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≫スーパーボンバーマン5
■発売元 ハドソン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 7329円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜5人
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 マルチプレーヤー5対応
■総説明書ページ数 31ページ
■推定クリア時間 3〜4時間(エンディング目的)、10〜20時間(完全攻略目的)
平和なボンバーワールドで一大事が起きた。

警備の厳重さは宇宙一とまで言われた『ボンバー刑務所』に収監されていた8人の『凶悪ボンバーマン』達が、突如現れた、自らを”異次元の帝王”と名乗る謎の男『テロリン』によって脱獄させられてしまったのだ。
テロリンは、自らが脱獄させた凶悪ボンバー達を手なづけ、強大な軍を編成。
ボンバーワールドへの侵略を開始した。

ボンバーワールドの平和を守る為、そして凶悪ボンバー達を全て捕らえ、帝王テロリンの野望を打ち砕く為…ボンバーマンは、テロリンが作り上げた異次元世界へと挑む…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆説明書を読まなくても、直に覚える事ができる直感的で分かり易い操作性
◆シリーズ最終作ならではの超豪華な内容に仕上げられたノーマルゲーム(ステージの総数も100面にまで増強され、遊び応えも圧倒的にパワーアップ)
◆ステージ分岐、マルチエンディング制とノーマルゲーム内に数多く盛り込まれたリプレイ性を高める新要素群
◆歴代スーパーボンバーマンのステージが満載の、全5ゾーン100エリア(なお、ゾーン5は完全新作となっている)
◆対人戦に限定され、手強さと戦いの面白さが増したボス戦(若干…攻撃が当て難くなったが)
◆『ランダムサドンデス』、『みそボンドッジ』、『コンフィングモード』などの新要素導入で、更に進化したバトルゲーム
◆ルーイの帰還により、バランス的に安定した乗り物システム
◆コアユーザーも思わず唖然としてしまうほど充実した、隠し要素の数々
◆旧シリーズの良い部分を抽出した仕上がりとなっている、特徴的なグラフィック
◆全てが新曲に差し替えられ、新鮮味が回復した音楽(曲自体の出来も向上)
◆2人プレイ前提などの偏りが消え、全体的に安定したノーマルゲームの難易度バランス
◆バトルゲームの隠しステージ条件の完全解消(よくぞ、やってくれた!)

--- Bad Point ---
◆ノーマルゲームのマップ画面への脱出方法が、ゲームのリセットしかない(せめて、マップに戻れるオプションを用意しておいて欲しかった)
◆微妙に濁った感じのある音楽の音質(あまりクリアじゃない…)
◆音楽ではないが、ステージグラフィック関連で旧シリーズからの流用モノが多い
◆戦闘的には面白くなったが、やはり微妙にやり難くなった感じのあるボス戦
◆ラスボス第二形態の弱点が非常に分かり難い
◆存在意義不明の敵専用ルーイ『ワルーイ』)
◆説明書にラスボス第一形態を載せてしまっている(幸い、第二形態については載っていないが…)
▼Review ≪Last Update : 10/6/2007≫
これがシリーズ最強にして最大の戦いだ!

この戦いにあなたは生き残れるか…?!


