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  4. スーパーボンバーマン4
≫スーパーボンバーマン4
■発売元 ハドソン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8166円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■その他 マルチプレーヤー5対応
■総説明書ページ数 31ページ
■推定クリア時間 3〜4時間
戦いの日々に追われるボンバーマン達は束の間の休息を楽しみ、その帰路についていた。
そのシャトルに4つの怪しい影が忍び寄ってきた。

その怪しい影は、ボンバーマン達の乗っているシャトルを攻撃。
それにより、ボンバーマン達の乗っていたシャトルは大破し、その反動によってボンバーマン達は宇宙空間に放り出されてしまい、そのままブラックホールに吸い込まれてしまった。

ブラックホールに吸い込まれたボンバーマン達が辿り着いた所は、何と原始時代!
この異様な状況に驚くボンバーマン達の所へ、1つのメッセージが送られて来た。

「ワタシノナハ”ボンバーグレート”。過去ヲ変エ、オマエタチノ未来ヲ操作スル。
ソレガ、バグラーサマノ意志ダ!!」

かくして、時空を越え、バクラーの野望を再び阻止し、未来を守る為のボンバーマン達の新たなる戦いが始まった。果たして、この戦いの行方やいかに?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆説明書を読まなくても直に覚える事ができる、シンプルで分かり易い操作性
◆シンプルさを重視し、シリーズ本来の爽快感と面白さを押し出した『ノーマルゲーム』
◆敵キャラが乗り物になる、前作のルーイを大幅に改良した『乗り物システム』
◆原始時代、江戸時代、現代などのバリエーション豊かでゲームの嘘っぽさが爆発しまくりの全5ステージ38エリア
◆バランスの再調整が施され、大幅に戦い易くなった第一ボス戦
◆ステージが少し簡単になった反面、劇的に手強くなった第二ボス戦
◆多少、破綻してる所もあるが、全体的には安定しているゲームバランス
◆『ボンバープッシュ』、『ボンバースロー』と言った新アクション導入で、より白熱必至の作りに進歩したバトルゲーム
◆一人プレイでも十分に楽しめる、シリーズ初のバトルモード『チャンピオンモード』
◆初心者と上級者の差を無くす為だけでなく、シンプルな対戦をやりたい方の為に盛り込まれた『マニアックモード』(旧シリーズのファンの方にはたまらない)
◆アニメっぽさが強化されたグラフィック(特に背景関連)
◆シンプルで、覚え易いパスワード

--- Bad Point ---
◆音楽の大半が前作からの流用(しかも音源すら変えてない手抜きっぷり。最低)
◆ネタバレし過ぎな説明書(ラスボスまで載せてしまっている…。)
◆一人プレイでは絶対に入れない『ボーナスステージ』(ほとんど虐め)
◆バランスの破綻を招いている、敵キャラで乗り物の一人『ダンシングピエロ』の敵停止技
◆あまりにお粗末なエンディング
◆周辺機器を使わないと遊べない、バトルモードのステージと隠しモード(懲りない…)
▼Review ≪Last Update : 9/22/2007≫
満を持して動き出す…

あの脳味噌。(前作より)


それまでのシリーズと大きく印象を変えた世界観で話題を呼んだ『スーパーボンバーマン3』の続編にしてシリーズ第四弾。税抜き価格が7777円である事が密かに話題を呼んだ作品でもある。

