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≫ロックマン&フォルテ
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5800円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 4つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 3〜5時間(エンディング目的)、15〜25時間(完全攻略目的)
ロックマンとの戦いに敗れ、行方不明となっていたワイリーの消息が判明した。
彼は再び世界征服の野望を成し遂げるべく、新しい居城を建造していたのだ。

だが、何者かの襲撃を受け、城は彼らによって占拠されてしまった。
建造中のワイリーの城を占拠した首謀者は、ワイリーと同じく世界征服を企む「キング」名乗る謎のロボット。彼はロボット博物館から盗み出したロボットのデータを元に、自らの軍「キング軍」を編成し、世界に対して牙を向いた。

命かながら脱出し、ライト研究所に保護されたワイリーは、一時的にライト博士に協力する事を約束。
その結果、ロックマンとフォルテが事件の調査へ向かう事になったのだが…?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆それぞれ異なるアクションとストーリーが楽しめる、ダブルヒーローシステムによる本編構成
◆前作基準ながら、移動速度向上などの再調整が図られて使い勝手に優れた性能になったロックマン
◆二段ジャンプ、八方向ショット、ダッシュなど、ロックマンとは異なるテクニカルなアクションを売りとするフォルテ
◆シリーズの原点たる硬派なアクションを突き詰めた、ブレのない調整芸が光る難易度設定
◆弱点の特殊武器で攻めた場合でもテクニックを要するなど、これまでになく手強い面子揃いの全八体のボス達(その内の六体はロックマンの漫画を描いた作家陣がデザインを担当)
◆ジャンプアクションの醍醐味と手強さを突き詰めた、シンプルながらも侮り難いステージギミック
◆ボスを一体倒す度に選択肢が増えていく、過去作とは異なる作りのステージセレクトシステム
◆いつでも着脱可能で、それによる多種多様な戦略と戦術を演出したアップグレード装備
◆レスポンスの良いアクションと適切なボタン配置が異彩を放つ操作性
◆数にして100枚、更にロックマンとフォルテでなければ獲得できないものまで用意するなど、一筋縄ではいかないやり応えを誇る新規の収集系やり込み要素「CD集め」
◆二つのストーリーと収集系やり込み要素によって、シリーズ随一の物量を実現させた総計ボリューム
◆過去八作だけでなく、ロックマンワールドシリーズ、更にはメガドライブの『ロックマンメガワールド』のキャラクターまで網羅したCD集めの特典こと「データベース」
◆前作より継承されたセーブシステム(パスワードをメモする手間は一切無し)
◆前作の流用ながら、スーパーファミコンとは思えぬ美しさを誇るグラフィック
◆美しいグラフィックによって表現されたド派手な演出(特にフォルテの武器ゲットデモ)
◆音質こそハード準拠となったが、シリーズ特有の臨場感と疾走感に秀でた音楽
◆ロックマンとフォルテ双方の視点で描かれる見応えのあるストーリー

--- Bad Point ---
◆調整は申し分ないが、基本的にシリーズ初心者、アクションゲームが苦手な人お断りの難易度
◆戦略・戦術性は魅力的だが、常にメニュー画面を開いて付け替える手間が煩わしいアップグレード装備
◆まさかの回復行動を取るに加えて、その速度がやたらと早く、急いで対処しないと元の木阿弥となるなど、バランス的にやり過ぎな所が見受けられるボス・ダイナモマン
◆弱点の特殊武器で攻める際、他のボス以上に先を読んだ立ち回りが要求されるボス・バーナーマン
◆中ボスの連戦で構成され、長丁場になり易い最終ステージ2
◆そのステージの二番手として登場する中ボスの苛烈さ(完全に忍耐力、アドリブ力勝負)
◆新鮮さはあるが、攻略ルートが若干固定される難点を持ったステージセレクトシステム
◆地味になってしまったボス撃破時の演出(特に大型ボスが味気なくなっている)
◆色んな意味でお約束過ぎる最後の展開(ただ、フォルテ側だと新鮮な構図になる)
▼Review ≪Last Update : 12/17/2017≫
宿命のライバルの最初で最後の共同戦線がここに。

そして、ライバルの方は初の正面対決が実現…?


