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≫レンダリング・レンジャーR2(ダブルアール)
■発売元 ヴァージンインタラクティブエンターテインメント
■開発元 レインボーアーツ、ソフトゴールド
■ジャンル アクションシューティング
■CERO(推定) B(12歳以上対象) ※出血描写あり
■定価 10800円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(パスワードコンティニュー方式)
■総説明書ページ数 15ページ
■推定クリア時間 1時間30分〜2時間(エンディング目的)、5〜6時間(完全攻略目的)
遥かなる未来、地球は正体不明の異星人による襲撃を受けた。
各国の軍隊が抗戦したが、異星人の圧倒的な戦力の前に成す術もなく敗戦。
主要都市の数々は廃墟と化していった。

敵の本拠地を叩かねば勝利は無い、という結論に達した各国の首脳陣は、武力鎮圧を目的とした特殊部隊『RENDERING RANGER(レンダリング・レンジャー)』を召集。その中でも際立つ兵士の一人、R2(ダブルアール)に対し、敵の高性能宇宙戦闘機の入手及び、敵本拠地のせん滅を命じた。

指令を受けたR2は敵が占拠する廃墟へと出撃。
かくして、地球の命運をかけた大反撃が始まった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆銃撃で迫り来る敵を情け無用で倒しまくる、単純明快・爽快感抜群のゲーム性
◆アクションゲームと横スクロール型シューティングの二つが楽しめる、ハイブリッド仕様の個性的なゲームシステム
◆ほぼ全てのボタンを使いながら、驚くほど直感的に動かせる、優れた操作性
◆コナミの『魂斗羅』シリーズに対する愛が込められたアクションステージ
◆自機の方向転換という独自のシステムが新鮮なシューティングステージ
存在しない処理落ちと画面のチラつき(20以上の敵が現れても遅くならない!)
◆プレイヤーに新鮮な驚きと裏切りを提供する、ハイブリッド仕様ならではのレベルデザイン
◆レンダリングCGによるデザイン、規格外の大きさと攻撃で見る者を圧倒させる、迫力満点のボスキャラクター達
◆レンダリングCGによって描かれた、美しくて迫力満点のグラフィック
◆SF映画を思わせる重厚なテイストで仕上げられた、熱くてノリの良い音楽
◆仰々しいとしか他に言い様ない爆発演出(エフェクトもド派手)
◆撃ちまくるゲーム性の爽快感と重厚さを引き立てる、質の高い効果音
◆随所に仕込まれた、日本のアクションゲーム、シューティングゲームのパロディネタ(R-TYPEの巨大戦艦など)
◆種類豊富なオプション機能(難易度選択、主人公のカラー変更など充実)

--- Bad Point ---
◆極端なゲームバランス(武器が弱くなると途端に難易度が上がるなど。如何にも当時の海外製ゲームっぽい作り)
◆見た目は美しいが、トーンが暗めのグラフィック(特にアクションステージで登場する穴の視認性の悪さはちと問題アリ)
◆妙に大き目のプレイヤーの当たり判定
◆当たり判定の大きさの所為で異様に難しいステージ8序盤の通路地帯
◆ステージ7の背景を彩るグラフィックの自己主張の激しさ(敵を視認するのが困難)
入手困難(中古でも1万超えが普通。箱説明書の完品に至っては5万越えもある…。)
▼Review ≪Last Update : 11/21/2010≫
終わらない、まだ終わらないッ!

ジャンジャン出してくよ〜。(※某ステージにて)


海外で好評を博したアクションゲーム『タリカン』シリーズの原案者であるゲームデザイナー、マンフレッド・トレンツとドイツのレインボーアーツ、ソフトゴールドの二社とのタッグで誕生した、新作アクションゲーム。海外制作でありながら、日本でしか販売されなかったという奇妙な背景を持つ。

