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≫スーパーマリオワールド
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版:7900円(税別)
バーチャルコンソール版:800円(税別)
■公式サイト ≫スーパーファミコン版 / ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 見開き形式
■推定クリア時間 90分〜5時間(エンディング目的)、9〜12時間(完全攻略目的)
マリオとルイージは、ピーチ姫と共に『恐竜ランド』のヨースター島へバカンスにやってきた。
だが島に到着した途端、ピーチ姫が姿を消してしまった…。

必死になって島中を探し回った二人は、島のはずれで不思議な卵を発見。じっと卵を見つめていると中から『ヨッシー』と名乗るドラゴンが出てきて、マリオ達に恐竜ランドにカメの姿をした化け物が現れ、魔法で彼の仲間たちを卵の中に閉じ込めてしまった事を告げた。

どう考えてもこれは、大魔王クッパの仕業。ピーチ姫も、クッパにさらわれたに違いない。
早速二人は、ヨッシーの仲間とピーチ姫を助ける為に、新たな冒険へ出発したのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シンプルで取っ付き易い、抜群の操作性(説明書を読まなくても直に覚えられる)
◆「一つの世界」という事実を色濃く描いているマップ画面
◆如何にもゲームっぽいおかしな変化が面白い、マップ画面のギミック群
◆スピンジャンプ、垂直駆け上がりなど更に奇抜性が増した、マリオのアクション
◆動物と連携して難所を攻略する楽しさを演出している、新キャラ・ヨッシーによるアクション
◆同じく、目的が一貫している事もあって非常に分かり易いゲームシステム
◆数こそ前作よりも減ったが、覚え易くなったマリオの変身パターン
◆初心者にはこの上ないサポートシステムとして機能する新要素『ストックアイテム』
◆全96と圧倒的なコース総数(ボリューム満点)
◆システムに関する解説やヒントなど、初心者対策として機能しているメッセージブロック
◆豊富に用意された分岐の数々(プレイスタイルによっては、いきなり最終面に行ける)
◆過度に主張し過ぎない、優しい描写が秀逸なグラフィック
◆種類こそ少なめだが、かなりのインパクトを誇る秀逸な音楽
◆ストックアイテム制の導入によって力押しが効き易くはなったが、総合的には優し過ぎず、難し過ぎずのレベルを維持している、マリオシリーズらしい絶妙のゲームバランス

--- Bad Point ---
◆制約が多いヨッシー(城に入れない、お化け屋敷に入れないなど…)
◆ボス戦のあるコース(城、砦)をクリアしてしまうと、その後、二度とプレイできなくなってしまう(できれば、何度もプレイできるようにしておいて欲しかった…)
◆ファイアマリオのファイアボールを敵に当てると、敵がコインに変化してしまう(「倒した」と言う手応えが感じられない)
◆癖のある操作がタマにキズな、マントマリオの飛行アクション(慣れが要求される)
◆ヨッシーに乗った時の奇妙なリズム(結構、好き嫌いが分かれる)
▼Review ≪Last Update : 7/21/2007≫
あれ、ゲームが始まらないぞ…?

と気になってその後、リセットボタンを押してしまった私…。(マヌケな思い出)


日本全国に空前のファミコンブームを起こした歴史的名作『スーパーマリオブラザーズ』のシリーズ第四作目(正式名称:『スーパーマリオブラザーズ4 スーパーマリオワールド』)。『F-ZERO(エフゼロ)』と一緒にスーパーファミコン本体との同時発売ソフトの1本としてリリースされた作品でもある。

