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≫ミッキーのマジカルアドベンチャー
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8925円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 2時間半〜5時間
平和なミッキーの世界に大事件が起きた。

ミッキー達と一緒にボール遊びをしていたプルートが、遠くへ飛んでしまったボールを捜しに行っている間に、魔法界の皇帝『ピート皇帝』に連れ去られてしまった。このままではプルートは、魔法の実験材料にさせられてしまう。
プルートを危機から救う為、ミッキーは白ひげのおじいさんやグーフィーの協力を得ながら、皇帝の居城を目指す。

ミッキーは無事、プルートを救出する事ができるのだろうか?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆説明書を読まなくても直に覚える事ができる、分かり易い操作性
◆ステージを次々とクリアしながら進めていくという、分かり易いゲームシステム
◆ディズニーらしく、それでいてゲームらしい『嘘っぽさ』が満開の全6ステージ
◆魔法使い、消防士、クライマーと言った個性豊かなコスチューム
◆状況に合わせて有効なコスチュームに着替えながらプレイしていく、アクションゲームとしてはかなり異質な戦略性
◆やり込めばやり込むほどその結果がプレイに反映される、優れたゲームバランス
◆豪快な動きと多彩な攻撃パターンが光る、大きくて迫力満点のボスキャラクター達
◆ディズニーの世界観を上手に表現している、美しくてファンタジックなグラフィック
◆アクションゲームの気持ち良さとディズニーらしさを重視した秀逸な出来の音楽
◆アクションゲーム初心者の方からゲーム上級者の方まで幅広く楽しめるように盛り込まれた難易度調節機能
◆随分と濃いデザインが魅力的な中ボスキャラ達(特にステージ2で登場する中ボスは必見)
◆長い文章ではなく、プレイを通じて行われる自然なチュートリアル

--- Bad Point ---
◆交互プレイ故にテンポが非常に悪く、面白味に欠ける二人プレイ(こんな作りなら、一人プレイ専用にすべきだった)
◆あまりに地味過ぎる、ボスが倒された時の演出(中ボスは悪くないのだが…)
◆判定タイミングが全く分からない水中でのダメージ(一定時間潜り続けていると息切れによるダメージを受けるのだが、息継ぎメーターが無い為にタイミングが全く分からない)
◆高難易度過ぎるラストステージ・エリア2の針山地獄(というよりも、そこを突破するに当たって使う事になる魔法のじゅうたんの操縦に癖があり過ぎる)
◆それなりの慣れが要求される、クライマーのワイヤーアクション
▼Review ≪Last Update : 7/21/2007≫
トマトはあんな風に爆発するものじゃない…。

もっと「ブチャッ!」と爆発するものだ…。


今も尚、世界中で愛され続けている人気キャラクター『ミッキーマウス』を主役に当てたアクションゲーム。制作はストリートファイターシリーズやロックマンシリーズ等の数多くの名作アクションを手掛けてきた、カプコンが担当。

