Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Super Famicom>
  4. ちびまる子ちゃん めざせ!南のアイランド!!
≫ちびまる子ちゃん めざせ!南のアイランド!!
■発売元 コナミ
■ジャンル 対戦アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9450円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■その他 マルチプレイヤー5対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 2時間半〜4時間
ある日、先生からクラスのみんなに『南の島との交換留学』の話があった。
まる子を始め、みんなは『交換留学』について少し(?)勘違いしつつも、それぞれの思いを胸に留学生を決める為の大会に出場することに!

果たして、まる子は夢の楽園、南のアイランドへ行けるのだろうか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆三種類の異なるアクションゲームをプレイしていく、目まぐるしさ満点のゲームシステム
◆BボタンとYボタンしか基本使わない、とてもシンプルで取っ付き易い操作性
◆純粋なゲームの難しさとキャラゲーの温さが程好くブレンドされた絶妙なゲームバランス
◆アニメの『ちびまる子ちゃん』の雰囲気をゲーム向けに綺麗に表現したグラフィック
◆パーティゲームならではの愉快な旋律が印象的な、良質の音楽
◆ファン向けボーナスモードまで、(いい意味で)無駄に充実した収録ゲームモード
◆ルールは共通ながら、異なるゲーム性を上手く演出している全三種類の対戦アクション
◆アクションゲームとしては異質の高い戦略性が異彩を放つ『ぬりぬりペンキ』
◆相手をふっ飛ばして落とす、何処かで見た事のあるシステムが面白い対戦アクションの一つ『ウキウキプール』
◆コナミらしい技術力の高さ、ちびまる子の緩さが光る珠玉の演出(特に友蔵の一句)
◆オリジナルでありながら、原作に忠実なテイストで仕上げられたメインシナリオ
◆サックリと遊べ、適度に盛り上がれるバランスが秀逸な対戦プレイ(最大四人まで可能)
◆操作解説、攻略ヒント機能など適度に充実したサポート機能群

--- Bad Point ---
◆保存機能が無い上、コントローラ操作と、至らない所が多い『ぬりぬりペンキ』(おまけだから、これも仕方が無いか?)
◆内容的にインパクトに劣る対戦アクションの一つ『ボール当てっこ』(決して、面白くない訳では無いのだが、ちと地味)
◆僅か4人しかいない操作用プレイヤーキャラクター(あと2人ぐらいは欲しかった)
◆同じく、僅か4人しかいない『ストーリー』の対戦相手(専用キャラとかいて欲しかった)
◆ファンアイテムとしては微妙に物足りない『針切カラオケ』
◆覚え易い反面、メモはし難いパスワード(イラストなので)
▼Review ≪Last Update : 2/22/2009≫
もう終わり 何て言わずに またやってね。

友蔵、心の一句。


さくらももこの代表作にして、今なお根強い人気を誇る『ちびまる子ちゃん』の対戦型アクションゲーム。発売並びに開発は、同じくスーパーファミコンでリリースされた『ちびまる子ちゃん「はりきり365日」の巻』のエポック社から代わって、『タイニートゥーン アドベンチャーズ』などのキャラクターゲームの傑作を世に送り出してきたコナミが担当。