気軽に撃ちまくる快感と豪快な演出が光る、隠れた傑作アクションゲームだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクション。主人公のR2(ダブルアール)を操り、迫り来る敵を銃撃で倒しながらステージを攻略していくというものだ。本編は基本、一本道で展開。各ステージのクリア条件も最後に待ち構えるボスを倒すだけと、非常に単純明快なものとなっている。悪く言えば、一本道スタイルを起用したアクションゲームではよくあるタイプ。新鮮味に欠ける作りだ。しかし、そんな単純明快なアクションと思いきや、実はそうでもない。全体構成…レベルデザインの部分において、ユニークな試みが凝らされている。
結論から言ってしまうと、実は今作、アクションゲームと横スクロール型シューティングゲームのごちゃ混ぜ。ステージによってアクション、シューティングとゲームそのものが変化するという、ハイブリッド型のレベルデザインが図られている。アクションだけに特化した内容では無いのである。その為、構成の起伏も山あり谷ありのとてつもない激しさ。最初から最後まで、一切目が離せない展開が画面いっぱいに繰り広げられる。
また、この手の異なるジャンルをミックスしたゲームは、よく『ルール』が設けられ易い。アクションステージは奇数だけ、シューティングステージは偶数だけ、と言ったものだ。これを設けることで、各ステージが始まる際に心の準備ができ、且つ対処し易くなるというメリットがある訳だが、今作にはそんなルールなど一切無し。「心の準備なんてさせるか!世の中、唐突なものなんだ!」と叱るかの如く、奇数だろうが偶数だろうが、いきなりアクションが始まったり、シューティングが始まったりする。プレイヤーに予想させる事自体を禁ずる、刺激最優先、アドリブ全開の設計になっているのだ。それ故に先が読み難い。アクションが始まるのか、と思ったらシューティングだったり、シューティングが始まるのか、と思ったらアクションが始まったりと、とにかく裏切りまくる。そんな意地悪な設計だから、ステージ開始前は常にドキドキ。プレイヤーの関心を引き付けて離さないのだ。全てがそんな具合という訳でなく、中では「次はアクションステージ」と暗示する演出を設けた所もある。だが、例によってその通りにならないケースもあるので、始まるまでは油断できず。それこそ先の繰り返しだが、「アクションと思ったらシューティングだった!」という展開になったりするから尚更。まさに明確なルールを設けてないからこそできた所業だ。ステージごとにジャンルが変化する、それだけでも刺激的だが、全体の構成もそれ以上。プレイヤーに常に新鮮な驚きと裏切りを提供する、細部まで凝りに凝った仕上がりとなっている。
また各アクション、シューティングパートの基本システムにおいて、国産ゲームのオマージュが炸裂しているのも見所。アクションは銃撃で迫り来る敵を次々と倒していくというものなのだが、思いっきりコナミの傑作『魂斗羅』そのもの。四種類の武器、広範囲に広がるショットにレーザーなど、それっぽいシステム、要素もあるので、魂斗羅を知る方なら「あり?」と苦笑いしてしまうだろう。ある意味、『パクリ』と言われても擁護の余地がないほどだ。ただ魂斗羅とは異なり、こちらはダメージ制。難易度的に易しめの調整となっている。また、敵に大ダメージを与える強力な攻撃『ボム』がほぼ常時連発できるなど、ゴリ押しプレイもやり易い(但し最大三発まで、使い切った後は専用ゲージが満タンになるまで使えなくなる)。純粋に撃ちまくる楽しさが味わえるという点では、シビアな作りの魂斗羅が馴染め難かった方には優しい作りとなっている。
シューティングの方も、見た目からしてテクノソフトの名作『サンダーフォース』そのもの。ただ、こちらもアクションと共通してダメージ制となっているので、敷居は低い。また、独特のシステムとして『方向転換』というのがあり、Bボタンを押すことで自機の向きを左右に変更できる。このシステムを考慮し、本編では後方から敵が現れたりと言った、他のシューティングゲームでは滅多にお目にかかれられないシチュエーションも満載。見た目は新鮮味に欠けるが、見所盛り沢山の仕上がりとなっている。また、ダメージ制であるが故、シューティングが苦手な方でも手軽に遊べる作りも侮れないところだ。
基本的にはシンプルだが、ハイブリッド仕様の強みが活かされたレベルデザイン、日本のゲームのオマージュ全開なアクション、シューティング周りのゲームシステムなど、他に無い強烈な個性を放つ箇所がそこかしこに点在。真新しさは皆無に近いとは言え、強烈極まりない刺激を兼ね備えたゲームとして完成されている。

