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  4. スーパーワギャンランド
≫スーパーワギャンランド
■発売元 ナムコ
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 スーパーファミコン版:9450円(税込)
バーチャルコンソール版(Wii):800Wiiポイント
■公式サイト ≫VC版(Wii)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■総説明書ページ数 紛失している為、不明
■推定クリア時間 3〜6時間
平和な『ワギャン島』に、懲りないワギャンの宿敵『ドクターデビル』がまたまた襲来。襲来するや否や、ワギャンの仲間達全員を捕らえてしまい、島の象徴的な存在である巨大な大木の上にデカデカと居座ってしまった。

こんな事を黙って見ていられるはずが無いワギャンは、ドクターデビルに捕らえられてしまった仲間達を救出する為、ワギャン島を駆け巡る。
果たして、ワギャンは捕まった仲間達全員を救出し、ドクターデビルをワギャン島から追放させる事ができるのか?
……ワギャンの運命や如何に。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ややこしいアクションも無く、触るだけで直に理解きるシンプルな操作性
◆敵を倒すのではなく、驚かさせていくという一風変わったゲームシステム
◆直接攻撃による対決ではなく、知恵比べのミニゲームで行われる一風変わったボス戦
◆単品のゲームとしても大変よく出来てる、ボス戦時の知恵比べミニゲーム
◆敵を殴ったりなどの直接的な暴力描写が全く無い、優しい雰囲気の漂う世界観
◆全部で40ステージ以上(+隠しステージ)と、充実したステージ総数とボリューム
◆量の多さに反して、中身はワリと手軽にまとめられているステージ構成
◆初心者から上級者まで幅広く楽しめるよう盛り込まれた、難易度選択システム
◆難易度ごとの極端さが秀逸なゲームバランス(低いものは優しく、高いものはとことん難しいと特徴が明確)
◆初代から遊んでいるファンにとって大変有り難い、パスワードコンテニューシステムの追加(これにより、1日長時間をかけてクリアする必要が無くなった)
◆優しい世界観に則した、コミカルでほのぼのとした雰囲気に満ちたグラフィック
◆上に同じく、ほのぼのとした雰囲気に満ちた音楽(川のステージのしっとり感は格別)
◆ファミコン版に比べ、より豊かになったワギャンのリアクション(呆然となった時の表情はインパクト抜群)
◆異形なボスキャラクター達(何故か、招き猫や空き缶と言ったキャラが登場する…)

--- Bad Point ---
◆爽快感を求めるアクションゲーム好きには物足りなさの残るゲーム内容
◆とてもパッと見では分からない位置に隠された、ステージ分岐の入口
◆いま一つ、現在位置とステージ位置が分かり難いステージマップ(現在、自分がいる所がどういうステージなのかを現す情報も表示されない)
◆ボス戦時のミニゲーム『しりとり』における、あまりにズルい答えの存在
◆あまりに遅過ぎる、会話メッセージ(ボタンで早送りできるが…)
◆やや覚えにくいパスワード(文字数がやや多い。メモ必須)
▼Review ≪Last Update : 7/14/2007≫
ありゃっ、…スーファミ本体?!

というか、あの基地はそれが動力源なのか…?(詳しくは本編で)


