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≫パネルでポン
■発売元 任天堂
■開発元 インテリジェントシステムズ
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5800円(税別) / バーチャルコンソール版:823円(税込)
■公式サイト ≫スーパーファミコン版(任天堂公式) / ≫VC版(Wii) / ≫インテリジェントシステムズ公式
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■総説明書ページ数 見開き形式
■推定クリア時間 1〜2時間(エンディング目的)、25〜40時間(完全攻略目的)
色々な動物と妖精達が住む世界。

この平和な世界に突如、何処からとも無くモンスター達がやって来た。彼らは妖精達を虐めたり、世界を荒らし回ったりとやりたい放題。更には妖精達に悪い魔法をかけ、互いがケンカするようにしてしまった。

このままでは、世界がモンスターに支配されてしまう。
ただ一人、魔法から逃れた花の妖精リップは一人、仲間達を助けに向かった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆説明書要らず、練習要らずのシンプルさが見事な抜群の操作性
◆連鎖テクニックのレクチャー、操作解説など綿密に盛り込まれた初心者救済処置
◆15パズルの特徴と「せり上がり」なる新しい形を提示した、斬新なゲームシステム
◆『エンドレス』、『ステージクリア』、『VS.COM(&2P)』など、充実したゲームモード
◆偶然ではなく、必然によって成り立つ新しい定式を打ち出した連鎖の概念
◆これぞアクションパズルと称するに相応しい、瞬時のコントローラさばきで成り立つテクニック『アクティブ連鎖』
◆見た目の雰囲気に反し、充実したボリューム(隠し要素も満載)
◆初心者と上級者の差が出易いが、一度始めると癖になる中毒性が見事な対戦プレイ
◆パズルゲーム特有の一度始めるとなかなか止められなくなる中毒性
◆簡単過ぎず難し過ぎずの按配が取れている、絶妙のゲームバランス
◆妖精の世界観を意識した、華やかで美しいグラフィック
◆上に同じく世界観とマッチした、華やかさが素晴らしい音楽
◆素人がやっているにしては意外に上手いボイス(失礼な言い方だが)

--- Bad Point ---
◆コツを掴むまではマトモなプレイができないほどの敷居の高さ(慣れれば問題ないが)
◆万人向けとは程遠い世界観(女の子向けにし過ぎ)
◆『ステージクリア』、『パズル』のパスワードが長過ぎる(短くして欲しかった)
◆『VS.COM』にパスワードコンテニューシステムが無い(できれば、あって欲しかった)
◆初心者と上級者の実力差が出易い、対戦バランス
◆『ステージクリア』のスペシャルステージの難易度が高い(特に後半の方がヤバい…。)
▼Review ≪Last Update : 9/22/2007≫
3連鎖から全ては始まる。

それ以下だと何も始まらない…。


『15パズル』を題材とした任天堂の新作アクションパズルゲーム。開発は『ファイアーエムブレム』で知られるインテリジェントシステムズ、プロデュースは故・横井 軍平氏という豪華スタッフによって作られた作品でもある。

