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≫ザ・ニンジャウォーリアーズ アゲイン
■発売元 タイトー
■開発元 ナツメ
■ジャンル アクション
■CERO(推定) B(12歳以上対象) ※暴力、出血、犯罪描写等あり
■定価 9765円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 33ページ
■推定クリア時間 2〜5時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
謎の独裁者『バングラー』により、闇に包まれた経済大国。
彼の政権に抵抗を続けてきた、『マルク』と名乗る男の元に結集された組織『革命軍』は、3体のアンドロイドによるバングラー暗殺という、起死回生をかけた作戦を実行しつつあった。
ところが、アンドロイドのテスト段階で突如、バングラーが反乱軍狩りを決行。
革命軍は総攻撃を受け、各地で敗走した。
この一刻を争う事態に対し、彼らはテストを行なわずにアンドロイド達を起動。
そして、指令を与えた。

『政府軍を粉砕し、バングラーを暗殺せよ』

かくして、革命軍最後の反撃が開始された。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆オリジナル版を大胆に改変しつつ、新たな面白さと爽快感を実現させた完成度の高いゲームシステム
◆奥行きによる軸移動を無くし、目前の敵との戦いに自然と集中できるよう構築されたサッパリとしたステージ構成
◆迫り来る敵をなぎ倒す爽快感を大いに煽る、控え目に設定された敵の耐久力
◆初心者型、重量級、個性派と露骨な差別化が成された三体のニンジャ達
◆暗殺マシーンらしい、豪快且つトリッキーな攻撃アクションの数々
◆複雑なコマンドもなく、純粋にニンジャを動かす楽しさが堪能できる秀逸な操作性
◆手強いが、やり込む内に自然と突破法が見えてくる、絶妙なゲームバランス
◆敵の量のみならず配置まで変化する、大胆な差別化が図られた二つの難易度(更にニンジャごとに攻略法まで変化するので、やり込み甲斐抜群)
◆緻密な描き込みが光る、芸術的なドット絵グラフィック
◆各ステージを熱く盛り上げる、名曲揃いの音楽
◆プレイヤーに想定外の衝撃をもたらす、悲劇的なストーリー(特にエンディング)

--- Bad Point ---
◆初心者向けという元の性能に矛盾した、クノイチでのラスボス戦(他のニンジャ、カマイタチ以上に難易度が上がる)
◆凝ってるが、激しいフラッシュが多用されてるのがタマにキズな演出
◆非搭載の二人同時プレイ(あると面白かったかも)
◆ストーリーを除き、オリジナル版の魅力を取っ払ったゲーム内容(強い思い入れを持つ方ほど、賛否が分かれる)
▼Review ≪Last Update : 3/27/2011≫
邪魔する者達は全力で排除せよ。

全ては革命の為に。


『ダライアス』に続く三画面筐体ゲーム第二弾として登場し、津軽三味線を取り入れた印象的な音楽と救いの無いエンディングで話題を呼んだ『ニンジャウォーリアーズ』をスーパーファミコン向けにアレンジしたリバイバル作品。開発は『奇々怪界 謎の黒マント』などの傑作を手掛けた実力派メーカー、ナツメが担当。