キャラクターゲームとしてもアクションゲームとしても優れた完成度を誇る、隠れた傑作だ。

ゲーム内容は2D見下ろし視点で展開する、対戦プレイに特化したアクションゲーム。お馴染みのまる子を始めとするキャラクターを操作して、全三種類の異なる対戦アクションで繰り広げられるバトルを乗り越えていくものである。
ゲームモードは『ストーリーモード』、『対戦モード』など計7種類を収録。メインとなるのは『ストーリーモード』で、今作オリジナルの物語に沿いながら、先にも話したが『三種類の対戦アクション』で繰り広げられるバトルを攻略していく事になる。
その『三種類の対戦アクション』こそが今作独自の特徴。『ボールであてっこ』、『ぬりぬりペンキ』、『ウキウキプール』という内容がまるで違うアクションゲームがこの一本に丸ごと収録されているのである。対戦アクションと称した通り、三種類とも作りは対戦に特化しており、ルールも「相手の体力をゼロにした方が勝ち」と一貫している。ただ先の通り、内容はそれぞれ全くの別物。『ボールあてっこ』はドッジボール風味のスタンダードな対戦アクション(文字通りのボール当てっこをする)、『ぬりぬりペンキ』は戦略的要素濃い目の対戦アクション(ペンキを塗って相手を転ばせる)、そして『ウキウキプール』は格闘風味の対戦アクション(落とし合いを行う)と、いずれも全く別の手応えと面白さを秘めたものに仕上げられている。各ゲームでプレイヤー側に求められるテクニック、戦術もゲームが三種類故に一本限りであらず。それぞれのゲームごとにプレイヤーの得意、不得意が極端に現れ易く、一筋縄では行かぬ手強さと驚異的なやり応えを秘めたものとなっている。一つを極めるのではなく、三つを極めなければならない。それだけでも、大変なアクションゲームであると言うのは、痛いくらいにお分かりだろう…。
またそれのみならず、この三種類の対戦アクションは全て二人から最大四人までの対戦プレイ(四人で対戦プレイを遊ぶ際には別売のマルチタップが必要)にも対応しており、対戦方式も単純な四人対戦のみならず、1対3や2対2のようにチームプレイまで幅広く可能となっている。それを踏まえて『ストーリーモード』でも、そのようなシチュエーションをベースとした展開を用意するという、鬼のような味付けまで成されているのである。しかも、その『ストーリーモード』にて繰り広げられるのは基本的に四人対戦オンリー。まさに誰が勝利するかすら分からない大乱闘そのもの。画面上(フィールド上)にいるすべてのキャラが味方であって敵。誰が生き残るかだなんて予想するのも厳しい戦いまで、プレイヤーは経験せざるを得なくなるのだ。ただでさえ、一人を相手にするだけで精一杯なのに一度に三人も相手にするだなんて。そしてそれが、三種類のゲーム全てでだなんて!『ちびまる子ちゃん』という名前だけで底の浅い、温いものを予想する方は決して多く無いだろうが、ここまでの詳細を見ればお分かりの通り。そのような先入観を持ってプレイすると、ボコボコどころからミンチにされてもおかしく無いしっぺ返しを受ける。それほどまでに本格的なゲームに仕上げられているのである。
そもそも、今作の開発を手掛けたのは『タイニー・トゥーンアドベンチャーズ』などのキャラクターゲームの傑作を手掛けてきたあのコナミだ。そう言った過去の経緯を考慮すれば、キャラクターゲームなのに異常なまで作り込まれている(そして、かなり歯応えのある内容に仕上げられている)のも、当然の話だろう。国民的人気アニメの一つである『ちびまる子ちゃん』でさえ、このメーカーは容赦ないゲーム作りを実行してしまっているのだ。恐るべき熱意である。

そんな熱意で作り込まれたゲームと言うだけに、完成度の高さは折り紙つき。何と言っても、アクションゲーム、キャラクターゲームとしても丁寧に作り込まれているのが素晴らしい。アクションゲームとしては、先の三種類の対戦アクションの事になるが、どのゲームもシステム周りからバランス調整、そして操作性に至るまで、一切妥協無く作られている。
中でも『ぬりぬりペンキ』と『ウキウキプール』、この二つはそれぞれ、一つのアクションゲームとしても非常に面白い。
前者はペンキで床(フィールド)に線を描きながら、対戦相手をその上に上手く誘導させて転ばせる(陥れる)その基本的な内容からして斬新であり、2D見下ろし視点ならではの売りがきちんと活かされたものになっているのが大変素晴らしい。相手を上手く誘導させて転ばせるメインルールの都合上、どうしても長期戦になり易い欠点もありはするのだが、相手が進むと思われる方向を読んで線を描き、思い通りの方向へと相手が移動し、転ばせた時の快感は格別。アクションゲームながら、シミュレーションゲームのような駆け引き・心理戦の面白さを堪能することができる。地味ながらも強烈な奥深さを兼ねたその内容には、アクションよりはどちらかと言うとシミュレーションが好き…というプレイヤーも思わず、唸るほどの魅力を感じ取れるだろう。この作品の単発ネタとして扱われてしまっているのが実に勿体無い。
逆に後者は真っ当にアクションゲームしている為、シミュレーション好きなプレイヤーには馴染めないものがあるが、こちらも簡単に格闘アクションの醍醐味が味わえる白熱必至の内容に仕上げられていて見事。中でも『プールに相手を押し出して落とす』の基本ルールが良い味を出しており、その分かり易さ故に初心者でもルール解説や説明書を読まず直感的に楽しめる、敷居の低さを演出しているのが見事だ。肝心のゲーム周りも「押し出す」その性質故、ついついコントローラのボタンをムキになって押してしまうほど、白熱必至の作り。『たつまき投げ』なる特定のアイテムを取る事によって可能になる「一撃必殺技」もまた、対戦の熱中度と緊張感を高める存在として機能している。この技を使った時だけに見れる、投げ飛ばされたキャラクターが画面いっぱいに表示される「どアップ演出」も必見。その無駄な仰々しさには誰もがクスッと笑ってしまうこと、間違いなし。そのちびまる子らしい演出には、ファンも思わず「流石」と唸ってしまうだろう。
まる子らしいと言えば、キャラクターゲームの側面でもあるが、これもまた先のアクションゲームに負けず劣らず。特に充実したおまけ系のゲームモードが強烈。
冒頭ではカットしたが、実は今作ではメインのストーリーや対戦プレイの他にも、ちびまる子ちゃんのクイズ50問を収録した『まるこQ』、マ○オペイントならぬ『まるこペイント』、運試しの『まるこみくじ』など、本編とは逸脱した、キャラクターゲーム的なカラーを持ったモードが沢山用意されているのである。しかも、その各モードというのがやたらと気合いの入った出来。クイズモードこと『まるこQ』はマニアックな問題もカバーしていたり、『まるこペイント』は簡易的なお絵かきモードにしては機能性抜群、まる子らしいおまけ機能(アイコンなど)までセットされているなど、まさに至れり尽くせりなのだ。
『まるこペイント』で描いた絵は保存できないなど、如何にもおまけらしい欠点もあるにしてはあるが、それを抜きにしてもこれはやり過ぎ。幾らちびまる子ちゃんのゲームだからと言って、ここまでやるか…と言いたくなるほど、気合いの入った作りになっている。熱心なまる子ファンも、この充実した要素の数々には思わず、溜息が出てしまうだろう。
更にこれ以外にもおまけとして、何と『カラオケ』まで収録。しかし!このカラオケで歌えるのは『針切おじさんのロケン・ロール』だけ(そもそもモードの名前自体が『針切カラオケ』)。お馴染みの『おどるポンポコリン』は未収録となっている。
今作が発売された1995年当時を配慮しての収録なので、ある意味仕方が無い処置ではあるが、正直言って、当時を知らない人にとって、これは全く魅力の無いものに映る感は否めないだろう(汗)。ただ、今を考えればマニアにはたまらないはず。カラオケの画面では当時のエンディングを忠実に再現したアニメも流れるので、そこもまた要チェックである。そこもまた、現在(2009年)のちびまる子ちゃんしか知らない人には何のことやらだが(汗)。
いずれにしても、今作がまる子ファンにとっても、ゲーム好きにも楽しめる作品である事は十分にお分かりになったかと。とにかく、至れり尽くせりの言葉がよく似合う内容に仕上げられている。ある意味、最強のキャラクターゲームここにあり。流石、この種のゲームで多くの傑作を世に送り出してきたコナミだけにあるこだわりが炸裂しているのである。

