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≫スーパーマリオRPG
■発売元 任天堂
■開発元 スクウェア(現:スクウェア・エニックス)
■ジャンル ロールプレイング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 7500円(税別) / バーチャルコンソール版:923円(税込)
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 4つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 SA-1チップ搭載、スーパーファミコンが4000円安くなるクーポン券付き(※後期出荷分は除く)
■総説明書ページ数 47ページ
■推定クリア時間 12〜20時間(エンディング目的)、18〜27時間(完全攻略目的)
マリオの家に遊びに来ていたピーチ姫がまたもクッパにさらわれた。姫をクッパの魔手から救い出さんと、マリオはこれまでの冒険を遥かに超越するスピードでクッパ城に到着。城の内部へと突入する。

そして、城の奥深く…シャンデリアの部屋で始まる、マリオとクッパの宿命の対決。
激しい激闘の末、マリオはクッパを撃退する。

そして、マリオがピーチ姫を助けようと動いたその時、クッパ城が突如として揺れ始める。
揺れの正体は、上空から降ってきた巨大な剣。
この巨大な剣はクッパ城目掛けて一直線に落下し、そのまま城に深々と突き刺さった。

その衝撃で城から遠くへと飛ばされてしまうマリオ。
一体、この巨大な剣の正体とは?これから何が起きようとしているのか?!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオらしい、アクション風の仕掛けを豊富に取り入れたフィールドマップ
◆アクションゲームを遊んでいるかのような感覚に満ちた、シンプルで快適な操作性
◆ゲーム初心者からRPG初心者の為に豊富に盛り込まれた、チュートリアルの数々
◆全体マップでエリアを選んでイベントを攻略していく、マリオらしさに満ちたゲーム展開
◆同じくマリオらしい、アクションの面白さを引き出した斬新なバトルシステム
◆ボタンごとに攻撃や防御などを割り振り、アクションゲーム特有のテンポの良さを引き出しているバトルコマンド
◆RPGとして大胆極まりない試みがユニークなクリティカルの概念(別の視点では)
◆豊富に盛り込まれた寄り道要素の数々(隠しボスや武器などボリューム満点)
◆優し過ぎず、難し過ぎずのマリオらしい絶妙のゲームバランス(主に謎解き面)
◆マリオらしくも何処かぶっ飛んでる、見所満載のシナリオ
◆これまたマリオらしくもらしくないカッコ良さが光る、秀逸な音楽
◆『スーパードンキーコング』を髣髴とさせる、レンダリングによる美麗なCGグラフィック
◆暇つぶしにも最適な、完成度の高いミニゲーム群(特に『爆裂カブトムシ』は秀逸)

--- Bad Point ---
◆おまけ程度にしか扱われてないアクション要素(全体的に移動手段として徹してしまっている)
◆劣悪なキャラクターの能力バランス(強い者と弱い者の差がでか過ぎる)
◆あまりに大味な戦闘バランス(クリティカルの概念のせいでメチャクチャ)
◆レベルが非常に上げ難い(というか、得られる経験値が全体的に少な過ぎ)
◆マリオの世界観を尊重していない描写群(特にテレサの攻撃とかはぶっ飛び過ぎてる)
◆ルイージに対する扱い(説明書の時点で既に侮辱しているに等しい…)
▼Review ≪Last Update : 9/22/2007≫
「オノレンジャーが強いんですよね〜。」(By:渡辺 徹)