今作最大の魅力は、その強烈な刺激の数々だ。厳密にはゲーム展開全般。アクションにシューティングと、ステージごとにゲームジャンルが変化する過程も充分刺激的だが、あくまでもそれは序の口に過ぎず。他にも、プレイヤーの目を釘付けにする、刺激的な要素が今作にはこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。
特に最大の見所はプレイヤーの前に立ちはばかるボスキャラクター達だ。これが「でかい!凄い!激しい!」の三拍子。大きくて攻撃も激しく、更には荒唐無稽な動きをお披露目したりと、どいつもこいつも個性が飛び抜けているのである。ステージを縮めたり(!)、口から極太レーザーを放ったり、巨体なのに軽やかに円を描きながら大量の敵をばら撒いて来たりと、無駄に激しい。中には画面奥から現れて、そこから攻撃を展開してくると言った、スーパーファミコンの拡大・縮小機能を最大限に駆使したボスも登場するほど。インパクトが桁違いの域に達している。それでいて、でかい。大半のボスはプレイヤーの二倍か三倍以上の大きさ。なので、単にその姿を見るだけで圧倒される。しかも、小さなボスは一体も存在しない。全てがでかい!そんな奴らと戦わなければならないのだから、コントローラを握る手にも自然と力が入ってしまうもの。インパクト抜群なら、戦い甲斐も抜群と、まさに刺激の塊同然の鬼気迫る作り込みが成されているのである。
更に驚くべきはボス達の数。何と総勢15体以上も登場する。しかも、ステージによっては複数体のボスと戦うという、衝撃的なシチュエーションもある。極め付けに15体以上のボスに使い回しは一切無し!全てが独立した個性を持つボスとして存在してるという徹底振りだ。作り込み過ぎにも程がある。言うまでも無いが、先に紹介した4体以上のボスにしても、全員独立したキャラクター達である。それまでに戦ったボスが登場したりはしない。それだけでも、今作が如何に凄いゲームなのか、察しが付くだろう。とにかく、気合いの入れ方が常軌を逸しているのだ。ある意味で今作は、アクションゲームの中で最も多くのボスが登場する作品だと断言しても良いかもしれない。こんな沢山のボス(しかも使い回しをせず!)が登場するアクションゲーム、他にあっただろうか?!また、ボス達はデザインも大きな見所。今作のタイトル名が現してる通りであるが、全てがレンダリングCGで描かれている。それ故に動きも非常に滑らか。また、多間接表現をあまり使わず、巨大なボスが動き回るという高度な技術が炸裂している点も必見だ。特にステージ5で登場する『二足歩行型ロボット』の動きは迫力満点。スーパーファミコンの底力を痛感させられること、請け合いだ。
高度な技術が炸裂しているのは、巨大なボスが動き回るところだけに限らず。今作ではとあるステージで、20以上もの雑魚敵が襲いかかって来る場面がある。20もの敵が表示されるという時点で、スーパーファミコンの性能を考慮すればもの凄い処理落ちとチラつきが発生し、ゲームどころじゃなくなる…とマニアな方ならイメージしてしまうだろう。ところが今作、そんなのが一切発生しない!別の言い方で言おう、今作に処理落ちなんてものは存在しない!20以上もの敵が表示されようが本来のフレームレートを維持したまま、ゲームが展開するのである!画面のチラつきも起きず!遅くなることも無く!性能からして発生して当たり前のはずなのにだ!信じられない光景が画面いっぱいに繰り広げられるのである。そんな20以上の敵を一気に撃破していく様は、スーパーファミコンのゲームの中でも屈指の迫力だ。あまりの凄さにほとんどの人は声を挙げてしまうのは避けられない。一体、どんな技術を用いてそのような場面を実現させたのか、疑ってしまうくらいだ。これ位の事ができるのなら、他の処理落ちが起きるシューティングゲームも工夫次第で無くせたのでは?、と突っ込みも入れたくなるほど。まさに正真正銘の神業。恐るべし、としか他に言い様が無い。
それ以上に恐るべしなのは、これほどの高い技術を用いながら、今作のプログラマーはたった一人。しかもディレクターとゲームデザイン、グラフィックも兼任しているということだが。貴方は何なんですか。神ですか。化け物ですか。
無論、エフェクトを始めとする演出周りの迫力も規格外のクオリティ。仰々しい爆風が飛び散るので、プレイの爽快感を引き立てまくる。随所にスーパーファミコンの拡大・縮小機能を活かしたギミックが仕込まれている辺りにも、衝撃を表現する事に対する強いこだわりが現れている。そして、そうも衝撃揃いだからプレイヤーを飽きさせることもなく。そんな具合に盛り上がる場面が今作には盛り沢山。しかも、システムは単純明快だから手軽に遊べ、誰もがそれを体験できる。究極という単語がこれほど似合うゲームも、スーパーファミコンの中では他に無いだろう。とにかく、全てが桁外れなのである。