カプコンの看板タイトル、ロックマンシリーズの番外編。本編八作目が早々に次世代機用に販売され、ハードの新規購入ができずに苦い思いをしたシリーズファンへのお詫びを込めて作られた経緯を持つ作品。ボスキャラクターのデザイナーとして、ロックマン漫画を執筆された有賀ヒトシ、出月こーじ、岩本佳浩の作家陣が参加されている。

アクション一本勝負の硬派路線に回帰した、シリーズ屈指のやり応えを誇る傑作だ。

番外編の位置づけだが、内容は過去のロックマンシリーズ八作に準拠。ステージクリア型の横スクロールアクションゲームで、主人公のロックマンを操作し、ワイリーの城を乗っ取った謎のロボット「キング」の世界征服の野望を阻止すべく、彼が率いる「キング軍」所属の八体のロボットと戦いながら、自身が鎮座する元ワイリーの城を目指すというものだ。
システム周りは同じスーパーファミコンで発売されたシリーズ七作目『ロックマン7 宿命の対決!』を踏襲。途中経過を保存するセーブシステムの実装、救済アイテム「E缶(エネルギー缶)」の廃止など、前作『ロックマン8 メタルヒーローズ』より継承されたものもあるが、「ネジ」を消費してサポート系、アップグレード系のアイテムを購入するショップシステム、探索要素濃い目のステージ構成など、作り自体は前々作を意識したものになっている。
ただ、本編構成は前々作どころか、前作とも異なる。一応、ゲームスタートと同時に「オープニングステージ」が始まり、それをクリアするとステージセレクト画面に移行するまでは共通しているのだが、前半後半方式は非採用。関連して「中間ステージ」も廃止されている。なので、従来の8つのステージを自由に選んで攻略していく方式に回帰した……と思いきや、違う。回帰などしていない。というのも、最初から8つのステージが選べない。選べるのはその内の三つだけで、残るステージは選べるステージをクリアするにつれ、解禁されていくようになっているのだ。いわゆる段階方式。ステージクリア型の王道スタイルを踏襲したものが採用されているのである。その為、今回のステージセレクト画面はステージ一つ一つが点と線で結ばれた樹形図のようなデザインになっている。クリアと同時に解禁されるステージもこの図の流れに沿っていて、基本的に点と線で繋がっていないステージはそこに関連したステージをクリアしない限りは選べないまま。プレイしたければ、その解禁に繋がるステージを攻略しなければならないのだ。ロックマンシリーズと言えば、最初から8つのステージが自由に選べ、プレイヤーの好みに応じた攻略ルートを構築して本編を進めていけるのが最大の特色であり、前半後半方式が採用された前作、前々作でも選択範囲は狭まりつつも、そのスタイルは堅持されてきたが、今回は番外編という事で最大の特色たる自由度を削り取るかものに変更。過去作にも増して攻略ルートがある程度、決められた構成になっている。それだと属性相関も突けないんじゃ、と思ったかもしれないが、そこは配慮されていて、最初に選べるステージ三つとそこから解禁されるステージは相関に基づいた並びにされている。自由度は下げられているが、そこだけはいつも通り。ただ、自由に選べない点はシリーズ経験者なら、率直に言って賛否が分かれるだろう。
また、今回のプレイヤーキャラクターはロックマンだけではない。タイトルの時点でバレバレだが、前々作でロックマンのライバルとして初登場した「フォルテ」が第二のプレイヤーキャラクターとして登場する。更にこれに関連して、『ロックマンX4』に搭載された「ダブルヒーローシステム」を逆輸入。ロックマンとフォルテ、それぞれを主人公に据えたストーリーがプレイできるようになった。システムの仕様自体は『ロックマンX4』と同じで、どちらのキャラクターにするかはゲームスタート時に決定。そこで選んだキャラクターでエンディングを目指す形となる。後からの変更、途中での切り替えが効かない点にしても一緒。別のキャラクターでプレイするなら、再び最初からやり直して、専用のセーブファイルを確保して進めていく仕組みになっている。その為、本作には二本分のストーリーを収録。シリーズとしては異例のボリュームになっている。ただ、『ロックマンX4』みたいに個別のストーリーでしか登場しないボスは存在しない。基本的にボスは両者共通で、細かいイベントが違う程度だ。なので、システム元ほどの違いを感じられるストーリーは楽しめない作りになっている。
しかし、アクションに関しては別。ロックマン、フォルテ共々異なる特色を持つキャラクターになっており、それぞれ独自のテクニックが要求されてくる。注目すべきはフォルテ。マシンガンのように弾を連射し、その最中に十字キーを倒すことで発射方向を変えられる「フォルテバスター」、ジャンプした後に更にもう一度ジャンプできる「二段ジャンプ」、敵の攻撃を瞬時に回避したり、ジャンプと組み合わせると長距離ジャンプができる「ダッシュ」と言った、ロックマンとは異なる高い機動力を持ち味とするキャラクターになっている。どことなく『ロックマンX』のエックス、ゼロを髣髴とさせるところもあって、特にゼロと被る箇所が幾つかあるところには『ロックマンX4』経験者ならばニヤリとしてしまう。ただ、ロックマンのようにチャージショットを放てないので、特にボス戦では特殊武器なしで戦う際、的確な回避が要求される。併せてステージの地形も機動力の高さに応じ、足場の配置などがロックマンの時とは一部変わる仕掛けも凝らされているので、ロックマンの時は苦労した局面がフォルテだと簡単になる……と言ったことも起き難い。むしろ、その時以上に難しくなったりもする。それもあって、意外とキャラクターとしては上級者向け。それなりに使い込むことが求められる設計になっている。しかしながら、独自のアクションの数々が放つ動かす楽しさはロックマンにはない魅力がたっぷり。ロックマンX風のキャラクターでロックマンのステージをプレイするという、「もしも」が描かれているのも面白い所で、侮り難いキャラクターに完成されている。その特性も相まって、彼のストーリーは難易度設定が高めにされているのだが、それを乗り越えてでも遊ぶべき価値のあるキャラクター。本作の新要素の中でも一際輝く存在感を放つものになっている。
もう一人のロックマンも基本性能は前作準拠で、シリーズ経験者ならばしっくりくる操作感を持ち味としている。また両者共通だが、ショップで購入できるアイテムの中に防御力と言った性能周りを強化し、手に入れればゲーム中にメニュー画面からいつでも着脱可能なアップグレード装備が用意されていて、それを用いての難易度調整も可能になっている。他に新要素として「CD集め」なる遊びを追加。ステージ内に隠された「CD」を回収することで、過去のロックマンシリーズに登場したボスキャラクター達のプロフィール情報が見れるようになるという、収集系のやり込み要素が用意された。CDの数は100枚もあり、ロックマンとフォルテ、それぞれのキャラクターでなければ手に入らないものも用意されている。前作こと八作目では「ネジ」がこの位置づけとして用意されていたが、それをより豪華に、且つやり応えのあるものへと昇華した格好だ。本編の攻略には関連しない初めてのやり込み要素という点で、シリーズ全体で見てもこれまでの本編一本勝負のスタイルに一石を投じるものになっていて、地味ながらシリーズ経験者には必見の新要素となっている。
全体的には従来のアクションゲームとしての作りはそのままに、番外編特有の仕掛けを盛り込みつつ、新たなプレイヤーキャラクターのストーリー追加と言ったやり応えの増強を図った内容。純粋にエンディングに到達すればそれで終わりとならないなど、遊びの面においても改革を行った、興味深い部分を多く持つシリーズ最新作に完成されている。或いは、「お詫び」を目的とした作品なりの集大成。『ロックマン8』、『ロックマンX4』の二作にて新規に実装された要素をスーパーファミコンにて体験できる、制作スタッフの有り難い配慮が滲み出た作品になっている。