しかし、実際の中身はそんな縁起の良い値段に全く伴ってない酷さ。
浅い作り込みと手抜きの音楽が尾を引く、シリーズ屈指の惜し過ぎる問題作である。

基本的なゲーム内容は過去の『スーパーボンバーマン』シリーズを踏襲。2D見下ろし視点のステージクリア型アクションゲームで、プレイヤーは十字に広がる爆風を放つ爆弾を武器とする主人公『ボンバーマン』を操り、マップ上に徘徊する敵を倒しながら様々なステージを攻略していく。
収録されているゲームモードも『ノーマルゲーム』、『バトルゲーム』の2つ。メインモードもこれまで通り『ノーマルゲーム』で、前作で倒したバグラーの野望を再び阻止する為、全5ワールド38ステージに挑んでいくものとなっている。
基本的なシステム、並びにグラフィック周りは前作『スーパーボンバーマン3』と同様のものを継承しており、PCエンジン版のボンバーマンシリーズを髣髴とさせられるテイストに仕上がっている。だが、今作のシステムはPCエンジン版のものではなく、2作目に当たる『スーパーボンバーマン2』をベースにしており、全体的にはPCエンジン版の流れを汲むもの…というよりは、スーパーファミコン版の流れを汲む作品としての印象が強化されている。前作が如何にもPCエンジン版の焼き回しな印象が強くて嫌だった…と感じたファンの方にとって、この路線回帰は実に嬉しい改善と言えよう。
また、『スーパーボンバーマン2』をベースにしていると先程に述べた通り、今作では2に搭載されていた数多くの要素が復活。個性的な仕掛けが張り巡らされたステージ、そして二連戦で行われるボス戦が装いも新たに蘇った。2のノーマルゲームが好きだった方にとって、これらの要素の復活は感涙モノだろう。特に二連戦で行われるボス戦は、『スーパーボンバーマン2』の反省点を踏まえてゲームバランスの再調整が施され、大幅に戦い易くなったのは実に喜ばしい改善点だ。但し、ステージ構成に関しては前作において復活した二人同時プレイを実現する為の都合に寄り、1画面内に収まった作りとなっている。しかも、今作では前作のように多重構成のステージは無く、基本的に初代『スーパーボンバーマン』を彷彿とさせるワンパターンなものになってしまっている。しかし、過去のシリーズを大幅に上回る癖のある仕掛けを沢山配置するなど、弱点となる箇所の補強はしっかりと行われているので単調さを生み出すには至ってない。
また、2をベースとしている事もあってか、ややパズル的な要素も絡めるなど、ユニークな試みを施すなど、プレイヤーを飽きさせない工夫も凝らされている。2以降から多くのユーザーを虜にしてきた、確かな遊び応えは今作でも健在。シリーズならではの安定した面白さを堪能できる。

続編の定説にのっとる形で、前作で登場したサポートキャラ『ルーイ』を更にバリエーション豊かなものにした、倒した敵キャラをそのまま乗り物として利用する『乗り物システム』、そして『ボーナスステージ』という新要素を追加。中でも『乗り物システム』はユニークで、モンスターごとに高速ダッシュや壁のすり抜けなど様々なアクションを味わう事ができ、飽きの来ないゲームプレイを堪能できる。ステージ攻略やボス戦においてもその万能性を発揮し、特に相手の動きを遅くする能力を持った敵の使い易さはまさにこちら側にとって鬼に金棒である。だが、あまりに強力過ぎてバランス崩壊を招いている感も否めず、特に動きその物を止めてしまう敵…『ダンシングピエロ』なるキャラの能力はやり過ぎの域。動きを止めると言っても、一瞬とかであればまだ問題なかったのだが、一瞬では済まされないレベルなので結果としてバランス崩壊を起こしてしまっている。この敵が登場するのはゲーム後半なので、全体的な崩壊に至ってないのがせめてもの救いではあるが、流石にこの点については調整が不十分だと言わざるを得ない。折角、アイディア自体は素晴らしいのに調整がしっかりとしてなければ元も子もない。
同じ事は、ボンバーマンの強化に役立つ『ボーナスステージ』にも言える。そもそも、二人同時プレイでなければ絶対に入れないというのは如何なものか。そこまで一人プレイと差別化をして、何のメリットがあるというのか。一緒に遊ぶ相手がいない人にとってこれは、虐めも良い所ではないか。せめて、一人の時ででも入れるようにしていれば丸く収まっていたのに、…そこまで一人で遊ぶ事を悪い事としたかったのか。口が悪いが、この点に関してはゲームデザイン並びにマップ構成を担当した人間の神経を疑う。幾ら何でも、これはあんまりだ。酷い。酷すぎる。
他にも新たに『崖』なる落下地点を配置するなど、新たな試みはあるのだが、これもボーナスステージと同様に活かしきれておらず、取ってつけた感が強い。新しい試みを成すのは決して悪い事じゃない。けど、バランス的な公平さを出さなければ、結果としてその試みも意味が無い。
いずれもノーマルゲームの面白さに致命的な打撃を与えるほど、問題なものになってないのがせめてもの救いではあるが、全く未完の状態でこうして世に出て来てしまった事自体は大変残念と言わざるを得ない。折角、本編が良い出来なのに勿体無い。惜しい、あまりにも惜し過ぎる。