他にも操作性も大変秀逸で、基本的にBボタンとYボタンしか使わないという凄くシンプルで直感的なものに仕上げられている。ここに関してはもはや完璧の域。また難易度設定周りも素晴らしく、適度に温くて歯応えのある絶妙なバランスを維持している。対戦周りも、その面白さを根本的に壊すような箇所が無く、隙が無い。この辺の調整の上手さは流石、数多くのキャラゲーの傑作を世に送り出してきたコナミだけにある。
サポートも、操作解説にヒント機能など充実。パスワードもイラスト表示方式ながら、短い量で抑えられている(三つしか表示されない)のも記憶する際の配慮として効いている。
グラフィック、音楽も原作の雰囲気を壊さない、気を使った作りとなっているのが秀逸。かと言って、それだけでなく音楽に至ってはいつものコナミらしい、パンチの効いた楽曲が豊富など、きっちりと仕事されているから凄い。
『ストーリーモード』で展開されるストーリー、演出もまる子らしさ全開。まる子達を始めとするキャラ達もちゃんとアニメと同じ声優さんによるボイスで喋るので、ファンなら満足間違いなしだ。ただ、残念ながらお馴染みのキートン山田氏によるナレーションボイスは無し。また、まる子のおじいちゃんこと友蔵の声優も今の青野武氏でなく、先代に当たる故・富山敬氏が担当している(※今作は富山氏の没後に発売されたのだが、それでも氏が担当している)ので、今のファンにとっては違和感を覚えるかもしれない。例によって、マニアならば感動必至かもしれないが。

対戦プレイにおいて、使用できるキャラクターが僅か四人と限定されていたり(その他にもキャラは出てくるが、ほとんどイベントキャラ)、ペンキ戦は長期戦になり易かったり、そして時代を思わせるようなサービスが多くて今のファンには違和感を覚える所が多いのが強いて言えば残念ではあるが、総合的な完成度はキャラクターゲームとしても、アクションゲームとしても文句無し。名前と見た目に反して、驚くほど遊べるゲームに仕上げられている。
三種類の異なる手応えと面白さに富んだ対戦アクション、白熱必至の対戦プレイ、そして充実したおまけモードと見所満載の今作。ちびまる子ファンは勿論のこと、アクションゲームが好きなプレイヤーも体験してみる価値ありの意外な傑作だ。安易なキャラゲーだからと甘く見たら痛い目に遭う。この本気ぶり、是非とも要チェック。お薦めの逸品です。
≫トップに戻る≪