オリジナル『ニンジャウォーリアーズ』の面影皆無のれっきとした別物。
だが、極めて高い完成度を誇る、傑作アクションゲームだ。

ゲーム内容は格闘要素を取り入れた、ステージクリア型アクションゲーム。三体の忍者型暗殺マシーンの内、一体を操作し、全8ステージの攻略に挑むというものである。各ステージは、要所要所で出現する特定数の敵を全て撃破することで、次の道が切り開かれていく『ベルトスクロール方式』で展開。カプコンの『ファイナルファイト』、ジャレコの『ラッシングビート』などと同じシステム、というとゲームに詳しい方ならばピンと来るだろう。
但し、それらのゲームとは異なり、今作にはステージ地形に奥行きの概念が無い。一本軸で構成された、非常にシンプルな設計となっている。ベルトスクロール方式のアクションゲームというと、奥に移動したり、手前に移動したりするから大変だと、苦手意識を持つ方も居るかもしれない。しかし、今作にはそんな敷居の高い要素は皆無。気難しいことを考えず、迫り来る敵達を倒しまくる、爽快なゲームプレイが味わえる作りとなっている。
また、『ファイナルファイト』などと同様、コマンド入力による格闘要素も盛り込まれているが、これも極めてシンプル。基本的に十字キーとYボタンの二つを同時入力するだけで、簡単に技を繰り出せる仕様となっている。十字キーの斜め入力など、複雑な操作が求められることは一切無し。格闘アクションに対して苦手意識を持つ方も直に馴染める、取っ付き易い設計となっている。更に今作は、プレイヤーに迫り来る敵の耐久力も気持ち低めの設定。一番弱い雑魚敵にしてはパンチ一発で倒せてしまうなど、総じて脆さを全面に出した調整となっている。無論、中には数発の攻撃を当てないと倒せない敵も居るが、この弱めの設定の恩恵で、迫り来る敵をボコボコになぎ倒す爽快感が満喫できる。雑魚敵が倒し難い、それも奥行きの概念と同様、ベルトスクロール型アクションが敷居の高いゲームと見られる要因の一つでもあるが、そこにまで今作は切り込み、取っ付き易さと遊び易さを徹底。この手のタイプのゲームとしては異質な敷居の低さとお手軽感を演出している。これほどまで、『万人向け』と豪語できるベルトスクロール型アクションも、珍しいと言っても不思議ではないだろう。それほどまでに全く体験した事の無い未経験者でも、抵抗無く入っていける作りになっているのである。
今作独自の要素も存在。それが三体の忍者型暗殺マシーン。最初に述べたが、今作では三体の内の一体を操作し、各ステージを攻略していく事になる。選べるのは女性型のクノイチ、大柄のニンジャ、奇怪なカマイタチ。この選んだマシーンによって、ステージ攻略の難易度や展開が大きく変化してくるようになっている。というのも、これらの三体、非常に個性が強い。クノイチなら初心者型という事で使い勝手が良く、ニンジャは移動スピードが遅い反面、力があるので豪快なパワープレイができる利点があり、カマイタチは奇怪なアクションとスピーディな展開が楽しめる強みがあるなど、個々の味付けが露骨なほど濃い目に成されているのである。そんな風に味付けされてるものだから、選んだマシーンによっては本来簡単なステージが急に難しくなると言った変化も当然のように起こる。まさに「一粒で三度美味しい」。同じステージでも、三通りの遊び方が存在するなど、露骨な個性付けを行っているからこその奥深い内容に仕上げられている。敷居の低い設計に、ベルトスクロール型アクションに手馴れた方は味気無さそうと印象を抱くかもしれないが、それを補うかのようにこんな濃い要素。決して初心者だけを対象にしてる訳ではないないというのが、ひしひしと伝わって来るだろう。簡単そうに見えて、実は結構濃くて深い。桁外れの遊び応えを誇っているのである。
ベルトスクロール型アクションとしての作りは、結構シンプル。コマンド技、雑魚敵の弱さなど、総じて爽快感を重視したゲームデザインが図られており、この手のゲームでは珍しい設計となっている。しかし、キャラクター別に全く違うゲーム展開が楽しめるという、濃い要素も完備しており、必ずしも入門編の作品として収束させてないのがミソ。まさに隙無く万人向けを狙ってる、と言った具合。非常に入念な作り込みが成されたアクションゲームとして完成されているのだ。

