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≫ミッキーとミニー マジカルアドベンチャー2
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9975円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 2時間半〜4時間
待ちに待ったサーカスの開催に、みんなは大はしゃぎ。

ところがサーカスはピート男爵の手によって、滅茶苦茶に荒らされてしまっていた。
おまけに、迷子になったプルートを助けてくれた寂しがり屋のおばけ君達も、ピート男爵の手下達によって家を乗っ取られてしまったりと、彼の悪事はどんどん広がる一方。
このままでは、世界は悪の手によって支配されてしまう。

ミッキーとミニーはピート男爵の悪事を阻止する為に、手を取り合いながらピート男爵の城を目指す。果たして、二人は男爵を倒し、悪事の拡大を喰い止められるのだろうか…!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの快適且つシンプルな操作性
◆同じく前作譲りのステージを次々とクリアしていく、分かり易いゲーム進行形式
◆ディズニーらしくも少し現実っぽさが強化された全6ステージ(サーカス会場やお化け屋敷など、今回も色々な地形がプレイヤーの前に立ちはばかる)
◆状況に合わせてコスチュームを着替えていく、アクションゲームとしては斬新な戦略性
◆前作以上の豪快な動きを披露する、個性豊かなボスキャラ達
◆煩わしさが取り除かれ、意義あるものへと進化した二人同時プレイモード
◆アクションゲーム初心者から未経験者でも粘れば必ずクリアできるレベルに抑えられたゲームバランス
◆クリアのし易さを助長する新要素『パスワードコンテニュー』
◆ディズニーの世界観を綺麗に表現した、美しいグラフィック
◆ディズニーらしさとアクションゲームらしさを徹底した、秀逸な出来の音楽
◆前作よりも手応えが感じられるようになった、ボス撃破時の演出(特にラスボス第一形態を倒した時の演出)
◆アクションゲーム初心者の方から上級者の方まで幅広く楽しめるよう導入された、難易度調節機能

--- Bad Point ---
◆一人プレイにまで『その場復活可能のリトライシステム』を導入した為、ごり押し可能となったゲームバランス
◆固有能力が無く、単なるミッキーのコピーと化してしまってる『ミニー』
◆雑魚同然のラスボス(バランスの問題を取り除いたとしても弱過ぎる)
◆操作に癖がある『カウボーイ(&カウガール)』のコスチューム(前作のクライマーほどではないが…)
◆前作と同じく、訳の分からない水中ダメージ(何故、酸素メーターを表示しない?)
▼Review ≪Last Update : 9/29/2007≫
悪事とか言いながら、ほとんど悪戯じゃん!

そこは気にしない、気にしない。


見た目の可愛さに反したハードなゲームバランス、コスチュームチェンジシステムによる戦略性に満ち溢れたゲームシステムでディズニーファンのみならず、アクションゲーマーからも好評を博した『ミッキーのマジカルアドベンチャー』の続編。

前作の面影を感じない、大味過ぎるゲームバランスと脱線気味な救済処置の数々。
如何にもキャラゲーっぽさ満点の、寂しいアクションゲームである。

ゲーム内容は前作と同じ。ミッキーマウスと新たに加わったミニーマウスのいずれかを操り、多種多様なステージの4つのエリアを駆け巡りながら、最後の『ピート男爵の城』を目指して進んでいく、横スクロールタイプのステージクリア型アクションゲームだ。ステージ総数も前作と同様に6つ。各ステージに設けられた4つのエリアもそのままで、全体的には前作の味をそのまま引き継いだ仕上がりになっている。
ただ、あまりに前作とそっくりな仕上がりとなってるが故に「前作の世界観を新しく置き換えただけのゲーム」としてのカラーが強いのも事実。ステージの構成や仕掛けこそ全く異なるものになっているものの、基本的な流れとボリューム(総数)は先述の通りに一緒だし、ステージのラストにボス戦があるのもそのまま。更に深く突っ込むと、今作もゲーム終盤には前作と同じ、雪山のステージが登場する。
そういう意味では本作、続編と言うよりは”焼き直し”と称すのが妥当なのかもしれない。
けど、前作で培われたシステムや進行形式は既に完成されていたし、下手にいじって面影すらない別物にしてしまったら、前作を遊んだユーザーから非難を浴びるかもしれないし、尚且つ…返って複雑化する恐れもある。確かに、変わり映えに欠けるのは寂しいけど、変わらないからこそ生み出される「安定した面白さ」というものもある。その点を考えれば、今作の保守的な姿勢は正しい仕事…理想的な続編作りをしていると言えよう。
だが、完全に前作と同じというべきではなく、変えるべきところはちゃんと変えている。
この後に紹介するコスチュームチェンジで使用するコスチュームは全て新しいものになっているし、ステージ上の仕掛けもスーパーファミコンの拡大・縮小機能を効果的に取り入れたものから、二面要素を活かした遊びを取り入れるなど前作以上に派手且つダイナミックなものに改められている。また、前作ではほんの僅かしかいなかった中ボスも数が増し、より戦闘の面白味が向上したのも大きな変更点だ。
基本的な遊び応えは前作と同じ。面白さもそのままである。かと言ってゲームプレイを通じた新しさまで同じものにしようとする面は全く無く、ちゃんと続編ならでは新しさのを引き出す姿勢も兼ね備えている。守るべき所は守り、変えるべきところは変える。本作はその変更のバランス感覚が非常に優れた作品、と言っても決しておかしくはないだろう。

