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≫ミッキーとドナルド マジカルアドベンチャー3
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 10290円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■総説明書ページ数 未所持の為、不明
■推定クリア時間 3〜5時間
ドナルドの甥っ子、ヒューイ、デューイ、ルーイの三人は今日も家でいたずら三昧。
ドナルドに叱られた彼らは、屋根裏部屋に逃げ込み、そこで見つけた本を覗き込んだ。
すると、何とその中から大きな手が出現!
三人はその手に捕まり、本の中へと引きずり込まれてしまった。

やがて、ヒューイ達を捜しに屋根裏部屋にやって来たミッキーとドナルドはその本を発見。そこに現れた『本の精』によって、ヒューイ達がキングピートなる本の世界の悪者にさらわれてしまった事を告げられる。
しかもキングピートは本の世界を支配し、外の世界まで我が物にしようとしているらしい。

それを聞いたミッキーとドナルドはヒューイ達を救い、キングピートの野望を阻止する為、本の世界へ旅立った…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ伝統のステージを順にクリアしていくだけの分かり易い基本ゲームシステム
◆キャラ個別の能力が備わったのみならず、ゲームプレイの奥深さまでも増強させた、進化したコスチュームチェンジシステム(戦略性にも磨きがかかった)
◆癖のある操作を要されるものが排除され、使い勝手が大幅に向上した各コスチューム
◆ごり押しが封じられ、バリエーションまで多彩になった適切なゲームバランス
◆本の世界独特の、ファンタジックな舞台に富んだ全7ステージ(ボリュームもアップ!)
◆スコアが廃止されるなどの整理が行われ、大幅に見易くなった画面上部コンソール(過去のシリーズに無かった『酸素メーター』も遂に登場!)
◆前作にも増し、プレイの幅と熱さが向上した二人同時プレイモード
◆スーパーファミコンの機能を無駄に活かした、ダイナミックな動きが圧巻のボスキャラ達
◆動かすだけでも面白い、カプコンらしいこだわりが炸裂した抜群の操作性
◆パスワードコンティニュー、難易度選択機能など充実したサポート機能
◆アニメっぽさが強化され、よりディズニーらしさが向上した美麗なグラフィック
◆大人しくも熱い、名曲揃いの音楽(特にボス戦の曲は、シリーズ過去最高の熱さ!)
◆仰々しさの頂点に達した、無駄にド派手な演出(初代の寂しさは何処へやら…)
◆微笑ましさに富んだストーリー(ドナルドのイジりっぷりも並行して必見)
◆カプコンファンなら爆笑必至の小ネタ群(サ●カッチが出てきます…)

--- Bad Point ---
◆前作仕様のパスワード表示条件(ゲームオーバーにならないとダメとか、止めて…)
◆終盤の方で登場する硬いボス達(特にステージ5は、ちょっとやり過ぎ)
◆冗長気味な構成が尾を引くラストステージ(もう少し短く出来たのでは?)
◆倒し方の都合上、戦闘が冗長化し易い、大砲攻撃で攻めてくる中ボス
▼Review ≪Last Update : 8/9/2008≫
樽を身にまとっていようが、奴は立派な勇者だ!

鎧を付けた者が勇者とは限らんのです。


ディズニーの世界観を忠実に再現したグラフィックと、その見た目に合わぬ歯応えのある難易度でファンはもとより、アクションゲーマーからも絶大な支持を得た、カプコン制作のミッキーのアクションゲーム、『ミッキーのマジカルアドベンチャー』シリーズの第三作目。