既にスーパーファミコンが現行機として完全に退いていた1997年2月にリリースされた、『スーパーボンバーマン』シリーズ第5作目にしてシリーズ最終作。

最終作を飾るに相応しい、圧倒的なボリュームとニクい演出の数々。
もはや別物と言わんばかりの一大進化を遂げた、シリーズ屈指の異色作だ。

ゲーム内容は、過去のシリーズと同じ。十字型に広がる爆風を放つ爆弾を武器とする主人公『ボンバーマン』を操作し、フィールド上を徘徊する敵を倒しながら多種多様なステージをクリアしていく、2D見下ろし視点で展開するステージクリア型アクションゲームだ。収録されているゲームモードも過去と同様に『ノーマルゲーム』、『バトルゲーム』の2つ。メインとなるモードもこれまた過去と同じく『ノーマルゲーム』となっている。
だが、今作の『ノーマルゲーム』は過去のシリーズとは一味どころか、二味も違う。まずボリューム。何と総計にして100ステージ、過去のシリーズと比較して約2.5倍もの大ボリュームに激変してしまっているのである。それまでが大体30〜40ぐらいだったのを考慮すれば、この量が如何に凄いかは想像に難くない。これだけでも本作のノーマルゲームが、過去とは一味も二味も違うというのは明白だろう。
だが、過去との違いはこれに留まらない。今作ではこの全体的なボリュームの増強の他、各ステージごとに2つ以上のゴールを配置し、その入ったいずれかのゴールによって後半のステージと最後のエンディングが変化する『ルート分岐システム』、『マルチエンディングシステム』の新要素を導入。それまでの一本道を廃して、遊ぶ度に毎回異なったゲーム展開が楽しめる方式へと改め、ゲームとしての奥行きとやり応えがパワーアップ。一筋縄では行かないほど、深い内容に様変わりしてしまったのだ。それまで、淡々とステージを攻略していく事がザラで、やや取って付けた感もあった(特に1と4)本ゲームモードにおいて、この進化はまさに革命的の一言。対戦ゲームではなく、元来のアクションゲームとしての『ボンバーマン』の魅力を大いに引き出した、最高のフルモデルチェンジと評してもおかしくは無いだろう。
また、本作ではこの内容の激変に伴い、サポートシステム周りも大きく改められ、全体マップ画面によるステージセレクト機能、セーブ機能を新たに追加。特にセーブ機能の追加は、100ステージの攻略というただでさえ辛いゲーム展開を手助けしてくれるので大変有り難い。仮にそれまでパスワードコンテニュー形式であったら、どれほどエグくなっていたか。この機能の追加もまた、シリーズにとっては革命と言っても過言では無いだろう。
だが、セーブ機能の追加は確かに有り難いが、ルートの変更をする為にマップ画面に戻るポーズメニューが無いのは不親切。見方を変えれば一度入ったら二度と戻って来れない、異次元世界らしさを出してるとも言えるが、実際煩わしい事に変わりは無いので、できればこういった機能は導入して欲しかった。その点はちょっと気配りが足りてない。
それからボス戦も人間戦に限定され、戦い難くなってしまったのも地味に残念な所だ。しかし戦いの臨場感が増したという点では良いアレンジだったとも言えよう。
他にも舞台となるステージが過去の『スーパーボンバーマン1〜4』のリメイクであったり(しかも、地味にオリジナルと変わってる)など、見所は満載。対戦ゲームとしての側面を優先し、アクションゲームとしてはどちらかと言うと後回しにされてきた本作の歴史を大いに覆す進化の数々。このように今作のノーマルゲームは、過去のノーマルゲームがイマイチ物足りなかったと欲求不満に感じていた方には感涙モノの仕上がりとなっているのだ。繰り返しとなるが、このようなノーマルゲームの進化は革命的。あの『スーパーボンバーマン2』を超えたと言ってもおかしくは無いだろう。

