Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Super Famicom>
  4. スーパーマリオカート
≫スーパーマリオカート
■発売元 任天堂
■ジャンル アクションレース
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版 : 9030円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii) : 800Wiiポイント
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 1つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 DSPチップ搭載
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
お馴染みのマリオファミリー、マリオ、ルイージ、ヨッシーにピーチ姫、そしてクッパ、更にはドンキーコングJr.、ノコノコ、キノピオ達がカートでレースバトル。
全4タイプ・8台のカートの中から、お気に入りのドライバーをセレクトしたら、いざスタート。全3+1カップ24コースの不思議なレースコースがプレイヤーの前に立ちはばかる。コースでは、アイテムを取ると敵カートへの攻撃が可能。また、コース上に落ちているコインを集めれば、最高速度がアップ。

アクション要素たっぷり、逆転チャンス満載の新感覚アクションレースゲーム。
様々な手段を活用して、トップの座をもぎ取れ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆初心者の方でも直に馴染む事ができる、シンプルで分かり易い操作性
◆アイテムで相手に攻撃・妨害をしながらレースを進めていくという、これまでのレースゲームではあまり見受けられなかった革新的なゲームシステムとそれによる戦略性
◆多彩な仕掛けと全体的な練り込み具合が素晴らしい、全24のコース
◆思わずムキになってしまうほど白熱する、素晴らしい仕上がりの対戦モード(特にバトルゲームが秀逸)
◆誘導コウラ、無敵スターなどと盛り沢山で個性的なものが満載の登場アイテム
◆レースゲームとしてのシビアさが滲み出ている、練り込まれたゲームバランス
◆アクションゲームさながらの爽快感を表現した、優れた演出(特にバトルモード)
◆マリオシリーズの世界観を上手に表現した、温かみのあるグラフィック
◆レースゲームの疾走感がよく表現されている、秀逸な出来の音楽
◆タイムを縮めていくという快感と奥深さが見事なタイムアタックモード
◆キャラクターごとに結果画面の音楽や順位発表の演出が変わるという、実にニクイ要素
◆やたらと多く盛り込まれた、コマンド入力の裏技

--- Bad Point ---
◆人によっては、目を回してしまう恐れのある視点構成(目を回すどころか、体まで動かしてしまう方もいるかも…)
◆少々、癖のあるドリフトの操作性(結構、慣れが要求される)
◆100cc、150ccになると相手がこちらの仕掛けたアイテムを回避したりなどと言った、困った動作をしてくる
◆50ccでは相手とのハンデが出まくり、レース的に面白みが欠けてしまう『クッパ城コース1』(せめて50では、ダッシュバンを減らすとか、そういう事をした方が良かった気が…)
▼Review ≪Last Update : Last Up Date : 7/21/2007≫
捕らわれの姫君、暴君と化す