ただ、全体的な難易度のバランスに関しては粗い。特にプレイヤーキャラクターの当たり判定が妙に広いのは地味にストレス。シューティングステージで狭い通路を進む場面などで、その問題が露呈されてしまっている。ダメージ制なので、一発死じゃないだけマシだが、ここはもう少し狭くするなどの調整を行って欲しかったところだ。またゴリ押しが効き易い反面、ミスして武器の強化が初期段階に戻されると、途端に難易度が上昇するのもちと極端だ。
とは言え、決してクリア不可能なほど難しい訳でない。またオプションに難易度選択機能が設けられているので、最低難易度ならばランボー・コマンドーなオラオラプレイが楽しめる。難易度によってプレイできないステージとかも無いので凄く良心的。少し粗はあれど、万人が遊べる事に対する配慮は整っている。また、操作性は非常に良好。ほぼ全てのボタンを使うが、メインは二つのボタン程度なので敷居は低い。挙動もキビキビとしていて、ジャンプ時の高さに関してもボタンの押し加減で調整できる日本製のアクションゲームを踏襲した仕様を盛り込んでいるので、動かす楽しさもバッチリだ。
グラフィックもレンダリングCGを用いてるだけに美しい。ただ、世界観が終末をテーマにしているだけにトーンが暗めなのは好みが分かれる。また、この暗さが災いして一部、判別の付き難いトラップが存在するのもちと致命的だ。可能ならば、オプションに明るさの調整機能を実装すると言った配慮を凝らして欲しかったところである。
対し、音楽は抜け目無しの完成度。SF映画を髣髴させる重厚でメロディアスな楽曲の数々は、各ステージを大いに盛り上げてくれる。特にステージ7の曲は演出も含めて必見だ。

ステージも全部で9つと、一本道型のアクションゲームとしてはなかなかのボリューム。舞台となる場所も廃墟、基地、夜景の美しい都市など、多彩で飽きさせない。更に一部のステージには日本のアクションゲーム、シューティングゲームのオマージュ、パロディも詰め込まれている。『R-TYPE』を髣髴とさせる複数のパーツで構成された巨大戦艦や『パロディウス』のちちびんたリカのような動きをするボスなど、元ネタを知ってる人ならニヤリとしてしまうこと請け合いである。
このように非常に高い完成度を誇る今作。処理落ち皆無の演出に巨大なボスキャラクター達など、スーパーファミコンのステージクリア型アクションの中では最高クラスと言っても不思議でない出来栄えである。
だが、如何せん…今作は恐ろしいほど入手困難。何でも8000〜1万本しか出荷されなかった為、中古でも1万超えが当たり前となっている。かなりの傑作なのに安易に手に伸ばせないこと、それが今作最大にして致命的な欠点と言える。それほどの価値が今作にあるかは正直、微妙なところであるが。
ともあれ、総評としてはアクションゲーム、シューティングゲーム好きなら要プレイの傑作だ。件の事情もあって入手困難、容易に買えないのがタマにキズだが、この規格外の迫力は一度でも体験しておく価値がある。機会があったらやってみて欲しい。こんなに凄いアクションゲームが、スーパーファミコンにあるのだ!
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