そうなんですよねぇ〜。


任天堂とスクウェアの強力タッグによって実現した、マリオシリーズ初のRPG。後の両社の関係を長期間決裂させる原因にもなった、超いわく付きのタイトルでもある…。

マリオのアクション要素が綺麗に融合した、新鮮なゲームシステム。しかし、その裏でコラボレーションの難しさを思わせる粗が見え隠れする、黒さも満点な名作である。

ゲーム内容はオーソドックスなロールプレイングゲーム。マリオと仲間達を操作し、数々のイベントやフィールド上に張り巡らされた謎や仕掛けを突破し、『スターピース』なるアイテムを集めて最終ワールド目指して進んでいくというものだ。
しかし、あくまでもオーソドックスなのは基本となる部分に限った事で、中身の部分に関しては他のRPGとは大きく異なる味付けがなされている。
それが本作最大の特徴とも言える、アクション要素の存在。本作は『マリオ』の名を冠した作品という事もあり、フィールドマップやイベント、そしてバトルシステムの部分においてアクション要素がふんだんに盛り込まれているのだ。
例えばフィールドマップならば、ジャンプ台が配置されていたり、またある場所ではダッシュジャンプを使わなければ突破できない地形があったりなどと…、従来のRPGとは毛色の異なる、アクションゲームにおけるプレイヤーのコントローラさばき(テクニック)が要求されてくる場面がこれでもかと言わんばかりに用意されているのである。勿論、マップ上の仕掛けにはマリオだけに過去のシリーズを髣髴とさせるものも当然あり、『チクワブロック』、『土管』、『ナット』と言ったファンには懐かしいものも数多く登場。ただ頭を使うだけではない。目的となる出口を目指す為に、目の前に立ちはばかる段差やトラップを巧みに回避しながら進めていかなけれならない、躍動感に溢れたRPGとなっているのだ。
しかし、アクションと聞いて苦手な人にはしんどいゲームではと危惧する方がいるかと思うが、その辺のご心配は無く。本編において要求されるアクションの難易度は低めに設定されているほか、使うアクションのほとんどはジャンプなので苦手な方でも安心して楽しめる作りとなっている。それに失敗した際のペナルティも、そのマップのスタート地点(或いは仕掛けの前にある場所)に戻されるなどと言った温いものがほとんどなので、身構える必要は無い。表現を変えて言うならば、アクションっぽい感覚が味わえるRPGと言うべきか。あくまでもRPGである事を重視し、アクションは本編を盛り上げる部分に徹する…というバランス配分が成されているので、アクションが苦手な方と好きな方、そしてRPGが好きな方と苦手な方の双方が楽しめるゲームに仕上がっているのである。まさに、アクションとRPGが良い感じで融合した好例とはこの事。双方のユーザーが満足できる気配りが上手く施されているのだ。
しかし、2つの要素は完全に融合しきれてはおらず、仲違いして共存してると見えるのもまた事実であり、特に件のアクションが完全に移動手段として徹底されてしまってる事で、あまりアクションを楽しませようとする思いが伝わってこないのは痛い。また、本作では画面構成はクォータービュー形式…斜め向きの構成となっているのだが、これが返って嫌らしさを出してしまっており、着地地点が分かり難いという致命的な欠点を露呈させてしまっているのも痛いところだ。中でも『ナット』のアクションはその真骨頂で、見事に画面構成が仇となっている。RPGもアクションも双方を楽しめる強い意志があれば、こんな欠点は出てこなかったと思うのだが…。
確かに、二つを上手くゲームとして昇華しているのは事実だが、両極端な印象は拭い去る事はできず、どうにも任天堂とスクウェアの思想の違いというものを邪推してしまう。