しかし念の為、今作はアーケードゲームとしてヒットした『ニンジャウォーリアーズ』をスーパーファミコン向けにリメイクした作品だ。それなのにゲーム内容がまるで違う。アーケード版をご存じない方に対して簡単に説明すると、本来のニンジャウォーリアーズは左右から迫り来る敵を蹴散らしながらステージを進んでいく、一本道のアクションゲーム。格闘要素は無く、手裏剣を投げたりして敵を倒していく、単純な内容なのである。更に『兵装欠損』なる、ダメージを受ける度に攻撃手段が失われていく独自の要素もあり、それが一筋縄ではいかぬゲーム展開を演出していた。加えてバックではタイトーのサウンドチーム、ZUNTATA(ズンタタ)による鮮烈な音楽が鳴り響き、それが当時のプレイヤーを大いに魅了した。特にステージ1の『DUDDY MALK』の曲は、今日でもゲームミュージックの伝説的な名曲として、当時のプレイヤーのみならず、スーパーファミコン以降からゲームデビューした、若い世代の間でも語り継がれ続けているほどである。
だが、今作にはそんなアーケード版の要素や魅力はこれっぽっちもない。そもそもゲーム性からして別物。格闘要素のあるベルトスクロール型アクションだし、兵装欠損なんて要素も無い。音楽だってZUNTATAではないし、『DUDDY MALK』だって流れない。共通しているのはストーリーだけだ。そうも真っ赤な別物なので、もはやリメイクという自体、無理があるだろう。しかし、あえて強調しよう。真っ赤な別物だろうが、今作のアクションゲームとしての面白さ、完成度の高さは本物だ。スーパーファミコンが誇る傑作の一つと言っても過言ではない。
特に先に一通り語った、ベルトスクロール型アクションとしての突出した敷居の低さ、爽快感重視のゲーム性は強烈極まりない。とにかく、シンプルに作られているので、今まで『ファイナルファイト』などのベルトスクロール型アクションをやった事の無い方でも、すんなりと入っていけるのはかなりの強みと言える。
また、雑魚敵の耐久力を低めに設定した事でもたらされた爽快感も秀逸。次々と迫り来る敵を問答無用でボコボコ撃破していくのは非常に気持ち良い。自分自身が最強の暗殺マシーンとしてズンズン進み続ける、ターミネーターの気分が満喫できる。更に先の概要解説では紹介しなかったが、今作には敵兵を掴み、投げ飛ばす技も存在。この掴んだ敵兵を迫り来る別の敵兵に投げ飛ばし、まとめて撃破なんて事もできてしまう。一気に4〜5体もの敵兵を投げ飛ばしで一気に倒した際の爽快感は、言うまでも無いが相当なもの。ステージ構成が一本軸だからこそ、何も考えず直感的に当てられるというのも、地味ではあるが大きな魅力である。ただプレイのし易さを重視しただけでなく、独自のアクションを演出する目的でもステージ構成をフル活用してる辺りも、今作が如何に細部に渡って作り込まれているかを実感させられる。
雑魚敵の弱さにしても、よく考えてみればオリジナル版の名残だと言える。殺人マシーンとなって迫り来る人間の敵をザクザクと倒していく、それもまたオリジナルの特徴であると同時に、基本設定に忠実なゲーム性を演出していた部分でもあった。今作もそんな本来の形をジャンル違いとは言え、耐久力設定を控え目にしてその魅力を完全に表現している。これは紛れもなく、今作の製作スタッフが「壊すにしても名残はきちんと残さねば」と強く意識していた事の表れと言えるだろう。どんなに別物にしてしまっても、らしさだけは残す。元々のゲームをリメイクするに当たり、別物にしてしまうのは愛の無い行為としてよく非難の的とされるが、今作は的になる資格はこれっぽっちも無い。別物でも、かつてのらしさを残そうと努力した結果がきちんと残されている。しかも、きちんとゲームとしても面白いものにしている。この素晴らしい改変は褒めて然るべきだろう。そして別物にしてもらしさを残し、ゲームとしての面白さにこだわったスタッフの力量には改めて感服の一言だ。まさにこれぞ、正真正銘の職人による偉大なる所業である。
それらばかりでなく、ステージ構成や各マシーンの性能の作り込みの深さも相当なもの。ステージ構成はベルトスクロール型アクションの例に漏れず、シンプルではあるが、個性豊かな敵と絶妙な配置によって、飽きの来ないゲーム展開が楽しめる。各ステージ最後で待ち受けるボスも、トリッキーな技と躍動感溢れる動きでプレイヤーを大いに翻弄する面子ばかりで非常に魅力的。戦う面白さも抜群だ。マシーンこと、各キャラクターの個性付けの上手さもなかなか。それぞれ、操作感が違うので動かす楽しさばかりでなく、極める楽しさがある。個々の技もユニークなものが満載で、それらを駆使して敵を撃破していく気持ちよさは格別だ。性能が違うからこその、三度楽しめる魅力もまた然りだ。
別物という事で、アーケード版に強いこだわりを持つ方にとっては、断じて認め難い内容であるのは否定するつもりはない。あのシンプルな内容が好きだった方にとって、今作が受け入れ難いゲームなのは否めないだろう。
だが、繰り返すが完成度の高さは本物。オリジナルの名残もきちんと残されているほか、独自のゲーム性と爽快感には筆舌に尽くし難い魅力に満ちている。別物だからって安易に叩くのもおこがましいほど、今作には職人の技の数々が炸裂している。それらを体験する価値が如何ほどのものか、もはや言うまでもないだろう。

