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≫Pop'nツインビー(ポップンツインビー)
■発売元 コナミ
■ジャンル シューティング
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9345円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンティニュー無し)
■総説明書ページ数 26ページ
■推定クリア時間 50分〜2時間
平和なドンブリ島。いつものように、ツインビーとウインビーが元気にパトロールをしていたある日、突然、マドカという女の子から通信が入ってきた。
マドカの話によると、自分の祖父であるDr.マードックが、実験室の柱に頭をぶつけて悪人に変わり、自らの軍隊でもある『どんぐり隊』を使って世界征服に乗り出してしまったとのこと。悪人になってしまった祖父を元に戻して欲しいと依頼されたツインビーとウインビーは、マドカと共にマードックを元に戻し、世界征服の野望を阻止する為に出発。
かくして、大波乱の戦いが始まったのだった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージを順に攻略していく、シンプルで取っ付き易い基本ゲームシステム
◆敵の攻撃の緩さ、ライフ制など、シューティングとしては稀な敷居の低さを表現した、適切なゲームバランス
◆8段階まで用意された懐の広さが異彩を放つ、オプションの難易度選択機能
◆プレイヤーの思うがままのパワーアップ過程を組み立てられ、尚且つ駆け引きの面白さをも味わえる、シリーズ伝統の『ベル』によるパワーアップシステム
◆ただ協力するだけに留まらない、充実した遊びが秀逸な二人同時プレイ
◆か弱きパートナーを守る、エスコート感覚で楽しめるのが新鮮な『カップルモード』
◆同時プレイならではのハチャメチャさを煽る、過激極まりない『投げ攻撃』
◆街、海底、遺跡、そして要塞など、バリエーションに富んだ全7ステージ
◆ボタン配置から触り心地まで、高いレベルでまとめられた抜群の操作性
◆パステルカラーを主体とした、ポップな画風が見る者を釘付けにさせる美麗なグラフィック
◆可愛らしい世界観に程好くマッチした、ノリの良い音楽
◆大型ボスの登場など、ゲーム展開の盛り上がりを高める仰々しさ溢れる演出の数々
◆全難易度制覇や2周目など、コアユーザーも納得の充実したやり込み要素

--- Bad Point ---
◆ゲーム展開を単調にさせかねないどころか、プレイヤー同士の関係をも悪化させるデメリットを持った『投げ攻撃』
◆あまりに唐突で、素っ気無さ満点のエンディング(高難易度だと少し変化するが…)
◆綺麗ではあるが、逆に目が疲れ易い欠点をも持つグラフィック(主張が激しい)
◆出現率が極端に低い、ライフ回復アイテム(もう少し、高くしても良かったんでは…)
◆地味に冗長な感も否めない全7ステージ(ダレを防ぐ処置は凝らされているが)
▼Review ≪Last Update : 8/9/2008≫
マドカのモデルは、ゴエモンシリーズのデザイナー(男性)だった。

その事実を知り、固まったファンはどれほどいただろうか。


コミカルで可愛らしい世界観と白熱の二人同時プレイ、適切なゲームバランスで好評を博し、シューティングゲーマーのみならず女性ユーザーからの支持も得た『ツインビー』シリーズのスーパーファミコン初進出作品。