プレイヤーキャラクターである、ミッキーのアクションも前作譲りの多彩さを維持。今作でもマリオも真っ青な躍動感溢れるアクションをこれでもかと言わんばかりに披露してくれる。
前作で多くのユーザーを虜にした、コスチュームチェンジも健在。コスチュームも全てが新しくなり、掃除機で敵を吸い込む『スィーパー』、よじ登りアクションが可能になる『レンジャー』、そして銃撃と高速ダッシュの二つの多彩な攻撃が繰り出せるようになる『カウボーイ(ガール)』と、前作とは種の異なるアクションを大いに実感する事ができる。これらのコスチュームを様々な状況に合わせて活用し、難所を突破していく『着替えによって生まれる戦略性』も今作ではバッチリと健在。優れたゲームデザインとマップ構成による、新しいアクションゲームの妙を今作でも存分に味わう事ができる。
また、今作では新たにキャラクターセレクトの概念が設けられ、ミッキー以外のプレイヤーキャラとしてミニーが加わった。
これにより、本作では『二人同時プレイ』を実現。二人一緒にステージを攻略していく協力プレイが可能となり、前作以上に快適で大いに盛り上がる、楽しさに満ち溢れる二人プレイが楽しめるようになった。前作の交代制による二人プレイモードが苦痛で仕方が無かった方にとって、この進化は実に嬉しい改善点と言えよう。やっと無意味でしかなかったモードが意味のあるモードへと成長した恰好だ。
だが、この『二人同時プレイ』…お世辞にも良く出来てるとは言い難く、これの追加でゲームバランスに大きな支障が生じてしまったのは否定しきれない。中でも「例え、やられてもその場で直に復活できる」という安易なリトライシステムが採用され、ごり押しによる攻略が可能となってしまったのは痛い。アクションゲームの難関を突破していく事の面白さと爽快感を大いに損なってしまっている。しかし、このシステムを採用する自体は、快適な二人同時プレイを実現するに当たっては仕方が無い事…である。仮に、やられたらもう一人がやられるまでお休み…みたいなものだったら、かなりストレスフルなものとなっていたに違いない。そういう意味では、入れる事自体は妥当な処置だったと言える。しかし…しかしだ。このシステムを一人プレイまでにも積むのは如何なものか。
はっきり言って、これは致命的としか言い様が無い。アクションゲームの難関を突破していく事の面白さと爽快感を失ってるばかりか、アクションゲーム特有の「やられる事の怖さ」を亡き者としてしまっている。その結果、一人プレイでも大味なゲームバランスを実現させてしまったのは、全く持って暴挙以外の何者では無い。
恐らく、前作が難しくてクリアできなかった声に応える形で、この要素を導入したのだと思うが、はっきり言って方向性が間違ってる。それならそれで、全体的な難易度を下げるとか、別の方法があったはずだ。なのに、ゲームバランスを崩すような概念を取り入れてしまうとは、制作者は真っ当なアクションゲームを作る気など最初から無かったのか?
憶測の域は出ないが、とにかく残念極まりない。クリアし易くなったのは良い事ではあるとは思うが、やり方があまりに下品。こういう事は出来れば避けて欲しかった。
他にも、ミニーがほとんどミッキーのコピーでしかないのも寂しい所。アクションの気持ち良さとコスチュームチェンジの面白さはしっかりしてるのに、バランスをこうも崩してしまってるのは、残念としか言い様が無い。本当にどうして、こんな下劣な手法を取り入れてしまったのか。

一応、今回も難易度選択システムも取り入れられているのだが、先述の大味なバランスもあって、ほとんど意味を成していない。また、今回はそのバランス故にボス戦も酷く、前作ほどの手応えを感じられないのが痛過ぎる。特にラスボスの弱さは酷いの一言では済まされない。
しかし、操作性は相変わらずの動かすだけでも楽しい快適さを実現。ゲーム本編を彩るグラフィックと音楽の完成度もなかなかだ。更に今作は演出面も少しだけ改善され、地味極まりなかったボス撃破時の演出が手応えを感じられるものに改まっている。それでも見た感じの地味さは拭えないのだが、一定の手応えを感じ取る事ができるようになっただけでも、この点は大きな進化と言えよう。
更に今作では『パスワードコンテニュー』が新たに追加され、途中からのゲーム再開ができるようになった。ぶっ通しで攻略しなければならなかった前作が辛かった方には、嬉しい改善点だろう。だが、パスワードがゲームオーバーにならないと表示されないという仕様なのがどうにも解せない。これでは、折角の救済処置も無意味だ。せめて、ステージクリア後に表示する形式の方が、明らかにこのシステムも活きていたと思うのだが…。口が悪いが、この辺は制作者の神経を疑う。
その他にも、相変わらず水中でのダメージ判定が分かり難い事やカウボーイ(ガール)のジャンプアクションにやや癖があるなど、地味に気になる点はチラホラ…。

全体的な作りは決して悪く無い。続編としては十分、及第点に達する完成度ではあるし、アクションゲームとしてもちゃんと遊べる。しかし、大味なゲームバランスと無意味に嫌らしい救済処置のせいもあって、前作よりもアクションゲームとしての手応えと爽快感が欠けているのも事実である。
ごり押しが可能なバランスとなっているので、アクションゲーム初心者から未経験者にはお薦めできる。しかし、前作のような手応えを求めるユーザーやアクションゲーム好きの方には手放しにお薦めできない一本だ。
本シリーズを遊んだ事の無い方で、手応えのあるアクションゲームを求めてるのなら、前作の『ミッキーのマジカルアドベンチャー』か、或いはこれの続編でシリーズ第三弾の『ミッキーとドナルド マジカルアドベンチャー3』を推奨する。
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