シリーズ最高のボリュームと優れたゲームバランス。
スーパーファミコン同時発売ソフトを飾るに相応しい、高い完成度を誇る名作アクションゲームだ。

ゲーム内容は、これまでのシリーズと同様のサイドビュー(2D)形式のステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはマリオを操作し、全7+2ワールド96にも渡るコースを多彩なアクションを駆使しながら突破し、大魔王クッパにさらわれたピーチ姫とヨッシーの仲間達を救出する為に最終ワールド目指して突き進んでいく。
基本的なゲームシステム周りは前作の『スーパーマリオブラザーズ3』の物を継承、並びにバージョンアップさせたものを採用。その中でも特に象徴的なのがマップ画面で、前作の『スーパーマリオブラザーズ3』ではワールドごとに個別のマップが用意された、いわゆる局地的な形式となっていたが、今作では登場するワールド全てがしっかりと道で繋がった、まさに『一つの世界』とも言うべき形式に改められている。その為、今作では冒険の舞台となる場所がリアルに描かれており、これまでのシリーズ以上に「自分がこの世界を冒険している」という手応えを感じる事ができる。
更にまた、今作では一度クリアしたコースも繰り返し楽しめるようになり、よりマリオの世界に浸れるようになったのも大きな進化だ。また、難しいコースも前のコースでパワーアップ状態になって抜け出し、そして挑めば安全に攻略できると言う、繰り返しプレイの仕組みを活かしたテクニックも新たに使えるようになっている。これにより、本作ではアクションが苦手な方でもそのテクニックを用いれば安全、対して得意な方の場合は徹底的に縛れば良いという幅の広いゲームバランスを実現。プレイヤーの思うがままのゲームプレイが楽しめるようになり、攻略面の自由度が劇的にパワーアップしている。まさに前作のマップ画面におけるアイテム保管システムが、姿と形を変えて予想外の大進化を遂げた恰好とも言うべきところか。全く持って、素晴らしいとしか言いようの無いアレンジだ。
しかしながら、コースが繰り返し楽しめるようになったとは言え、遊べるのは通常のコースと前作に登場した『テレサ』などのオバケ系の敵キャラが多数登場する『オバケ屋敷』のコースのみで、ボスが登場する城、砦のコースは一度クリアするとその次からは遊べなくなる仕組みとなっている。ただでさえ、ゲーム中に最も盛り上がるボス戦が一度しか楽しめないのは正直な所、もどかしいといわざるを得ない。一応、ラスボス戦とあるボス戦は何度もプレイする事ができるようになってはいるが、それでも物足りない。できる事ならば、城なども含めて全てが繰り返し遊べるようにして頂きたかった。
だが、それを抜いても全体的な出来の良さに揺らぎは無い。流石、国内で600万本以上を売り上げた歴史的名作の続編に相応しく、それでいてスーパーファミコンの一番手を飾るに立派な進化を遂げた仕上がりとなっている。