初心者も気軽に楽しめる、敷居の低さが売りの名作シューティングゲームだ。

ゲーム内容は縦スクロールで展開する、オーソドックスなステージクリアタイプのシューティングゲーム。自機であるツインビーを操作し、迫り来る敵を倒しながら、全7つものステージを攻略していくというものである。
基本的にシューティングゲームとしては、ワリとよくあるタイプの作り。ただ、他のシューティングゲームとは一線を欠く特徴として、圧倒的な敷居の低さというのがある。これは、ツインビーシリーズ全体の売りであるのだが、ゲームバランスが非常に温い。よくシューティングゲームと言うと、苛烈な攻撃を仕掛けてくる沢山の敵を相手し、ミスしたらまたステージの最初からやり直しになる、シビアなバランスを採用するものがザラで、初心者には厳し過ぎるイメージが拭い去れなかった。それに対しこのシリーズは、そんなシューティング特有のシビアさを徹底的に除去。敵の攻撃を穏やかにし、ミスしてもすぐその場に復活でき、ごり押しでも楽々とクリアできる、温いバランスを標準装備。更に世界観もコミカルタッチなものとし、初心者でも気軽に遊べる、敷居の低いシューティングゲームを確立させたのである。そして、それらの特徴が幸を奏し、それまでシューティングゲームを遊んだ事の無い層の取り込みに成功。更に、コミカルな世界観に惹かれた女性層からの支持をも得るまで成し遂げてしまったのだ。
そして…ようやく本題となるが、今作もそのシリーズ伝統のDNAをしっかりと継承。従来の残機制から、ダメージによるライフ制にシステムを変更、難易度選択機能の実装、パンチや投げと言った攻撃バリエーションの増加など、様々な改革が執り行われ、よりその敷居の低さに磨きのかかった仕上がりとなっている。
特に難易度選択機能は、更にシューティング初心者と上級者への門戸を広げている。と言うのも、この選択機能で選べる難易度というのが多い!全部で8種類と、あらゆるユーザーに対応した充実のラインナップとなっているのだ。
だから、どんなスタイルで本編をプレイするのかも思いのまま。気軽に楽しみたければ一番簡単な難易度を選び、手応えのある展開を楽しみたければ最も難しい難易度を選べば良いなど、色々な楽しみ方が試せるのである。
勿論、敷居を低くしたのは難易度選択機能だけではない。ライフ制により、自機がやられ難くなったのも、初心者にとっては有り難いし、攻撃のバリエーションもパンチによる弾の跳ね返し、そして強力な『ボム』による攻撃が、最大9発までストックできるようになったのも、ゲームバランスの温さに更なる拍車をかけている。
シリーズ伝統の『ベル』によるパワーアップシステムもまた然り。今作では『ベル』のアイテムを取る事で、その色によって自機のスピードアップや弾の強化が行えるのだが、この『ベル』の色というのが、プレイヤー側で好きに変更できるようになっているのだ。その変更方法も簡単で、ただベルに攻撃するだけ。するとバウンドし、何発か当てると色が変わるのだ。これにより、プレイヤーの思い通りの自機強化が図れてしまう。間違った強化を行い、もどかしい思いをする事も無く、気持ち良くステージ攻略に挑めるのである。更に、このシステムは思い通りの強化を図れるのみならず、(後述の)二人同時プレイではパートナーのサポートとなったりなど、別の魅力を引き出している辺りも見逃せない。また、ベルの色を変えるには弾を撃つ必要があり、下手に集中し過ぎると敵への攻撃を受け易くなると言った、駆け引きの面白さを演出しているのも面白い。単なるパワーアップアイテムを、ゲームの面白さへと直結した、そのゲームデザインは巧みの一言だ。

そして、今作最大の魅力と言っても過言ではないのが二人同時プレイ。ツインビーシリーズの伝統として、今作も二人一緒にステージ攻略を楽しめるようになっている。しかし、その同時プレイを盛り上げる工夫と言うのが今作、凄い。シューティングどころか、他のアクションゲームでも「こんなにも充実した二人同時プレイって滅多に無いんじゃないか!?」と言いたくなるほど、充実した仕上がりとなっているのだ。
特にその象徴とも言えるのが、『カップルモード』の存在。今作では、オプションで二人同時プレイのモード切り替えができ、ここで『カップルモード』なるものが選べるようになっているのだが、これというのがまた前代未聞の内容。何と、1プレイヤー側に攻撃が集中し、2プレイヤー側には攻撃が来なくなる。(両者共に、攻撃は可能)
またの名を『集中砲火モード』。2プレイヤーという名のか弱き乙女(注:2Pが操作するキャラは女性です)を守りきるという、エスコート感覚のプレイが楽しめるようになるのである。だから、これを選べばそのゲーム展開はある意味、地獄のようなものに。通常の強力プレイとは趣の異なる、風変わりな手応えを堪能できるのだ。
まさに、女性層からの支持を得たツインビーシリーズならではの要素。実際、このモードは文字通り、男女のカップル同士でプレイすると滅茶苦茶盛り上がる。男が愛しの彼女を守り通す…それだけでも、かなり良い雰囲気で楽しめそうなのは、想像に難くないでしょう。その2プレイヤーを操作する彼女が、ゲームがそんなに得意という訳でもないステータスだとすれば完璧だ。更なる関係の発展が見込めるでしょう。
また、カップル同士のプレイもさる事ながら、上級者と初心者同士がプレイする際も、このモードは良い雰囲気を構築。シューティングの苦手なプレイヤーが2P側に周って援護射撃を担当し、シューティングの得意なプレイヤーが1P側に周って前線を担当すると言った感じに、真の意味で「協力して戦っている」という手応えを堪能できる。そして、本編がクリアできないから上手い人に手伝ってもらう…という時でも、このモードは大いに活躍してくれる。まさに、使い方は人それぞれ。個性豊かなゲームプレイを演出してくれるのだ。
この『カップルモード』以外にも、片方のプレイヤーを文字通り投げる『投げ攻撃』、『ライフの受け渡し』と言った二人同時プレイを盛り上げる要素は存在。特に前者の『投げ攻撃』は、まさに二人同時プレイの特権とも言うべき強力な技で、これを使えば大半のステージはごり押しできてしまうほど。ピンボールのように飛び跳ねまくる相手の自機と、それによってやられていく敵の姿には思わず、笑ってしまうこと、間違いなしだ。しかも、この攻撃は回数制限無し(無限に出せる)のだから、なおのこと。その大らかさには、思わず「こんなんで良いのかよ!」とツッコミを入れたくなるのもまた、間違いなしである。だが、あまりに使い過ぎると逆にゲームの展開が面白くなくなるどころか、『カップルモード』だと両者の関係を悪化させる恐れがあるので、乱用にはご用心。バランスを壊しかねない要素に見えながら、変なところでデメリットを象徴するこのバランスには、正直言って感服である。バランスどころか、関係も壊すとは何という狙いっぷりだ。
とにかく、見ての通りに今作は二人同時プレイの遊びが充実。二人同時プレイといったら協調とか、1P側のサポートだったりするのがザラだが、今作はこうも、二人同時プレイだからこそできる遊びというものを追求しているのである。
まさに、理想の二人同時プレイ像、ここにあり。気合の入った仕上がりとなっているのだ。