単刀直入に断言する。日本のパズルゲーム史に名を残す、伝説的な名作だ。

ゲーム内容は、繰り返しとなるが『15パズル』の要素を取り入れた、アクション性の強いパズルゲーム。プレイヤーはフィールド内に敷き詰められた、全部で6つの絵柄が用意されたパネルをカーソルを使って左右に動かし、パネルが画面上部まで積みあがらないように、同じ柄を3つ以上揃えながら消していく。
基本となるゲームルールはこのような感じで、ワリと地道な作業が要されるパズルゲームとしての印象が強く感じられると思うが、あくまでもこれは基本となる部分。メインとなる部分には、これまでのパズルゲームには無かった、全く新しい試みが成されている。中でも際立つのが『せり上がり』なる新方式だ。本作では画面下部から横一列に敷き詰められた形となって消す対象であるブロックことパネルが「せり上がって」来るという、何とも奇抜な方式を取り入れているのである。しかも、このせり上がりはこちら側で任意に制御する事もでき、一瞬にしてフィールドをピンチに陥れる事まで出来てしまう。自分の好き勝手にフィールドを危機に陥れて何のメリットがあるんだと疑念を抱いてしまうかもしれないが、実はこの自分でパネルのせり上がりを制御するという事は本作においては重要なテクニックであり、せり上げればせり上げるほど、フィールド内のパネルが増えて沢山消せるようになり、スコアが稼ぎ易くなるのだ。
更に、先程に述べたが、フィールド内に敷き詰められたパネルをカーソルを使って左右に動かす…の通り、フィールド内に点在するパネルは、基本的に全て動かす事が可能である。つまり、パネルが沢山あれば、連鎖消しや4つ以上のパネルを消す『同時消し』も狙い易くもなるのだ。主にこれは対戦に限定したテクニックであるが、これだけでも如何にこのせり上げが重要なテクニックであるかはお分かりになっただろう。
だが、先も述べた通りにパネルは上げれば上げるほど、画面上部に近づいていくのだから、ゲームオーバーの可能性が強まる。また、早急なパネルの処理が要されるようにもなるので、相当な腕が無いと挽回できない所もまた、大きなデメリットである。しかし、それでもピンチになればなるほど、こちら側のチャンスがありえない位に増すというのは、これまでのパズルゲームにはあまり無かった感覚だ。また、敷き詰められたパネルを全て動かせ、それを活用して連鎖の流れを構築できる『アドリブ性』、そして偶然ではなく必然によって成り立つ連鎖消しというこれまでに無い新たな手応えを表現しているのも、これまでのパズルゲームには無かったものである。
他にも、落下するパネルの間に別のパネルを横から入れ、強引に連鎖の流れを構築する『アクティブ連鎖』、せり上がりを妨害する唯一の落ちモノ『おじゃまパネル』の存在など、これまでのパズルゲームとは一線を欠く要素は盛り沢山。
偶然ではなく、必然によってゲームが展開していく…。この手応えとシステムはまさに、パズルゲーム史上に残る画期的な発明と言ってもおかしくは無いだろう。このように、基本は地味ながらも中身は偉く斬新な内容となっているのだ。

だが、ここまで聞いてきて「必然によってゲームが展開するって、ちょっと難しそう」と思う方がいると思うが、残念ながら…それは否定できない。偶然でなく、自らの腕が主に対戦における勝利の鍵となるので、結果的に腕のある人と無い人の差は露骨に出てしまう。その為、どうしてもバランス的に有利不利が強調されてしまうのが辛い所でもある。
その辺のバランスは如何にも本作がアクションパズルゲームらしい…とも言えるが、結果として万人受けしそうに無い敷居の高さを表現してしまっていることは拭い去れない。
しかし、色んな人に遊んで欲しい…という為の工夫はしっかりと凝らされている。操作解説、ルール説明からテクニック紹介など、チュートリアルは豊富に用意されているし、ゲームモードも全部で7種類と豊富。パネルが天井に触れるまでゲームプレイを続ける、持久戦モードの『エンドレス』、2分間にどれだけの得点を獲得できるかを競う『スコアアタック』、ゲーム中に現れるクリアラインより上のパネルを全て消しながら、面を攻略していく『ステージクリア』、決められた入れ替え数で、画面内のパネルを全て消す『パズル』、そしてストーリーに沿いながら、コンピュータと対戦をしていく『VS』、2人対戦モードの『VS』と『スコアアタック』が用意されており、実に多彩な遊びを楽しむ事ができる。いずれのモードにも、「絶対に遊べ!」…というようなプレイヤーを縛る演出が成されていないところにも好感が持てる。とりあえず、パネルをポンと消していく快感を味わって欲しいという制作側の心配りが働いていると言ってもいいだろう。
特にゲームモードにおいて『ステージクリア』は実に秀逸。ただ、何も考えずにパネルを消していく…それだけの内容で、さほど高度なテクニックを要されないので気軽に楽しめる。時折、プレイを守り立てる演出としてボスステージが挿入されたりなど、単調な展開にさせないための工夫が凝らされてるのもナイスだ。個人的に一番のお薦めはメインとなる、ストーリー付きのCPU対戦モード『VS.COM』なのだが、初心者の方はまずこちらから遊んでみる事をお薦めする。これだけでも、十分にお腹いっぱいになれるだろう。
勿論、コアユーザーの為の配慮もバッチリで、隠しステージや隠し難易度等のやり込み要素も完備されている。全体的なボリュームも全モードを含めると成ると相当なもので、元の値段を思わせないレベルである。まさに、色んな人に楽しんでもらいたい思い故に生じた配慮とも言うべきか。少しやり過ぎじゃないと感じる所もあるが、この充実ぶりはお見事。敷居の高さを完璧に払拭するほどではないが、色んな人のニーズに合わせた上手い工夫と言える。

