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≫スーパーボンバーマン3
■発売元 ハドソン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 8900円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■その他 マルチプレーヤー5対応
■総説明書ページ数 23ページ
■推定クリア時間 2時間半〜4時間
遥か宇宙の彼方、ボンバー星雲。

以前、ボンバーマンによって倒されたはずの『凶悪ボンバー5人衆』が宇宙征服を企む悪の化身、『プロフェッサーバグラー』によって復活。宇宙征服の第一歩として、ボンバー星雲に点在する5つの惑星への攻撃を開始した!

凶悪ボンバー5人衆に5つの惑星が攻撃されてるとの一報を受けた白ボンと黒ボンは、すぐさま現地へ向かう。

果たして二人は蘇った凶悪ボンバー5人衆を倒し、彼らを裏から操るバグラーの危険な野望を阻止できるのか?!
ボンバー星雲の行く末をかけた、激しい戦いが今、始まる…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆これまでのシリーズとは明らかにかけ離れた、アニメ調のグラフィック
◆同じく、これまでのシリーズとはテイストの異なる音楽と効果音
◆初心者救済処置として、バトルを盛り上げる存在としてPCエンジン版から逆輸入された新要素『ルーイ』
◆従来のシリーズの味が残る、シンプルで分かり易い、抜群の操作性
◆敵を全滅する条件を無に帰し、攻略の自由度を大幅に増強させた『ノーマルモード』
◆二人同時プレイの影響で一画面に固定されたものの、多重構造で仕掛けの多彩さをしっかりと残したステージ構成
◆過剰過ぎるまでに個性が増した敵キャラクター達(本気でプレイヤーに襲い掛かってくる)
◆連戦形式ではなくなり、やり易さが増したボス戦
◆5人までの対戦からキャラセレクトまで可能となり、白熱度が更に増した『バトルゲーム』
◆敗者に寂しい思いをさせない為に盛り込まれた革命的な新システム『みそボン』
◆オプションにデフォルトで装備され、使い勝手が増したサドンデス機能
◆やや手強くなったが、前作同様の程良さを残した絶妙のゲームバランス
◆シリーズ伝統の覚え易くて良心的なパスワードコンテニューシステム
◆制限時間が短くなり、バランスブレイカーでなくなった無敵モード(やっと完成…)
◆シリーズとしては異質の不気味さに満ちたエンディング

--- Bad Point ---
◆シリーズファンにとっては賛否両論な流用システム群
◆バリエーションの豊かさこそ守られてるが、やはり1画面に納まる形に固定された都合で個性が薄くなったと言わざるを得ないステージ構成
◆少し長過ぎる感のある、一撃で倒せない敵の無敵時間(もうちょっと短くても…)
◆周辺機器を使わないと出現しない隠し要素の存在(懲りない…)
◆小さな子供にはトラウマになるかもしれないエンディング
▼Review ≪Last Update : 9/8/2007≫
隙間の黒い物体は”あいつ”のシルエットだった!