遊んだ誰もが、彼女に対し暴言を吐く事は避けられない…。


マリオシリーズの他ジャンル進出作品にして、シリーズの代名詞であるアクションの要素と取っ付き易さを重視した新感覚のレースゲーム。

これまでのレースゲームには無かった、新しい爽快感と白熱の対戦プレイ。
任天堂らしいゲームデザインの斬新さが光る、名作アクションレースゲームだ。

ゲーム内容は、自動車ではなくカートを題材にしたレースゲーム。プレイヤーは8人の個性豊なドライバーキャラを選び、それぞれの難易度ごとに共通して用意された計3+1つ全20ものコースでライバルを競い合いながら総合1位を目指す。
基本的なルール面に関しては、従来のレースゲームと全く同じ。しかしながら、実際のレースバトルの面に関しては、他のレースゲームとは一線を欠く試みが盛り込まれている。その試みとは、既に先述で言ってしまっているが、アクション要素が盛り込まれているという事。本作では、アイテムを使って相手に攻撃を行ったり、妨害をしたり、はたまた自分の車をパワーアップさせたりしながら首位を争うという、実に激しくもマリオのアクションゲームっぽいレースバトルをプレイヤーは乗り越えていかなければならないのである。
アイテムは基本的に、全コース上に配置されている『ハテナプレート』の上に乗る事で入手する事が可能。しかし、どんなアイテムがその際に手に入るのかはルーレット形式で決定される仕組みとなっている為、完全にランダム。プレートを踏めば、必ず決まったアイテムが手に入るという規則は一切設けられていないのである。一応、順位によって入手し易いアイテムが異なる仕組みもありはするのあが、それでもランダムである事に変わりは無し。規則性によってレース本編が破綻しないよう、そしてレースの売りでもあるライバル達と順位を競い合う事の楽しさを損なわない為の気配りが成されている。入手できるアイテムも相手にぶつかるまでしつこく追跡する誘導型の亀の甲羅や上に乗るとスリップしてしまうバナナの皮、一定時間無敵状態になれるスター、そして自分以外のドライバー全員を小さくしてしまうサンダーなどと実に様々。マリオらしいゲームっぽさとハチャメチャさが全面において露出されたラインナップとなっている。
また、アイテムはこのようなプレートに乗る事で入手できるものの他に、コース上に配置されたコインがある。このコインは、本作のレースバトルにおける重要なアイテムで、これを集めていくと自車のスピードが徐々に上がっていくのだ。勿論、コインの数が多ければ多いほど速度は速くなり、逆に少なければスピードは激減。加えて、コインが0枚だとスピードが激減するどころか、相手のカート少し触れるだけでスピンしてしまうほど弱体化してしまうという背筋も凍るペナルティまで課せられてしまう。順位を競うだけでなく、自車が如何に安全に走行できるかまでに気を配らなければならない、この辺りの感覚は他のレースゲームでは味わえない、新しくもアクションゲームらしい緊張感を演出している。まさに、マリオの名を冠するレースゲームだけにある、と言ったところだろうか。
このように本作では、カーブやドリフトと言ったドライビングテクニックだけではなく、アイテムを如何に使いこなし、そして如何にライバル達を翻弄していくかが大切な全く新しいレースゲームとなっているのである。先の言葉を繰り返すが、まさにこれぞマリオの名を冠する作品。他のレースゲームには無い緊張感と臨場感が全編を通して味わえるのだ。

ゲームモードは『マリオグランプリ』、『タイムアタック』、『VSマッチレース』、『バトルゲーム』の計4種類。最近のゲーム市場の視点から見れば、数としては少なめではあるが、中身の濃さは今でも引けを取らないものがある。
これらの内、メインとなるのは『マリオグランプリ』。全3+1カップ20コースで、ライバル達と共にトップの座を争うという、レースゲームではお馴染みのゲームモードだ。本作における最終的な目標は、このモードの全ての排気量と全カップで金のトロフィーをゲットする事となる。排気量は全部で3つで、50cc、100cc、そして隠しの150ccが用意されている。うち、50ccは3カップ15コースのみしか遊べず、残りの排気量では全てのカップとコースを遊ぶ事ができるようになっている。当然ながら、排気量ごとに難易度は大きく変化し、50ccでは周回遅れのドライバーが出てきたり、ライバルの行動パターンが単調であるなど、かなり易しめの難易度となっているのだが、100cc以上になるとライバルがこちらのアイテム攻撃を回避したり、走行スピードが速くなる等、ややシビアになる。150ccともなると地獄だ。周回遅れのドライバーなし、全ドライバーの走行速度が最高レベルであるなどと、まさに地獄に近い難しさとなっている。これらの難易度を全て制覇しなければならないというのが如何に厳しいものかはお分かりになっただろうか。
とにかく手応え満点。全体的にマリオらしからぬハードなバランスを維持しているのである。この辺りのバランスに関しては、任天堂がスーパーファミコンと同時にリリースした『F-ZERO』の名残とも言うべきだろうか。ただ、エンディングを見るだけでプレイするならば100ccをクリアすれば良いのでご安心。決して、手に握れる数の人しかエンディングを見る事ができないと言った厳しい制約は設けられていない。この辺りの緩い配慮は如何にもマリオらしいと言える。また、このマリオグランプリは2人で協力プレイもでき、そちらでプレイした際にはカップの攻略難易度が下がると言った特典もある。なので、初心者でも上級者と一緒に組んで攻略していけば楽々。この辺りの二人の協調を活かしたバランスも、如何にもマリオらしいと言える。素晴らしい配慮だ。
この他の『タイムアタック』、『VSマッチレース』、『バトルゲーム』も負けず劣らずの出来。中でも素晴らしいのが『バトルゲーム』。カートに装備された三つの風船を先に割った方が勝ちという、シンプル且つアクション要素の濃いゲームモードとなっているのだが、これがまた強烈に熱い。アクションゲームさながらの攻撃を行い合う爽快感と臨場感が全編において滲み出ていて、ただ走って競い合うだけのレースバトルには無い新しい面白さがある。はっきり言って、本作で友達と対戦をすると言うのならば、先程の走り合うレースバトルが楽しめる『VSマッチレース』よりもこっちをお薦めする。それ位、燃える。VSマッチと比べ、遊べるコースが4つと少ない欠点もあるが、いずれのコースもその爽快感と臨場感を煽る構成となっており、ボリューム不足を感じる事は全く無い。繰り返しになってしまうが、是非とも友達と対戦をする際は、このバトルゲームをやってみて欲しい。かつて無い熱さに、時間を忘れてしまうこと請け合いだ。CPU対戦がない為、一人で出来ないのが辛いところだが、それを乗り越えてもプレイする価値はある。
とにかく総じて数は少なめでありながらも、いずれのゲームモードも丁寧に作られており、任天堂らしく、マリオらしくもある奥深さが全面において演出されたものになっている。