また、この他に新システムとして『ストックアイテム』が登場。これはパワーアップ状態(スーパーマリオ、ファイアマリオなど)の時に取得したパワーアップアイテムが画面上部の青枠のボックスにストックされるというもので、敵に触れてダメージを受けるとこの枠からフィールド上にアイテムがゆっくりと落下し、それを取得するとまたパワーアップ状態に戻る(例えばスーパーキノコなら、スーパーマリオに戻る)事ができるという、アクション初心者には実に心強いサポートシステムだ。シリーズ経験者向けに話すと、前作のアイテムボックスがゲーム並行型となった…と言った所だろうか。コースの繰り返しプレイと同様、これも当に述べてるが初心者救済処置としてはかなり上手く機能している。何よりも、一度小さくなってしまったらコース内でアイテムを見つけない限り、パワーアップ状態には戻れないという概念が消えたのが大きい。これにより、コース攻略の敷居が劇的に低下し、多少の無理(強行突入)も通せるようになったのはお見事。良い意味で、大らかな優しさを実現している。
だが、ストックや繰り返しがあればどんなコースの攻略も楽な訳ではない。中盤から後半になると、例えアイテムがストックされていようとも、それなりの指先のテクニックで攻めていかなければ突破は難しいコースが次々と出てくる。例え手助けがあっても、いつかはそれから離れて自らで考え、行動していかなければならない、…この辺のバランス調整の芸は流石任天堂と言った所。実に心地よく、説得力のある手応えを実現している。
この他にも今作ではヨッシーが初登場。いわゆる『乗り物』(酷い例えで申し訳ない)で、これをコース内で発見してその上に搭乗すると、敵を食べる事ができたり、炎を吐く攻撃ができたりなどの多彩なアクションができるようになる。更にこのヨッシーに乗っている時は例え敵に触れたとしてもミスやダメージにならない特典もある。ただ、その代わりとしてヨッシーから強制的に降ろされ、同時にヨッシーが何処かへと走って行ってしまうが(但し、再び上に乗る事で復帰できる)。
全体的にはキャラとしては上手く立っていて、それまでのシリーズにはなかった連携プレイの面白さを実現している。しかし、城やオバケ屋敷のコースには入れないなど制限が多く、いま一つ活躍の場に欠けてしまっているのが残念な所だ。また、彼(?)に搭乗すると、バックに流れる音楽が変(失礼)になるのも賛否が分かれるかもしれない…。
そして、メインのマリオのアクションに関しても、スピンジャンプ、金網にしがみつく、垂直駆け上がりなどと言った新アクションを多数追加。お馴染みの変身にも、新たに攻撃から空を飛ぶなどの多彩なアクションが楽しめる『マントマリオ』が初登場。前作のしっぽマリオとは一味も二味も違う、爽快感溢れる空中浮遊アクションが体験できる。しかし、しっぽマリオとは違い、空を飛ぶ際にちょっとした操作の慣れが要求されてくるなど、いま一つ操作性に対して詰めの甘さが光るのが残念。「飛び続けなきゃダメ!」みたいなコースが無く、空を飛ぶアクション自体がそこまで重要なものとなってないのが幸いではあるが…。 勿論、お馴染みのスーパーマリオ、ファイアマリオの変身アクションは今作でも健在している。しかし、ファイアマリオに関しては、今作から「敵をコインにする炎の玉を発射する」という変身アクションになり、いま一つ敵を倒した際の手応えが薄くなってしまってるのが何とも苛立たしい。せめて、敵に当てた際に敵も吹っ飛ぶみたいな演出が盛り込まれていれば良かったのだが。この辺りに関しては、残念と言わざるを得ない。
これ以外にも、新たに途中経過をセーブできるようになったりなどと、新システムは数知れず。前作以上に多彩且つ、奥の深いゲームプレイが楽しめる作りとなっている。

コース総数も既に最初の方で述べてるが全7+2ワールド96コースと膨大。更に分岐が豊富に用意されており、遊び方によっては最初のワールドをクリアしただけで、いきなり最後のワールドまで行けてしまう…という驚愕のショートカットもできるなど、幅が広い。手っ取り早くクリアするか、それともじっくりプレイするかは基本的にはプレイヤー次第。繰り返しになるが、本当に自由度の高いゲーム内容となっている。
コース内の中間ポイントの配置、並びにヒントやアドバイスをくれるメッセージブロックの配置など、ゲームが初めてというプレイヤーへの為の配慮が所々に盛り込まれている点も見逃せない。
ゲーム以外の部分であるグラフィック、サウンドもなかなかの出来で、マリオらしいファンタジックな世界観を丁寧に描いている。キャラクター絡みのドット絵もお見事な出来栄えで、過去のシリーズ以上にキャラ立ちがはっきりとしている。
音楽絡みも初代の『スーパーマリオブラザーズ』にはインパクトの面で劣るが、なかなかの名曲揃い。特にその場面でしか聴けないのが惜しい、ボス戦の曲の熱さとカッコ良さはシリーズ屈指だ。また、ヨッシーに乗った際に音楽のテンポが変わるという、ちょっとした遊びが盛り込まれているのも要チェックだ。
ただ、…くどいが、この要素に関してはちょっと賛否が分かれるかもしれないが…。

操作性もマントマリオの操作関連にはやや難があるが総じて良好で、動かすだけでも楽しい。既述だが、ゲームバランスもお見事。特に破綻している所は全く無く、理に適ったバランスをキープしている。
ヨッシーの制約の多さやボス戦が何度も楽しめない事、そしてマントマリオの空中アクションの癖の強さ、ファイアマリオの不自然さなどの気になる点もありはするが、全体的には歴史的名作の続編を語るに相応しい出来。圧倒的なボリュームと多彩なアクション、親切要素の数々、そして絶妙のゲームバランスと自由度の高さと見所満載の本作。ゲーム初心者から上級者まで、幅広く楽しめる名作アクションゲームだ。
スーパーファミコンユーザーならば要プレイ。全ては、ここから始まった。
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