バトルシステムもまた然り。本作のバトルシステムは一般のRPGと同様、コマンド選択式によるものなのだが、コントローラのボタンごとに攻撃や防御と言ったコマンドが割り振られており、タイミングよくボタンを押す事でクリティカル攻撃が行えたり、またボタン連打・レバガチャ・チャージによって作動するスペシャル攻撃があったりなどと、全体的にマリオらしいアクション要素が満載の独創性溢れたものとなっている。コマンドごとに対応したボタンを押すだけで直にその動作が行えるというだけにテンポは抜群に良く、アクションゲームのスピード感を実に上手く引き出してはいるのだが、お世辞にも100点満点をつけられるような優れたものであるとは言い難く…これもフィールドと同様、アクション要素との融合がお粗末な作りとなってしまっている。特に連打などの要素が入っているとは言え、あくまでもそれらは通過儀礼に過ぎず、どうにもアクションゲーム特有の動かす事の楽しさがあまり引き出されてないのは寂し過ぎる。中には、アクションゲーム特有の腕の上達振りを感じさせる技もあるのだが、それ以外の要素の印象が悪いだけに、どうにも光ってない。
またタイミングさえ掴めば、いつでも必ず繰り出せるようになるクリティカル攻撃の概念も致命的だ。見方を変えれば、これができるようになればどんな戦闘も所詮は敵を処理する”作業”となってしまう訳で、結果として戦闘自体の単調さとゲームバランスにおける問題を招いてしまっている。これでもし、クリティカル攻撃の出し方にバリエーションがあり、攻撃自体の威力がある程度低ければ、アクションの味としてもバランス的にも…良い感じになっていたと思うのだが、実際は強力な攻撃となっている事もあり、バランス的には残念ながら上手くまとまっているとは言い難い。そもそも、伝家の宝刀とも言えるクリティカル攻撃が楽々と出せてしまうこのシステム自体、RPGとしてどうだろうか。
他にもこのシステムの都合上、どうしても終盤になると戦闘にマンネリ化が生じ、少しずつダレてくる事やレベルの高低を重点においた戦闘バランス等、フィールドと同様、アクションを楽しませようとする工夫が足りてない点は数知れず。
バトルシステム自体のアイディアは見事である事は間違いない。しかし、フィールドと同様にアクションはあくまでもおまけに徹底させ、RPG的なノリを徹底的に重視した作りは幾ら何でも中途半端過ぎるとしか言い様が無い。もう少し、アクションを楽しませる工夫を凝らしていれば、確実に化けてただろうに、何故、そう言った工夫を凝らさなかったのか。
それはRPG屋のスクウェアとしての意地なのだろうか。
どうにも、この両極端なバランス加減には両者の思想の違いを感じせずにはいられない。

また、これもバトル絡みだがバランスの悪さはキャラクターの強さにも言え、これがまた強い奴、弱い奴の差が激しい。強力な技を持つ者と役に立たない技を持つ者、ある武器を装備すると鬼神となる者と…全てが極端。また、レベルが上げ難い(というか、取得経験値が異様に少ない)、ボスと雑魚の強さが開き過ぎてるなど、大味な箇所も数多く存在する。一応、謎解きなどのバランスはマリオらしい絶妙のバランスを維持しているのだが、総合的に見て本作のバランスは絶妙と言うよりは大味と評すのが妥当で、実に任天堂らしくない手応えに満ち溢れている。せめて、キャラクターの能力バランスとレベルの上げ難さが改善されれば、良いレベルには至ってたのだが…。
一方でグラフィックと音楽の出来は素晴らしく、この辺に関してはスクウェアらしいこだわりが炸裂している。特に音楽はこれまでのシリーズとは毛色の異なる曲が満載で、ファンのみならずとも必聴の価値がある。
シナリオもなかなか。少し、マリオの世界観を尊重してない表現があるのが目に付きはするが、クッパ以外の新しい敵が登場したり、あんなキャラがマリオの仲間となって共に戦ったりなどと見所が多い。また、細かな部分においてMOTHERを髣髴とさせられる、言葉遊びが豊富に取り入れられてるのも面白い所だ。

寄り道要素も豊富に用意されており、エンディングを迎えてもじっくり楽しめる作りになっている所もお見事。特に隠しボスには、スクウェアファンには爆笑モノのキャラが用意されているので必見だ。
その他、操作性も本家マリオシリーズと同じ抜群の操作性を実現しているほか、ゲーム進行形式もマリオシリーズに習ってエリア単位で進んでいく、非常に分かり易いスタイルのものになっているなど、なかなか頑張っている所はある。
それだけに、フィールドにしろバトルにしろ、アクションをおまけ扱いにしている姿勢と戦闘バランスの悪さがあまりにも勿体無い。もう少し、アクションを徹底する姿勢を強調していれば凄いゲームになってたと思うのだが、それが実際、成されてないのだから辛い。
これだけは言っておくが、致命的な箇所が多いからと言って遊べない訳じゃない。むしろ、RPGとしてはかなり面白い作品であり、名作と評するのもおかしくない出来ではある。しかし、マリオのRPGとしてはどうかというと首をかしげたくなる一本である。とにもかくにも、お薦めはできる。けど、システム面においてかなり好き嫌いが分かれるタイトルであるので、その辺は注意されたし。あと、ルイージファンは本作は絶対に遊ばない方が良いと最後にコメントしておく。何故と言われても、私は言わない。知らない方が良いんです、こればかりは。
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