全然気付きませんでした…。


シリーズ一作目におけるゲームバランスの全面的な修正と対戦プレイの更なる充実化で高評価を得た『スーパーボンバーマン2』の続編にしてシリーズ第三弾。

これまでの作品とは明らかに毛色の異なる世界観とシステムの数々。真新しさに欠けるのに新しい、奇抜な手応えに満ちたスーパーボンバーマンシリーズ最高傑作だ。

ゲーム内容は、これまでと同じ2D見下ろし視点のステージクリア型アクションゲーム。十字に広がる爆風を放つ爆弾を操る主人公『ボンバーマン』を操作してマップ上に徘徊する敵キャラクター達を倒し、仕掛けを解除してステージを攻略していくというものだ。
収録されているゲームモードも前作と同じく『ノーマルモード』、『バトルゲーム』の二つ(サウンドモード選択のオプションを含めると三つ)。例によってメインはノーマルモードで、前作で倒した凶悪ボンバー5人衆を復活させ、ボンバー星雲の征服を目論むバグラーの野望を阻止する為、全6ワールド28ステージをクリアしていくお馴染みの内容だ。
基本的にゲームとしての構成はこれまでとほとんど変わらず。
しかしながら、ゲームとしての見た目は劇的に変わり、作品全体を彩るグラフィックがそれまでの3DCG風味から、PCエンジン版のボンバーマンシリーズと同じ2Dドットのアニメ調に改められている。また、同様にしてサウンド…音楽&効果音絡みも、PCエンジン版を髣髴とさせられる機会っぽさが滲み出たテイストに変更。明らかにそれまでのシリーズとは異なる世界観と雰囲気を作り出している。
更に、追い討ちをかける形で、PCエンジン版の『ボンバーマン'94』で初登場した動物キャラ『ルーイ』を新要素として逆輸入。ルーイとはいわばボンバーマンが乗る事のできるキャラ…、マリオで言う所の『ヨッシー』みたいなもので、全部で5種類の色違いが存在し、ソフトブロックを破壊した時に出現するタマゴに触れると乗る事ができ、その色に応じた得意技が使えるようになる。得意技は高速ダッシュ、ブロックキック、ジャンプなど多種多様。また、ルーイに乗っている状態ではミスをしてもボンバーマンは無傷で生き残る特典もあり(代わりにルーイが失われる)、シリーズ初心者や苦手な方にはとても有り難い救済処置も盛り込まれている。
この他にも、同じく『ボンバーマン'94』でメイン悪役を張っていたバグラーが登場するなど、PCエンジン版を意識させられる所は数知れず。故に本作は、どちらかというとPCエンジン版ボンバーマンのスーパーファミコン初進出作品…と言った方が妥当かもしれない。このように、明らかにそれまでと毛色の違う作りになっているのだ。

実を言うと、それは『ノーマルモード』と『バトルゲーム』の作りもそうだったりする。まず前者だが、ステージクリア条件が敵の全滅でない。ステージ上に配置された『コアメカ』なるオブジェクトを全て破壊し、ステージ中央部(ステージによっては異なる)にある制御カプセルに入ったマザーコンピュータのチップを回収する事でクリア…、つまり敵を全滅させなくてもクリアとなる珍しい形式になっている。実はこの形式、PCエンジン版の『ボンバーマン'94』と同じ…というかそのもの。何とルーイのみならず、本作はゲームシステム自体も逆輸入してしまっているのだ。それじゃ本作、スーパーボンバーマンちゃうじゃん…と言う方がいるかと思うが、まさにその通りだ。
実際、前作で新たに導入された要素群はほとんど排除されており、ボス戦も連戦形式でなくなっている。これはこれで、連戦が辛くて嫌だった方には嬉しい事ではあるが、前作を考慮すると退化としか見て取れない。真っ向勝負という、新しいボス戦の形を提示していたのに、それを根こそぎ捨ててしまうとはあんまりだ。また、本作では1以来の二人同時プレイも復活し、その都合もあってステージの作りが1画面に納まる形のものに特化してしまったのも痛い。横の広い、縦に広いと言ったステージごとの個性が大幅に薄くなってしまっており、見た目のインパクトが薄くなってしまっている。
だが、この点に関しては前作を意識してか、ステージによっては多重構成(つまり、複数のエリアで連なっている)にする工夫が成されており、プレイのモチベーション低下とステージバリエーションの単調化をカバーしている。また、ステージ上の仕掛けも前作の多彩さを意識し、画面構成の特徴を活かしたものを用意したり、敵キャラクターも一筋縄では行かないほど個性を強くしたりするなど、別の所を補強する試みもちゃんと行われており、全く異なる方向性を打ち出そうとする気配りも所々で成されている。
確かに劣化した…並びに、使い回しをしてる印象があるのも事実。しかし、新作ならではの新しい形を提示するなどの配慮は成されており、辛うじて本編は前作の血を受け継ぐ作品としての面目を保っている。使い回しなのにそう感じてしまう完成度、まさにこれぞ理想のアレンジ…と言うべきなのだろうか。 また、視点を変えればステージクリア条件もナイスだ。敵を全滅すると言う制約を無に帰したことにより、よりアクションゲームらしいプレイを可能としている。嫌らしい敵であっても絶対に倒さねばならない事が煩わしいと思ってた方にとって、この仕組みはまさに感涙モノだろう。
総評して、アレンジながらもしっかりと独自性を打ち出した作りで、前作に負けず劣らずのアクションゲームとしての面白さを味わえる内容に仕上がっている。地味ながら、本作では1で物議を醸した無敵モードも蘇ってるのだが、時間を短くなっているのも実に嬉しい所。ようやく救済システムとして産声を挙げた感じだ。