その他、操作性も申し分無し。ボタン配置など、適切なバランスとなっているので、動かしているだけでも面白い。シューティングには手馴れたコナミのこだわりが炸裂してる。納得行かない場合は、オプションで変更する事もできる。こんな親切な機能が備わっているのも、敷居の低さが売りの本作ならではと言ったところだ。
バランスも先の通りだが、基本的に温くはあるが、一番簡単な難易度でもちょっと難しいところがあるなど、全てが温いという事になっていないのが実に秀逸だ。スラスラ進めちゃ、面白くも無いというこだわりが感じられる。
グラフィック、音楽も素晴らしい出来。特にグラフィックは、パステルカラーを主体とした可愛らしい世界観にマッチした仕上がりとなっている。キャラごとのドット絵とそのアニメーションも滑らかで、コナミの職人技が光る。
演出周りも流石、魂斗羅スピリッツやアクスレイなど当時、技術力の高いゲームを次々とリリースしてきたコナミが手掛けているだけに、らしさが炸裂。先の二作ほどのインパクトはないが、画面に入りきれない大型ボスが出てきたり、多重スクロールを活かした仕掛けが出てくるなど、その仰々しい展開は見応え満点だ。また、シューティングには大事な爆発絡みの演出もこだわっており、強敵を倒した際にはド派手な爆発が起きるなど、気持ちよさと確かな手応えを大事にする姿勢がしっかりとしているのも素晴らしい所だ。

それらのグラフィックや演出で彩られたステージも、街、海底、空中、遺跡、火山地帯、要塞などバリエーションに富んでいて、プレイヤーを飽きさせない。基本、どのステージも長めだが、ステージによっては突然スクロール方向が変わったり、思わぬ敵が乱入したりと言った展開が豊富に用意されており終始、ダレずに楽しめるようになっているのも特筆すべきところだ。 他にも、アニメチックなステージクリア後のデモなど、語るべき魅力はまだまだある。
強いて言えば、エンディングが素っ気無かったり、グラフィックの主張が強過ぎて、目が疲れ易いと言った、地味な欠点もあるが、いずれも些細なレベル。シンプルなシステムに温いバランスはさることながら、駆け引きに富んだパワーアップシステム、遊びが満載の二人同時プレイ、個性豊かなステージと見所満載の今作。初心者から上級者まで、幅広く楽しめる、シューティングゲームの名作だ。取っ付き易さは保証付きなので、シューティングゲームはちょっと…という方も是非、機会があったらプレイしてみて欲しい逸品だ。文句なしにお薦め。また、上級者も是非、お試しあれ。特に最高難易度の可愛らしさの裏に秘められし毒は、何が何でも味わってみるべし。可愛いからって油断するな!
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