その一方で『バトルゲーム』は、劇的な進化を遂げている。中でも際立つのが『マニアックモード』と『チャンピオンモード』なる2つの新モードの追加。前者はアイテムの種類などをオプションで調整できる、細かな設定が行える対戦モードで初代ボンバーマンのシンプルな対戦が好きだった方にはたまらない作りとなっている。遊べるステージが1つだけな欠点もあるが、色んなユーザーのニーズに合わせた対戦を可能としたその業績はあまりにもでかい。
もう一つの『チャンピオンモード』も凄い。何と史上初、1人で楽しめるバトルゲームというシリーズとしては革命的な遊びを実現。しかも、ちゃんとクリアした人の為のエンディングまで用意されている徹底振り。対戦相手が見つからず、ノーマルゲームをコツコツと遊んでいたプレイヤーにとっては、まさに感激モノの新要素と言えよう。
また、このモードはやり込み要素も充実しており、勝敗の結果によって最後のエンディングが僅かに変化する、マルチエンディング制も採用。一度クリアしても終わらない、何度も楽しめる贅沢な作りとなっている。更にこのモードでは例のピエロが登場しない為に、ゲームバランスが安定しているのも見逃せない点だ。 ノーマルゲームに比べたらボリューム的には劣るが、これを遊ぶだけでも十分にお腹いっぱいになれる作り。本作を購入した暁には是非とも遊んでみて欲しいモードだ。ボンバーマンの遊びの歴史が変わる事、間違いなしだ。この他にもバズーカ砲攻撃、ピットからのビーム攻撃と言った特殊な能力を持ったボンバー四天王の登場、キックした爆弾同士がくっ付く事によって出来る、超強力な爆弾『デンジャラスボム』、キャラを背後から押す『プッシュアイテム』など新要素は盛りだくさん。前作で好評を博した『みそボン』も健在で、今作でも誰も寂しい思いをさせない対戦を実現している。幾ら何でもノーマルゲームと差が出すぎ…な感は否めないが、今回のバトルゲームも素晴らしい完成度。これまでと変わらない、白熱の対戦を堪能できる。
その他の面、操作性も従来の流れを組む、シンプルで快適な感触を維持。バランス面も荒れてはいるが1ほどではなく、一定の手応えを演出してくれている。
グラフィックも作風は前作とほとんど一緒のもので、変化にかけたものになっているのだが、影がやや強調され、立体感が向上している。また、前作でもあったアニメ風のデモも劇的にパワーアップし、本物のアニメに負けず劣らずの迫力を演出している。この辺の丁寧な作り栄えはまさに職人技の域だ。

しかし…しかし…だ。音楽…、これは何様のつもりだ。音源を一切変えず、前作で使ってた曲をそのまま流用するだなんて…手抜きか?前作に無かった新曲も…あるにしてはあるのだが、どれもインパクトに欠けるものばっかりで、しかもどちらかというと新曲よりも流用の方が多い為に結果として、ゲームとしての新しい空気を消してしまっている始末。
言葉が悪いが、冗談抜きに今作の音楽を担当した人間には二度とゲーム音楽など作るな、と言いたい。こんな手抜きをして、ユーザーは喜ぶか?というか、新曲を作るのがそんなに嫌だったのか、そうなのか?…どんな理由があったにせよ、これはプロとして許すまじき行為だ。このせいで本作、酷く評価を落としてしまっている事は想像に難くない。こんな手抜きさえなければ、一体…どうなっていた事か!
他にも周辺機器を使わないと出現しない対戦ステージの存在や説明書の過剰なネタバレなど、欠点はあるのだが、正直言って音楽に比べたらこれらは軽い方だ。
バランス的な粗はあるにせよ、ゲームとして面白いものとなっているのは間違いない。しかし、外を固める要素の問題で手抜きな印象が濃く、「丁寧に作られてる」という本質が反故にされてしまってるのが本当に悔しいというか、勿体無い。
純粋にボンバーマンの新作がやりたい…方には、普通にお薦めできるゲームではある。また、シリーズ未経験者、アクションゲームが好きな方にもお薦めできるゲームだ。
しかし、シリーズの熱心なファンで、流用を激しく嫌う人は買わない方が吉。逆にストレスを溜める材料となるので、水に流しておいた方がベストだ。とにかく…勿体無い限り。手抜きって本当、最低の行為だよなとしみじみ感じる次第だ。
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