鳴き声による敵への攻撃、知恵比べによるボス戦と従来のアクションゲームとは一線を欠くゲームシステムで好評を博した、『ワギャンランド』のシリーズの最新作。

優しくて毒の無い世界観と幅の広いゲームバランス、そして圧倒的なボリューム。
アクションゲームが苦手な方にこそ遊んで頂きたい、優しさ満点のアクションゲームだ。

ゲーム内容はオーソドックスな横スクロールタイプのアクションゲーム。プレイヤーは主人公ワギャンを操作して多種多様なステージを駆け巡り、最後に待ち構えるボスと対決しながら、最後のステージ目指してゲームを進めていく。
プレイヤーが挑む事になるステージの総数は40以上とかなり多め。更に、各ステージの最後には必ずボスが待ち構えており、基本的に全てのステージの最後はボスとの戦いとなり、それに勝利する事でステージクリアという事になる。「40ものコースにボスが待ち構えているとは、何と凄い試みだ!熱すぎるぜ!」…と、この事に対してアクションゲーム好きの方は心が躍るかもしれないが、実はこれにはそう言った方にとっては実にショッキングな裏がある。それに関しては、次の段落にて解説するのでここではあえて保留する。(もう既に、最初の記述で言っちゃっているけど…。)
ともあれ、このように40以上ものステージにプレイヤーは挑み、宿敵Dr.デビルによって捕まった仲間達を助けていく事になる。ステージはどれも個性的で海岸、市街地、水中トンネル、洞窟、氷の洞窟、更にはゴルフ場に巨大すべり台などと、ユニークな地形が盛り沢山。「そんな無茶苦茶な!」という如何にもゲームな「嘘っぽい」空気が満ちており、プレイヤーの先へと進みたくなる意欲を大いに刺激させてくれる配慮がニクい。また全てのステージに共通する事として、ステージ全体の長さが極端に短く設定されている事がある。基本的に本作で登場する大体のステージは45〜50秒か、或いは1分か2分ぐらいしかかからない程度のボリュームに抑えられているのだ。この事には「それじゃ、40ステージあってもすぐ終わってしまうではないか」と憤りを覚える方がいるかもしれないが、これから後述するボス戦の事を聞けば、この短さは非常に意義のあるものだと実感できるはずだ。詳しい詳細はまた後程お話する。
ただ正直な所、一番最初にプレイする事になるステージは流石に短くし過ぎと言わざるを得ない。何故ならば、ステージ開始から10秒程度でボス戦に突入してしまうからだ。詰まる所、このステージには一本の道しかないのである。「いきなり強敵出現!」という意表を付く演出としてはなかなか面白い試みだが、せめてもうちょっと長くしても良かったんではないだろうか。ただ進めば良いだけというのは流石に味気なさ過ぎる。
また、本作は基本的に単純に一本道のアクションゲームにはなっておらず、数多くのショートカット(分岐ルート)が用意されている。遊び方次第では、『スーパーマリオワールド』のように僅か数ステージを突破するだけで、あっという間に最終面へと行く事も可能で、多種多様なゲーム攻略を楽しめる。また、このルートを介さねば遊べないステージがあったりなど、硬派なゲーマーには熱い要素が設けられているのも注目に値する点だ。しかしながらこの分岐全般はお世辞にも良くまとまってるとは言えず、特にそのルートへの入口の半数が、明らかに常人では気付かない場所ばかりに配置されてしまっているのが残念極まりない。そう言ったルートを介さなくてもエンディングを迎えられるだけ、マシと言えば確かにマシだが、それでも理に適った配慮を行って頂きたかった。
このように、地味な欠点もチラホラとあるが、全体的にゲーム自体はストレス無く、且つテンポよく進行する。ステージの構成自体も破綻なくバランスよくまとまっており、アクションゲーム独特の前へ前へと進んでいく快感は健在だ。