しかしながら、難易度に関しては有り難さなど微塵もない。既に現役を退いたスーパーファミコンで今更出すのだから、ということでこれまでになく高めの設定になっている。その高い難易度こそが本作の魅力。シリーズの原点である硬派なアクション性を突き詰めた、初心者お断りのバランスを貫き通しているのである。
過去作で本作の難易度を例えるのなら、初代『ロックマン』とその続編『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』と同路線。ドット単位の調整が要求されるジャンプアクション、苛烈なボス戦、序盤から容赦しない姿勢などがそのまま踏襲されている。特に「オープニングステージ」をプレイすれば、そのことを嫌でも思い知らされる。というのも、最初のステージとは思えないぐらいに難しい。一発アウトのトゲトラップがしれっと出てくるのは序の口、大量の敵が床と天井から続々と湧いてきたり、行動力を低下させる横殴りの雨が降り出したりと言った厳しい展開が連続する。一応、ボスに関してはそれほど強くなく、直に倒せる程度に弱く設定されているのだが、それでも初っ端からの急展開にはシリーズ経験者でも面食らうこと必至。基礎を教える間もなく牙を向く構成になっているのである。
その後の本番も難局の連続。強制スクロールに追われながら狭い足場(しかも乗ると壊れる)を小刻みにジャンプして渡る、定期的に射出されるブロックに飛び乗って通常ジャンプでは届かない向こう岸に渡る、一定間隔で火の海と化すジャングルを安全地帯を確保しながら進むなど、息つく暇をも与えないシビアな展開が繰り広げられる。それらを突破した後に対決するボスも強敵揃いで、弱点となる特殊武器無しで戦うとなれば、相手側の動きをしっかり見切った回避を徹底していかなければ勝つのも困難。前作準拠で「E缶」も用意されていないので、力押しも効かないので尚更だ。更に弱点武器で攻めても、一方的な展開にはならない。怯ませることはできても武器エネルギーの消耗が激しいので途中から使えなくなる、少し工夫して使わないと大ダメージを与えるチャンスが作れないなど、一定のテクニックが要求されるのだ。酷いものでは、途中で回復行動を取り、それまで蓄積させたダメージを帳消しにする輩までいるほど。シリーズのお約束が通用しない、むしろそうするにはある程度の技術が要求されるという、捻りを加えたバランスになっているのだ。なので、前々作や前作のように一方的に攻め込めるという甘い考えで挑めば返り討ち必至。例え弱点を突く戦術で挑む場合も負ける可能性を念頭に置いて挑まねばならないなど、覚悟が試されるバランスになっているのである。
これだけでも、今回の作品がシリーズ初心者、アクションゲームを苦手な人を対象としていないのは明らか、むしろ触れてはいけない代物なのは言うまでもないだろう。そして、シリーズ経験者にも非常に手強い難易度。特に弱点の特殊武器で戦う場合でもテクニックを必要とするのは、完全に初代『ロックマン』と『ロックマン2』のそれ。とことん硬派を貫き通している。しかも、抑えた難易度を特徴としてきたチャージ攻撃有りのロックマンで、だ。それだけでも、今回の特異さが察せるだろう。しかし、硬派一直線ながらに統一感のあるまとまり方になっているのは大きな見所。確かに難しいのは事実で、終盤になると特殊武器を活用した地形の突破など、厳しい展開が繰り広げられるのだが、硬派であること貫き通しているだけにレベルデザインにブレがない。何より、ロックマンの醍醐味たるアクションの面白さを突き詰めているのが素晴らしい。近年のシリーズではスノーボードだったり、シューティングだったりと、従来のアクションから脱却した展開が挟まることが多々あったが、本作は頭からケツまでアクション一辺倒。ロックマン特有の特殊武器も活用しつつ、ドット単位の調整と相手の動きを見切りながら戦っていくアクションの醍醐味にこだわり尽くして全編が構成されているのだ。
それが功を奏してか、今回は極端に難易度が跳ね上がることもない。一応、終盤のステージ2はその節が見られる作りになっているが、トラップを連続で潜り抜けていく場面はほとんどなく、冷静に対処すれば安定して突破可能なバランスでまとめられている。ボスもまた然り。確かに今回は特殊武器で攻めても強いものがいるが、前々作のラスボスほど常軌を逸した強さのボスは存在しない。最初から最後まで、冷静に対処すれば安定した状態を維持して倒せるバランスでまとめられている。こんなの絶対無理だろ、と思えてしまうボスにも穴があったり、ショップで買えるアップグレードを活用すれば、安定して勝てるぐらいだ。そう言った突飛で難しい展開を挟んでプレイヤーを戸惑わせることは抑え、全編に渡って安定させることを厳守。結果として、全体の難易度こそシリーズでも1、2を争うほどに高めながら、安定したバランスを実現。手強いけど適切という、同じ路線の難易度でまとめられた初代、二作目の路線にまとめ上げているのである。
それでも回復行動を取る「ダイナモマン」は反則だろう、終盤のステージ2の二番目に戦う中ボス戦はアドリブ要求型にも程があるだろうと、突っ込み所が全くない訳でもないのだが、一つの方向性を元に設定されたのを伺わせる難易度になっているだけあって、統一感に関してはシリーズの中でも指折りのものを持っている。何より、チャージ攻撃を導入して以降のロックマンは徐々に難易度がマイルドになっていった為、それがある限り初代と二作目のような難易度の再現はできないんだと思われたことをぶち壊しただけでも、今回の調整に関しては評価に値するものがある。繰り返しになるが、シリーズ初心者とアクションゲームが苦手な人が触れたら大火傷する程度にきついバランスだ。シリーズ経験者であっても面食らうところがあるのは否定できない。しかし、それで済まされないほどの丹念な調整芸が本作の難易度には息づいている。さながら往年のカプコンの名作アクションゲーム……『魔界村』、『ヒットラーの復活(バイオニックコマンドー)』、『ミッキーのマジカルアドベンチャー』を髣髴とさせる味があるのだ。いつになく人を選びはするが、それらのアクションゲームのバランスに唸るものを感じたプレイヤーならば、本作もきっと気に入るはず。スーパーファミコン後期にて、かつてのカプコンが復活したことを実感させられるものになっているので、機会があったら試してみて頂きたい。