遊び易さと熱さが劇的に進化した、シリーズ屈指の名作だ。

ゲーム内容は過去のシリーズ二作と同じ、オーソドックスなステージクリアタイプのアクションゲーム。ミッキーマウスと新たに加わったドナルドダックのいずれかを操り、多彩な仕掛けが張り巡らされたステージを順に攻略していく、お馴染みの内容だ。システム周りも、コスチュームチェンジや複数のエリアで構成されたステージなど、従来のものを踏襲。前作で新たに加わった二人同時プレイモード、パスワードコンティニューシステムもそのまま継承されており、総じて「真っ当な続編」としての匂い漂う作りとなっている。
ただ、焼き直しに過ぎなかった前作とは異なり、今回は細かい部分にて変更が加えられている。スコア制の廃止、それによるコスチュームの使用ゲージとライフゲージの表示位置の統一化、水中に潜った際の酸素メーターの表示などなど。いずれも地味な変更ではあるが、画面内の情報量が適切なレベルに落ち着き、そして過去のシリーズでも問題となっていた不明瞭な所が潰されのもあり、ゲームとしての遊び易さは向上。格段にバランスが良くなっている。特に酸素メーターの表示は、シリーズファンには嬉しい改善点。過去のシリーズで問題視された欠点が今回、ようやく解消されたのである。
また、プレイヤーが挑むステージの総数も、これまでの6つから7つとなり、僅かながらボリュームアップ。更に今回は中ボスの量も増強され、各ステージごとの密度もパワーアップしている。今まで、慣れればあっさり終わってしまうのが寂しかった、そして前作があまりに温かったと感じたプレイヤーにとって、これは嬉しいアレンジと言えるだろう。また、中ボスの登場によってステージの展開の起伏も激しくなり、各ステージ共に終始、ハラハラ・ドキドキのプレイが楽しめるようになったのも特筆すべきポイント。
そして極め付け、ゲームバランスも大きく改善。前作と同じく「ミスしても、その場に復活できるシステム(まんまな名前ですみません)」が採用されていて、復活する場所を選べるという嫌な進化まで遂げてしまっているのだが、今回はこれがあっても苦戦するよう、ステージ内の仕掛けや地形をシビアにし、ボスを強くして耐久力を硬くすると言った調整が行われ、ごり押しが通用し難くなった。だから、ダメージを受けるの覚悟で強引に攻撃…と言った、無計画なプレイをすれば、あっさりゲームオーバー行き。復活システムに則した、適切なレベルに改められたのだ。バランス調整放棄と見て取られてもおかしくなかった、前作に不満を覚えた方にとってはまさに、ブラボーと言いたくなる進化。今回はしっかりとした歯応えのあるゲーム展開がじっくり堪能できるのである。逆に、ディズニーファンは手強くなったというだけに、少し引いてしまうかもしれない。けど、あくまでもごり押しを封じたのは通常の難易度。簡単な難易度や二人同時プレイは、ごり押し上等な調整となっているので、前作と似たノリで楽しみたければそれを選べばOK。前作と同じノリでも楽しめるようになっているのだ。要は、バランスの差別化がはっきりさせただけのこと。決して、全てが厳しくなったとか、そんな訳ではないのである。
こんな感じに今回は、過去のシリーズの余計な部分を削ぎ落とし、最も問題となっていた箇所を修正した印象が強めで、ほぼ焼き直しに近かった前作とは桁違い。正真正銘の続編としての進化を遂げた、かなり遊び易い作品に仕上げられているのだ。まさに、前作が成し遂げなかった進化、ここに極まりとはこのこと。

またバランス周りのみならず、シリーズお馴染みの『コスチュームチェンジ』、前作から加わった『キャラクターセレクト』も大幅に進化。何と今作では同じコスチュームでも、選んだキャラクターごとに違ったアクションが楽しめるようになった。ミッキーと前作のミニーの代わりとして登場したドナルド、この二人にそれぞれ、個性が備え付けられたのだ。
例えば、今作にて新たに登場した『ナイト』のコスチューム。ミッキーだと、武器はボクサーグローブ付きの剣であるのに対し、ドナルドはピコピコハンマーが武器。そしてミッキーは水中に潜るとそのまま沈んで行ってしまう欠点があり、ドナルドは潜れないが水面に浮かべる強みがあるなどと…同じコスチュームなのに、キャラを変える事でその使い勝手がまるで違うものになってしまうのである。
当然ながら、そんな特徴があるだけに、選んだキャラによってゲームバランスも大きく変化。ミッキーだと倒すのに手間がかかるボスも、ドナルドならばすんなり倒せてしまったりと、まるで違った展開を楽しめてしまうのである。
両者共に性能が同じで、変化に乏しかった前作とは大違い。一粒で二度美味しい魅力が強化され、より奥深いゲームプレイが今回、楽しめるようになった。だから二周目も熱い!シリーズを通して遊んで来たユーザーなら、この進化には目を疑ってしまうに違いない。ある意味で、「継ぎ足し」に過ぎなかったプレイヤーセレクトを、こうもゲームの面白さを増強させる要素に直結させるとは、何と見事なゲームデザイン。まさに、今回のコスチュームチェンジとプレイヤーセレクトは、完成の域に達したと言っても過言ではないだろう。
そんなゲームを盛り上げる要素にまで進化した『コスチューム』の個性の強さも見逃せない。先に紹介した『ナイト』の他にも、『木こり』、『マジシャン』の二つが用意されているのだが、これらもまた、それぞれ個性付けがとてもしっかりしている。『木こり』は両者共通で性能差が無い、『マジシャン』はミッキーは遠距離攻撃型、ドナルドは近接攻撃型と言ったように、各々の特徴が明確で凄く理解し易い。更に今回は、癖の強い操作を要されるコスチュームが無いのも特筆すべきところ。いずれもシンプルに攻撃や移動に専念できるものばかりなので、上手く動かせないが故のもどかしさを感じる事無く、気持ち良く各アクションが堪能できるようになっているのだ。癖のある操作をマスターする面白さが無くなり、アクションゲーマーにとっては賛否の分かれるところだが、変にストレスを溜めず、純粋にアクションの一つ一つを楽しめるようにしたのは、ディズニーを題材としたゲームとしては良い選択だったと言える。また、アクションに不慣れな初心者の方にとっても、癖の強いものが無くなり、取っ付き易さが向上したのもまた、ナイスなアレンジだと言えるだろう。
多少、雑に語ってきたが、これで如何に今回のコスチュームチェンジが前作にも増してパワーアップしたのかは、これでお分かりになっただろう。そして、キャラクターセレクトが思わぬ形に化けたのも。使い勝手が良いのみならず、遊びまでもが広がる。今作では、そんな驚くべきシステムに発展を遂げてしまっているのだ。アクションゲームとしての戦略性のみならず、奥深さまで演出!素で究極の進化を遂げてしまったのだ。