見た目の可愛さに反した、硬派なゲームバランスと戦略性の高いゲームシステム。
これぞまさに『ネズミの皮を被った狼』。やり応え満点の傑作アクションゲームだ。

ゲーム内容は、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはミッキーマウスを操り、様々なステージの4つのエリアを駆け巡りながら、最後の『ピート皇帝の城』を目指してゲームを進めていく。
用意されているステージは全部で6つ。各ステージは先述の通り4つのエリアで構成されており、1エリアと3エリアが通常のアクションエリア、2エリアが中ボス戦ありのエリア、そして最後の4エリアがボス戦エリアと区分されている。各ステージの流れは基本的に全て地続きで行われるようになっており、他のゲームだがマリオのようにエリアをクリアしたら得点精算、その後に次のエリアスタートという風に、間に小休止が挿入する事は全く無く、エリア1をクリアしたら直にエリア2スタートという感じに、非常にテンポ良く展開する。その事もあってか、1つのステージの攻略にかかる時間は大体5〜8分程度とワリと短め。あまりにテンポ良く展開される為、全体的にボリューム感がさほど伝わってこない所が、アクションゲーム好きのユーザーにとっては非常に寂しく感じるかもしれない。
しかしながら、決して本作が温いアクションゲームという訳ではなく、いずれのステージもアクションゲーマーでさえも大いに悩まされる、トリッキー且つユニークな仕掛け等が目白押しで、やり応えはバッチリ。各ステージの最後に待ち構えるボスも、ダイナミック且つ躍動感溢れる動きを披露してくる強敵ばかりで、そう簡単には勝たせてはくれない。更にステージによっては、それまでとは全く違う、高度なアクションを要求されるエリアもあるほど。また、単調な展開に陥らぬよう、ステージによっては各エリアごとの定説を覆していたり、ルートが2分されているなどの工夫も凝らされている。見た目の可愛さとミッキーマウスのブランド名から、「誰でも簡単にエンディングを到達できる」という印象が伝わってくるが、実際はそんなの微塵も無い。想像を大きく逸脱した、恐ろしく激情的なアクションゲームに仕上がっているのだ。
この辺りのアクションゲームとしてのやり応えへのこだわりっぷりは流石、『魔界村』や『ロックマン』シリーズ等のアクションゲームを手掛けてきたカプコンならではと言った所だろうか。とにかく、あらゆる面において「ミッキーマウスもディズニーも関係ないぜ!」…なムード全開なのである。まさに、羊の皮…いや、ネズミの皮を被った狼とはこの事か。

そのこだわりは肝心のアクションの部分においても発揮されており、中でもプレイヤーが操る事になる、ミッキーマウスの動作の多彩さは芸術的。ジャンプ、ダッシュ、ブロック投げ、泳ぐ、そして馬飛び(敵の踏み付け)と、あのマリオも真っ青な躍動感満点のアクションを披露してくれる。
しかし、それ以上に強烈なのが本作最大の売りとも言える、『コスチュームチェンジ』だ。本作では、ミッキーが様々なコスチューム(衣装)に着替える事ができる珍しいシステムが盛り込まれており、コスチュームに着替える事によって通常状態(ミッキーマウスの状態)とは異なる、特殊なアクションができるようになるのである。用意されているコスチュームは魔法使い、消防士、クライマーの全3種類。魔法使いはその名の通り、着替える事によって攻撃魔法が使えるようになり、更に水中を自由に泳ぎ回れるようになる特殊能力が身につく。攻撃魔法は溜め撃ちも可能で、主にボス戦などでその威力を発揮する。消防士は前方一直線に発射する放水攻撃ができるようになり、主に炎系の敵を相手にする際や邪魔な障害物を動かす時、そして炎上した足場を冷やす時などに重宝する。放水攻撃自体は連続攻撃の性能も兼ね備えているので、ボス戦などでもワリと活躍する。そしてクライマーは過去にカプコンがリリースした伝説のファミコンソフト『ヒットラーの復活』ばりのワイヤーアクションが出来るようになる。主に通常のジャンプでは届かない足場が多く登場するエリア(特にステージ4)などで大活躍するコスチュームだ。また、ボスによってはこのワイヤーを使う事によって強烈な攻撃を回避できたりと、ワリと使い道が豊富である所も大きな魅力だ。
このように本作ではこれらの多種多様な3つのコスチュームを使いこなしながら、ゲームを進めていくのである。はっきり言って、これらのコスチュームは使いこなせないと、ゲームクリアは100%不可能(マジ)。それ位、コスチュームに対して大きな比重がかけられたゲームデザインが成されているのである。その心がけによって、『着替えによって生まれる戦略性』という新たな表現が成されているのもまた、見逃せないところだ。
また、コスチュームは最初から全てが使えるという訳ではなく、基本的にステージを進めていく事によって1つずつ使えるようになっていく仕組みとなっている。この辺りのさじ加減が非常に上手く、下手に長い文章で行われる解説よりも自然にそれぞれの特徴を覚える事ができる。その覚える事を加速させる各ステージの構成もまた素晴らしく、「ゲームプレイを通じて行われる自然なチュートリアル」を実現している。アクションゲームのテンポの良さを何よりも大事にする、カプコンならではのこだわりと言うべきだろうか。この事はコスチュームチェンジの操作にも同じ事が言え、セレクトボタンでアイコンを選択して決定する事で一発で変身できるようにしているのも、そう言ったテンポのよさを守ろうとする意志の表れと言える。それでいて、新しいアクションゲームとしての手応えを実現しているのだから凄い。
クライマーのコスチュームがいま一つ、インパクトに欠けるのもあるが、アクション自体の完成度は完璧の域。システム的にも申し分がなく、かつてないアクションゲームの手応えと面白さを演出。本当にもう、尋常でないこだわりだ。
ミッキーである事を意識しないのにも程がある(良い意味で)。