しかし、ノーマルゲームがパワーアップした反面、一方の『バトルゲーム』はその代償なのか、非常に地味な進化に留まってしまっている。基本的にどの新要素もインパクトに欠け、前作の『チャンピオンモード』程の注目の要素は皆無と言っても良い(それ以前に『チャンピオンモード』自体が廃止されてしまった)。
強いて言うならば、3以降から採用された『みそボン』に『ドッチシステム』なる新要素が備えられ、みそボンとなっていたプレイヤーがフィールド上の相手を倒せた場合、復活できるようになった事、『コンフィングモード』なる新モードが導入され、オリジナルのボンバーマンが作り出せるようになったぐらいだろうか。あと『サドンデス』にランダム要素が備わって『ランダムサドンデス』に進化したのも同じく、注目の要素と言える。
特に『コンフィングモード』は、自分好みのボンバーマンが作成できるというそのアイディア自体が非常に面白く、プレイヤーの創作意欲を大いに刺激させる。だが、コンフィングで作成したオリジナルボンバーマンは、特定のステージでしか使えないなどと、制約面が強いのがタマにキズ。イマイチ、荒削りな作りとなってしまってるのが残念だ。
また、これはノーマルゲームとも並行するが、今作では『スーパーボンバーマン3』以来にルーイが復活。これにより、前作における重大な問題点、バランスの崩壊とバトルの偏り(強い乗り物に乗れば、楽に勝ててしまう)が解消。3以来となるバランスの取れた、フェアなバトルを楽しめるようになった。ノーマルゲームにおいても、バランスの崩壊を押さえ込み、血の通ったゲーム展開を演出。このルーイの復活は、まさに英断だったと言えよう。
更にルーイの種類は合計で7種類、デザインも大幅に一新され、一目で「これはどういう能力を持ったルーイなのか」が区別し易くなった。これもまた見事なアレンジだ。
だが、ルーイの内の1体、敵専用のルーイ『ワルーイ』はプレイヤーが使える訳でもないし、目立った特殊能力も無いなどと存在意義が不明。この程度の味気ないものならば、別に入れる必要は無かったのではないだろうか。結果として、単なるゲーム上の演出と容量の無駄遣い(そこまでじゃないだろうけど)になってしまってるのが何とももどかしい。
しかし、ルーイの復活により、バランス的に安定したバトルが楽しめるようになった事自体は評価に値する。ノーマルゲームに力を注がれた事もあり、いつも以上に地味になってしまっているのは否めないが、面白さはこれまで通り。
今回も白熱の対戦を思う存分に楽しめる、安定した出来を維持している。まさにシリーズの貫禄…とはこの事だ。

操作性、ゲームバランスもこれまでの集大成とも言わんばかりの仕上がり。特にゲームバランスは、前作が崩壊気味であった事もあってか、細部まで丁寧に調整が施されており、2と3を髣髴とさせる優れた難易度を実現。納得の遊び応えを味わう事ができる。それだけに、サポート周りの快適性の面が欠落してるのが残念な所でもあるが…。
そしてグラフィック、サウンドの部分は、今作はどれも愛に満ち溢れた仕上がり。グラフィックはこれまでとは全く別のタッチで描かれた新しいものとなっており新鮮味満点。リメイクステージにおいては、背景や敵のドット絵など、旧作の使い回しもしているのだが全く気にならないレベルになっている。
また前作における最大の問題点でもあったサウンド…音楽は、まさに起死回生。収録されている曲全てが新曲となり、手抜き感が除去されている。リメイクステージでも、基本は過去と同じとしながらもメドレー仕立てにする試みが成されており、結構こだわっている。若干、音質が過去に比べてこもり気味となっているのが気になる所ではあるが、それでも手抜き感満点だった前作に比べれば全然軽い方。ベストな形ではないが、過去の過ちを正した事は素直に評価に値する。

他にも今作では、過去のシリーズで継続して指摘された問題点、周辺機器を使わないと出現しない対戦ステージが、何とそれを使わなくても出せるようになったのも見事な改善点。やっと最後にして周辺機器が買えないユーザーの気持ちが届いたと言った所だろうか。また、前作で過剰なネタバレを行っていた説明書は、今作でも過去に習う形でネタバレを行ってしまっているのだが、ゲームの楽しみを奪わない程度のレベルに抑えられ、辛うじて見耐えられるものへと回帰。この点に関しても、説明書をゲームを始める前に読むユーザーの気持ちが届いた格好と言えるだろう。
サポートシステムの不備やマニアックモードの制約など色々と荒削りな部分もあるが、やり応え満点のノーマルゲーム、リメイクステージを始めとするニクい演出の数々と全体的にはスーパーボンバーマンシリーズの最後を飾るに相応しい完成度を誇っている本作。
シリーズ経験者は言うまでもなく、ゲーム初心者から上級者、そしてアクションゲームが好きな方まで幅広く楽しめる、お薦めの逸品だ。シリーズの中では、『スーパーボンバーマン2』に次ぐ面白さ。これで見納めとなる、ボンバーマンとテロリンとの死闘をその目でとくと見届けよ!(正直…最終作なら、悪役はバグラーであって欲しかったなぁ…。(私見))
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