システムのみならず、操作性もこれまでの完成されたものを継承しているだけに快適。動かすだけでも面白い、アクションゲームにおいては大前提ともいうべき気持ち良さを確立している。特に今回は、先のコスチュームの使い勝手の良さもあってか、いつも以上に動かす面白さと気持ち良さが演出されているのがニクい。進化してやったり、だ。
サポート周りも難易度選択システムにパスワードコンティニューなど、総じて痒いところに手の届くラインナップ。特に難易度選択システムは先の通り、バリエーション分けが上手く成されているので、それぞれの難易度に異なる味わいがあるのが秀逸。何時にも増して、やり込み甲斐のある仕様となっている。
グラフィックも劇的に進化。グラフィックはアニメっぽさが強化され、よりディズニーの世界観にマッチしたものに仕上がっている。キャラクターのアニメーションも滑らかで、特にドナルドの可愛らしいアクションの数々は必見だ。
音楽も相変わらず名曲揃い。特に今回はボス戦の曲が猛烈に熱い!その緊迫感を煽る曲調には、誰もが戦いの高揚感を刺激させられること、間違いなしだ。
それらの音楽とグラフィックに乗せて展開する演出も、過去最高の出来。特にスーパーファミコンのハード性能を(良い意味で)無駄に使った、ボスキャラ達のダイナミックな動きは凄い!更にそのボスのやられ様も仰々しくなり、しっかりとしたカタルシスを味わえるようになったのも特筆すべきところだ。中でもステージ2のボスのやられ様とか、シリーズを通して遊んで来た人なら「よくぞ、ここまで」と感心してしまうはず。1の地味さは何処へやらと、空しさすら感じてしまうほどだ。

この他、今回はカプコン製作ゆえの小ネタも随所にて炸裂。中でもステージ6のボスは、同社のヴァ●パイアシリーズファンなら、ほぼ確実に吹いてしまうはず(笑)。ストーリーも、今回はディズニー屈指のイジられキャラ(?)であるドナルドが参戦したのもあり、総じて愉しげな雰囲気に富んでいるのも良い感じだ。
パスワードコンティニューのパスワード表示の仕組み(仕様)が前作と同じ、ゲームオーバーにならないとダメなのと、終盤の固いボスの多さ、ラストステージが冗長気味になっているのが残念な所…ではあるが、いずれも些細な点なのが救い。ほとんど焼き直しに過ぎなった前作とは、比較にならない気合の入れ様が影響したと言ったところか。
相変わらずの取っ付き易いゲーム性、進化(深化)したコスチュームチェンジとキャラクターセレクト、そして改善されたゲームバランスと、アクションゲームとしても、シリーズとしても初代『マジカルアドベンチャー』に匹敵する完成度を誇る本作。ディズニーファン、アクションゲームファン共に自信を持ってお薦めできる名作アクションゲームだ。カプコンが手掛けてきたディズニーゲームの集大成がここにある。前作に物足りなさを覚えた方も、今回はちゃんと遊べるから是非、機会があったら手を出してみて欲しい。そして、その恐るべき進化に戦慄せよ。……大袈裟だけど(汗)。
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