他に注目すべき点としてグラフィックがある。基本的に前作の流用なのだが、次世代機向けに作られた作品のグラフィックを旧世代機へと引っ張ってきただけあって、非常に美しい。ボスキャラクターを始め、新規のグラフィックも多く用意されているが、それらも使い回されたものと浮かないように統一感を出す作り込みが徹底されているなど、デザイナーの職人技が冴え渡る仕上がりになっている。動きも素晴らしく、特にステージクリア後のロックマン、フォルテの離脱アクションの滑らかさは圧巻。スーパーファミコンでここまで表現できるのかと、底力を痛感させられる仕上がりになっているので要チェックだ。人によっては、次世代機向けに作られた前作よりも美しいとすら感じてしまうかもしれない。
しかしその一方、演出周りは同じスーパーファミコンの前々作よりも劣化。特に大型ボスを撃破した時の地味な散り様には前々作を知るプレイヤーほど「もっとできるはずでしょ」と思ってしまうだろう。本作発売当時、某アニメで起きた集団光過敏性発作事件が世間を騒がせていただけに、派手な演出を控えようと自粛に動いた線も考えられるが(実際、同時期に発売された『星のカービィ3』でもその手の演出を抑えていた)、工夫次第でそれなりのものができたはずだ。できれば、前々作に負けないレベルのものを見せて欲しかったところだ。結果的に六作目と同程度に戻ってしまったのが残念。
とは言え、フォルテの武器ゲット時のデモなど、全編地味という訳ではない。ステージギミックにも足場が突如、炎の海と化す大胆なものが用意されているし、ボスも「グランドマン」の攻撃にはギョッとさせられるものがある。特殊武器にも前作の「アストロクラッシュ」を髣髴とさせるものがあるし、それが弱点のボスは露骨なリアクションを見せるようになっている。なので、終始淡々としている訳にあらず。その点は心配無用と断言しておく。