……と、ここまでは普通にアクションゲームとしての部分を語った。ここからは本作の他のアクションゲームとの決定的な2つの違いと魅力を紹介していく。
先ず第一に敵を倒す事ができない事がある。プレイヤーが操作する事になるワギャンは自らの鳴き声を発射する攻撃技を所持しているのだが、これを敵に当てても倒す事はできない。一定時間、動きを止める事だけしかできないのだ。一応、鳴き声はアイテムによって三段階に強化されるのだが、それでもせいぜい麻痺時間が伸びるだけで、敵を倒すまでには至らないのだ。これには多くのアクションゲーム好きの方が驚くだろう。「じゃあ、このゲームは敵を倒す爽快感が無いのか?」と。実際、そう言ったものは無い。本作ではどちらかというと、倒すよりも彼らの動きを上手く止めて、難所を突破していく事に重点が置かれている。要は『潜り抜け』が主なのだ。
だが、全く敵を倒せないという訳ではなく、無敵状態になった場合は敵を倒す事ができる。更に終盤には、敵を倒しながら進めていくステージも用意されており、憎たらしいあいつにどうしても手が出せないというもどかしさは辛うじて無い。
しかし、それでも敵を倒せない点に関しては賛否が分かれるのは避けられない。流石に爽快感を求めるアクションゲーム好きの方は苛立ちを覚えるかもしれない。ただ、裏を返せば、それまで「倒す」と言う暴力的な行為がザラと化していたアクションゲームの世界に対し、動きを止めて交わすという新たな手法を取り入れたこの手法その物は相当な評価に値するものだ。これは本作のみならず、前作に当たるワギャンランドにも同じ事が言えるが。
また、これと同じ事は第二の事柄であるボス戦に対しても言える。最初に話したが、本作のボス戦は他のアクションゲームのような真剣勝負ではなく『知恵比べ』で、「しりとり」とか「神経衰弱」、「数字当て」と言ったミニゲームで勝負するものとなっているのだ。前述の「ショッキングな裏」、そしてステージの短さの真相と理由はこれである。40体ものボスがいるとは言っても全部対戦内容は知恵比べで(ラスボスでさえも)、ステージが短いのもそのボス戦に時間がかかるという配慮によるものなのだ。これで如何に本作が、従来とは一線を欠くアクションゲームかはお分かりになったかと思う。とにかく、全編において暴力による描写を否定しているのだ。一応、ボスは倒す描写がありはするのだが、それでも直接的な攻撃を行う演出は無く、自滅する事がザラ。
どちらかと言うと、指先のテクニックではなく、頭の判断力の方が問われるゲームになってるのだ。一応、指先のテクも要求はされはするが、それでも全体的な比率は知恵の方がメイン。自らの知恵を敵に対してぶつける事が、本作における強烈な攻撃なのだ。直接的な攻撃を敵に対して行う事に快感を覚えるアクション好きの方にとって、本作が如何に肌に合わないものかはお分かりになっただろうか。
しかしながら、一つのアクションゲームとしては大変意欲的な作りであり、そう言った方でもかなりの満足感を得る事ができる。特に、この知恵比べで敵を撃退すると言う快感は他では味わえないものがある。賛否は分かれるかも知れないが、一度触ってみて頂きたい。
このように、本作は従来のアクションゲームの方程式から沿った作りになっており、今までにない手応えと快感を味わえるのだ。オリジナリティの高さは強烈極まりない。
ちなみに、続編関連のネタとして、本作ではミニゲームに新たに『モザイク当て』が登場。スーパーファミコンの性能を活かした、大変ユニークな作りとなっており必見だ。
また、相変わらずミニゲームにおけるズルネタは健在で、無意味に腹が立つ場面も多し。それでも、致命的な欠点だと思わせないのは、ほのぼのとした世界観の賜物だろうか。でも、やっぱり人によっては結構賛否が分かれはするが…。

この他、本作ではシリーズ初の要素としてパスワードコンテニューと難易度選択機能が追加された。パスワードに関しては、ファミコン版からのユーザーにはまさに涙モノの追加要素。おかげで今作はこれまでほど1日長時間をかけてクリアする必要が無くなり、劇的に敷居が下がった。ようやく見た目の可愛さにゲームの敷居が沿ったか。
また、難易度選択機能も嬉しい機能の一つ。好きな難易度で好きなプレイが楽しめるようになり、プレイの幅が広がっている。また、難易度の分け方も極端で低い難易度はとことん低く、高い難易度はとことん高くと言ったバランス調整もお見事だ。ただ、高い難易度に関してはちょっとやり過ぎな感じが否めないが。幾ら何でも、跳ね上がり過ぎというか。
しかしながら、ゲーム全体の難易度に関しては概ね良好で、基本的に頑張れば誰でもクリアできるバランスを実現している。難易度選択機能とパスワードの追加により、エンディングを拝め易くなったのも注目に値する部分だ。
そしてゲーム以外のグラフィックとサウンドに関しても、スーパーファミコンに進出した影響によりレベルアップ。特に音楽は全編心地良い曲が満載で、ゲームの世界観と高レベルでマッチしている。ほとんどが旧作からの流用並びにアレンジではあるが、それでも聴き応えは抜群。中でも川のステージの曲のしっとり感は相当なものだ。

その他、操作性に関しても概ね良好で、アクションゲームの基本でもある動かすだけでも楽しいという快感を実現している。ジャンプの挙動がロボットのくせにやたらふわっとしているのが気になりはするが、これと言ってストレスが溜まる事は無い。また、複雑なアクションもないので、説明書を読まなくても直に覚えられる分かり易さもお見事だ。
ステージ分岐の入口と全体ステージマップの分かり難さ、しりとりなどのミニゲームにおけるズルい答えなどの欠点もありはするが、全体的なアクションゲームとしての完成度はかなりのもの。
何度も申すが、アクションゲーム好きの方にはかなり形容し難い部分があるので、賛否が分かれるかもしれないが、ゲーム初心者やアクションゲームが苦手な方、そして女性ユーザー、幼稚園ぐらいの子供のユーザーの方々には迷わずお薦めできる一本だ。従来のアクションゲームには無い、知恵比べによる爽快感とほんわかとした世界観、そして暴力の無い優しい描写を大いに味わってみて欲しい。
ここには、派手さを追求する最近のゲームに対するアンチテーゼが込められている。
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