その他、操作性も素晴らしく、動かしているだけでも楽しい快適さを実現。移動速度が遅いと言う欠点もあるが、さほど気にならないレベルに抑えられているのは、先程から何度も述べているアクションゲームに対するこだわりの賜物だろう。
更に本作では難易度選択システムを導入。この辺にはミッキーの信念が生きており、子供から大人まで幅広く楽しめる難易度を実現している。しかしながら、最も簡単なEASYでもそこそこ手強いのはカプコンの悪い癖が出てしまった感がある。全体的なゲームバランスも手強く、行き過ぎてる所があり、初心者にはしんどいレベルとなってしまっているのは痛い。だが理不尽な所は一切なく、遊び込めば遊び込むほど結果がプレイに反映されてくるバランスが実現されているのはせめてもの救いだ。ここでは何とか、カプコンの良い所が発揮されている。
そして、ゲーム以外のグラフィックと音楽の出来も素晴らしい。いずれもディズニー作品らしさがよく描かれており、世界観を崩さずに表現しようと言う姿勢が伝わってくる。アクション本編とは考えられぬ有様である。
特に音楽の出来は相当なもので、サウンドテストが搭載されてないのが残念に思うくらい。ボス戦と終盤のステージ5とステージ6で流れる曲はカプコンらしさとディズニーらしさが高レベルで融合した、素晴らしい仕上がりとなっている。
この曲を聴く為だけでも、本作をプレイする価値は十分にあると言える。

これ以外にも本作では2人プレイモードも用意。だが、この2人プレイモードは交代プレイ方式となってしまっており、あまりに不便。1プレイヤーがステージ1をクリアしたら、次は2プレイヤーのステージ1の攻略が始まるというように、1人プレイの時よりも攻略に時間がかかってしまう。こんな面倒なものを入れるならばいっその事、本作を1人プレイ専用のゲームに特化した方が遥かに良かった。或いは同時プレイ方式にすれば返って、新しいゲーム性を打ち出せたと思う。これは次回作にて実現されたが…(詳細は別途にて)。他にも先述の難易度の高さやクライマーの地味さ、ボス撃破時の演出の地味さなどの気になる点もあるが、いずれも致命的ではないのがせめてもの救い。
見た目の可愛さに反して、結構硬派なところのある本作だが、コスチュームを使いこなすという戦略性の高いシステムと多彩なアクション、練り込まれたステージ、美しいグラフィックと秀逸な音楽、そしてアクションゲームらしい難易度バランスと完成度は総じてかなり高い。ゲーム初心者にはやや辛い所があるのがタマにキズではあるが、それ以外の上級者の方やアクションゲーム好きの方ならば是非ともプレイしてみて頂きたい、おススメの一本だ。世界一有名な”電気じゃない”ネズミが提供する、ハードで戦略的なアクションをとくと体感せよ。可愛いからと言って、侮ってはならない。
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