音楽もディスクメディアの前作からロムカセットに戻ったのもあり、音質は前々作基準に戻されたが、楽曲時代の出来は盤石。中でも「コールドマン」、「パイレーツマン」、最終ステージの楽曲は要チェックだ。
ロックマンの漫画を手掛けた作家陣がデザインしたボスキャラクター達も必見。特に『ロックマンメガミックス』で知られる有賀ヒトシ氏が手掛けたダイナモマン、バーナーマンの二体は動きも含めて凝ったものになっている。また、テングマン、アストロマンの二体が前作から続投するという、シリーズとしては珍しい試みも成されている。攻撃パターンも一新されていて、特にアストロマンは別人も同然になっているので必見だ。
他に先も触れたがボリュームも過去最高の物量であり、CD集めはやり応え十分。数も100個と膨大なのに加え、キャラクターも初代から八作目、更にはロックマンワールドシリーズ、果てはメガドライブの『ロックマンメガワールド』の面子まで網羅。様々な裏設定も明かされた内容になっているので、シリーズ経験者なら意地でも集めてみて欲しい。
率直に言って、ロックマンシリーズの中でもずば抜けて難しい作品である。人によっては、シリーズで一番だと言うのも分かるぐらいだ。しかし、その難しさが原点回帰のテイストに満ち溢れているに加え、硬派さを一直線に突き詰めたなりにバランスが良い。また、ロックマンとフォルテそれぞれで異なるアクションが楽しめるが故のリプレイ性の高さ、CD集めによって実現したやり込み甲斐の深さなど、単に人を選ぶ作品だと切り捨てるだけでは済まされない魅力も多く持つ。
現役引退機としての印象が強くなった時期にスーパーファミコンで誕生した、新たなるロックマンたる本作。シリーズ未経験者にはお薦めできないが、それ以外のプレイヤーやアクションゲームが好きなプレイヤーならば是非とも遊んでみて頂きたい、現役を退いた時期なりの凄味を味わえる傑作アクションゲームだ。新しいハードが買えないシリーズファンに配慮した「お詫び」のコンセプトから、いい意味で矛盾したやり応えを体験してみて欲しい。人を選ぶがお薦めです。
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