全体的なゲームバランスも素晴らしい。取っ付き易いとは言え、油断すると火傷する極めて適切な調整。確かな歯応えと達成感を堪能できる。また、本編では二種類の難易度を用意。初心者から中級者を対象としたノーマル、上級者を対象としたハードとそれぞれの門戸を開けているのも見事だ。しかも、各難易度ごとに敵配置や攻撃パターンが違うという凄まじさ。マシーンだけで三度楽しめるのに、難易度でその二倍は楽しめてしまう深さは、まさに圧巻の一言だ。
バランスのほか、操作性も良好。コマンド操作など、総じて入力がシンプルなので、格闘アクションが苦手な方でも安心してキャラを動かす楽しさが堪能できる。ボタン配置も適切で、文句の付け所はほとんどない。
更にグラフィックの完成度も相当なもの。緻密なドット絵によって描かれたキャラクターと背景は、今なお全く色褪せぬ強烈な魅力に満ち溢れている。
そして、音楽も名曲揃い。作曲は『奇々怪界 謎の黒マント』等で知られるナツメのサウンドクリエイター・岩月博之氏が担当。アーケード版とは異なる作風、更に新曲中心だが、いずれも熱い曲ばかりで、各ステージの雰囲気や場面を盛り上げてくれる。さすがにインパクトはオリジナルには劣るが、今作の音楽もなかなか侮れないレベルである。緻密に描かれたグラフィックと同様、ここも要チェックと言えるだろう。

その他、オリジナルのアーケード版でも話題を呼んだ悲劇的なシナリオも必見。単純明快な反乱劇と思わせて、最後に訪れるあまりに残酷な結末は、プレイヤーに深い問いかけを残すこと、間違いなしだ。演出周りも凝っていて、特にタイトル画面のオープニングは非常にカッコイイ作りになっているので、必見である。
色々魅力の多い今作ではあるが正直、別物ゆえ、オリジナルを知る人には好みの分かれるところがあるのは否めない。単品として見ても、クノイチでプレイした時に限り、ラストで苦汁を飲むハメになるなど、ちょっと惜しいところがある。
しかし、今作は間違いなく傑作だと自信を持って言える出来だ。ベルトスクロール型アクションとしては屈指とも言える敷居の低さ、爽快感重視のゲーム性と、細部に至るまで隙無く作り込まれている。グラフィックや音楽のレベルも極めて高いほか、悲劇的な結末など、プレイヤーの記憶に焼き付けられるインパクト絶大な売りもたっぷり。ベルトスクロール型には興味はあるけど、軸移動がどうにも…と、今まで抵抗を覚えてた方は勿論のこと、アクションゲーム好きにも自信を持ってお薦めする逸品だ。ベルトスクロール型アクションの入門編としても申し分無しの完成度。是非、一度お試しあれ。
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