そして遅くなったが後者。これもPCエンジン版を意識したものがあり、5人対戦、プレイヤーキャラクターセレクト機能と言ったものが逆輸入されている。しかし、比率的には本作ならではの要素が大半を占め、中でも本作から新たに導入された『みそボン』はシリーズにとっては革命的なシステムと言える。簡単に言うと、負けた人が外側からバトルフィールド内に爆弾を投げ入れられるようになるというものなのだが、これが実に素晴らしい!それまで、負けてしまったら後は眺めてるだけだったプレイヤーに逆襲の機会を与え、負けてもコントローラを握ったままで遊んでいられるようになったのはまさに大革命というに相応しい。爆弾が1個しか投げ入れられず、連発できないもどかしい所があるのが辛いが、それでも負けたプレイヤーも形は変わるとは言え、ずっとバトルに参加していられるようになったのは、よく対戦で真っ先にやられるという方にとっては嬉しい限りだろう。繰り返すが、本当にこれは大革命だ。手が空きがちなボンバーマンシリーズから間を消したその功績はあまりにもでかい。
この他にも前作で初登場した『タッグマッチ』で一対四等の変則的な対戦が可能になった事、同じく前作で初登場したサドンデスがオプションの機能の一つとして取り入れられたなど、大きく改善された所も沢山ある。
相変わらず、隠しステージの条件が差別的である欠点があるが、より豊富な遊びが可能となった本作の対戦は、まさにシリーズ最高と言うに相応しい出来。この点に関しては、PCエンジン版と本作…スーパーファミコン版が上手い形で合体した好例と言うべきだろう。とにもかくにも完成度は抜きん出ており、これまでのシリーズを遥かに凌駕する白熱の対戦を楽しむ事が可能だ。この対戦を味わうだけでも、本作を遊ぶ価値はある。
以上、長々と語ってきたが、このように本作はかなりPCエンジン版を意識した、毛色の異なる作品となっているのだ。しかし、語ってきた通りに本作ならではのアレンジも豊富であり、尚且つゲームとしての面白さも相当なもので、シリーズの味も残している非常に高レベルな完成度を誇る、奇跡とも言うべき仕上がりになっているのだ。

他にもゲームバランスも少し手強くなったが、これまでの程良い手強さと絶妙のバランスを維持。操作性に関しても、これまた従来通りの抜群の感覚を受け継いでいる。システム的且つ見た目として下からあるものを流用している事、隠しステージの出現条件等、細かな欠点もありはするがいずれもさほど目立っておらず、ゲームの完成度に致命的なダメージを与えるものにまではいたってない。
見た目も遊び応えも大きく変わったが、続編である事を確かに実感する進化の数々、負けた人もコントローラから手を離す事がなくなり、更に白熱の度合いを上げた対戦モード等、圧倒的な面白さとアクションゲームとしての完成度の高さを誇る本作。もはや、ここまで来て言う事は唯一つ。メチャクチャお薦め。個人的には言うのが苦くもあるのだが、スーパーボンバーマンシリーズ最高傑作。シリーズ初心者並びに経験者共、是非とも遊んでみて欲しい最高に楽しいアクションゲームだ。トラウマ級のインパクトをお約束します。(エンディングも含めて)
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