また、硬派なイメージを出来るだけ抑える為、世界観を女の子向けにシフトしている所もまたユニークな工夫と言える。しかし、これはこれで返って子供を含む男性ユーザーを遠ざける副作用を生んでしまっているのも否定できない。幾ら本作がパズルゲームとしては革命的な内容であるにしても、こんな外装では近づけない人はとことん近づけない。しかも、本編中ではボイスによる演出まであるのだから尚のこと。あくまでも、単なる飾りとしての徹底を配っていればまだ良かったのだが、流石にこれは悪い意味でやり過ぎだ。折角、中身が良いのに勿体無い。ましてや本編がそこまで女の子に受ける内容であるか、と言われると「?」なのも痛い所だ。まぁ、人にもよるが…。
しかしそんな世界観を彩るグラフィック、音楽の出来は相当なもので、ゲームモードの充実振りに匹敵するほどの”やり過ぎさ”が滲み出ている。特に音楽の出来は秀逸で、ゲーム中にサウンドテストが用意されていないのが惜しまれる位。これを聴く為の目的だけで本作を遊んでも、決して後悔はしないと断言する。
その他、先程に述べた腕が露骨に出易い欠点を含むゲームバランスに関しても、なかなか緻密に調整されているなど一切の妥協を感じさせない。また、操作性も抜群に良く、十字キーとABボタンしか使用しないシンプルさも見事だ。ここまでシンプルで分かり易いのに、わざわざ本編中に操作解説を用意したのは、説明書が無い人や友達の家などで初めてプレイする人に対しての処置なのか。気の利き過ぎにも程がある…。

これ以外にもゲームモードの話に戻って、遊ぶ度に自分達が上達していく面白さまでもが味わえる対戦モード、任天堂らしからぬ『VS.COM』のストーリー等、見所は満載。
必然によってゲームが展開するシステムの都合上、上手い人と上手くない人の差がどうしても出てしまう(ハンディキャップをつけても)バランス、コテコテに女の子向けな世界観、そして『ステージクリア』と『パズル』において登場するパスワードの覚え難さ、『VS.COM』のパスワード不在など敷居の高さを煽る部分がチラホラとあるのが困った所でもあるが、せり上がりなる新しい方式を取り入れたゲームシステム、アドリブによって成立する連鎖など、全体的には名作と言わしめる要素が大半を占める。
操作は簡単ながらもやや敷居が高いのがもどかしいが、内容の面白さは保障する。パズルゲーム好きは当然ながら、パズルゲーム未経験者にまで是非とも触ってみて欲しい逸品だ。色々とここでは欠点を強調して語ってきたので、最初の伝説的…という表現に疑念を抱く方は沢山いるかと思うが、その言葉に一切の偽りは無い。とにかく…徹底的に、手にマメが出来るまでやり込んでみて欲しい。何故、本作が伝説的な名作と評されるのか、その理由が分かるはずだ…。
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