグラフィック、音楽の描き直し(作り直し)は当然として、ゲームバランスが再調整された事が上げられる。特にオリジナルのファミコン版では不可能だった、コースをクリア、或いはミスを犯すごとにキャラチェンジが行えるようになったのは大きな改善点。このキャラでダメならば、こっちのキャラで攻略するという戦略的なプレイが可能となり、プレイヤーの自由気ままに本編を楽しめるようになった。そういう意味では、一層マリオらしくなったとも言える。また、ゲームオーバーのクレジット制が廃止され、フリーコンテニュー制になったのも素晴らしい改善点。無意味に神経を使う事無く、気楽に本編に集中できるようになった。これもまた、マリオらしさが増したと言える。
目立つような欠点はこれと言って無く、また地味な欠点も少ない。強いて言うならば、音楽の種類が少ない事があるが、これは個人の嗜好によって異なるので一概に欠点とは言い切れない。そういう意味では、完成度の高さはピカイチ。4作品の中でも、特に優れた進化を遂げた一本といえる。個人的にだが、4つのゲームの中では特におススメの一本だ。

このようにいずれのゲームも、原作の持ち味を十二分に活かした現代向けのアレンジが施されており、旧ファンも思わず納得の仕上がりとなっている。過去の良さをしっかりと残すこのバランス加減は、まさに職人技の域だ。
そして、まさにこれこそリメイクのお手本中のお手本である。

その他、各ゲームとも操作性も大変優れており、いずれも原作の持ち味がしっかりと残された気持ちよさとシンプルさが際立っている。また、操作方法は各ゲームのファイル選択画面でセレクトボタンを押す事で変更する事も可能であるなど、様々なユーザーの癖に応じた配慮も施されている。実に任天堂らしい心配りだ。
グラフィックと音楽の完成度も群を抜いており、現代のイメージに合わせようとする意気込みがヒシヒシと伝わってくる。特に、グラフィック関連で注目なのはマリオ3で、立体感に満ちた背景グラフィックはまさに職人技の領域だ。

ゲームバランスも申し分なく、一部、原作と異なる所もあるが総じてマリオらしい絶妙さを貫いている。
そして極め付けは、当時のユーザーを虜にしたバグ技の再現。本来ならば削除されてしかるべきのバグ技までも、本作では立派な『仕様』として表現してしまっているのだ。これに関してはただ、ただ頭が下がる思いだ。幾ら過去の作品をスーパーファミコン向けに出すとは言え、ここまでするのは行き過ぎだ。(良い意味で)
他にも、各ゲームのオリジナルのパッケージをリアルに描いたゲームセレクト画面に何処かライブ感のあるタイトル画面の演出など、見所は満載。決定ボタンがBボタンである事や手応えの違いとバランスの軟化、そして一部ゲームのセーブシステムの大雑把さなど、旧シリーズファンも含めて気になる点もあるが、全体的な完成度はリメイク作品としては100点満点所か120点の完成度。原作の持ち味を活かした現代風のアレンジとは何か。その答えはここにある。
マリオシリーズの原点とアクションゲームの原点の二つがギッシリと詰まった今作。未経験者はさることながら、オリジナル経験者も是非とも触ってみて頂きたい、名作コレクションゲーム(?)だ。文句無しにおススメ。
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