コース総数も全20コース+バトルコース4コースの24コースとボリューム満点。コースの作り並びに構成も見事で、アクションゲームっぽく何度も何度も走りたくなる楽しさが滲み出ている。 操作性に関してもキーレスポンス並びに配置が素晴らしく、マリオらしい分かり易さと取っ付き易さが表現されている。しかしながら、ハンドリング並びにドリフトは十字キー操作の宿命か、若干硬さが出てしまっているのが残念な所である。一応、ドリフトに関しては全く使わなくてもクリアはできるよう、ゲームバランス的には調整されているのが救いだが。
ゲーム以外のグラフィック、音楽の出来もお見事。特に音楽の出来は群を抜いて良く、マリオらしからぬカッコ良さが全面において噴出されているのが印象的だ。曲自体も名曲が多く、序盤にプレイする事になるマリオサーキット、ドーナツ平野、そしてレインボーロードとエンディングのスタッフロールの曲は必聴の価値あり。また、一部『スーパーマリオワールド』のオマージュ的な曲が用意されているのも見逃せないところだ。
ゲームバランスに関しても極端に難しいところがあったり運が絡む所が僅かにあるのが気になりはするが、全体的には絶妙のバランスを維持しており、任天堂らしい職人技が冴え渡っている。アクションゲームっぽくレースゲームらしくもある、腕を磨けば磨くほどその上達振りがプレイとして返って来る辺りも秀逸だ。

人によっては目を回す恐れのある視点構成、癖のあるドリフト操作、そしてグランプリモードでの不自然なライバルキャラの回避行動などの気になる点も幾つかり、中でもライバルキャラの回避行動は説得力に欠けていて、無駄にプレイヤーにストレスを与える結果となってしまっているのが残念。また、これは個人的な錯覚かもしれないが、妙にピーチ姫の行動パターンが嫌らしくなっているのも気になるところである。正直な所、今作では遊んだ誰もが、彼女に対し暴言を吐く事は避けられないかもしれない。まさに「捕らわれの姫君、暴君と化す」とはこのことか?
ともあれ、気になる点も結構ありはするが、全体的な完成度はきわめて高く、レースゲーム界において一石を投じる画期的なゲームシステムとスリル、そして臨場感を併せ持つ本作。レースゲーム初心者から上級者の方まで、幅広い層にお薦めできるスーパーファミコン屈指の名作且つ新感覚のアクションレースゲームだ。スーパーファミコンを所持している方ならば要プレイ。アクションゲームとレースゲームの奇跡の融合ぶりをその目で体感せよ。
≫トップに戻る≪